※この作品はR-18です。

神技一刀´   作:TETUYA

69 / 70
十二章・九話:唇という名の媚薬

 薄暗い室内で―――

 

 三つのお尻が並んでいる。左から順に腰が高くなっているのは、飛鳥、悠輔、涼真の順

に並んでいるからである。

 三人は四つん這いの状態で拘束されている。両足を開き、ぶら下がる股間に光る蛍火が

無数に群がって精気を吸収している。

「悠輔殿は綺麗な“穴”をしている。兄上もこうであって欲しいものだね」

『・・・・・・』

『・・・・・』

『・・・・』

 三人とも既に意識まで如月に奪われた状態にあり、全身をくまなく調べられている最中

だった。

 性感帯を悉く弄られ、繰り返される射精を無意識に放出している。止め処なく流れ出る

精液であるが、一番放出量が多いのが悠輔だった。

「射精を禁じられ、その禁が破られた今・・・もう終わりだ・・」

『・・・・・・・・・・・・・・・・あに、・・・・・・き・・』

 呆然と見せる瞳が真正面の闇を見据えている。その見据えたまま口を弱々しく開いて告

げる言葉に想いが乗る。

 思考が奪われているはずであるが、心の何処かでは“悠輔”が存在し、悲鳴を孤独に上

げていた。

 そして、三人は同時にお尻の穴を拡張されていく・・・

 

 

 

 一時間前―――

 

 黒板と無数の机が並ぶ部屋―――教室に連れ込まれた悠也は、操られる絆と勇真に対し

て策を講じられずにいた。

 絆を振り払って逃げる事も出来るが、それでは絆を傷付けてしまう。また、例え逃げた

としても、絆はどうなる?―――如月に支配された状態では人質に取られているといって

も過言ではないのだ。それでは「守る」と誓いを立てた己の心に反する事になる。

『オレの責任だ。お前を守る事に専念しすぎた・・・それが、如月の術中に嵌ってしまっ

た要因だ・・――――――絆。すまない・・』

 絆に謝る。その言葉が絆に届いたのかは解らない。今の絆は機械的な表情で悠也の身体

にしがみ付いている。

 そして、勇真が机を四方に寄せて片付け始める。

 勇真が戻って来ると、悠也を強引に立たせた。

 多少なりとぎこちない二人の動きからして、空気中に漂う微粒子の電気によって身体が

支配されていると理解出来る。また、如月は呪力で思考すら支配していた。

『――――「思兼」に似ている・・そんな力を如月という男が・・・』

 在り得ないと思いたいが、現実に如月に支配される絆と勇真を見れば、現実感がガラリ

と変わってくる気がした。

 悠也は勇真によって強引に教室中央へと座らされる。背後より勇真の手が伸びてくると、

やはりぎこちない手付きで忍袴を締める帯を解き始めた。

『絆・・・』

 目の前に絆が立っている。無表情な眼差しを向けてくる中で頬が上気して赤くなってい

る。ゆらりと身体が揺れる姿が、無性に色っぽく感じられてくる。

 絆の手が伸びる。悠也の口元を隠すマスクへと指が入れる。

『やめろ・・・』

 マスク内の口元が震える。それがマスクの布地を通して絆の瞳に映り込むと、絆は悠也

の言葉に反してマスクを徐々に下げていった。

 悠也の素顔が暴かれる。絆に見られるという感触は悠也には恐怖だった。自分の正体を

知られるという―――その先に起こる未来を想像してしまうだけに。

 公園で素顔を見せたとはいえ、何度も見せる訳にはいかない。自分が「各務悠也」であ

るとは絆には絶対に気付かせる訳にはいかなかった。

 勇真が、首筋のシノビギアに触れる。首筋までがシノビギアの着用範囲であり、その端

に指を入れて軽く動かす。

 

ジジッ・・

 

 黒板上に設置されているスピーカーより雑音が漏れる。それが定期的に聞こえていると

なると、放送室に誰かが居るのだろうか・・・

 悠也の思考は如月の居場所を探る方へと向かうが、それもすぐに目の前の現実に引き戻

される。

 帯が解かれ、抜き取られると、悠也は強引に立たされた。そして、忍袴が脱ぎ取られて

シノビギアのみの姿となる。

 教室の窓より月光が入り込む。照らす淡き光が悠也の黒一色の身体を彩った。

 肉体が月光に映える。鋭く引き締まった筋肉が月光に晒されている。また、シノビギア

の艶やかな質感が筋肉の映え具合を増す結果を生み出していた。

 如月に操られる勇真が、シノビギアを調査している。念入りに手探りでスーツ表面を弄

り触り始める。

 背中を擦られ、脇腹を擽られるほどに触られると、今度はお尻へと至った。

『くっ・・』

 小振りに見えるお尻は、紛れも無く引き締まった逞しさを得ている証拠である。その双

丘の頂点となる場所を掌で撫ぜられ、そして、鷲掴みされるという屈辱を受けた。

 勇真の手の感触により、悠也はお尻に力を籠め、屈辱感により更に力を篭もらせる。

 絆が忍袴を遠くに放る。四方に寄せられた机の上に忍袴が乗る。

 再び座らされた悠也は、再び絆を真正面より見つめる事となった。

『絆・・・』

 悠也の頬に触れる絆の手は、やや冷たく感じる。それは絆の手が冷たいからなのか、そ

れとも悠也の頬が上気して熱い所為なのか。それは悠也自身には分からなかった。

 絆がゆっくりと顔を近付けてくる。

 繊細な唇の甘く湿る様子が、悠也の瞳にははっきりと映り、顔を逸らそうとするが、そ

の行動は背後にいた勇真により止められてしまう。

『き、ず・・・・―――――――――――――ン・・んん・・』

 悠也は大きく目を見開いた。絆の顔を至近で見る。

 緊張感が心臓の鼓動を速めさせる。唇の感触が「柔らかい」「温かい」と認識し、それ

が心の中に密かに温められてきた“何か”を刺激する。

 唇という名の若く温かい媚薬に対し、悠也の思考は次第に薄れて行く。そこから如月と

いう名の電気粒子が入り込む事に気付かずに。

 油断していたと気付く事は無かった。勇真が遂にシノビギアの脱ぎ目を見つけた事にす

ら気付かなかった。

 今となっては、如月の支配を受けるという現実がある。浸食されていく身体よりも絆の

甘く温かい唇を吸う事が今の悠也の最優先事項の様だった。

 

 ―――きずな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『ん・・』

 

 ―――オレは・・・・・・・お前を・・

 

『・・・・んん・・んはぁ・・んん・・―――――んんっ』

 

 ―――お前を・・

 

 勇真がシノビギアを脱がしていく。その音を誤魔化す絆は、わざと舌を悠也の舌と絡ま

せて悠也の意識を集中させると共に、更には唾液を伴わせる音を奏でさせた。

 絆の唇が離れると、身体の自由を奪われた悠也はうつ伏せに寝かされ、更にシノビギア

が剥ぎ取られていった。

 今は既に足首にまでずり下がっているシノビギアを完全に抜き取られる。そして、その

シノビギアの下に着用していた水着を剥ぎ取った。

 勇真が勇ましくシノビギアを放る。空中を舞い、机の一つに舞い降りる。

 悠也の思考は遂に奪われた。両目は疲労感を得た様に呆然とした様を見せ続ける。

 そして、薄暗い教室内、悠也は自ら立ち上がった。扉の方へと向くと勇真を伴って廊下

に出て行った。

 絆は教室内で倒れている。その絆を残して、悠也と勇真はゆっくりとした緊張感の無い

足取りで如月が待つ部屋と向かって行った。

『う・・・ぅ・・』

 教室中央で倒れている絆の傍に、悠也が肌身は名指すに身に付けていた「鈴」が落ちて

いる。

 如月の支配よりようやく解放された絆は、少しずつ意識を取り戻す中で鈴に触れ、そし

て、握り締めていた。

『・・・・・・・・・・・・・・・・・うぅ・・・ぅ・・』

 絆は、混濁する意識の中で、何処かで聞き覚えのある様な鈴の音が鳴っているのを懐か

しく聞いていた。

 

 

 

 東側の塀の内側にて―――

 

 一人の男子学生―――頭部に鉢巻を巻き、甚大高校の制服を着た姿の漢が、敷地内の茂

みの中で立っている。

 この地形及び気象の研究を目的とした雪白共同教育研究施設には似合わない姿である。

 月夜の晩、彼は縦長の紙切れを塀に貼り付ける。貼り付けられた紙切れには紋様と文字

が描かれている。見るべきものが見ればそれが「御鏡護符」である事が判るだろう。

 敷地内の中央に位置する施設建物に彼は視線を投げ掛ける。冷たい眼差しを向ける彼の

瞳にはある感情が宿り、それが彼の瞳を冷たくさせていると言える。

『各務悠也・・・・お前は――――俺の・・』

 言い出し、茂みを抜けて建物へ向かって歩き始めた。

 

 ―――倒すべき、敵だ・・

 

 彼の背後より風が吹き抜けていく。

 風により鉢巻の端が、彼の歩む先を示すかの様に流れ揺れていた。

 

 

 

 門前―――

 

 位置的には南側に位置するこの場所に、黒く闇に塗れた姿の漢が立つ。

 漢が門に貼り付けてある護符を目にする。暫く眺めると、その護符へと手を伸ばす。

 護符に指先が触れた瞬間、護符自ら輝きを放ち、火花を散らして漢を寄せ付けようとし

なかった。

 漢が手を戻すと、護符も輝きを放つのを止める。

『御鏡が動いたか・・』

 言葉だけが風に舞う。既に声を発した漢の姿は消え失せていた。

 

 漢が消えた後―――

 

 門前にやって来る小さな物体。どうやら仔犬の様だ。

 月光に照らされてブラックとホワイトの毛並みが艶々と輝いている。

『くぅん・・・くぅん・・』

 門に貼られた護符を懐かしそうな眼差しで見て鳴くと、周囲の地面の匂いを念入りに嗅

いだ。そして、目的の匂いを見つけたのか門の下の隙間より身体を捻じり込ませる様にし

て敷地内へと侵入して行った。

 

 

 

 建物内・教室―――

 

 絆はようやく目を覚ました。何か非常に気だるい雰囲気により、それが全身に纏わり付

く様な妙な違和感として覚える。

 いつの間にか鈴を握り締めている右手を不思議に思いながら身体を起こす。

 床に座りながら周囲を見渡すが、悠也も勇真の姿も何処にも居ない。ただ、四方に寄せ

られた机に悠也が着ていた忍装束とシノビギアが脱ぎ捨てられているだけだ。

『・・・・・勇真さんも、ユウさんも・・何処に・・・・』

 暗闇にひとり取り残されて不安になる。不安が徐々に恐怖を生む中で、自然と握り締め

る鈴に力を籠めていた。

 握り締める鈴は何故か温かい。それが手の温もりの所為ではないと絆は理解する。手を

開いて鈴を見る。

『・・・・・・・揺れてる・・――――――――それに・・聴こえる・・』

 

 ―――鈴の音、と・・・・・

 

 顔を上げ、開け放たれた扉へと目を向けた。

 絆は、表情の一切が静止した様子になりながら、ゆっくりと立ち上がる。

『・・“あの人”の声が・・・・・鈴に混じって・・』

 鈴の音が絆に幻聴を囁き掛ける。

 絆は幻に導かれる様にして教室を出る。廊下を北に向かって歩いた。その逆方向へと歩

く悠也と勇真の姿に全く気付く様子も無く・・・

 

 

 

 暫くして―――

 

 悠輔、涼真、飛鳥の三人が、壁に磔の状態で背中とお尻を見せる中、揺らぐ蛍火の一つ

より声が放たれる。

「ついに手に入れたよ。二つの神技の継承者を・・――――――――」

 悠輔が解放される。二歩下がってその場に止まると、意識が拘引されたまま身体は自然

と揺れていた。ぼやけた瞳に映る闇に灯る蛍火を捉える。

 蛍火は徐々に移動し、扉の場所で静止すると、その扉が開かれていく。

『兄、貴・・』

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 ぼんやりとした表情の悠也が全裸で立ち尽くしている。傍には勇真が居るが、その勇真

は悠輔の視界には入っていない。

 悠輔と勇真が同時に歩き出す。室内へと入室する勇真と入れ違いに悠輔が出て行く。

 蛍火が廊下で淡い輝きを放っている。悠也と悠輔はその輝きに導かれて廊下を歩き、階

段を昇っていった。

 室内に取り残された三人―――涼真、勇真、飛鳥は闇に囚われて、その闇に精気が抜き

取られ、共に呪力が奪われていった。

 

 廊下を歩く―――

 

 悠也と悠輔は共に並んで廊下を北に向かって歩いている。

 瞳は霞んだ様にぼやけ、表情には力がまるで感じられない。前に輝いて浮遊する蛍火に

従ってある実験室へと到着する。

 二人が並んで立つ。その実験室の扉を二人は手を重ね合って開ける。そして、入室して

行った。

 扉が閉められる。鍵が内側から掛けられる。

 扉に貼り付けられている表札には「強光型人工気象室」と書かれてあった・・・

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。