※この作品はR-18です。

神技一刀´   作:TETUYA

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四章・六話:須らく・・そして

 緑の気体に包まれるが―――

 

 相澤の仕掛けた「呪朽ち」の元となる薬物が、強烈な発光現象によって消え去る。本棚

の隙間から輝きが漏れて発する。天井からぶら下がる電球が弾ける。

 謎の発光現象もやがて消え、薄っすらと闇が近寄って来る。その中で悠也を抱き締める

壱哉が顔を起こす。

『悠也、大丈夫か?』

『・・・い、ち・・』

『喋るな。身体が毒にやられたな?――――俺に任せろ』

 朦朧とする意識の中で、悠也は忍装束を脱がされていくのを知る。何とか壱哉の行動を

阻みたかったが、それも自由が未だ利かない状態では出来ない。

 忍装束は脱がし易かった。腰帯を解き、上着を肌蹴させ、忍袴を下げる。

『全身タイツ・・って訳じゃない様だな・・』

 シノビ・ギア一枚に包まれる悠也を観察する。布地は触れれば薄く艶やかさをやや伴っ

て、悠也の肉体を強靭に映えさせる。

 壱哉は、今の悠也の肉体を見て、前々から思っていたが漠然と思っていた謎が解けた気

がしていた。この肉体は何処で鍛え上げられたのかという謎が。

『相澤を倒しに来たんだな・・・悠也。お前は、―――そういう事なんだろう?』

『・・・・く、っ・・ぅ』

 右腕の出血を壱哉に見られる。触れられれば悠也は身体を大きく震わせた。

『変な風に思うなよ・・・傷の手当と毒の治療だからな』

『・・・・い、ち・・』

 もはや抵抗はしない。壱哉が何をしようにも身を預ける決意をするしかなかった。そう

しなければ妹を救えないと、漠然とした恐怖が過ぎったのだ。

 シノビ・ギアがくまなく調べられる。ここまで調べられた事のない悠也であるが、相澤

による薬物効果の所為で上手く思考が働かない。

 

 ―――壱哉・・オレは・・・・・・

 

 壱哉の両手が背中を這う。背筋が擦られると、悠也は多少の身体の身動ぎを示した。

『ここだな?―――悠也』

『・・・・あ、ぁ・・』

 迷いながらも答える。壱哉は頷いて行動を次に移す。

 首の後ろに両手を添えてシノビ・ギアの内部に指を引っ掛ける。引き裂く強さで外側へ

と引っ張ると、シノビ・ギアは裂ける様にして分かれていった。

 悠也の地肌が見える。更にシノビ・ギアを分けて脱がしていく。腕を上手く動かして上

半身を裸にすると、後は力任せに下へと脱がし切った。

『水着か・・激しい動きで落ち着かないから穿いているのか?』

 黒地の競泳タイプの水着を穿いている。どうやら激しい動きに股間が動かない様にする

のが目的で穿いている様だ。かなり密着しているが、小さくとも薄地であり通気性は問題

無さそうに思える。

 悠也の右腕を見る。二の腕に傷口が見られ、そこから血の流れを手首まで作っている。

 壱哉はズボンからハンカチを取り出す。巻く前に、顔を傷口に近付けて毒を吸い出す。

『くっ・・ぁ、ぁ・・・ぁ・・』

 ビクッ―――と反応し、顔を天井に向けて弱々しい声を出す。頬が声に併せて火照って

いく。

 その時、天井の照明が再び点いた。しかし、前よりも弱々しく輝いており、薄明かり程

度に室内を照らす。

 壱哉の身体が濡れている。汗の所為と先程の緑の液体が所々に付着しての濡れ具合で、

一方の悠也は発汗作用が上手く働かない所為での汗の酷さだった。

『悠也・・身体が冷たいぞ』

 壱哉が悠也の左胸に触れる。掌と密着する肌がしっとりと濡れている。

 硬いと思われた筋肉は、触れば弾力があり、しかし、確かな筋肉の発達具合を感じ取る

事が出来る。指で押せばその部分の筋肉がやや沈む様に見える。

 顔を悠也の左胸に近付けて耳を肌に当て、心臓の鼓動を聴く。

『早いな・・・しっかりしろよ。お前らしくないぜ』

『いち・・や・・』

『大丈夫だ。俺に任せろと言ったはずだぜ。こういうのはこれでも“手馴れている”』

 顔を上げた壱哉が強い言葉を放つが、その言葉が理解出来ない。疑問が悠也の中で浮か

んで入るが、今の体調の悪さが思考に影を覆うって邪魔をしている。

 苦悶に浮かぶ顔の中に、その頬に灯る赤みを伴わせて壱哉を見る―――見つめる。

『少し痛むと思うが、我慢出来るよな?』

『あ、ぁ・・』

 弱々しく答えるが、「やってくれ」と悠也は意思表示で頷いた。前髪が乱れて垂れるの

を壱哉が指で掻き分けて直す。

『男にするのは・・・初めてなんだがな・・――――ゆき、すまん』

『・・・なに、を・・(する・・)―――つもり・・ッ!?――――ン、ン!?』

『・・・・っ・・』

 壱哉の言葉を考えている内に、突然に唇に柔らかい温もりが灯った。驚愕で身体を震わ

せる悠也は、両目を大きく開いて状況を把握した。

 壱哉の顔が間近にある。唇と唇が触れる所為での温もりの伝わりと理解する。

 壱哉が真剣な眼差しを悠也の瞳に間近で見つめてくる。

 唇が濡れる。驚き続ける悠也が口を開けた瞬間だった。また、驚愕を生み出す別の温も

りが生まれた。

 壱哉の舌が悠也の舌に絡み付き、唾液を交換し合う。

 真上から見下ろす壱哉の体勢であり、組み伏せられる今の悠也の状態だった。

 濃厚な口付けの交わし合いが続く中、悠也は息苦しさで身体を弾けさせた。そうする内

に気持ち良さが唇に伝い始める。

『あっ・・・ふ・・――――――』

『―――ン・・っ・・――――毒の効果を発散させるから・・まだ、イクなよ』

『くっ・・・ぅ』

 まるで女になる様な気分だった。壱哉がどう思っているのかは分からないが、悠也はそ

んな錯覚に陥っていた。それが相澤の「呪朽ち」の効果である事、また、壱哉によって毒

の浄化がされていく事を、今ははっきりと感じ取っていた。

 口付けを終えた壱哉は、ズボンのベルトを外すと素早くズボンを脱いでしまう。青と黒

の組み合わさった色のトランクス姿のみとなる。

 身体を密着させ、冷たい悠也の身体を体温で温める。

『ハァ・・ハァ・・・』

『悠也・・恥ずかしいから、そんな呼吸するな』

『・・・くっ・・ハァ、ハァ・・』

 壱哉の逞しい胸に息を吐き掛ける。まるで肌の若々しく艶のある様が吐息を弾く様だ。

くすぐったい感触を覚えた壱哉が悠也に言うが、悠也としては今の荒い呼吸を直せない。

 壱哉の表情は真剣に極まっている。悠也を見つめ、体液を再び交換し合う。

 長い口付けが続き、舌と舌が絡み合う音が奏でられる。

『ン・・ン。ぁ・・ぅ・・―――――ハァ、ハァ・・』

 身体が火照る。熱い・・・全てを忘れるかの様に身体全体が酔ってくる。これは壱哉の

所為なのかと、思考が目まぐるしく錯乱する。

 口付けを終えて、壱哉は悠也の首筋を舌で伝った。そして、そのまま舌で肌を伝いなが

ら次第に降りて、右腕へと移動していく。

『うっ・・あ!?―――いち、うやぁぁ!!――――!?』

『・・・・・』

 傷口に唇が当たる。その瞬間、悠也は痛みで弾けた。身体を小刻みに震わせ、身体が悪

寒を生じさせるが、それを壱哉の体温による温もりが覆う。

『くっ・・ぁ、ぁ・・・・ぁ・・――――――――――ハァ、ハァ・・うあ・・』

『・・・・ッ、っ・・』

『ああ、ああ・・・』

 脳髄に突き上げる様な快感が生まれる。それを象徴して水着越しに勃起状態が見られる。

それが壱哉の股間と重なって知られる。

 毒を直接吸い取られ、その際に刺激が悠也の身体に快感を齎していた。汗の発汗が正常

と思わせるほどに肌の上に珠を作る。

 薄明かりの照明の下、壱哉と悠也の汗は混じり合い淡い輝きを放った。

『ペッ・・―――――――』

『く、ぅ!?』

 壱哉が血を吐き捨てる。その後、悠也は身体が比較的楽になっていた事をかなり遅れて

知った。

 壱哉がハンカチを使って傷口を覆い止血する。その手際の良さを理解出来るほど悠也の

思考は回復していた。

 暫く壱哉の温もりを受け取り続け、その行為に感謝するまでに至った・・・

 

 

 壱哉が立ち上がる―――

 

 今は悠也に背中を向けてズボンを穿いている。

 水着姿の悠也は、近くに置かれてあるシノビ・ギアと忍装束を取る。

『壱哉・・―――――お前・・一体・・』

 壱哉がズボンを穿き終え、ベルトをしっかりと締めるのを悠也は観察する視線で見据え

ている。

 相澤は霧生一族の薬士の家系で、毒だけでなく解毒にも精通している。毒を負わされた

となると解毒剤によらなければ回復は無理なはずである。そして、相澤家秘伝の毒と解毒

ともなれば、今の状況に置かれた悠也が手に入れるには不可能である。

 しかし、壱哉は解毒剤無しで、しかも短時間で回復させてしまったのだ。悠也は、今更

蘇ってくる戸惑いに動揺を深めた。

『悠也・・・聴くな。俺にだって喋りたくない事はあるんだぜ――――喋れば、お前に迷

惑を掛けるし、妹にも危害が及ぶって事を理解しろよ』

『・・・壱哉・・お前・・――――』

『それに・・・俺の事を話せば、きっと・・――――“あいつ”の事を思い出す・・それ

だけは・・―――――――したくない』

 今の壱哉は、悠也に背を向けて感情を判り辛くさせるが、確かに表情は苦しみに歪んで

いた。

 壱哉の肩が若干の震えを見せる。そんな壱哉を見て、悠也は本棚を支えに立ち上がり、

『――解った』

『・・・・悪いな、悠也』

『・・・構わない。オレはお前を信じる』

 悠也の強い言葉を受けて壱哉は振り返る。そして、力強い笑みを僅かに見せる悠也に、

普段の悠也らしさを感じ取り、それを不敵な笑みで返した。

『壱哉・・―――――』

 そっと悠也が壱哉に手を差し伸べる。その手を壱哉は迷い無く手で握り返す。

『俺達、心友だよな?』

『ああ。この恩、必ず報う―――オレに約束させてくれ』

『・・・悠也。今のお前は律儀だぜ』

 二人して同じ様な笑いを見せる。そして、握り締め合う手と手の握力を強めた。

『各務を――――妹を助けるんだろう?・・悠也』

『ああ。当たり前だ』

『だったら行こうぜ。こんな埃臭い場所、さっさとおさらばだ』

『ああ・・』

 頷き合う悠也と壱哉は、それぞれ天井を睨み据えた。

 

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