窓の外からチュンチュンと、小鳥のさえずりが聞こえる──
〝今度は安静にしていてくださいね?〟
「たわばっ!?!? ……はぁ、はぁ……!!」
誰かにそう呼び掛けられた気がし、飛び起きながら目を覚ます……がしかし、目の前には誰もいない。
「……あ、あれっ!?」
どうやら俺は、またもや気絶するほどに搾り取られそのまま寝てしまっていたらしい。
「……むにゃむにゃ……だんにゃしゃまぁ~♥️」
「お?」
声のする方を見れば、幸せそうな笑みを浮かべたまま寝入っているフィオナさんがシーツを抱き寄せむにゃむにゃと顔をうずめ、夢の国を冒険中だ。
「…………くぅ……くぅ……」
「あれ? 俺の部屋……?」
よくわからんがオリビアにシャワー室で好き勝手されて気を失ったのは間違いない。
しかし、目が覚めたら自分の寝室に居るときた……これはどうしたことか。
「あの後、オリビアがわざわざ寝室に俺を運び移したわけじゃ……なさそうだな?」
もっとこう、根本的に戻されてるような感じがする。股間にある倦怠感がまだ軽い気が……まだ搾り取られて一夜明かしたばかりというような……?
「──もしかして、時間が巻き戻っているのか?」
-シャラン♪-
「うぇ!?」
何の気なしに呟いた言葉に『そのとおり!』とでも言うかのように錫杖の音が返ってきやがった。姿は見せない癖にまったく隠すつもりのない自己主張。
エレティアが力を使って時間を戻したという事か。はいはい、よくわかりました。
「つまりは、もう一回やり直せるってことね……」
脱出ミッション、まかさの再スタートである。
▼▲▼TAKE 2 START▼▲▼
「……くっ、ともかく事態は把握できたぞ」
寝起きの頭を揺り起こす。
結局やることは変わらない。それに前回? の反省を踏まえて行動するというアドバンテージも持てた訳で、脱出に向けて取るべき行動を迷わず選択できるようになった! 要はマラプシアとオリビアをうまく回避して外に出る……後は身を隠して……うむ、完璧だ。
「よし、そうと決まればさっさとここから移動して『──ガシッ』──ガシッ?」
「……むにゃむにゃ……だんにゃしゃまぁ~♥️」
「あっくっ!? ──ええっ、フィオ!?」
しまった、考える時間が長い過ぎたか!?
迂闊! いつの間にかゼロ距離にまですり寄っていたフィオナに抱きつかれ、そのまま押し倒されてしまう。
「──はぷっ!」
彼女はあっという間にマウントポジションを取り、顔に被さるようにのしかかる。この体勢ではフィオナをどかさなければ抜け出せないが、そもそも身体を起こせな──あ、これやばっ!?
「すんすん……はぁ……♥️」
俺の焦りなど露知らず。
やわく開かれた口から甘い吐息が降りかかったと思えば──
「へぉ……♥️じゅぷっ……♥️」
そのまま探る様に吸い付かれ、回された舌が唇を探り当てようとなぶるように頬肉を蹂し、
「んぶちゅ……♥️べろぉ、れろぉ……♥️」
「むびゅっ、んむぷっ……!?」
唇はすぐに探り当てられ、息を吸う隙に合わせ舌を捩じ込まれる。
──全ては一瞬の出来事だった。
「じゅぞぞぞぞぞぞぞ~~♥️」
「んむぅぅぅぅ!?!?」
そこからは普段は息子が被害に合っている激しい口吸いがスタートし、あまりの刺激に目を白黒させるしか出来ない。
余りにスマートで余りに圧倒的な捕食者ムーヴ。
「むぅ──ー! むぅぅ──ー!?」
(た、たんまっ! 待って、待ってくれ──っ!!?)
ぺち……ぺちぺちっ! ──タンタンタンッ!!!
渾身のタップを彼女返すが、瞼の隙間から覗く金色の瞳はぽわぽわと焦点が定まらず、どこか夢見心地の様でしっかりと俺を見つけられて居ない……?
「むぅぅぅぎゅぅぅぅ!?!?」
(──って、まだ寝惚けてらっしゃるぅぅぅ!?!?)
「ぶじゅちゅ──♥️♥️ズ、ズジュゥゥゥゥゥウウウウウ!!!」
(あひぃぃぃぃ~~~~!?)
「れろれろ~……ちゅぱ、ちゅっちゅ……♥️」
「んぷっ、れろれろぉ……♥️」
「ずじゅ、じゅるるっ……っ♥️♥️♥️──ん、はっ!!?」
たっぷりと吸われること十数分。
そこまでかかってようやく、半開きだった瞼が見開かれ長い長いキスから解放される。
「ぜひゅ~~……ぜひゅ~~……ふぃ、フィオ、ナ……」
酸欠になる寸前まで吸われつづけ、命の危機を感じた生存本能がせめて遺伝子を世に残そうと暴発寸前にしているわけで──
「きゃぁぁぁっ!? 目が覚めたら旦那様が私を押し倒してらっしゃいますわっ♥️♥️!?!? ……それにこのお腹に突きつけられた硬く熱い感触は────きゅんっ♥️」
「ぜ、ぜぇ……それ、ちがっ……ぜひゅ~……ぎゃく……」
「御安心くださいっ! 私、何時如何なる時でも旦那様をお迎えする用意はできてございますっ♥️こうして目を覚ますまでお待たせしてしまった分、旦那様の心行くまでお相手をっっ♥️♥️!」
「ぜぇ、あぁ……あぁ──ー……」
限界マラを勘違いしたフィオナに今度は下の口でしゃぶり尽くされ、また俺は意識を手ばな────ー
-シャラン-
窓の外からチュンチュンと、小鳥のさえずりが聞こえる──
「んぐわばっ!?!?!? ……はぁ、はぁ、はぁ……!」
〝我らが使徒君……やりなおしてから一歩も動けてませんでしたよ? これはどういうことですか!〟
「どういうって……見てたのならわかるでしょうに!」
〝たしかに、それもそうですわね……フィオナちゃんったら、使徒君をあんなに♥️〟
あれっ? もしかしてこの女神様、俺が気絶た後も直ぐ助けず最後の最後まで見てません? 気のせい?
〝……えっ!? す、すぐに戻しましたよ? 本当ですよ!? 〟
「……むにゃむにゃ……だんにゃしゃまぁ~♥️」
〝……あっ、ほら! またフィオナちゃんが抱きついて来ますわ? ともかく、次はより一層気をつけてください。わかりましたね?〟
「あっ、ちょっとエレティア!?」
女神の気配が消える。
「ぬぅぅ……」
腑に落ちない所もあるが……
脱出ミッション、再々スタートである。
▼▲▼TAKE 3 START▼▲▼
今度は廊下に出てすぐマラプシアに見つかり、なんでかオリビアまでもが即合流。
「のぉぉぉぉ────ーっ!!!!?」
「御屋形様ぁぁっ、待って欲しいでありますぅぅ!」
「プシア、貴女はそのまま旦那様を。私が隙を見て魔法で捕らえます」
「わかったでありますぅ! とわぁ──ー!!」
「……今ですッ! 『バインド』!!」
「ぬわだぁぁぁぁっ──へぶっ!?」
そのまま二人の巧みな連携で捕縛され、ワッショイワッショイと使用人室に連れ込まれ──
-シャラン-
窓の外からチュンチュンと、小鳥のさえずりが──
「同時は無理だっ!!? ──って!? ……はぁ、はぁ、はぁ゛~~!」
荒く息を吐きながらベットの上で目覚める。
また戻ってきた……そう、脱出に失敗したのだ。
俺は起き上がると気絶する直前の記憶、そこに陥った結果に頭を抱える。
隠し通路に飛び込んだ先ではマラプシアに捕まる。廊下を抜けようとすればオリビアに捕まる。
……うまく二人をかわしても、たどり着いた別室でベロニカに鉢合わせ捕まった事もあった。
「だぁぁっ、何で隠れられそうな所はマラプシアがいるんだよっ!? 廊下だとオリビアが捕まえに来るし! ベロニカも朝なのに今日は起きてるし!? ぬぁぁぁぁっ!!」
〝使徒君は覚えてないでしょうけれど、彼女達の連携もすごかったですわよ? 運よく二人以上に捕まればあんな事になるのですね♡〟
「だからどうしてお前も何で最後の最後までゆっくり鑑賞してるの!?」
前回の挑戦時には何故か纏まって行動していた従者二人に捕まり、ベロニカも交えて美味しく頂かれた。
つか、今
〝あっ、えと……わ、わたくしは我らが使徒君が状況を覆すと信じています! 今度こそ安静に……〟
「……むにゃむにゃ……だんにゃしゃまぁ~♥️」
〝あっ! ほらっ、またフィオナちゃんが来ますよっ!〟
「あっ、おい! エレティア? エレティアァァァ!!」
抱きついてくるフィオナに気を取られているうちに女神の気配は消える。奴は時間を戻すだけでまったく当てにならんし、再開される脱出ミッションは俺を待ってくれない。……時間とは無慈悲だ。
「くそぉぉぉぉ」
▼▲▼TAKE 7 START▼▲▼
廊下には出られない……ならばどこから……?
そんな思考の行き止まりから見出した活路は一つ。
そう、“窓”である。
──ガラリッ
ああ、驚いた鳥達が木々から飛び立ち空へと去っていくのが見える。俺にも翼があったらどれ程良かったことか……などと四の五の言ってられないので一気に窓枠を践みきり高く高く跳躍っ……!
部屋から庭に出てしまえばこっちのもんよ!
──ドカッ!!!
「きゃぅぅんっ!?」
「うおっとっ!?」
しかしどうしたことか、着地地点には朝から鍛練に励む一匹の狼娘が! 勢いのままに転びもつれ、二人とも芝生の上に倒れこんでしまう。
「イタタ、誰だ……ってお前か!? 危ないぞいきなり降ってくるなんて!」
「す、すまんセレステ……」
素直に謝る、ぶつかった原因は俺にあるため強く言い返すことができないとも言う。
しかしこれだけデカい声で文句を言えるという事は大事無いという証拠。上手く受け身をとったのだろう、流石は元女騎士鍛え方が違うぜ。
「まったく! 下にいたのが私だったから良かったものを、普通の人間や子供であれば怪我では済まな──」
(──ああっ、長くなりそう!!)
「あぁぁぁ! セレステ!! ぶつかっておいて悪いが今急いでるんだ! ともかく、怪我がないなら俺はこれで──「はぁ? なんだとぉ!?」」
彼女に謝りつつもさっさと移動するために立ち上が……立ち、あがががが……れないっ!?
ちょっとセレステさん? その手を離してはもらえませんかね?
ほ、ほら! いつまでも女性の上に男が乗っていては重たいでしょう?
……ねえっ!? 背中に腕を回して引き寄せないで!? ちょっと!?
「フンッ! まあこれはこれで丁度いい。お前が落ちてきてくれたお陰で私が向かう手間が省けた」
「いや、だから俺今急いでて──」
「昨日はフィオナに譲ったからな。まったく、夜中にお前があそこまで叫ぶなんて珍しかったじゃないか?あんな声を夜中に聞かされてはな……?ーーーふふふ♡♡」
「ぬぅぁっ!」
ぐにぐに♡と引き締まった太ももがこちらの股間に押し当てられる……
膝上の感触を確認し、にやりとセレステが笑う。
「おっ? 私の太ももに熱いのが当たっているのはわざとか♡急いでいると言っていたが、こっちの方はヤル気満々じゃないか♡♡♡」
そう言って笑うお顔は八重歯が見えてチャーミング、捕食者の笑顔ですね!
「ふはっ♡ふっ、ふっ、んっ♡ふふふ、少々日が高いが、たまには空の下でというのもいいだろう♡そうだろう、だんな様♡♡?」
「ああっ、ああああぁぁぁ──―」
完全に
てか、ここ外だからやめっ!?
せ、せめてもっと人目の付かな──あ゛あ゛あああぃやぁぁぁぁっ!?!? リーリヤがこっちを凝視してるぅぅぅぅ!!!?
ちなみにリーリヤさんは、朝からお庭の一角に作っている家庭菜園のお世話をしていました。
昨晩誰かのせいで屋敷の中が騒がしく、眠りずらかった為早起きで、不満もちょぴっと溜まっています。
ーー南無