1998年、アメリカ中西部、ラクーンシティ。教会から脱出した『君』とサロメは、地下鉄にたどり着いていた。
防火シャッターが機能していて、ゾンビたちはここまで入ってくることができない。ひとまずの安全地帯という訳だ。
しかし安心するにはまだ早い。ここがラクーンシティであることに変わりはないのだから。それに……。
「う、う、血が止まりませんわ……
ど、どうしましょう……!
早く止血しないと……ええと……
こういう時は確か……。
ええっと……そうだ、消毒液!
あと包帯! それから……」
『君』はサロメを庇って巨大グモの攻撃を食らってしまった。
気に病んだサロメが治療しようとしているようだが、応急処置だけではどうしようもない。
車両の座席に寝転んだ『君』はため息をついた。
「ああもう!
そんな大きな傷で、どうしてそんなに落ち着けますの!
わたくしなんて、もう涙で前が見えなくなりそうなくらい動揺しているのに!
ほら、しっかりなさいまし!
おハーブ! おハーブをお食べになって!
ほらほら、さあ! さあさあ!!」
サロメはハーブを食べさせようとするが、これ以上ハーブを摂取することはできない。
『君』はサロメを押し返して、携行品から救急スプレーを取り出した。それを使って傷口を殺菌し、止血を試みる。だが、うまくいかない。
「あぁ……そんな……!
わたくしのせいで……!
あなたを……!
あぁ……ごめんなさい……!
本当に……申し訳……あぁ……!」
サロメは取り乱して、泣き出す。
『君』はその頭を撫でてやった。人間、命には限りがあるのだ。死んでいった仲間たちと、もうすぐ神の国で再会できるだろう。
サロメが生き延びてくれさえすれば、もうそれだけで──
「どうして諦めるんですの……?
どうして諦めるんでございますの?
どうして?!
どうして!?
どうして!!!」
サロメがとてつもない音量で叫ぶ。
『君』は驚いて、サロメの顔を見る。瞳からは涙があふれ出し、頬を伝っていた。
「うぐっ……ひっく……わたくしは!
わたくしは諦めませんわよ……!
だって100満点のお嬢様を目指さないといけないんですもの!
こんなところで死ねない!
まだ何もできていないもの!
美味しいものも食べていませんわ!
お紅茶も飲みたいし、高級スイーツも食べまくりたい!
ファッションブランドを立ち上げたいし、エステにも通いたい!
もっともっと長生きして、楽しいことをしたいのですわ!」
まるで子供のようなワガママだった。だけれどそれは、彼女の本音なのだろう。その素直さが、いじらしいまでのひたむきさが、とても好ましく思えた。
神の祝福が、彼女にありますように──
「だ~から諦めんじゃぁありませんわよっ。
男の子やろがいっ! ですわ!」
サロメはいつの間にか、元気を取り戻していた。目に光が戻り、顔に笑顔が戻る。涙を拭い、深呼吸を繰り返す。
そして静かに呟いた。
「ここで貴方に死なれちゃ0点ですの……
あなたも諦めてはいけませんわよ……
一緒に生き抜くのですわよ……
そしていつか……
わたくしのように素敵な女性と結婚して……
子どもを作って……
だから……だから絶対に死なせませんわ!
絶対に死なせませんわよ!」
サロメはグリーンハーブを次々と口に放り込み、むんぐむんぐと咀嚼する。そして、『君』に唇を重ねてきた。
「ん……っ……! ん〜っ! ん〜っ!!」
必死に『君』の身体を抱きしめ、口移しでハーブを飲ませようとするサロメ。その鼻息は荒く、情熱的ですらあった。
生ぬるくて苦いドロドロのハーブが、唾液と共に流し込まれる。『君』は押し返そうとするが、サロメは諦めない。
「ぷはっ!
さあ、飲み込んでくださいまし!
お願いですわ!
わたくしにできることは、これしかありませんの!
さあ、さあ!!」
『君』は観念して、口の中のものを飲み込む。このハーブには
ここまでしてくれたサロメのために、生きなければ。
「さあ、次いきますわよ!
ちょっと、抵抗なさらないで!
わたくし女としておショックですわ!
唾液くらいガマンなさいまし!
むっぐむっぐむっぐ……ん……っ……!
ん〜っ! ん〜っ!!」
またしてもサロメ風味のハーブを流し込まれて、『君』はおののいた。身体が熱くなり、視界が霞んでくる。心臓が高鳴り、全身に火が灯ったように感じる。
サロメの瞳が、まるで宝石のように輝いて見えた。吐息は天国の美風、白い肌は女神の絹、柔らかな髪は天上の雲……
危険だ。このハーブは傷を癒やす。だが、生命力を高めるのが本来の効能なのだ。それを大量に流し込まれれば……。
「んぶはっ……はあ、はあ……
ど、どうでございまして?
これだけおハーブを飲ませれば、もう大丈夫ですわよね?」
『君』は、自分の手をじっと見つめた。先ほどまで感じていたはずの痛みが、綺麗さっぱりと消えている。
「ほら、見てくださいまし!
わたくしの応急処置のおかげですわよ!
あーよかった!
これで一安心ですわね!
でもでも、油断は禁物。
ここから先は慎重に行動していかなければなりませんわ。
さあ、行きますわよ! 100満点の未来を掴む為に!
あ、でもでも、さっきのアレ……
嫌じゃなかったですわよ。
むしろ、嬉しかったっていうか……。
あーっ! 今のなし!
わたくしの本心じゃありませんわよ?
こんなのリップサービスですわ。
本気にしないで下さいましね。
だってだって、わたくしたち、住む世界が違うんですもの。
この街を脱出して、無事にリアルに帰れたら、その時は……
あ、あら?」
リップサービス。いい言葉だ。
サロメの唇は、柔らかくて温かかった。まるで極上品のマシュマロみたいだった。
『君』の鍛えられた全身に、灼熱の血液が巡っていく。
「あ……あ……あの……!
お目々、お目々がケダモノのように血走ってますわよ……?!
ひぃいっ!! 怖いですわ!
こっちに来ないでぇ~!
わたくしの貞操がピンチですわ!
助けてくださぁい!
誰でもいいから!
わたくしを助けてえ────っ!!
あ、誰もいないんでした!
このだだっ広い駅に殿方と二人っきり?!
もしかしなくてもこれは、チェスで言うところの詰みにはまったのでは!?」
サロメは両手で顔を覆いながら、指の間からチラリとこちらの様子を窺っている。その瞳には涙が浮かんでいた。
どうしようもなく可愛い。リアルだかなんだか知らないが、今更彼女を手放せるものか。
『君』は力づくで彼女をねじ伏せることに決めた。
「ぎゃああーっ! やっぱり!
わたくしのこと、性的な意味で襲おうとしているんですわよね! 性的な意味で!
そうでしょ! そうなんですわよね!
こんなにかわいい女の子が目の前にいるんですもの!
そりゃ、当然ですわよね!
で、でもでもぉ!
『サロメ』の初めては、もっとロマンチックなものが良かったんですのよ!
例えば、夜景が見えるレストランで、とか!
あるいは、海沿いのホテルで、とかぁ!
そういうシチュエーションで、優しく愛を囁き合いつつ、そっとベッドに押し倒されて……みたいな!
そういう感じの、素敵な初体験があるべき姿……
むぐっ!」
クソやかましいサロメを、美しい唇を塞ぐことで黙らせる。サロメは目を見開いて、硬直していた。
「ん……っ……! ん……っ……!」
抵抗するが、無駄だ。『君』はサロメの肩を押さえつけ、座席の上に押し倒した。
「あ……あ……!
だ、ダメ……ですわ……! ダメ……!
そんな……!
いきなりそんな激しいなんて……!」
サロメの顔が、見る間に紅潮していく。彼女だって、おハーブをおやつ代わりにお召し上がりになられている。その効果は十分すぎる程に発揮されているはずだ。
もちろん性的な意味で。
「あっ……あふぅ……っ……ん……っ……♡
わたくしたち、出会ったばかりなのに……
こんな強引なことをするなんて……
あなたは悪い人ですわ……!
あ、あ、脱がさないで……!
おドレスが破れてしまいますわ!
ああん……!」
サロメはイヤイヤと首を振る。だが『君』の手を止めることはできない。圧倒的な質量差の前に為す術はなかった。
スカートをまくり上げると、黒いレースの下着が現れた。シルクだろうか。それは白い肌を適度に際立たせている。
だが『君』には鑑賞するほど余裕が残されていない。なにせ、その下にある神秘の領域への期待が、すでにはちきれんばかりになっているのだから。
「……ああ、わたくしはもうダメですわ。
完全にノックアウトされてしまいましたわ」
サロメは顔を手で覆い、小さく首を振った。彼女の指の隙間から見える瞳には、大粒の涙が浮かんでいる。
『君』は剛直で一気にサロメを貫いた。
「ああ、ウソウソウソ……!
いったぁ~~……くない?!
な、なんなの?! これ!
あなた、実は凄腕のマッサージ師さんなんですの?!
すぽーんて入りましたわよ、すぽーんて?!
痛いどころか、気持ち良いくらいですわよ?!
え? 嘘でしょ?!
うそ、うそ、信じらんないですわ……!
『サロメ』は処女でしてよ?!
って、今はそれはどうでもいいんですの!
わたくしたち出会ってまだ間もないんですのよ?!
それなのにこんな……
あーっ、あーっ、あーっ!!
だめえ──っ!!」
『君』が激しく突き上げるたびに、サロメの声はオクターブ高くなっていった。『君』の胸を叩き、髪を掻き乱し、足をばたつかせるが、『君』は構わずピストンを続ける。
めちゃくちゃ気持ちいい。サロメの中は、めちゃくちゃ気持ちいい。
本能のままに腰を振り続ける。『君』に見えるのはサロメのセクシーな泣き顔だけだった。それ以外のものは見えないし聞こえない。脳髄までサロメに支配されていく。
弾む乳房も、『君』を受けいれていく秘部の吸着音も、何もかもどうでもいい。ただ目の前の女と愛し合うだけだ。それが男として、いや人間として当然の行為だから。
そこに善悪や損得勘定は存在しない。快楽こそがすべてだった。
『君』は獣のような咆哮を上げながら、腰を動かし続ける。
「んぐぐぐ……!
わたくしに、このような無礼な振る舞い……っ……!!
絶対に許しませんわよ!!
いつかあなたをギャフンと言わせて差し上げますからね!
覚えていなさい!!」
サロメは不満を漏らしながらも、されるがままになっていた。
赤いドレスに、『君』の汗が染み込んでいく。サロメの涙と『君』の汗が入り混じり、車内に淫靡な香りが充満する。
サロメは唇を噛み締めながら、懸命に耐えていた。だがその身体は敏感に反応し、ビクビクと震えている。
『君』はそんな彼女の姿を見下ろしながら、腰を振るスピードを速めていく。絶頂はもう近い。あと少しで射精できるだろう。『君』は歯を食い縛りながら激しく腰を振り、射精に向かって駆け上がっていく。
「あ、あ、やばいやばいやばいですわ。
このまま中出しされたら、わたくし、絶対妊娠しますわよ?!
い、い、いいんですの?!
『サロメ』の初めてを奪っておいて、責任取らないなんて許しませんわよ!
絶対に逃がしませんわよ!
あ、あ、あ、すんごい震えてる、あなたのおチンポがビクンってなってますわ!
あ、あ、あ、出る!
出ちゃうんですわね?!
わたくしの中に思いっきり出す気ですわね!
『サロメ』を妊娠させたいと思ってらっしゃいますのね!
だったらいいですわよ!
わたくしはお覚悟決めましてよ!
あーっ、くる! きてますわ!
熱いのがドクドク来てますわ!
『サロメ』の身体の奥まで染みこんでいきますわ!
あーっ、ああーっ!!」
『君』は精を吐いた。
遺伝子をたっぷりと詰め込んだ白濁が、サロメの中に注ぎ込まれていく。射精管からドクドクと精子が流れ込んで前立腺の分泌液と混ざり合う。そうして女性を妊娠させるのに最適の状態になるのだ。
『君』はそのままたっぷり5分間ほどの間、サロメと結合したままじっとしていた。
「はぁ……はあ……はぁ……」
サロメは肩で息をしながら、呼吸を整えている。ほつれた髪の毛が頬に張り付き、瞳は潤んでいる。
『君』がじっと見つめていると、それに気づいたのか慌てて顔を背けた。それでもチラチラとこちらを盗み見ながら、違和感をこらえるように下腹部をしきりに撫でている。
そして『君』がペニスを引き抜くと、彼女は力なく横たわった。
秘密の入り口からは、とろとろと白い液体が溢れ出している。黒い下着にも愛液と精液がべっとりとこびりついているのが見えた。