※この作品はR-18です。

神技一刀´   作:TETUYA

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『神技一刀』 1章
序章:影雨


降り続く

 夜の雨、響く闇・・・

  忍ぶものあれ、悲しみを忘れず―――

 

 

 

 2000年・6月中旬―――

 

 本格的に梅雨に入り、暫くは雲ひとつ無い青空を見ていない。夜になっても降り続ける

雨は次第に強さを増して闇を深くする。

 晴れた日ならこの甚大駅のビルディング屋上より甚大市を一望出来る。夜景も東京と比

べればひっそりとした寂しさはあるが、それでも綺麗に映えるはずである。

 この屋上階で雨に打たれ続けるサラリーマン風の男が居る。夜の闇の虚空を見つめ、た

だじっとして動かない。

 雨は一層強さを増す。音が耳に鬱陶しく響き始めた頃になり、背後に何者かが佇んでい

るのを知った。

 男は顔を少しだけ下に向ける。背後に立つ人物を探りながら両目を僅かに細めた。

『―――ユウ。いつも思う事だが、もう少し普通の場所で会っても構わんぞ』

『・・・・「ユウ・クサナギ」―――IFAOでのオレのコードネーム、か』

 背後の影の人物は軽く笑った様子に思える。但し、馬鹿にした様子もなければ、ただ自

分を冷静に見極めている。

『シノビ・ギアの調子。良さそうだな』

『ああ』

 答える人物へと振り返り見る。忍者と言って間違いない姿をしている。夜の闇に紛れる

色の上衣と袴を着て、背中には刀を背負っている。

 その忍の地肌は分かり辛い。忍装束の下に着る黒の薄地のスーツを肉体に密着させてい

るからだ。また、口元と顔下半分を覆う同じく黒の薄地布で素顔すら分からない。

『ユウ。霧生一族の動向に関してだが、最近になって頻繁に目撃されている。我々「鏡閑」

としても警戒を強めるのは無論の事、油断は出来ぬと判断を下した』

『解った』

『それと連絡を怠るな。お前が―――二日前の今の時間帯、霧生一族と接触したのは既に

把握している』

『・・・・・』

『安心しろ。上(上層部)には報告していない。今は自分の胸の内に収めている』

『・・・・・』

 忍は黙り込む。夜と雨がカーテンとなって遮っている為に感情が解らない。ただじっと

見据えられる視線はずっと続けられている。

『ユウ。―――お前の兄は・・』

『霧生はオレが倒す。それだけだ。報告はその後だ・・』

 一瞬、鋭い視線を投げ掛けると、瞬間的に雨粒が弾け飛んだ―――直後には、既に忍の

姿は忽然とこの場から消え去っていた。

 サラリーマン風の男は、雨に打たれながら軽い溜息を吐くと、雲一色に染まる夜空を見

上げ、雨粒が落ちてくる様子を眺めた。

『各務征司・・・2年、行方を晦まし・・・今、お前は何処に居る。お前の弟・各務悠也

は今、こうして戦い続けているぞ―――』

 相変わらず降り続ける雨で甚大市の景色は見えない。より一層に深くなる夜の闇、そし

て、強さを増す雨の音が、今この場の静寂を満たしていた。

 男―――佐伯隆一郎は、暫く何も見えない雨景色を眺め、暫くするとこの場から立ち去

って行った。

 

 

 そして、時は二日前の今の時刻に遡る・・・

 

 

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