ーシャランー
「──の? ……あれ?」
響き渡る透き通った音。それに続き途切れていたウルヴァの台詞の続きが聞こえ出す。
エレティアの力による時の停止も解け、ようやく戻ってこれた気のするルーフェンの拠点改め、秘密のお楽しみ部屋である。
「……そなんだ? ん~……じゃあ、我がルーをアッチに置いてくる!」
「う゛……♥️うふぅ……♥️ふぅん゛……♥️」
再び動き出したウルヴァに状況を説明すると彼女はそう言い残し、雑な感じにショタ好きつまみ食いお姉さんことルーフェン嬢をズリズリ引きずって退室してしまう。
ウルヴァからすれば、時が動きだした事でいきなりエレティアとソルテ(ギャン泣き)が現れた様に見えたはずなのだが……
二人の事を軽く説明しても『ふ~ん?』と分かったのか分からないのか微妙な返事をした後、反応も対して変化なくあんな感じだった。
流石は偉大なる悪魔ちゃん、女神二柱が突然現れてもまったく動揺を見せないどころか、腰元でギャン泣きする憐れな女神を見て『気を効かせて席を外す』という離れ業までやってのけた……ということかもしれない。
……いや、流石にそれはないか!
「ぐしゅ……ぐしゅっ……ズビビビ……」
「あらあらまあまあ、ソルテちゃんったら……」
ともかく、そうして少し静かになった室内では、まだ腰に女神を巻いたままの俺と、それをニコニコ見守っているエレティアの三人になってしまった訳だ。
「しかし、力を与えてくれた女神が二人だったってか……?」
そう呟きながらも、俺はソルテの体で隠れている我が肉体の最大の被害部に意識を向ける。
……ほじくり返した過去は、トラウマ級とも思える一夜の経験。気持ちが良くて永遠搾り取られるならまだしも、精液が溜まる一方で刺激が足りず出せず、最後は息子のキャパが限界を越えて間欠泉の様にして……うん、頑張ったよな俺の前立腺。
結果的には止めどなく溢れでたし、生涯最大“量”の射精ではあったけど、あれは“素晴らしい射精経験”と言うよりかは“悲惨な決壊事件”とか“無惨な破裂事故”と呼ぶ方が正しい悲劇であったのだろう。
ゴッドぱわ~はもう勘弁である。
そんな背筋が寒くなる事を思いだしながら腹部に押し付けられるソルテの頭を撫で続け早数十分。
(──ん? つか、改めて思い出してみたら……)
ソルテのベソかきも落ち付いて来てふと思う。そう、言われてみればこの場に現れそうなのに居ない、重要人物についてだ。
「……う゛っ!? う゛わ゛ぁ゛ぁぁぁん゛、その続きは『もうこんな女神とは縁を切りたいな、ソルテの使徒もやめるわぁ、あー、エンガチョ~』なんですね゛!? あ゛あ゛ん゛! 我が使徒に嫌われでじま゛いましだぁ゛ぁぁ! もう私は要らない女神なん゛でずう゛ぅぅ、あ゛ぁ゛ぁぁん!!」
「ああっ!? お前人の頭ん中まで読んでるのか! つか、俺の思考を早とちりして泣き出さないでっ!? やっぱりキライとか、そういうのじゃないから!?」
「う゛え゛っ、うぇ、ほ、ほん゛どですか……?」
コソッとこちらの内心を伺っていたソルテが、更に俺のシャツをずぶ濡れにしようとする。
「ほんとっ! 本当だし体も大丈夫だから、その目鼻の汁をシャツに染み込ませるのやめて! べっちゃべちゃじゃねーか、俺もお前もっ!!」
「……!!」
こんな感じで、ソルテを泣き止ませつつ話を進めるのにも一苦労だ。
「俺が思ったのは事の発端でもあるルトナの事! 単純なソルテですらこんなんに成ってるなら、ルトナ見たいな性格は……その……」
「……気に病む余り岩の洞窟に引きこもってそうとかですの? 我らが使徒君?」
「う゛う゛ぅ…………自決でもし゛てそう゛とがです? ……ひっく……う゛ぅ……」
それぞれが言いずらくて口ごもる俺の考えの先を言う。……しかし、ソルテはもうちょっと考え方を改めた方がいいとも思う。自決て……
「……いや、二人とも姉妹なんだろ? アイツのこと何かしらないのか?」
引き剥がしたソルテやすぐ横のエレティアに確認する。
「……あら、ルトナちゃんですの? あの子でしたらすぐ近くに居ますわよ? 我らが使徒君」
「「……えっ?」」
バタ──ンッ!!
まるでタイミングを計ったかのように開け放たれた扉。
「お前様ー! なんか見つけたぞっ? コヤツはさっき喋っておった駄女神の残りではないのか!?」
「「はっ!?」」
「み゛ゃあ゛ぁ゛ぁぁぁっ!!!? 離してぇぇぇ! 離しなさいよ、このチビ悪魔ぁぁあ!!?」
そしてソコには、先程ダメな女幹部を捨てに行っていたウルヴァと、そのウルヴァに襟首を捕まれ引き摺られるようにして連れて来られた問題の女神ルトナがいた。
ちゃっかりウルヴァは悪魔っ子モードに変身している。
「ルティは使徒様に会わせる顔がないのぉっ! や゛め゛てぇぇ゛ぇぇ……」
「コヤツ、コソコソと部屋を覗いておってな? 我に見つかり逃げようとしよったが……まあ、今の姿の我にかなう者などほぼおらんからあっと言う間に捕まえたのだ! ほれ」
「あ゛ゃ゛ぁぁぁっ、……あふっ!? …………あっ♥️」
ウルヴァは捕まえた獲物を見せる猫のように、ルトナを俺の前へと投げ出してみせる。実にパワルフ。
記憶にあった姿のままの彼女は、俺と目が合うと動きを止めてしまう。
「……ルトナ」
「ひゃっ……あぅっ……ひ、久しぶり……わ、私の使徒しゃまぁ……」
ルトナで間違いないらしい。
……かくして三姉妹の女神が目の前に出揃った。
「では我が、貴様ら駄女神に教えてやろうではないか! 契約者直伝のっ、主様のおち◯ぽのやっつけ方というものをなっ!!」
「「「はいっ!」」」
「我の事は師範と呼ぶのだ! よいなー!」
「「「はい、ウルヴァ師範!」」」
皆の前に立ち喝を入れる悪魔ウルヴァさんと、三人揃って座り元気な返事をする女神共がいる。
……うん、おかしいよね? なんでこうなった?
──ー
──
ー
引きずり出されたルトナは、ソルテと同じように俺に謝りたそうにしていた。
しかし彼女は持ち前の引っ込み思案が悪さをし『けど……でも……その…………』と、なかなか実行に移せない後悔の子といった状態で、目が合えば逸れ、一歩距離を詰めれば一歩引かれ……となかなか困った状況になっていた。
俺としては
だからこの事はただ『あの時はありがとう』の一言で済む話であった筈だ。
あった筈だなのだが……
「なあ、ルト──「ええいっ! 貴様はジメジメと湿っぽいのだ!」」
「ふぇ……?」
まさかの横で見ていたウルヴァちゃんが大噴火。憤怒の悪魔さながらのぷんすこぶりに、おどおどしていたルトナもキョトン顔。
「我はず──とあるじ様とルーの情事を見ていてムラムラしておるといのに! それも終わったから次は我とのメロメロタイムだと思とったのに! なんなのだ、まったく!」
「……あのー、ウルヴァさん?」
「お前様は黙っているのだ!」
俺、封殺。
「……いいかジメジメ女神とその他共っ! 貴様らがあるじ様と顔向けできんのはエロエロがへたっくそだからだっ! それ以外理由はないっ!!」
「「うぐぅぅぅっ!?」」
「それは私も……なのかしら……」
「……乳のデカいの、おぬしエッチの経験は?」
「ありませんけれど……」
「はい、なら雑魚確定なのだっ!! 貴様も他二人と同類っ!! 三駄女神に間違いない!」
「「うぐぇぇぇっ!?」」
「そんなぁ……」
ウルヴァさんの勢いは止まらない。
三姉妹を前に言葉の暴力で一方的に殴り続けてゆく。
「第一、あるじ様が本気で怒っておったら姿を見せた時点であの手に捕らえられ、問答無用でお仕置きが始まっとる!」
なぜそれがわからん! とご立腹ウルヴァさん。
まあ、たしかに今の俺なら女神だろうと魔王だろうと『見えざる手』で無効化しながら尻百叩きくらいは楽勝で出来るが……そんな事は流石に……ねぇ?
というか、悪魔としては神という存在とはあまり相容れなかったりするのか? だからこんなに三人に当たりが強い?
「……お前様っ、横で何を考えてるかは想像が付くぞっ!? 我はただ食欲が満ちたから次に移りたいのに邪魔されて怒ってるのだぁ!」
「あっ、はい……」
要らんこと考えてたら釘を刺されてしまう。なに? 最近の娘たちは俺の思考を読むのが流行ってんの? 嘘でしょ……?
「──ともかくっ! 元々同一神の貴様らはスペックは同じで大差なんてないっ! 三人して雑魚テク女神なのだ、我には所作でわかる!!」
「「「!?」」」
……所作でわかるらしい。
「そ、それでも私は我が使徒と目合って
唯一俺との明確な経験があるソルテはそう反論するも……
「それはテクではなくイきやすいチョロ女なだけなのだ! 貴様は攻めは下手っぴ、守りはへなちょこな雑魚女神に過ぎん!」
「……あ、確かに挿れたらだいたい即イキだなコイツ」
「ぐわあああああ──ーッ!!?」
「ソ、ソルテ──!?」
俺がつい溢した事実がトドメとなったのか、憐れな女神が吹き飛び倒れ伏せてしまう。
「ふんっ! 事実が重たく感じるのは貴様等神の自業自得なのだ! ……横の二人も妙な事を言うなら分かっておるだろうな!?」
「ひゃぁぁ……このチビ悪魔、超悪魔してるぅ……」
「ソルテちゃん大丈夫? 傷は浅いわよ……?」
「ぐぇぇ……し、神聖なる女神の私が……ただのチョロまん女……そ、そんなの我が使徒にだけですしぃ……ぐぅぅ」
完全に主導権を手にしたウルヴァはそのまま三人を神界に蹴り返してしまいそうな剣幕だ。ルトナ、エレティアも言い返す事は出来ず完全に意気消沈といった様子。
「な、なあ……ウルヴァさん? 流石にいろいろと……」
「……まあ待てお前様……まだ話しは終わりではないのだ!」
「よいか! こうなればよわよわなおぬしらには、我が契約者直伝の『旦那様アヘアヘ簡単手玉とりテク』を身につけっ! それをもってしてあるじ様にリベンジする他ない!」
……はい? なんて?
会話の舵取りが怪しくなってきたか?
「我も初めの頃は貴様らと大差ない、あるじ様にいいようにされるだけの可愛らしい小娘にすぎなかった! だが契約者に私淑し、夜の戦いの勝ち星を増やしてきた我がこのテクニックを授ければ、貴様ら女神の過去の汚名も雪げるであろう!!」
……夜の勝ち星て。
……ウルヴァさん、話を悪魔盛りしてないです?
「……!? そのテクニックを身につければ、ルティも使徒様とラブラブできるの?」
「わ、私の連敗記録に歯止めが掛かるのですか!? あの密室で稼がれたカウントを逆に盛り返しに!?」
ルトナとソルテがここ一番の食い付き方。
いや、ルトナさんはその前に俺とお話しするのが先では?
あと、ソルテはあの時の事気にしてたのね……でも900以上の差はもう無理じゃね?
「バカ者っ! ラブラブどころか、あるじ様の方から『もうお前無しでは生きて行けないぜ……』とか『もう好きにしてくれ……♥️』と言わせる事まで可能だッ!! 意中の相手にソコまで言わせてこその女神であろうが!」
「「ふぁぁぁあ……♥️!?」」
「あらまぁ~♥️」
そんなセールストークに目を輝かせる三名。
もちろん、俺はそんな台詞を吐いたことはないし、ウルヴァの言う
「や、やるっ! ルティ、それで使徒様に償うの!」
「……そ、その口車に乗ってやろうではないですか! もう雑魚女神なんて呼ばせませんよ!?」
「なんだか楽しそうじゃない? 私も仲間外れは嫌だから頑張ってみようかしら♥️」
共鳴する三人の女神が皆頷き、やるぞやるぞとテンション高くやかましくなる。
「では決まりなのだ!! お前様を確保っ!!」
「「「わぁぁぁぁ~♥️!!」」」
「ぐぬぅぁぉぁ!?」
鮮やかな号令と寄って集る女神共。
彼女等に身動きを封じられ連れ去られる俺の行き先は、再びベッドの上らしい。
……もう好きにしてくれ。
ー
──
──ー
女神'sの夜の攻撃力と防御力比較(本編準拠)
攻撃力
ルトナ=ソルテ≦エレティア<<ウルヴァ《《《《《フィオナ
防御力
エレティア≦ルトナ=ソルテ<<<ウルヴァ《《《《《《フィオナ
※なお、防御力は具合の良さとは別物であるとする。