ただ高貴な立場で貴族令嬢のお嫁さんと初々しい処女童貞交換エッチするだけ!
羞恥プレイ要素は薄いかも?!?!

ノクターンノベルズにも投稿してます

1 / 1
前置きが長いです

エロシーンだけ読みたい人は◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎の文字列まで飛ばしてください


皇太子の初夜は強制公開プレイ!?!?皇帝や大貴族の目の前でお嫁さんの処女を貰わなきゃダメ!

 糸葉藤(イトバフジ)や細葉牡丹(ホソバボタン)、大撫子(オオナデシコ)に雪国蘭(ユキグニラン)などなど北方の花々の列から成る長大なグラデーション(原注*1)(訳注*2)。

 

野外にあって美しく輝くホワイト・マーブルの石畳に囲われて、草花たちさえ行軍する兵士ように整然と並んでいる。

 

 

 自然ではありえない、熟練の庭師たちの丁寧な仕事ぶりが為せる光景。

 

惜しみなく時間と金が注ぎ込まれた荘厳な景色をよく観察できる十字路の中央には、緑色に輝くカンラン石で積まれた円形の噴水台(原注*3)が鎮座する。

 

 

 水車動力と連結した歯車によって水路から水が組み上がり、源泉から湧くような優しい勢いで水盤へと落ちていく。

 

散乱した水しぶきが再び水面へと戻り形作る波紋へと、その傍らで一人の青年が見つめるようにじっと視線を向けていた。

 

 

 まっすぐ伸びた薄桃色の髪の毛、丸みを帯びた黒い瞳、どちらかといえば繊細な顔立ち。

 

よく言えば美青年然とした、悪く言えばひ弱そうな風貌の青年こそ、将来この庭園の主となる人物である。

 

皇太子にして現皇帝の従兄弟、今年に成人を迎えたばかりの15歳の青年ラチアルス(原注*4)(訳注*5)である。

 

 

青年は寒そうに震えると、両手を口元へと当てて白い息を吹きかけた。

 

「……もう冷え始める時期なんだな」

 

 

 季節はまだ秋とはいえ、温暖な海から遠い大陸北方にある帝国首都ティルアチカは寒冷な都市である。

 

この時期であっても、温暖な国々の首都にとっての冬と同等にまで冷え込む日もあるのだ。

 

 

「さむっ!」

 

 冷えた風が吹き込み、思わず口から言葉が漏れ出す。

 

同時に、西方で作られた崩畝織(原注*6)の上質なシルクの艶やかな外套の袖へと両手を潜らせた。

 

 

 北方特有の低い太陽が沈み始め、空も暗くなり始めた頃合いだった。

 

「……そろそろ選び終わったのかな」

 

彼は噴水台の縁に腰掛けながら、独り言のように呟いた。

 

 

 見やる目線の先は、この大理石庭園からアネナ川を挟んで対岸。

 

花崗岩で積まれた四角い輪郭の巨大な建築物。

 

帝都に複数ある宮殿の中でも比較的新しく実質剛健といった様相のダナイコスチ宮である。(原注*7)

 

 そこでは、青年の花嫁となる女性を選ぶための二次選考会が開催されていた。(原注*8)

 

帝国中から、少なくとも名目上は、身分や家柄の関係なく美貌のみによって選ばれた女性たち。

 

君主として当然行うべき高位貴族や王族との政略結婚を権力闘争の火種として回避する制度である。

 

 

 一次選考を通過した100人ばかりの美女たちが美貌と気品を競い合っていたのは先週(訳注*9)のこと。

 

そして今現在、皇太子自身の審査に通される5人の最終候補を審査委員会が選び終えた頃合いである。

 

 

 自身が審査員となる最終審査には、いったいどんな女性たちが現れるのだろうか?

 

青年とて期待する気持ちがまったくないわけではない。

 

だがそれ以上に、彼としてはこの「儀式」に対し虚無感と無力さを覚えねばならぬ事情がある。

 

皇太子が誰を「選ぶ」のか、彼自身が与り知らぬうちに事前に決めさせられているのだから。

 

 

 青年がそのことを知らされたのは一年ほど前、まだ一次選考も始まらぬうちのことである――

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 レンガ積みに漆喰塗の質素な壁面が、絵画や鮮やかな模様のタペストリーで装飾された一室。

 

天井や柱には彫刻が施され、床には柔らかな毛足の短いカーペットが敷かれる。

 

帝国首都がもっと小さかった時代に作られた、今では滅多に使われぬ古い謁見の間。

 

 

 そこにいるのは二人。

 

方や両手を胸前で合わせ両膝を床につけた半跪礼で敬意を示す、今より幼さの強い皇太子。

 

 

 その対面で、精緻な真鍮細工で縁取られた古い玉座に深く座り込んだ壮年の女性。

 

北方の人間としては浅黒い肌と、女性にしては高い背丈と恰幅のある大柄な体躯を包む厚手の衣服。

 

強いくすみでほぼ黒髪の長い濃青髪に包まれた四角い容貌は、むしろ男性的な闘志を感じさせる。

 

美しさを代償に威厳を獲得したような女性こそ、この帝国の統治者である女帝アネスメーデ(原注*10)である。

 

 

 女帝の厳つい紫色の眼(訳注*11)が、二周り年下の従兄弟の黒い瞳を射抜くように見つめていた。

 

 

(……相変わらず、恐ろしい視線だ)

 

 

 皇太子ラチアルスは、その視線を受けて思わず萎縮してしまう。

 

親族同士とはいえど親と子ほど年の離れた、しかも女帝の視線に気圧されているのだ。

 

そればかりか、上下関係を強調する機能の部屋へと一方的に呼び出されている。

 

ひょっとすると、なにか好ましからざる事態が進行しているのではないか…

 

皇太子という身分であっても、そう勘繰らずにはいられない状況であった。

 

 

 しかしラチアルスは、そんな不安を表に出さぬよう努める。

 

弱みを見せることは無能であることよりも危険、とは貴族なら皆が幼い頃より教え込まれる格言である。

 

意識して丸い瞳を強く開き、従姉妹の視線を受け止めて言葉を待った。

 

 

やがて、頃合いを見計らった女帝が、部屋に響く低音で一方的に告げる。

 

 

「来年のお前の花嫁選考会だが、お前が選ぶ花嫁はすでにこちらで決めた」

 

 

 ラチアルスは一瞬だけ驚き、そしてすぐに納得した。

 

真の意味でしがらみなく花嫁を選べる皇太子は、実際には少数派であった。

 

最終選考の場に送り込まれる候補者は誰しも、大なり小なり宮廷内の勢力の息がかかっているのが常である。

 

選考会の趣旨に反して、一種の権力闘争の場としての側面も確実に存在するのだ。

 

 

 過去には皇太子が選んだ候補が、対立陣営から毒を盛られ強引に結果を覆された事例さえあった。(原注*12)

 

とはいえ、それでも形式上は皇太子自身の最終決定権はずっと守られてきている。

 

 

 それが皇帝自ら、その最後の建前さえも崩すなど聞いたことがなかった。

 

それとも、宮廷の闇の中で処理され表に出なかっただけで、実際には過去に度々あったことなのだろうか?

 

発言の許可を得ていない青年の胸裏に渦巻いた疑問をよそに、女帝はその花嫁の名を告げた。

 

 

「最終選考にて宰相アトゥルス・ゲユマフスが長女、サエネミーデ・ゲユマフレを皇太子妃とせよ」(原注*13)

 

 

 皇帝が語尾に「せよ」をつけたときには何人であろうと直ちに腰を曲げて拝命せねばならない。(訳注*14)

 

青年は反射的に、作法通り深く頭を垂れ、そのまましばし硬直して女帝へ無言の服従を示した。

 

 

(なるほど、陛下の個人的な事情というわけか)

 

 

 女帝の指定する相手を知ると、青年には概ねの事情を察する。

 

宰相アトゥルスは今や権勢を誇る女帝一の忠臣であるが、元はただの下級貴族の次男に過ぎない。

 

その身分不相応な地位を与えられたのは、ひとえに女帝の個人的な愛人だからである。

 

宰相就任後に得た妻もせいぜい中級貴族の一族でしかないのだ。

 

 

 故に、宮廷において宰相の勢力が強固であるはずもなかった。

 

今のままでは女帝がその地位から去れば、そのまま宰相は現世からも去る可能性さえある。

 

そこで、次期皇帝の外戚とすることで立場をより強固なものにしようという企みに違いない。

 

要するに、女帝が自身の愛人へと地位のみならず血縁まで与えようというのだった。

 

 

 権力の私物化甚だしい行為ではあるが、皇太子の立場でそれを拒絶することは許されない。

 

拝命の礼のままじっと待つ青年へと、女帝が追って言葉をかける。

 

 

「よい、面をあげよ。私とて他の女との関係を持つなというのではない。選考会は愛人探しの場とでも考えればよい」

 

「はっ!」

 

 

 女帝の許しを得て顔をあげた青年はその表情を見て、どこか諦観にも似た感情を抱く。

 

そこにあったのは、目の前の皇位継承者のことなど興味はないとばかりの気怠げな壮年女性の姿だった。

 

(やはりこの方はご自身の楽しみにしか興味が無いのだな)

 

 

 女帝の御代の初期においては、先帝以来の改革を破棄し旧来の姿に巻き戻すことに全力を注いでいたそうだ。

 

しかしそれが一定の成功を収めて以降は、政治への熱意は急速に衰え個人的な享楽のためにばかり権力を用いている。

 

 

(さりとて、自分とてある意味では帝と同じではあろう)

 

青年はそのような女帝の態度に口を挟んだことはこれまで一切なかった。

 

それはもちろん、絶対権力者へと意見するのは自らの立場を危うくするからである。

 

 

 とはいえ、皇太子という換えの聞きにくい立場故に、他の誰よりも安全な人間の一人のはずだ。

 

にも関わらず、我が身可愛さに見て見ぬふりをするしかしていない。

 

ならば、国家ではなく自分個人を優先するという意味では自らも同じであろう。

 

というある種の自嘲が青年の胸裏にはあった。

 

 

 さりとて、内心がどうであれ、青年はただ定められた様式通りに唯々諾々と従うのみである。

 

こうして、花嫁選びという青年にとっての一大イベントは、始まる前から結果を定められていたのであった。

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 皇太子による花嫁への最終審査は一般に「御拝謁」とだけ呼ばれていた。

 

花嫁候補は殆どの場合は中位貴族の令嬢ではあるが、それでもなお皇族と直接会話する唯一の機会と言ってよいからである。

 

 

 選考会場に選ばれたのは、帝都の外れにあるモナフト宮殿の一室。(原注*15)

 

床面に敷かれた厚地絹織りのカーペットは、淡色の落ち着いたベースカラーと対比するように金毛織によって等角螺旋状に植物模様が描かれる。

 

開きかけの花蕾を模した真鍮細工の室内装飾が幾多も並ぶ壁面。そこから続く天井からは弦巻螺旋形の豪奢なシャンデリアが煌めきながら吊り下がっていた。

 

 

 典型的な反時計回り巻貝様式(訳注*16)の一室は、円卓から燭台に至るまでその全てが贅を尽くした調度品で飾られていることが人目でわかる。

 

そんな部屋の華やかさとは裏腹に、選ばれし5人の少女たちは緊張した面持ちで直立不動の姿勢を取っていた。

 

皇太子が入場するまで、参加者たちは互いに接触してはならないという不文律がこれまでの歴史的経緯から存在しているためである。

 

 

 期間中は皇太子本人と花嫁候補者の6人のみしか入室を許されぬために、小間使いとして壁際で待機するは小鬼人(訳注*17)のみ。

 

少女たちが何処に立つか厳密に定められてはいないが、皇太子の入室を出迎えるべく自然と横並びへと整列していた。

 

 

 やがて、その静寂を破るように扉が開かれ、部屋の外側から正装に身を包んだ侍従が高らかに宣言する。

 

 

「皇太子殿下、ご来駕!」

 

 

 小鬼人たちが金管楽器を吹いてファンファーレを響かせると、それに呼応するかのように一斉に少女らが膝をつくと

 

そのまま膝立ちで額を床につけうなじを露出し、長髪の少女は加えて頭髪を扉側へ向けて広げ跪拝する。(訳注*18)

 

 

 そして、皇太子が磨かれた大理石の上を歩む足音だけが、この場を支配する唯一にして絶対の音となった。

 

コツ、コツ、と硬質な靴音が近づくにつれ、彼女たちの鼓動も早鐘のように鳴り響く。

 

 

 視線を床に向けた少女たちが青年の場所を足音だけで察する。

 

硬い石を踏む音から柔らかな絨毯を踏みしめる音へと変わり、やがて扉が閉ざされる乾いた音が響いた。

 

 

 青年はじっくりと少女たちの首筋を眺めながら、優しげな声色で呼びかけた。

 

 

「諸君らが私の花嫁となるために試練をくぐり抜けてくれたことを嬉しく思う。

 

面を上げ、まずは一人づつ挨拶を、右のものから順にすることを許す。」

 

 

青年の言葉を受けて、最初に立ち上がったのは黒曜石の瞳を持つ美しい少女だった。

 

「イクヘフス家が娘のメリアスキーデと申します。御拝謁の機会を得て喜びに打ち震えております。」

 

 

 そう言って絨毯へと置いた両手は、絹手袋の他の少女とは違い、白樺の芳香漂う牛皮の賦香手袋。

 

彼女が着ているドレスは、一見するとごく普通のアフタヌーンドレスであるが、その生地には幾重にもレース編みされた花柄刺繍が施されている。

 

肩までで揃えられた艶やかな青髪(訳注*19)は、控えめな長さながらも毛先に至るまで丁寧に櫛を入れられ、毛先は軽くウェーブがかけられていた。

 

荘厳とは言えないが、どこか上品な雰囲気を感じさせる衣装は、逆に少女自身の美しさを前面に引き出している。

 

 

 名乗りと敬意の表明の2センテンスで挨拶を構成する作法を優雅に終わらせた少女は、再び跪いて頭を垂れる。

 

次に立ち上がるは、紫水晶の如き双眼をした気丈そうな女性である。

 

 

「アルデフス家が娘のセルヴィーデと申します。殿下のご尊顔に拝しまして尊崇の念に堪えません。」

 

 

 彼女の豪奢なドレスの中でも目につくのは、胸元の膨らみを強調するように切り開かれた胸部である。

 

無論、下品にも肌を露出しているのではなく、多彩な色合いの立体的な花形装飾で彩られた胸当てで盛りたてられている。

 

腰を絞るように締め上げられたコルセットによって曲線美が強調され、厚手のドレス越しでさえ他の令嬢より際立って見えた。

 

 

 恭しく深々と頭を下げると、相対的に高い位置となる腰から臀部にかけての盛り上がりが強調されてしまう。

 

分厚いパニエによってふっくらと盛り上げられるスカートは、裾へ向かって徐々に細くなるような形状をしており、その質量感は相当なものである。

 

その上に覆いかぶさる真紅の長髪も燃え盛る炎のようで、衣服の鮮やかさに全く引けを取っていない。

 

 

続いて立ち上がり、挨拶の口火を切るのは、薄蒼色の瞳を潤ませて頬を赤らめた小柄な少女だ。

 

まだ幼さを残した丸顔に、緊張からか微かに強張った表情を浮かべつつも、彼女はゆっくりと口上を述べる。

 

「メズドルスが娘、アーミルーデと申します。このような栄誉あるお役目を賜りまして光栄の極みです。」

 

 

 その言葉と共に、ややぎこちない動きで膝を折ると、胸元で手を重ね、少女は頭を下げた。

 

膝よりも少し長い程度の緑髪の巻き毛が揺れる様はまるで水草のようである。

 

淡い色合いの瀟洒なドレスが鮮やかな花飾りで彩られ、可憐な印象を与えていた。

 

 

 くりくりした丸顔と相まって、一見すると幼気な雰囲気が危うさを感じさせる。

 

とはいえよく見れば体つきは成熟しつつあるのがわかるだろう。

 

華奢な体格に似合わぬ豊満な乳房と尻肉が、ドレスを内側から押し上げているのだ。

 

そのアンバランスさが、少女を妖しい魅力へと変えていた。

 

 

そんな彼女への評価が皇太子の中で固まっていく中、次の女性が挨拶を始める。

 

次に名乗り出るは輝く銀髪を結い上げた長身の女性であった。

 

 

「アウスメルス家が娘のトーヴェクーデと申します。殿下の御前に参じられたこと生涯の誉れとなりましょう。」

 

 

 怜悧さを感じる通りの良い声でそう言うと、素早い所作で頭を下げ絨毯へと両手をついた。

 

頭が降ろされたことで、結われてまとめられたことで艶やかなうなじの細さがはっきりと見える。

 

それも生まれつきの細さに加え、程よく筋肉で引き締まった健康的な細さである。

 

 

 コルセットではなく、職人がドレスに編み込んだ腰の絞りによって作り上げたラインは

 

引き締まりながらも決して女性らしさを失っておらず

 

肩甲骨や背筋に沿って、白いレースのフリルが施されており、それが少女の若さ溢れる肉体を一層美しく見せている。

 

 

 腰を素早く戻し顕になった顔は整った眉目に切れ長の目、鼻筋は細く通っており、唇は薄く引き締まっている。

 

それらのパーツが絶妙な均衡を保ち、中性的ながらも女性として魅力的な造形を生み出していた。

 

 

 彼女が男装をすれば、ともすれば自分よりもずっと女性の目線を惹くのではないか

 

…と皇太子が思いを巡らせるのを後目に、5人目の令嬢が立ち上がって挨拶を行う。

 

その者の名を、青年は知っていた。

 

 

 よく調音された鈴の音のような美しい響きを持つソプラノで少女が名乗る。

 

「ゲユマフス家が娘サエネミーデと申します。ご尊顔を拝し恐悦至極に存じます。」

 

 

 垂れた頭からふわりと広がる金糸の如き髪の下には、健康的な明るい肌色をした細い首が見える。

 

そこで煌びやかな輝きを放つは、高純度の金と宝石で精緻に加工された見事なネックレス。

 

そして、彼女の身を包む衣装もまた豪華絢爛なもので、彼女の髪の色と同じ黄金色の豪華な刺繍が施された光沢のあるドレス。

 

 

 姿勢を再び持ち上げると、胸元には大粒のアメジストがあしらわれたペンダントが輝きを放って否応なしに視線を引き付ける。

 

耳たぶを貫く金のイヤリングには小ぶりながらも美しくカッティングされ輝くダイヤモンド。指先を飾るは、これもまた純金をふんだんに使った指輪。

 

ドレスを飾る胸当てにはエメラルドなどの宝石が散りばめられ、彼女の着るドレスが如何に高価なものかを物語っていた。

 

 

 この場にいる令嬢たちの装束はみな誰もが貴族として持てる財力を惜しみ無く注ぎ込んでいる。

 

それでも、彼女の身に纏う宝石の数は一段違って見えた。

 

 

 そのきらめく美しさに青年は目を引かれつつも

 

(宰相はずいぶんと私的利益のために権力を乱用しているようだ)

 

と、これを実現するための富の源について考えざるを得なかった。

 

 

 同時に、青年の当初思っていた程には、他の参加者と比べ見劣りする容貌でもない……という感想を抱く。

 

女帝の私的事情により送り込まれた候補ゆえに、厳正な審査を受けた候補より「劣って」いるのだろうと予測していたのだ。

 

 

 実際、他の令嬢たちが際立って美麗な容姿をしているのに比べれば、やや平凡な印象を受けるかもしれない。

 

だが、彼女の顔立ちそのものは、美醜の天秤で言えば間違いなく美に分類されるものだ。

 

 

 少し吊り上がった大きな瞳に、すっと通った鼻梁、薄い唇は形が良く、それぞれ配置も整っている。

 

しかし何よりもその表情が、見る者を強く惹きつける。

 

何か強い決意を秘めていそうな、意志の強そうな眼差し。

 

それはまるで、獲物を見据えて狙いを定める猛禽類のようでもあった。

 

 

 どこか自信ありげな所作で緩やかにドレスの長い裾を優雅に滑らせ列へと戻る少女。

 

5人全員の名乗りが終わり、候補者たちは示し合わせたかのように同じタイミングで再び跪拝する。

 

 

  皇太子は令嬢たちを品定めするようにながめつつ、一拍置いて口を開いた。 

 

「諸君らには、まず最初に私の目の前で互いに話し合いをしてもらおうと思っている。右のものから時計回りに円卓につくがよい。」

 

そう言い放つと、皇太子は作法に反して、自ら令嬢たちの間を抜けるようにして扉から最も遠い座席へと向かっていった。

 

 

 皇太子の言葉に従い、令嬢たちは続くようにしてそれぞれ隣同士で椅子へと腰掛ける。

 

同時に小鬼人たちが円卓に寄り、金燭台に取り付けられた最高級の兎蝋燭(原注*20)へ火を移していく。

 

錬金術師の誂えた希少な錬金軽銀(原注*21)で作られたゴブレットへとマルメロの果実酒が満たされる。

 

 

 青年としては、結果がすでに定まっているのだから、花嫁選考という本来の目的としては茶番でしかない。

 

とはいえ、皇太子自らが選考したという外形さえ捨て去るということもできないのだ。

 

故に、どうせやらねばならないのなら自身が楽しめる形で行うべきだと彼は考えた。

 

 

 そんな思惑の元、皇太子としておよそ相応しくない言葉を放つ。

 

「私は実は政治というものをやりたくないのだ。だから、我が后には私の代わりに政治的決定ができる資質を求めている。手始めに、私が帝位についたとき主にどんな施策をすべきか議論したまえ。」

 

皇太子はそう言うと、令嬢たちの表情を観察した。

 

 

 彼の言葉を耳にして、どうにか隠そうとはしているものの、皆明らかに動揺しているのを感じ取れた。

 

こうも大っぴらに皇帝としての責務を投げ出すと宣言されては面食らうのは当然であろう。

 

候補者たちはそれぞれ、いったいどのような意図か思いを巡らせながら、何を発言すべきか必死に考えているようだ。

 

 

 そんな中、いち早く口を開き困惑と疑問を吐露したのはトーヴェクーデであ

 

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

 

※翻訳元原著の解説文

 

・ここから数十ページにおいて原典が散逸している。

 

 現在残された原本からは紙面が物理的に切り取られた痕跡が残っている。

 

 

・3パターンの異なる内容の写本が残されている。

 

 どれが原典の内容をそのまま写しているかは議論が有る。

 

 

・現存する写本で共通する大まかな流れとしては

 

 

①内政面の議題は税制改革に関する議論や農奴制の強化の是非について

 

 外交面では軍事的拡大政策で諸王国と何処まで敵対するのを許容しうるか、あるいは同盟を結ぶべきかなど

 

 それなりに現実的性格の政策論争が行われた場面。

 

 

②最終選考の結果としてラチアルス皇太子がサエネミーデへと求婚の花束を渡す場面。

 

 

③他の候補者全員へ愛人としての関係を誘いをかける場面。

 

 

④初夜を迎えるまでに転居など数日をかける場面。

 

 

が記されている。

 

 

・3種類の写本間の差異は花嫁候補間の会話や関係性に集中している。

 

 

 それぞれ

 

 

 ①サエネミーデがリーダーシップを発揮し全体を主導していくもの(トスリコスチ写本,β写本)

 

 

 ②討論において内政面ではセルヴィーデとアーミルーデが、外交面ではトーヴェクーデとメリアスキーデがそれぞれ対立し議論を進めていくもの(ラハルス写本,γ写本)

 

 

 ③政治的な専門知識に乏しい候補者たちが協調して辛うじて議論として成立させ互いに対等な関係を築いていくもの(メンダテルス写本,δ写本)

 

 

 となっている

 

 

・帝室私有の書庫で秘蔵されていたため長らく版本化されなかった。

 

 

・それぞれの写本の詳細な内容と写本自体の説明は別冊に記す。

 

 

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

 

(原典続き)

 

(原典ではこの位置は前場面の結び部分が残っているが、ここでは省略する)

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 君主ないしその継承者の初夜というのは、一般に儀式としての性格を帯びる事が多い。

 

帝国でもそれは例外ではなく、帝国の正式な初夜の作法に則って執り行うのが習わしである。

 

 

 ダイヤモンドで飾られたローブを身にまとい、同様に宝石が散りばめられた寒林白豹の毛皮で縁取りされた純白の帽子をかぶる女性。

 

彼女が手にするは30本の純金円柱を20個のルビー飾りで結合して構成した神聖立体、すなわち帝国の至宝である大帝12面体(原注*22)。

 

 

 これを公然と手に乗せることが許されるのは帝国の皇帝ただ一人のみである。

 

本日の昼に盛大に開かれた皇太子と皇太子妃の結婚式での装束のままの女帝が初夜立会人としてその場へ現れていた。

 

 

 その脇に立つのは花嫁側の身元保証人としての立場で臨席する宰相アトゥルス。

 

彼もまた希少な毛皮で飾られた贅を尽くした装束を纏っている。

 

女帝と宰相から一歩下がって横並びに上位貴族たちが列を成す。

 

 

 

 帝国で最も最も力の強い人々の列。

 

されど、本来ならば王宮や大寺院に集うべき彼らが立つには、一見するとあまりにもみずぼらしい場所であった。

 

 

 柱は粗末な杉材であり、天井は白樺の樹皮を剥がして組み上げた日除け程度にしかならぬものである。

 

壁は土と草と藁の混合物を塗り固めただけのもので、板を貼ってすらおらず、しかも4方のうち1方は完全に開放されていた。

 

床も同じく土と石と木片を敷き詰めた上に、わずかに湿らせただけという代物だ。

 

 

 貧しい農夫の使う厠小屋のような、というよりは正しくそれを模した場所である。

 

伝説上の聖者イクスキュールが厠にて受胎し、厠にて出産した逸話を模したのが始まりと言われている初夜の儀式場の正式な様式だ。(原注*23)

 

 

 見た目の粗末さとは裏腹に、帝国中心部にある初春宮殿の中庭に設営されている。

 

宮殿は厳重な警戒が敷かれ、周辺を衛兵が守護しており、高貴な人々でなくては視界に入れることさえできない。

 

 

 その中央に積み上げられるは、収穫直後でいまだ結実した実がついたままの瑞々しくも硬い蕎麦の束。

 

これが辛うじて土の地面よりはましといった程度の、兵士の野営地と見紛うばかりの粗末なベッドとなる。

 

だが、こここそが、帝国で最も高貴な血筋の男子が、最も高貴な人々の立ち会いのもとで初めて愛を交わす神聖な場なのだ。

 

 

 この儀式の主役である新婚夫婦は事前に雪大熊の干し胆と大量の野レタスを服用し精力を強めている。(原注*24)

 

夕暮れの薄闇をランタンで照らす従者に先導され、皇太子は太陽を背に西側から、皇太子妃は暗い影を引きずるようにして東側から、それぞれゆっくりと歩み寄る。

 

 

 サエネミーデは正面の夕日に照らされ、体を包む薄衣のヴェールが透けて肌の色が浮かび上がっていた。

 

少女の若々しい乳房は薄い布地越しにくっきりとその形を浮き上がらせ、乳首の位置まではっきりとわかる。

 

やや小振りながら張りがあり、全体を少し上に持ち上げるように膨れていて、それがまた可愛らしく見える。

 

淡い薄桃色の先端はやや大きめで、それを彩るリングの大きさは指二本分程度。その先端は、まだ誰も触れていないにもかかわらず、すでにツンと尖っていた。

 

 

 腕から下は薄布にさえ覆われておらず、ほっそりとした曲線美がそのまま露わになっている。

 

へそ周りは引き締まりながらも柔らかそうな肉感を残しており、そこからさらに下の、秘部を覆う下着さえも身につけてはいなかった。

 

 

 頭髪と同じ黄金色の恥毛が、その奥に息づく割れ目を覆い隠すように、しかし僅かにその茂みの奥の割れ目が見え隠れしている。 

 

産毛のように柔らかそうなその毛は、ふっくらとした恥丘に薄く被せられていた。

 

 

 その隙間からはわずかにだが亀裂が覗いている。

 

処女にふさわしい薄色の大陰唇が慎ましく閉じられ、綺麗な一本の縦線を作っていた。

 

 

 一方で反対側から歩み寄る皇太子ラチアルスの側も同様に、薄闇の中に浮かび上がるシルエットが美しい。

 

未だに少年のような若さが残る顔立ちと、鍛錬にも関わらず細身な体つきがどこか中性感を発揮して、どこか妖しい魅力を放っている。

 

 

 青年がすでに初夜へ赴く準備が万端なのは歩く姿を見て一目瞭然であった。

 

花嫁と同様に全裸の彼は、その下半身を隠すものは何もなく、股間の逸物は雄々しく勃起していた。

 

 

 新郎の陰茎は、その細い体躯とは対象的に、太く長く、そして強く反り返っていた。(原注*25)

 

青い血管が幾本も走るほどに膨張したそれは、もはや凶器と呼ぶに相応しいほどの迫力である。

 

幹との間に大きな段差を形成するカリ高の亀頭がピクピクと傘を開き、鈴口からは透明な粘液を滴らせて光っている。

 

 

 新郎新婦が立会人たちの横を通過し、儀式の場へと足を踏み入れた。

 

二人が寝床の前で手をつなぎ、互いの腰を寄せ合うようにして向かい合った。

 

 

同時に、影に控えていた異様な装いの男たち、狼の顔の形が残された毛皮を頭に被った呪術師が狼の哭き声を轟かせる。(原注*26)

 

儀式の始まりを告げる、邪悪なるを祓う狼の叫びが響く中で、二人はゆっくりと唇を重ねていった。

 

 

 新郎の唇が、新婦の柔らかくも弾力のある感触を楽しむかのように、軽く啄ばむような口づけを繰り返す。

 

やがて舌先が絡み合い、唾液を交換しあう深いキスへと移っていった。

 

 

 熱い舌がねっとりと口腔内を舐め回しながら、互いに拙い仕草で互いに絡ませようと試みる。

 

だが、初めてのディープキスに戸惑って、うまく絡められずにいた。

 

それでも必死になって相手を求め、お互いの舌や歯茎の裏などを擦り合わせていく。

 

 

 サエネミーデの口腔内を蹂躙する皇太子の舌の動きが徐々に激しくなり、サエミーデもそれに応えようとぎこちない動きで応じる。

 

興奮に高ぶったラチアルスが花嫁の腰を引き寄せ、肌と肌を密着させた。

 

 

 硬く反り返った陰茎が花嫁の腹に触れ、少女の体温を感じてじんわりと快感が広がっていく。

 

女性の淫らな茂みを新郎の剛直根本で押しつぶす柔らかな感触。

 

亀頭の敏感な裏筋が、少女らしいほっそりとしたへそ周りのきめ細やかな皮膚に撫でられる感覚。

 

 

 一方でサエネミーデの側も雄の熱い鼓動をその薄い肌越しに子宮が感じ取り

 

そのたびに、ゾクッとする痺れにも似た快感を覚えていた。

 

二人の体はいつしか汗に濡れており、動物としての雄と雌の匂いが立ち込めている。

 

 

 ラチアルスは花嫁の腰を抱き寄せた勢いで、そのままゆっくりと尻の膨らみを揉んでいった。

 

張りがあって、それでいて柔らかい、まだまだ若い女特有の肉質。

 

掌の中でムニュリ、グニャリと形を変える、その瑞々しい感触に夢中になって堪能する。

 

 

 それを受け入れる花嫁も、揉まれるたびに強く押し付けられる男性器の感触に戸惑いながらも、次第にそれを受け入れ始めていた。

 

自分の体に触れる男の象徴に、本能的な嫌悪感はなく、むしろどこか心地よさすら覚え始めている。

 

そんな自分自身の変化に、彼女は気づいていた。

 

 

 やがて愛撫に体を震わせながらも、負けじと皇太子の首に両腕を巻きつけ、さらに体を押し付けるようにして抱きついた。

 

胸板へと乳房が触れ、柔らかさと弾力が同時に伝わってくる。

 

潰されるように力がかかったことで、その柔らかさがより強調され、その刺激に男の情欲が煽られた。

 

 

 胸と尻の二つの果実を思う存分に味わいながら、唇を吸い上げ、少女の体温を全身で味わっていく。

 

男として初めて味わう女の柔肌の感触が、彼の獣性を目覚めさせていった。

 

 

 興奮で荒くなっていく呼吸を吐き出し、そして飲み込んでいく。

 

そのたびに上質な香水の香りに隠された少女の甘い体臭が鼻腔を満たし、意識までを犯していく。

 

無意識に陰茎をより強く花嫁の腹部へと押し付け、彼女の体を押し倒していく。

 

その行為に反応するように、花嫁も自然と後ろへゆっくりと倒れ込み、そして仰向けになった。

 

 

 サエネミーデの背中が蕎麦の束の寝床へと背中から沈み込むと同時に、ラチアルスが上から覆いかぶさる形となった。

 

いつしか二人の体は興奮から汗ばんでおり、それが互いの肌に塗りつけられるようにして混ざり合う。

 

 

 寝床に挟まれたがために臀部の膨らみの感触を味わいにくくなった両手が、今度は上半身へと移動していった。

 

指先が豊かな双丘へと辿り着き、そして包み込んだ。

 

柔らかくも張りのある質感が、新郎の掌に収まるほどの大きさで伝わる。

 

彼はそれを下側から持ち上げると、手全体で円を描くようにして弄び始めた。

 

 

 柔らかいとはいえ下にしっかりと筋肉がある尻肉と異なり、乳はどこまでも柔らかい。

 

しかも、それはただ柔らかいだけでなく、適度な反発力を孕んでいた。

 

手に力を加えると、まるでそれに呼応するかのように押し返してきて、同時にその大きさを主張するかのように変形する。

 

その感触が楽しくて、何度も繰り返してしまう。

 

 

 やがて、新郎の指先は、その先端に硬く尖った突起の存在を捉え、摘まんだ。

 

瞬間、深く接吻するサエネミーデの喉の奥から愛らしい声が漏れた。

 

 

 かすかにビクンと跳ね上るその肢体に手応えを感じ、ラチアルスはそこを重点的に責め始める。

 

すでに固く尖っていた蕾は、少し触れられるだけで、その身を硬直させて悦楽を伝えていく。

 

親指と人差し指で挟み、擦り合わせると、サエネミーデはその度に小さく痙攣した。

 

 

 花嫁は反射的に快楽の手から逃れようと、身を捩らせる。

 

だが、そうすれば密着した皇太子の男根が少女の柔肌で擦れ、男の獣欲を更に強く掻き立ててしまう。

 

 

 その事実に気づいていないのか、あるいは理解していてもなお逃れられないのか。

 

花嫁の鼻から切なげな吐息が漏れるたび、ラチアルスの嗜虐心が強く刺激された。

 

 

 

 新郎が左手で乳房への愛撫を続けつつ、右手を下半身へと移していく。

 

手のひらが少女の素肌を撫でていく心地よい手触り。

 

腹、腰、太腿、そして股間へと近づいていき――そして、その茂みへと辿り着いた。

 

 

 指で茂みをかき分ける感覚も心地よく、無意味に上下左右に動かしてみる。

 

ためしにすこし強く推しこむと、恥丘の弾力が伝わってきた。

 

あまり意識しなかった部位の盛り上がりに、思わず感嘆する。

 

 

 全体の形を知るためになだらかな丘を手根部で押してみると、その柔らかさに驚く。

 

そして、そのまま掌で覆うように揉み込んでみると、やはり心地いい柔らかさが感じられた。

 

 

 そして指にふっくらとした、まだぴったりと閉じた陰唇の裂け目を知覚した。

 

そこは汗や体液によって濡れており、わずかに開いた隙間からは透明な蜜が溢れていた。

 

 

 ラチアルスはそれを掬い取ると、秘裂の上端に位置する肉芽へと塗りつけた。

 

すると、今までで一番大きな反応が返ってきた。

 

その部分は、他の部分よりも敏感にできているようだ。

 

皇太子の指先がその小さな肉豆に触れるたびに、少女の体が震えた。

 

 

 青年が少女の体を楽しむたびに、お互いに絡めあっていた舌の攻防は青年優位となっていく。

 

いまや花婿の愛撫に合わせて舌を震わせるのみとなった少女の口内を、男は容赦なく犯し続ける。

 

そのたびに少女の鼻からくぐもった喘ぎが零れた。

 

 

 肉豆を指先で弄ばれるたびに彼女の体は小刻みに震え、そしてその反応は男の情欲をさらに強くさせる。

 

その反応の良さが面白くなって、ついつい執拗に攻め続けてしまう。

 

親指と人差指で優しくこする。そして軽くつまんでやる。

 

今度は二本の指で挟むようにして刺激を与える。

 

 

 そうして花嫁の反応を楽しんでいるうちに、突然、少女の全身が一際大きく跳ね上がった。

 

その瞬間、ラチアルスは咄嵯に手を離したが、一瞬遅く、花嫁の口から甲高い悲鳴が放たれた。

 

 

 なにか間違いを犯したのかと心配になった彼は、すぐに体を軽く起こし、謝罪の言葉を口にしようとした。

 

しかし、花嫁の表情を見て、それが不要なものであることを悟った。

 

 

 サエネミーデの元々少し釣り上がり気味の瞳は、いまやトロンと目尻を下げ、涙すら浮かべている。

 

そして、その顔には明らかに快感によるものだと思われる紅潮が見られた。

 

荒くなった呼吸と共に上下する胸の動きは早く、彼女の興奮の度合いを表している。

 

そんな彼女は、いまだかつてないほど蕩けた顔をしていた。

 

まるで男を誘うような、それでいて恥ずかしそうな、なんとも言えない艶めかしさを湛えている。

 

 

 その姿を見たラチアルスは、再び己の中の獣欲が激しく燃え上がるのを感じた。

 

それは先ほどのものよりさらに激しく、そして強烈だった。

 

もう我慢できない。

 

 

 彼はサエネミーデの両膝に手を当て、ゆっくりと割り開いていく。

 

女の全てをさらけ出させ、股ぐらを文字通りの意味で開かせる征服感に酔いしれる。

 

 

 薄暗い中をランタンの赤い光が照らす花嫁の裸体は、ラチアルスにはこの上なく淫靡なものに見えた。

 

羞恥からなのか、あるいはこれから起こることを予感しているのか、サエネミーデは頬を赤く染め、小さく身を捩らせる。

 

だが、その動きはむしろ皇太子の嗜虐心を煽るだけだった。

 

 

 彼の両手は少女の太腿を掴み、しっかりと固定する。

 

そして、新郎は新婦の最も秘めやかな場所を暴き始めた。

 

 

 淫裂から蜜液をすくい取るように指で撫でると、花嫁からまた甘い声が漏れる。

 

そして、ラチアルスはその蜜液を潤滑油として、秘裂の中に指を差し入れていく。

 

そこは熱くぬかるんでおり、ラチアルスの指を締め付けてくる。

 

 

 十分な潤滑が得られているか確かめるための行為であったが、少女の肉筒が収縮して絡みついてくる感覚に、彼は思わず生唾を飲み込んだ。

 

そして、そのまま奥へと指を進めていく。

 

最初は抵抗があったが、やがて指の付け根まで飲み込まれてしまった。

 

 

 指先で感じる花嫁の胎内は、柔らかく、暖かく、そしてとても狭かった。

 

その感触を楽しみながら、指を動かしていく。

 

すると、ある一点で少女の体がびくりと震えた。

 

そこが彼女の弱点であると直感したラチアルスは、重点的に責め始める。

 

 

 ざらざらとした部分を指で擦り上げ、時に押し込むように圧迫する。

 

その度に少女の口から切なげな吐息が零れ、同時に膣内が指を強く締め付けた。

 

 

 少女は指の動きから逃れるように腰を上下にくねらせてしまう。

 

しかしその男の陰茎を受け入れるのにも似た動きが艶めかしく、花婿の情欲をさらに掻き立てた。

 

 

 出入りする指の横合いから花嫁自身が分泌した愛液が漏れ出して、手の甲へと流れていく。

 

その粘り気は当初よりも強くなっており、水音も次第に大きくなっていった。

 

 

 そしてついに、その時が訪れた。

 

少女の腰がひと際大きく跳ねたかと思うと、次の瞬間、その体が弛緩する。

 

どうやら再び達してしまったようだ。

 

 

 花嫁からは完全に力が抜けており、唇から出た舌をしまうのも中途半端になってしまっている。

 

その様子を確認したラチアルスは、いよいよ儀式の本番に取り掛かることにした。

 

 

 さんざん固くなったままで待機させられた己の剛直をビクリと脈打たせ、その先端を花嫁の処女穴に押し当てる。

 

すると、花嫁がハッと我に返ったかのように目を見開いた。

 

指でここまで乱れさせられたというのに、こんなに大きなモノを入れられたら一体どんなことになるのか。

 

そう考えただけで、少女の顔は真っ赤に染まってしまう。

 

 

 ラチアルスは花嫁が心を落ち着かせるのを待とうと、少女の頭を撫でながら瞳を見つめた。

 

しばらく準備に時間がかかるかとおもわれたが、しかし、花嫁の方もすぐに覚悟を決めたようで、小さくうなずいた。

 

 

 その仕草は乙女のように可憐で、花婿の胸をときめかせた。

 

だが、そのときめきはすぐに劣情へと転換される。

 

 

 ラチアルスは自らの陰茎を片手で支えながら、ゆっくりとサエネミーデの秘所へ挿入していった。

 

敏感な亀頭で花嫁の割れ目を割り開き、膣壁を押し広げていく感覚は、筆舌にし難いものがあった。

 

男として生まれてきた喜びを噛みしめているような、そんな気持ちになる。

 

 

 一方、サエネミーデの方は、指とは比べ物にならないほどの質量を持った異物が体内に侵入してくる感触に戸惑いながらも、必死に耐えていた。

 

念入りな愛撫で分泌した濃厚な淫液が潤滑油となったからか、あるいは少女の体質故か、痛みは大きくはないが、それでもかなりの圧迫感があった。

 

まるで内臓を直接押し広げられるような感覚だ。

 

 

 サエネミーデの額には玉のような汗が流れ、呼吸も浅く、早くなっていく。

 

それを見たラチアルスは一旦侵入を中断し、少女を安心させるように口づけをした。

 

 

 花嫁の唇に差し込んだ舌先が、驚くほど情熱的に迎え入れられる。

 

それはまさに、この世のものと思えないほど甘美な味だった。

 

処女を失いつつ有る自らを気遣ってくれた花婿の口付けが嬉しくて、サエネミーデもまた懸命に舌を動かして応えようとする。

 

二人は互いの唾液を交換し合うかのように激しく貪りあった。

 

 

 まだ道半ばだが、花嫁は肉の楔で貫かれる苦しさを忘れることが出来た。

 

花婿も膣壁で亀頭をきつく締め上げられ、心地よさに酔い痴れる。

 

 

 そして、二人の興奮が最高潮に達した時

 

花嫁が伴侶の腰に手を回し、自らの腰に惹きつけるように何度か力を入れる。

 

これは、女側から男性側への催促のサインである。

 

 

 その意味を理解したラチアルスは、口付けを中断して花嫁に優しく微笑みかけ、そして一気に肉棒を突き入れた。

 

皇太子の亀頭が槍の穂先となって、純潔の証たる膜を貫く。

 

そのまま二人の男女の陰毛と陰毛がぶつかり合うほど腰が密着し、最奥まで挿入されていく。

 

 

その衝撃と痛みに、花嫁は思わず息を詰まらせた。

 

しかし、その表情はどこか幸せそうでもあった。

 

 

 しばらく、互いにじっと見つめ合って余韻に浸る二人。

 

やがて、結合部から破瓜の血が滲んできたところで、再び口づけを交わす。

 

今度は優しいキスではなく、荒々しいものだった。

 

 

 そして、ラチアルスは腰を前後に動かし始めた。

 

膣内を擦り上げるように、ゆっくり、そして徐々に速く。

 

 

 青年は自らの陰茎にある謎の段差が、雌肉を引っ掻き回すためにあることを初めて知った。

 

そしてその凹凸が、花嫁の膣内で絶妙な快感を生み出していることにも気付く。

 

女になって間もない花嫁の肉襞が、いやらしく絡みついてきて、その刺激に堪らず吐精してしまいそうになる。

 

 

 ラチアルスはその衝動を抑え込みながら、本能のままに腰を獣のように振り回す。

 

花嫁の方も、初めての性交だというのにしっかりと感じてくれているようで、時折体を震わせながら甘い声を上げている。

 

自分の女を肉体で満足させているという充足感が、ラチアルスをより一層奮起させた。

 

 

花嫁の膣内は時を立つごとに柔らかくなっていき、男根を包み込むようにして精液を強請り始める。

 

その温もりと柔らかさが心地よく、もっと味わいたいとばかりにさらに抽送を加速させていく。

 

 

 花嫁の膣奥に何度も叩きつけるように亀頭をぶつけると、彼女はひと際大きな声で鳴いた。

 

ラチアルスの陰茎が出入りするたびに、花嫁の股間からは大量の愛液が溢れ出してくる。

 

 

 初夜の儀式場はいまや二人の男女がただ純粋に性欲に任せ交わり、肉と肉がぶつかる淫靡な音が響くばかり。

 

それを見せらている女帝や貴族たちは微笑ましいという目線で見るものもいれば、立場を忘れ過ぎだと呆れるものもいる。

 

しかし、当人たちにとってみれば今この瞬間はそんなことはどうでもよかった。

 

 

 こなれてきたのか花嫁の側もいつの間にか迎え腰を打っていて、ラチアルスの男根へ膣を使った愛撫をぶつけてくる。

 

それが花嫁自身もたまらく気持ちいいのか、少女は腰をくねらせながらさらなる悦楽を得ようとしていた。

 

 

 新婚初夜とは思えぬ動きに、これも一つの才覚か、などと女帝は感心しながら、宰相の方へと目配せをした。

 

すると宰相はといえば、愛娘が、皇太子相手とはいっても、男の元へと旅立ってしまったことへ父親として複雑な思いで涙を浮かべている。

 

 

 ラチアルスはもう理性も失い、ただ目の前の女体を貪ることしか考えられなくなっていた。

 

少女の奥を突けば子宮口が吸い付いてきて、亀頭を離そうとしない。

 

それどころか、子種を搾り取ろうと膣全体がうごめいて射精を促してくるのだ。

 

 

 射精をギリギリまで引き延ばそうと、花嫁の唇へ必死で吸い付き、無遠慮に乳房を揉みしだき、乳首を指先で弄ぶ。

 

二人の全身は体重で密着し、へそとへそが擦れ合うほどだ。

 

 

 ラチアルスにはこの自分が童貞を捧げた少女の肉体が愛おしくて仕方がなかった。

 

柔らかな乳房を掌全体で堪能するように鷲掴む。

 

その先端にある突起を親指で押し潰すようにすれば、花嫁も敏感に反応してくれる。

 

 

 彼女の体はどこもかしこも柔らかくて、そして温かい。

 

ラチアルスが腰を打ち付ける度に、その振動に合わせて揺れる尻肉がなんとも艶めかしい。

 

サエネミーデは何度目かの絶頂を迎えているのか、瞳はすでに焦点があっておらず、口の端から垂れる唾液が光っている。

 

それでもなお、彼女は懸命に舌を伸ばし、ラチアルスの口内を貪っていた。

 

 

 二人の結合部は白く泡立ち、お互いの陰毛が絡み合っている。

 

花嫁の膣内は蕩けるような熱さで、亀頭が溶けてしまいそうな錯覚すら覚えた。

 

ラチアルスの陰茎は既に限界まで膨張しており、その関門は破裂寸前である。 

 

 

 だが、まだ終わらせたくないとばかりに、彼は最後の力を振り絞って腰を動かし続ける。

 

皇太子が女子のように細い首を反らせ、快感に耐えようとする姿はなんとも可愛らしいものだった。

 

 

 しかしそれも長くは続かず、ラチアルスはついにその時を迎えた。

 

一心不乱に叩きつけていた腰が花嫁に押し付けられ、そして止まった。

 

 

 その瞬間、花婿の全身が痙攣したかのように震える。

 

それと同時に、彼の男根の内部を熱い塊のような何かが駆け巡った。

 

それは尿道を通り抜け、花嫁の膣内へと勢いよく放出される。

 

 

 どくん、どくんと脈打ちながら、ラチアルスの精液が花嫁の膣奥へと注がれていった。

 

ほぼ半固形状の精液が、花嫁の胎内で弾け、暴れまわる。

 

ラチアルスは口から舌を突き出して、生まれて初めての膣内射精の快感に打ちひしがれた。

 

 

 花嫁の方はというと、膣内で陰茎が激しく脈打つたびに、背中を仰け反らせて、びくっ、びくっと反応している。

 

その表情は完全に蕩け切っており、もはや普段の気が強そうな面影はない。

 

 

 やがてラチアルスの射精が終わると、そのまま花嫁の体の上に覆いかぶさってゆく。

 

花嫁の体からは力が抜けており、完全に脱力しきっている。

 

初めての夫婦の営みを終えたばかりの花嫁をいたわるように、花婿は手を背中へと回し抱きしめた。

 

 

 まだまだ味わい足りないとばかりに未だ萎えぬ若竿が、花嫁の女としての器官に挿入されたまま、文字通りの意味でつながったままの安らぎ。

 

しばらく二人はそうしていたが、そのうちどちらともなくキスを交わし始める。

 

先程までの激しさはなく、ただお互いの存在を確かめ合うかのような優しい口づけだった。

 

花嫁は瞳を閉じて、ラチアルスの唇の感触を楽しむように何度も何度も繰り返し唇を押し当ててくる。

 

ラチアルスもそれに応え、優しく、慈しむように彼女の髪を撫でながら、彼女のしたいようにさせていた。

 

 

 そして、二人の口付けがより深くなったとき、このままではまた続きが始まってしまうとばかりに女帝が咳払いをする。

 

ラチアルスは慌てて身を離すと、花嫁の手を取って立ち上がった。

 

 

 いまだ繋がったままだった陰茎が、ずるりと音を立てて引き抜かれる。

 

その甘い感触に、思わず二人は顔を赤らめた。

 

陰茎が少女の中から完全に抜けると、短い交わりだったというのに、二人には、自分のモノが有るべき場所に収まっていないような奇妙な感覚があった。

 

 

 立会人代表として女帝が、二人の前へと進み出る。

 

そしてサエネミーデの、純潔を捧げたばかりの初々しい膣口へ目配せをする。

 

 

 それを見たラチアルスは、自分が出したものが、少女の大切な部分から溢れ出ていることに興奮し、ごくり、と唾を飲み込んだ。

 

精液というのはこんなにも色濃く、しかも大量に出るものだったのか。

 

 

 花嫁のそこは、まるで処女を失ったとは思えないほどに綺麗なピンク色をしており、そしてラチアルスのものを受け入れた証として、わずかに開ききった穴の縁が赤く染まっていた。

 

そこから流れ出す愛液と混ざった精液と、ほのかに混ざる破瓜の血液の赤み。そのコントラストが何とも言えず淫靡で、ラチアルスは再び股間に血流が集まってくるのを感じた。

 

 

 女帝もこの処女であった証の血痕を確認してから

 

「初夜立会人代表として、そして帝国皇帝として、花嫁はたしかに純潔を捧げたことを証明する。」

 

と言い放ち、二人の婚姻が正式なものであることを告げた。

 

 

この瞬間から、サエネミーデは名実ともに帝国の皇太子妃となったのだ。

 

ラチアルスは、改めてこの美しい少女が自分の妻になったのだという実感が湧いてきて、胸の高鳴りを抑えきれない。

 

 

 一方、当の花嫁の方は、いまだ夢見心地といった様子で呆然としており、どこか心ここにあらずと言った感じだ。

 

ラチアルスはそんな彼女を抱き寄せると、その額に軽くキスをした。

 

その瞬間、彼女はハッとした顔になり、そして瞳に涙を浮かべると、ラチアルスの首筋に抱きついて、今度は自分からキスをねだった。

 

二人はお互いに舌を絡め合い、そして唾液を交換し合う。

 

 

 それを見た女帝はまた始められてはたまらないとばかりに

 

「なんだ、またここでするつもりか。続きは自らの寝室でせよ。」

 

 

と、命令形を用いて言うのだから、二人は直ちに腰を曲げて拝命するのだった。 

 

全裸のままで。

 

(終)

 

 

 

*1:
どれも大陸北方で秋に花を咲かす一年草、これで大まかな季節が第一文で明示されている。季節を第一文に記すのは帝国文学における基本様式

*2:
動植物などは我々に馴染みがあるモノに極力近い形で翻訳しているが、実際には全く異なる。これ以外の動植物もこれに準ずる。

*3:
コスダスルス大帝が作らせたとされる120個の噴水台の中で最も有名な「ペリドットの泉」。直径20メートル、高さ10メートルで、その内部には常に水が流れており、これのために専用の水車で加圧ポンプが駆動していた。

*4:
後のラチアルス3世。いわゆる「女陰時代」二人目の皇帝で、奇行と放蕩癖で知られる。特に有名な奇行は「夜の枢密院」と称して、皇后と4人の愛人たちと乱交を楽しみながら私的な取り巻き同然の側近たちの政治的進言を聞いていたこと。本人が側近へ語るところによれば自らの政治的頭脳は女性たちであるのことであり、これは彼の性欲の強さもさることながら、彼自身の無能さに対する自虐的なユーモアであるとされている。外交的では伝統的な西好南攻政策を基本的には継承するも、西方諸王国同士の対立に付け入る形でミューデル海沿岸地域へと侵攻、のちの帝国西進への橋頭堡となった。内政面では帝国首都において軍とは異なる民事警察組織の整備増強や消防・郵便網を編制する一方で、無闇に新組織や新築建造物を作らせたため財政バランスを傾けることになった。

*5:
 固有名詞は簡易な形でカタカナ転写しているが、正確な発音を反映しているわけではない。

*6:
太さの違う縦糸と横糸のために畝状の凹凸ができた布を回転式加圧器にかけることで平坦化し艶出しした平織地の布織物。

*7:
アーミルス帝が作らせた再復古様式の宮殿で、一度は巻貝様式の奢靡さに押され衰退した、合理性を重視する復古様式を発展させたものである。可能な限り曲面を減らすことで空間を効率的に用いるという理念の元、宮殿としては奇妙なほとんど直方体の外形となっている。

*8:
帝国は周囲の諸国家と異なる宗教を奉じる固めに外交的に孤立する面が多い国家であり、諸外国の王家から嫁を娶るのにも相応の理由が要る。そこで、ならば権力闘争や政略結婚から皇族を開放し、自国内から花嫁を選び続けることで、皇室の純血性を保とうとする政策。 実際にはそれなりの権力闘争が行われたが、伝統的な制度として帝国崩壊まで存続することになる。

*9:
原語では「惑星自転周期の8倍の期間(8日間)」といった定義の単語が当てられているが、便宜上「1週間」と訳す。

*10:
いわゆる「女陰時代」の最初の皇帝。先帝トチミルス2世が改革派大貴族の支援のもとで皇帝権を縮小し、貴族共和国のような立憲的政治体制へと転換を進める中で、反動勢力の代表として表に立った皇族であった。解体が決定し路頭に迷おうとしていた皇帝近衛隊の前に軍装で現れ武装蜂起を説得。「傀儡皇帝と実権を握る帝国改革会議の打倒」を旗印として皇帝近衛隊の武力によってクーデターを起こした。これを成功裏に収めた後、女帝アネスメーデとして自ら即位し、皇帝による専制政治を復活させ、改革をごく短命に終わらせた。しかしその後は特に功績もなく、個人的な縁故政治へと堕していったため、後世においては帝室の腐敗の象徴とみなされることもしばしばである。

*11:
 比喩でなく色素で紫色の虹彩

*12:
イクデフス家の娘エスルーデの事例。受胎能力に問題があるという健康問題をでっち上げるための毒であったが、濃度や量を誤ったのかそのまま致命傷となり死亡した。

*13:
後の女帝サエネミーデ、「女陰時代」3人目の皇帝。 父親のアトゥルス・ゲユマフスは帝国宰相ではあるが、元々は女皇族であった時代のアネスメーデ帝と愛人関係を結んだ下級貴族の次男に過ぎなかった。 正統な皇族であるラチアルス3世との皇后としての婚姻関係は結ばれたものの、「夜の宰相」と一部で呼称されるほど政治に強く関与したとされている。夫帝の没後は自らの息子たちではなく皇后を指示する宮廷内の勢力と共謀して、皇后もまた皇族であることを根拠に強引に即位。 下級貴族の娘として生まれたものが皇帝となる異様な事態への政治的混乱が生じるが、どうにか収集をつけることに成功。 内政においては農奴制の強化を推し進め、農民の過重労働や収奪を強めて帝国全体の富の成長を阻害。 その一方で軍事面では南方における外交的同盟を結んで安全を確保し、後の時代における西進の外交的基盤を形成した。

*14:
原語では「動詞が命令法屈折したときには」という形で記されているが、日本語では命令の助動詞がついたときにはという形に改変した。

*15:
トチミルス1世が改装を命じた反時計回り巻貝様式の宮殿。 元々は古い時代の城郭を兼ねた老朽化した宮殿であったが、西方で流行の改築技法により細やかな装飾を壁面に取り付けるなどで豪奢な外観を持つ建物となった。 これにより古風かつ無骨な雰囲気は消え失せて、当時の帝国において最も華麗な宮殿とされるようになった。

*16:
巻貝をモデルにした曲線と螺旋をベースとする美術・建築様式のこと。特に黄金比の等比螺旋が好まれた。

*17:
極端に身長が低く成人として認められ難いため奴隷となるしかなかった人々を、伝承上の子鬼と関連付けて呼ぶ当時の呼称。宮廷においては帝国に反抗しにくい道化師や召使いとして徴用された。多くの場合は単に先天性の遺伝子疾患だったと考えられている。

*18:
 ここでの用法はこの国における忠誠を示す最上位の姿勢、膝立ちで額を床につけうなじを露出する。長髪の場合は、それに加えて頭髪を敬意の対象に向けて広げる。元は斬首台で処刑される立場を模したもの。

*19:
 比喩ではなく色素で青い。青髪と金髪と緑髪はそれぞれに対して不完全優性、そして銀髪に対して完全優性。

*20:
 一般に獣脂蝋燭は臭みが強く低級品だが、香油毛兎の獣脂は芳しい独特な芳香を醸し出し、蜜蝋燭より高価値であった。この後の時代に乱獲で絶滅する。

*21:
当時の人々は錬金術により新たな形質を付与された銀と考えていた当時の希少金属。現代風に言うと金属カリウムを用いて塩化アルミニウムを還元して得る金属であり、要するにアルミニウムである。

*22:
 図形にはある種の神聖が宿るとされており、特に正多面体は神聖立体と呼ばれ宗教的モチーフとして用いられた。

*23:
農民であったイクスキュールは蕎麦の収穫中に突如として腹部に違和感を感じ厠へと移動するも、その際に下腹部が不自然に膨らんでいることに気がついた。そして脳裏に神の啓示がたどり着き、神々が直々に受胎告知をしたのだと理解した。その後、再びその厠で産んだ子供こそが後に古代帝国を建国するとなるサネイクスである。

……という神話上の人物。

*24:
干し胆は胆嚢の干物であり勢力増強作用が、野レタスは媚薬作用があると信じられていた。

*25:
 その公然の性生活にもかかわらず、ラチアルス3世が巨根であったという逸話はあまり残されていないため誇張の可能性が高いとみられている。

*26:
 狼は叫び声で魔を退ける力を持つと信じられており、古代より北方では戦士がこれを真似することで同じ効果を発揮できるとされていた。その名残で帝国の神事などには時折に狼呪術師が活躍する。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。