更衣室内に響く―――
『くっ、ッぁ!!てめ、ぇ・・くっぅ』
『やったぞ。ついにやったぞぉ・・・お前をこうやって・・な!』
『くっ、ァ!!』
大道寺が悠也の腕を締め上げる。
ロッカーに押さえ付けられ、腕を後ろに無理矢理に引っ張られる悠也。今の態勢では逃
げるのは困難を極める。
シャワーを浴びてすぐの事である。肌に水滴が弾いて流れ落ちる。また、僅かな上気は
温水を浴びた所為だろう事は一目瞭然だった。
身体を動かす度にロッカーが今にも壊れそうな音を激しく出す。それでも外には漏れな
いのは、土砂降りの雨が降っている所為だろう。
全てが悠也に不利だった。忍の力と能力を封じられている今ではなす術が無い。それに
大道寺の力は悠也を超えている。
『お前でも驚くのか?―――ははぁん』
『くっ・・・気色わりぃ・・ってンだよ。離せ、離せってンだ!!!』
何とか顔を横に向けて大道寺を見る。見た瞬間に正気を失ったその表情に驚く。
押さえ付けられ、何とか逃れ様として足掻くが、大道寺の力が強過ぎる。到底、抜け出
せそうも無い。
『この身体に、水着を着せる事にどれほど苦労したか・・・お前に解るか?』
『わ、解るかよ!!―――変態野郎ッ!!くっ――くっ!!――ちくしょ!!』
大道寺が悠也の背中をじっくりと観察する。
何とか拘束から逃れ様と足掻く動きから筋肉が激しく歪む。それこそ見事な筋肉が垣間
見える瞬間でもあった。
大道寺は知らない。悠也のこの身体が忍という過酷な修行を経て得たものであると。そ
して、天性の素質を持った肉体だという事が。
麗しいほどの引き締まりであるが、筋肉が有り過ぎる所謂ボディービルダーの身体では
ない。そう言う意味では大道寺の方が近いと言える。
鋭く引き締まった筋肉は、若々しい躍動感に満ちて均整が取れている。強靭とはまさに
悠也の筋肉を指すと言っても過言ではない。
腕と胴体を結合する平らな三角形を形成する部分へと顔を近付けて舌で舐める。
『れろぉ~~。れろぉ』
『おまぇ!?―――な、何してンだ!!!』
『れろぉ~~。れろぉ~~くくくっ』
ビクッと震える悠也は、怯えると言うよりも驚きに近い震えを見せていた。
大道寺の舌が悠也の肌を撫で付ける。唾液が肌に染み付く様で、それだけで悠也は鳥肌
を立たせた。
『止めろってンだ!!―――教師だろ!!!てめぇ!!!』
『れろぉ~~、れろぉ』
グッ!!
『ッッ!?―――くア』
競泳水着の薄透明部分を握り締めて強く上げる。お尻の片肉が水着から露出する。しか
も、引き上げられた水着の布地のきつさで痛みが広がる。
『各務ぃ・・・俺はお前を屈服させるつもりだ。覚悟しろ・・・ここも、そして、その前
で縮こまってるだろうモノも・・全部纏めて俺のモノにしてやるから覚悟しろよ。それに
な・・抵抗は出来ない様に激しくしてやるから感謝もしろ』
自信満々の声は嘲笑を含んで悠也の耳に入り込む。お尻を競泳水着越しに撫ぜられて、
不快感が下半身に染み付く。
広がっていく後悔感。完全な油断だった。まさか大道寺がこんな手で襲って来るなど考
えもしなかったのだ。しかし、そう思って反省した所で状況が改善される訳ではない。時
間が経てば経つほど悠也の置かれた状況は悪くなっていくのだ。
今更思うが、プールで張り切り過ぎた。泳ぎ過ぎた所為での筋肉疲労が酷い。その所為
で上手い具合に力が発揮出来ない。
全ては大道寺の計算によって仕組まれたかと思うと、悠也は歯軋りをするほどに猛る。
『くくっく・・お楽しみは・・・これからだ』
悠也の身体を見ながら嘲笑する大道寺が、片手で隣のロッカーの扉を開く。
更衣室のロッカーは、悠也の身長ほどの高さが設けられており、制服をハンガーで掛け
る事で皺を作らない様に設計されている。幅は悠也の身体より少しだけ狭い程である。
『悠也・・!―――居るのか?』
『い、壱哉っ!?―――――ッ、なッ・・うわぁ!!?』
更衣室の出入り口付近より霧島壱哉の声が聞こえた瞬間だった。大道寺は力任せに悠也
の身体を隣のロッカーへと、なんと押し込めてしまう。
『痛ッ、て、め・・ぇ・・・くア!?』
身体がロッカーの幅ぎりぎりで押し込められる。身体が不自然に歪み、その状態を見て
大道寺はほくそ笑む。
『良い様だな・・・少しだけそうしていろ。邪魔者にばれては困るからな』
『なっ、に・・・!?―――くっ。いち・・・ッ!?―――ふぐっ!?』
大道寺が自分の競泳水着を素早く脱ぐ。その水着を使って悠也の口を塞いだ。
水着を押し込まれ、塩素の匂いをきつく嗅ぎながら、悠也は息苦しさを感じて首を振ろ
うとするが、狭いロッカー内では首すら触れない有様だった。
『じゃあな』
『ふっぐっ!!―――んン!!!!』
ロッカーの扉が思いっきり音を立てて閉められた。真っ暗闇の中、外では会話が聞こえ
てくる。
―――壱哉!!!――――壱哉ァ!!
『先生だったのか・・悠也は・・?―――居ますか?』
『・・・いや、もう居ない。帰ったぞ』
『・・・そう、ですか・・・・それよりもここは生徒用の更衣室だぜ?』
『ああ。教員用が少し修繕の余地があってな。7月が始まるまでには直す予定で、今は使
えなくなっている所為だ』
『そうですか・・・お邪魔しました』
―――いち、や・・
壱哉の声が聞こえなくなる。どうやら出ていってしまった様だ。
窮屈な場所に押し込められて身体が動かせず、水着を口の中に突っ込まれた状態では壱
哉に自分の状況を気付かせる事も出来ない。
壱哉が去り、悠也は悲嘆に暮れようとしていた。すると、急に明るくなる。
『よお・・・くくっく・・』
『ふぐっ・・ふっ!――ふっ!!』
『そう鼻息荒くするな。ほらっ・・』
大道寺がからかう様な手付きで、悠也の口から水着を引き抜く。
急に息を大きく吸い込んで咽る悠也は、その所為での涙目になって大道寺を強く睨み付
けた。
『馬鹿だよ。お前は・・』
『・・!?―――て、てめぇ・・』
ロッカー内に押し込められ、身動きの取れない悠也。その悠也の状況を大道寺は大いに
利用する。
悠也へとゆっくりと手を伸ばす。掌を開いたり閉じたりするのは、悠也へ不快感を与え
ようとする証拠に間違いなかった。
大道寺の手が向かう場所を、悠也は辛うじて動かせた顔で下半身を見る。
『やめろ・・触ンな・・やめろってンだ!』
叫びながら顔全体を強張らせる悠也は、大道寺にとって最高の気分だった。掌を大きく
開いて、盛り上がった水着越しに触れる寸前でわざと静止する。
悠也が腰を引こうと努力している様だが、ロッカー内ではそれも叶わない。それでも懸
命に腰を動かそうとしていた。
ガタガタとロッカーが音を立てる中、震えるのは身体ではなく、水着越しに盛り上がる
部分だった。
触れる寸前で、まさに紙一重の位置で掌をわざとらしく開いて閉じようとする動きは、
まさに揉む動きに相違ない。それが空気の振動で伝わってくる気がして、まさに揉まれる
気分に晒される悠也だった。
『お前のモッコリは、高校生(ガキ)にしては大きい部類だろう。それに綺麗なモッコリ
には間違いないな。はっはっは!!』
『くっ・・大道寺ぃぃ~~~』
『悔しいかぁ?―――そうだろうぉ。そうだろうぉ』
両肩が縮こまって見える今の悠也の姿を観察する。片手は水着に触れるまさに寸前で静
止する状態で。
『この身体の何処が感じるのか。ゆっくりと刺激を与えて暴いてやる。・・・乳首か?腋
の下か?―――首筋か?―――くっくく。勿論、水着を脱がしてあそこを扱くことも忘れ
んから、安心して、射精(だ)せよ』
『ナッ!?―――ふざけんじゃ!!!ねぇってンだ!!!!!さっさと出せよ。出せって
ンだ!!!!』
『ほぅ。校内でも校外でも不良として名が通っているお前でも、・・・怖いのか?―――
声が上擦っているぞ』
『くっ』
『今更、口を噤んでも遅いがな』
悠也の行動が大道寺に暴かれていく。それを大道寺は冷静に見つめて指摘する。すると
悠也は更なる不快感と共に自身でも信じられないくらいの恐怖を見せてしまっていた。
『身体に訊いてやる―――お前の全部を訊き出してやる・・・精通がいつなのか、ここを
揉めば俺には一目瞭然だからな』
『・・・・・・くっ』
水着越しの盛り上がりに触れようとする大道寺の手の勇ましさに対し、悠也のは極度に
怯えている様子を見せていた。
軽く震えた後、大道寺の手は水着の質感を知り得た。
『ほほぅ』
『くあ・・やめろ。触ン・・くァ。――――くっ』
身動きの取れない悠也を弄ぶ。自分が設計した水着をこうして悠也に穿かせ、そして、
弄ぶ事を何度も妄想し夢見ていた。それが叶った瞬間が今だった。
『柔らかい。まだ女を知らない肉だ・・・ほほぅ』
『くあ。やめろ!!―――止めろってンだ!!!』
『―――「止めろ」と口では何とでも言える・・が、身体はどうかな?』
ぐりぃぃ!!!!
『ぐっ!?――――痛・・ぐあ、ぐああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
なす術無く弄ばれ、それは屈辱が篭もる悲鳴だった。木霊し、虚しく更衣室内をさ迷っ
た後、静寂の中に消え去った。
―――お前がどんなに威勢を張ろうとも、身体は正直だぞ・・・各務・・
『ほらっ・・・こうしてやろうか?―――ン?』
『く、くぅ!?―――くはっ・・!!』
『ほほぅ、ほほぅ・・・』
―――やめろ・・・・・・・・・・
言い様も無い屈辱感が心臓の鼓動と重なった。込み上げてくる悔しさに下唇を噛む。
大道寺は容赦無く、悠也を弄んでいった。そして、まだまだ続くと言わんばかりに、顔
に不気味な満面の笑みを湛えていた。