ここは闇の棲家と化した場所―――
『くあ・・ッ』
『ゆう、すけ・・・様』
『嫌だよっ・・こんな・・・ボクっ・・くっふン・・』
壁に磔の姿を晒す三人が呻き声を上げる。三人の名は、相葉悠輔、牙嶋涼真、牙邑飛鳥
である。
如月京史郎に単独に挑んだ涼真であるが、その彼の想像を絶する力を前に捕縛され、そ
して、それを助けに来た悠輔が涼真を人質にした如月に屈し、更には飛鳥が捕まるという
まさに芋づる式に罠に掛かったと言える状況である。
闇の中、天井の照明に明かりが灯る。その明かりより如月の嘲笑は響き渡る。
「もはや我が身なし、なればこそ―――こうしてこの上ない悦びを得る機会になった」
三人は捕縛された後、ここ雪白教育共同施設内の一部屋に監禁された。この部屋は、セ
ンター長の執務室である。一階の中央部に位置している。
衣服を剥かれた三人は、全裸の身を晒している。悠輔は西側に、涼真と飛鳥は東側の壁
に拘束を受ける位置にある。
「三人とも性器を晒し出して・・・いい気味だ。くく・・」
『如月・・・何故だ。何故・・』
上半身を捻り両腕に力を籠めるが、黄色い輝きを放つ光が四肢を強く拘束している所為
で、光を壁より引き離す事も出来ない。
裸にされた三人の内、涼真と飛鳥は無残な性器の姿を―――勃起という状態を晒してい
るが、涼真の亀頭は完全には剥けておらず中途半端に頂点が顔を出す状態であり、飛鳥に
至っては完全に亀頭が隠れている状態である。
『悠輔様。無駄です。もはや奴は・・・言葉は通じません・・・くっ・・』
『痛いよ・・涼真ぁ・・』
ボタボタと放出し続ける涼真の白濁液が落ちる。それが床に於いてあるビーカーに溜ま
っていく。
恐怖心を露に声を出す飛鳥は、ただ痛みを感じるだけで、透明な液体を包皮で隠れた亀
頭より滲み出させるだけだ。
雨音に似た音が何度も続く中、二人の性器は如月が生み出した電気によって刺激を受け
て精気が奪われていく。
電気が微弱な刺激を与える状態―――成す術無く防ぎ様も無い快感がその身に襲ってき
ては、獣牙三忍衆に名を連ねる二人であっても射精は免れなかった。
28歳という成熟した年齢を迎えた涼真の肉棒は、黒々しいが肉棒は細い。また、少年
期を抜けていない飛鳥は、可愛らしい肉棒を見せている。
飛鳥は射精の経験がまだ無かった。包皮で隠れた亀頭がその証でもあるが、快感は着実
に襲い掛かってきていた。可愛らしくも勃起する様がプルプルと揺れている。
一方の涼真の射精量は、ねっとりとした濃さがあるが量的には少ない。
「お二人の量ではボクを“満足”させられないね・・・獣牙三忍衆とは似ても似つかない
が・・・・だが、もう一人を加えれば十分だろうけど?」
『くあ!?』
『やあああ!!!―――やだぁぁ!!!もうやめてよぉ!!』
如月の言葉を受けた電気が肉棒にしがみ付いて刺激を更に加える。快感を通り越した刺
激が腰を貫く。
『やめろ!!!――――如月、・・二人に手を出すな』
身に悶えながらも拘束されている所為で逃げることが叶わない絶望の二人に、庇う声を
上げる悠輔。
悠輔はまだ射精は強制されていないが、足元の床には二人と同じくビーカーが置かれて
ある所からして、同じ運命を歩む事は明白だった。
悠輔の言葉も虚しく、二人の悲鳴によって掻き消される。そして、永遠と続くかと思わ
れた二種類の悲鳴は忽然と消える。
「おやおや・・気絶しましたか・・・・ですが、それでもボクは容赦しません。大人も子
供もありません―――精気は戴き続けますから」
気絶した涼真と飛鳥に群がる黄色い蛍火。その輝きが精気を射精という形で現実化させ
て奪い続けていた。
虚しく揺れる二種類の肉棒を目の当たりにするしかない悠輔は、絶望感が表情に忍び寄
っていた。顔が、特に頬が赤く染まり、両目は大きく見開いて驚きを露にしている。
『・・・・・(あの白いのは・・・涼真から出るのは・・なんだ・・・)』
「精気」という言葉が何度も如月から繰り返されるのを、悠輔は生命力の根源と思って
いた。しかし、涼真と飛鳥の、特に涼真の肉棒より出てくる白濁液は、悠輔が思っていた
意味合いを完全に失わせていた。
悠輔は、実は射精した経験が無い。それだけに二人に襲い掛かっている現実が理解出来
ない。
悠輔の肉棒は、まだ勃起していない。刺激は今のところ加えられてはいない所為もある
が、力の無い状態の様は、飛鳥のものより大きく涼真のものよりは太い。
「さすがは当主の遺児―――立派なモノをお持ちだ。くくっ」
身体を揺らす度に肉棒が左右に揺れる。その揺れを如月は楽しんでいるといった様子の
声を出していた。
悠輔は、己の性器が観察されている事への恥ずかしさを今更の様に感じていた。それ故
に感じる恐怖を止められない。
恐怖―――自分も涼真のように無残に射精(だ)すしかないのか・・・それが心に満ち
溢れた時、如月は嘲笑混じりに実行に移す。
「戴きましょう。相葉悠輔様よ・・・若い男の性を放出して貰いましょう」
『・・・・・やめろ・・』
ぞくっ・・
性器に忍び寄る電気の存在に悪寒を感じた。全身が急に震えて鳥肌が立つ。腰を引こう
とするが背後の壁が動きの邪魔をする。
「ボクは欲しい・・・身体を再生する為の精気が―――再び、この世に出たいと肉欲が叫
ぶのです・・・ボクの心の中でね」
『くっ・・・くあ・・な、何だ!?』
刺激の正体が不明であるだけに、恐怖感は一層増してくる。ちょこんと露出していた亀
頭部分に蛍火が着地する。その窪み辺りを動き回ってくる。
「獣牙三忍衆の精気は・・・まだ一人足りないが、残りの一人も必ず貰い受ける。更には
神技継承者の一人である貴方様のも貰う・・・傀儡(くぐつ)として当主に担ぎ出された
貴方様の事は聞き及んでいますよ」
『・・な、何の事だ・・・(俺が操り人形・・?)』
初めての刺激を受け流せない状態のまま肉体に強みを籠めた。きりりと引き締まり、無
駄が無い肉体に汗が流れ落ちる。薄く腋の下に生えるものが濡れていく。
「霧生の里の現在の長である“御前”の餌だと噂されていました事、知らない様で?」
『・・・・・俺が・・』
「神技継承者を食する為に、男となるべき象徴たる射精を封じられていたこと、ボクは知
っている。貴方様は修行に明け暮れていた所為で考える余裕が無い・・・それも知ってい
ます。兄への憎しみを増幅させられていた事も知らずにね」
『・・・・・』
幾つもの衝撃が身体を駆け抜けていく気分だった。血が滾るほどに熱いのは如月の言葉
に動揺した所為だろうか、それとも怒りの所為なのか・・・どちらとも付かない感情が悠
輔の身体の中を錯綜する。
「今は遠い遥かな地・霧生の里の御前の影響力はここには無い。ならば封じられていた射
精も行えるはず。相葉悠輔様・・・神技継承者として精通を僕が迎えさせて差し上げまし
ょうか?」
声が部屋内に響き渡る。如月の嘲笑が悠輔の身体に刺激となって加えられていった。
「お尻も可愛がりましょう。憎む兄の前で射精させるのも―――精通を迎えるのもそれも
また面白いとは思いませんか?―――ねぇ、相葉悠輔(木偶(でく)人形)様?」
蛍火が無数に肉棒に群がって、包皮全体が黄色く輝きを放つ様に見せる。それに伴って
肉棒が小刻みに勝手に揺れだしていた。
悠輔は、あまりの刺激を前に両目を瞑るが、その瞑った目もすぐに開いてしまう。それ
ほどに襲ってくる刺激は強かった。
気持良いと言う名の下にある刺激は悠輔に容赦ない。身に悶えるしかないと身体が訴え
てそれを実行してくる。顔は左右に上下に振り続け、髪の毛の先より汗粒を飛ばした。
ビクン、ビクン・・・と、全身の皮膚に襲い掛かってくる快感が絶えず新しく生み出さ
れる。その中で悠輔の肉棒は徐々に強みを持ち始めていた。
『くっ・・』
「兄への憎しみを植え付けられた貴方様でありましょうが、ボクには分かります。兄へ渇
望して止まない感情があることを」
『・・か、感情・・―――くぅ』
肉棒が強まってくると同時に、亀頭を包む包皮が捲れていく。淡い輝きを灯す桃色の様
を如月の前に晒していく。
朝、勃起することはよくある。最近では毎朝である。着用している褌が濡れている事も
多く、それに悩みを抱いていた自分を今まさに思い出す。
誰かに相談出来る事ではなかった。この年齢になって失禁とは・・・仲間である獣牙三
忍衆にも言えなかったが、そのことに悩む度に、兄の姿が過ぎってしまうのである。
憎しみはあるが、どうしても拭い去れない感情があるのは事実なのだ。それは悠輔自身
が認めたくないと思えば思うほど、兄への感情は強まって意識せざるを得なくなる。
「ボクにも妹が“居ました”―――その妹に対して思うことは愛に近いものだったのかも
しれないと、今では思います。兄妹としての絆・・・思い遣る心・・・守りたいと思う気
持ちと、自分を慕って欲しいと願う。それは兄弟であっても同じ事・・違いますか?」
『・・・俺が・・・兄貴を・・・慕う・・・?―――――――(馬鹿な・・)』
否定しながらも疑問符が心の中に現れて、真実の気持を問い質してくる。その問いに悠
輔は答えられないばかりか、動揺という形で表に出してしまっていた。
「貴方様は求めているのです。兄の優しさを自分に向けたいと・・・自分だけを見て欲し
いと・・・相談したい事が山ほどある。それを分かってくれるのは兄だけだと・・・」
『兄貴・・・・・・を・・・俺が・・・・・(俺が兄貴を・・求めている・・・・・)』
動揺が全身を小刻みに震わせていく。それが精通を封じていた不確かな楔を消し去る。
完全には包皮が剥けていない亀頭を出し、ついに勃起する状態を如月の前に曝け出して
しまった。
徐々に強みが籠められて扱かれていく肉棒に、感度は究極的に集まっていく。もはや止
められない快感が濁流となって一ヶ所へと押し寄せてくる。
『くっ・・・―――――――』
「達してください―――精通するのです。相葉悠輔様。性への欲求を解き放った時こそ、
貴方様が“花嫁”を迎える準備が整う時でもある・・・・くくく・・・」
悠輔の身体が大きく揺れだしていた。そして、脳裏に描く兄の姿が鮮明に浮かび上がっ
た瞬間、悠輔は・・・
『う、うあああ!!!!!!!!!!!』
どぷ・・・ドピュ、どぴゅっ!!
激しいほどの勢いで精通が行われた。白濁液が空中に飛び散る。大量の放出が行われて
も尚、勃起した肉棒は勢いを失わず、如月により第二の射精が行われていった。
ビーカーに溜まっていく悠輔の“精気”―――足先を伝って零れ落ちていた。
第二の射精が終わりを告げると、如月は更なる刺激を悠輔へと与えていた。第三の射精
をさせようと電気の蛍火の動きを活性化させた。
悠輔の身体が虚しく前後して動く―――
『う・・う・・―――――――――あに、き・・・・・・う・・っ、う・・』
止め処なく流れ落ちていく精液を、疲労した眼で見続ける悠輔が、か細く声を出す。本
当の自分に気付いた時、孤独である自分を強く切なく感じていた。
声にならない口の動きが、何度も告げている・・・「兄貴」と。
部屋内に立ち込める男の匂いと、ビーカーに溜まる三種の精気が天井の照明へと舞い上
げられていく。そして、照明の電気が弾けて火花が散ると、点いていた明かりが一瞬にし
て消え去った。
淡い無数の蛍火が空気中を彷徨っている。更なる精気を三人より吸い上げる為に動きを
活発化していった。
それから暫くして、精気を吸い続けられる状態の三人がようやく拘束から解放されて、
三人同時に床に崩れ落ちる。
「さて・・・先ずは獣牙三忍衆のお尻でも堪能しますか・・・」
無数の蛍火が二ヶ所に集まっていく。床にお尻を突き出して倒れている涼真と飛鳥の元
へと輝きが近付いていく。
『にげろ・・涼真・・・・・・・・飛鳥・・・・・・・如月、やめ・・・ろ・・・』
涼真と飛鳥が如月の形を取る二つの蛍火によって犯されていく。それを見続けるしかな
い悠輔は、屈辱感を露に動けないこの身体を呪った。
暫くして涼真と飛鳥の喘ぎ声が響き渡る事になる。それを聴き続ける事しか今の悠輔に
は出来ない。
ただ絶望感が忍び寄ってくる現実を前にして、自分の未熟さを身に沁みて理解していた。