※この作品はR-18です。

バルバトス家の風来坊   作:ボルメテウスさん

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風来坊と吸血鬼

ミカヅキ・バルバトスは基本的に自身の領地にはいない。

 

それは彼が普段から自分の領地に留まる事を嫌う事もあるが、何よりも自由を好んでいる事もあり、普段から様々な地域を放浪するように旅している。

 

本来ならば、そのような事を行えば、上級悪魔として失格だと言われても可笑しくない。

 

しかし、ミカヅキは、その各地の放浪の旅を行う際に、その地で起きた大きな事件を数々解決してきた事が彼が旅を許されている理由になっている。

 

本来ならば敵対関係であるはずの天使・堕天使など、様々な勢力の脅威に対して、種族を関係なく、救援し、結果的に悪魔の勢力にも大きな貢献をしている。

 

さらには、そこで入手した情報の多くは悪魔の勢力にとっては重要な事もあり、魔王達はミカヅキを外交の仕事という名目の元で彼の放浪の旅を許している。

 

「それにしても、熱いのぉ」

 

そんなミカヅキと共に歩く人物が1人。

 

目を奪われる程の白い肌。腰まで伸びる金髪に透き通るような金眼。

 

世に言う絶世の美女というべき女性がミカヅキと共に歩いている。

 

「そうか?

 

特に気にする程か?」

 

そんな女性に対して、ミカヅキは特に気にした様子もなく、歩く。

 

ミカヅキ達が今歩いている場所は、とある街の商店街のような場所であり、そこかしこで人々が賑わいを見せている。

 

そんな中でもミカヅキ達の周囲にいる者達からは、自然と視線を集めていた。

 

それも当然だろう。

 

ミカヅキも、この女性も、ただそこに存在しているだけで周囲の人間達とは比べ物にならない存在感を放っていたのだ。

 

だが、当人達はそれを気に留める事はない。

 

なぜならば、既にミカヅキはこういった視線に慣れてしまっているからだ。

 

逆に女性の方はミカヅキに向ける視線の中に敵意が含まれている事に気づく。

 

(……ふむ)

 

女性は周囲を見渡す。

 

そこには自分に対する敵意を向ける存在が複数いる事を確認する。

 

(さて、どうしたものかな?)

 

女性は内心ではそう思うものの、それを表には出さないようにしながら、隣にいるミカヅキへと声をかける。

 

「なぁ、ミカヅキよ」

 

「なんだ?」

 

「狙われているの気づいているだろ」

 

「そんなの分かりきっているだろ、キスショット」

 

そう女性、キスショットの言葉にミカヅキは素っ気無く答える。

 

そもそも、キスショットとミカヅキは共に行動する事が多い。

 

そして、2人は互いが互いの弱点を補うような関係性にあり、何よりも最強のコンビであった。

 

「さて、どこの勢力かな」

 

ミカヅキ自身は様々な勢力に恩があるが、同時に数え切れない程の恨みを買われており、敵も多い。

 

それはミカヅキ自身が魔王達に負けず劣らずの実力を持つ強者である事に起因する。

 

ミカヅキの強さを知っている以上、彼を敵に回す事は自分達の命を捨てる事と同義である事を理解している為、大抵の場合は手を出して来ない。

 

だが、中には例外も存在する。

 

今回の相手もその1つだった。

 

「お前ら……! よくも俺の部下を殺してくれたな!」

 

突如としてミカヅキの前に現れた男が叫ぶ。

 

男の姿は一見すると普通の人間のように見えるが、その背中に堕天使の翼を広げていた。

 

その姿を見たミカヅキは

 

「誰だっけ?」

 

首を傾げながらそう呟く。

 

ちなみにキスショットの方は

 

「あー、思い出したぞ。

確か、どっかの街の人間を誘拐しようとしていた堕天使じゃったな」

 

そう揶揄い気味に声をかけると男は顔を真っ赤にして怒り出す。

 

「黙れ!貴様のせいで、アザゼル様から見捨てられた!

 

その罪を償って貰うぞ!!」

 

「見捨てられたねぇ、それはただ単に誘拐なんかの真似をしたからだろ」

 

男の叫びに対しミカヅキは淡々と言い放つ。

 

「黙れっ黙れ!!!」

 

その言葉と共に、堕天使はその手に光の槍を手に持ち、襲い掛かる。

 

「はぁ、やるしかないか」

 

その言葉と共にミカヅキは周りに何か武器になる物がないか、見渡す。

 

それと共に見つけたのは、先程まで自分が食べていたたい焼き屋の看板だった。

 

ミカヅキはそれを拾い上げ、そのまま振り回して、襲いかかってくる堕天使の攻撃を受け止める。

 

「な、なんで!?」

 

堕天使は自分の攻撃が受け止められたことに対して驚愕の声を上げる。

 

ミカヅキの持つ看板は確かに普通の物だった。

 

しかし、ミカヅキは自身の魔力を看板に纏わせる事によって、光の槍を簡単に砕く程の力を宿す事ができる。

 

「ぶわはははっ!!たい焼き屋の看板で戦うとはのぉ!!」

 

「別に使えれば良いだろ」

 

横で笑うキスショットを余所に、ミカヅキはそのまま手に持ったたい焼き屋の看板を構える。

 

「あとでおっちゃんに謝らないとな」

 

それはたい焼き屋に対して申し訳ない気持ちと共に、そのまま堕天使に向かって、走り出す。

 

「はぁあああっ!!!」

 

堕天使は光り輝く槍を構え、ミカヅキを迎え撃つ。

 

「死ねっ!」

 

「断る」

 

そう言うと同時にミカヅキは持っていたたい焼き屋の看板を堕天使に向けて突き出した。ミカヅキの攻撃を堕天使は咄嵯に身を捩らせて避ける。

 

しかし、ミカヅキの攻撃はそれで終わる事はなく、次々と連続攻撃を仕掛けていく。

 

堕天使もそれに何とか対応し、ミカヅキの攻撃を防ぎ続ける。

 

だが、それも長くは続かなかった。

 

ミカヅキが持っているたい焼き屋の看板が徐々に壊れ始めたのだ。

 

最初は普通に使っていただけだったのだが、次第に攻撃に耐え切れなくなったのか、少しずつヒビが入り始めていた。

 

ミカヅキも自分の使っている道具の限界が近い事に気づき始める。

 

(そろそろ、限界だな)

 

そう思った瞬間、堕天使がミカヅキの隙を突き、彼の持つ看板を叩き落とした。

 

だが、ミカヅキは地面に落ちそうになっている看板を勢い良く蹴り上げる。その反動により、堕天使の顔面に直撃する。

 

「ぐはっ!」

 

堕天使は吹き飛ばされ、地面へと倒れ込む。

 

「ふむ、なかなか面白い戦い方じゃのぅ」

 

キスショットはミカヅキの戦いを見て感心していた。

 

「別に倒せれば、なんでも良いだろ」

 

そう言いながら、ミカヅキはそのまま走り出す。

 

「ひっひぃ!!」

 

迫り来るミカヅキに対して、堕天使は恐れと共に、手に持った槍を振るう。

 

しかし、ミカヅキは難なくそれをかわすと、そのまま堕天使の腹に拳を打ち込んだ。

 

「がはっ!」

 

ミカヅキの一撃を受け、堕天使はその場に崩れ落ちる。

 

「終わりだな」

 

ミカヅキが呟くと、堕天使に思いっきり殴る。

 

その衝撃は強く、天高くまでその体は飛んでいき、そして……

 

「あばよ」

 

ミカヅキが別れの言葉を告げると共に、堕天使の体は完全に消滅した。

 

「まぁ、こんなもんか」

 

そう呟きながら、ミカヅキは手に付いた血を払う。

 

「まったく、お前さんは本当に強いのう。

 

妾が出る必要もなかったではないか」

 

キスショットは呆れたように笑いながらも、ミカヅキの強さを認める。

 

「いや、そんな事はないさ。

 

相手が弱かっただけだ」

 

「そういう所じゃぞ、ミカヅキ」

 

「何がだよ?」

 

「なんでもないんじゃよ」

 

ミカヅキがキスショットに問いかけるが、彼女はそれ以上何も言わなかった。

 

だが、キスショットの口元は少し笑っているように見えた。

登場するヒロインは

  • ロイガン・ベルフェゴール
  • キスショット
  • 妖精騎士ガウェイン
  • アルトリア・ペンドラゴン
  • ブラダマンテ
  • ナイチンゲール
  • 長尾景虎
  • マシュ・キリエライト
  • ニキチッチ
  • 巴御前
  • 玉藻の前
  • ミラ
  • ウィズ
  • 2B
  • クレア・ヴィクトリアス
  • カリオストロ
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