流石は森と共に生きる種族のエルフ。
梅、杏などの果実酒はどれも舌触りがよく飲みやすい。
一際際立っているのはやはり葡萄から造るワインか、寝かせる年月が人間の物とは一桁違うだけあって、一口含むだけでその芳醇な香りが……
「君もさ、呑気過ぎない? 仮にも相棒が吊るされてる状況でお酒の品評するとか大概だよ?」
眼前で宙を舞うてるてるエルフのリーリヤさんからありがたいお言葉を賜る。
エルフの乙女の寝室に男女が二人。
枕元には酒。
はだけるシャツが彼女の慎ましやかな胸元を扇情的に魅せてくれる。
……角度的にも大変グッド!!
わかってるね~この蔓! お前そのチラリズムは反則だぞ!?
「んにゃっ! さっきから、コイツ、敏感なところをっ…………くっ、見るな~♥️」
羞恥心が酔いを冷ましてくれたのか、リーリヤさんはだらしなさと乙女さの勢力図が反転。
シャツの首もと、裾、袖、ショートパンツの隙間等々。
いたるところから潜り込み良いことしているらしい植物によって、寝室は大変な盛り上がりを見せております。
「つーかさ、その蔓やら蔦の元を辿ってみたらこんなの出てきたんだよ。……お前のベッドの下から」
わさわさと茂る蔓を掻き分け、伸びる蔦を引っ張り掲げる。
はい、こちらに見えますのは、木目調が大っ変っ、美しい一品!
エルフ族が御神木と崇め奉ります、世界樹の枝から彫り出されたと見えます、張形!!
心なしか見覚えのありまする、漢らしさの象徴、乙女の夜の恋人、ディルドーでございます!!!
「きゃあああ!? どっから出したの!? やめっ、仕舞って!!」
大慌てのリーリヤさん。
その必死さに彼女の人生経験ではカバー仕切れない事態であることが垣間見れます。
その反応、やはり図星…『私が心をこめて作りました』ってか!?R18挿絵
『世界樹製ご立派ディルドー(カスタムメイド)』
エルフ族でも高貴な血統の者が扱える世界樹の枝を原料とし、愛しい殿方の臨戦態勢を模した玩具。
最高級品として知られるの世界樹の枝は、世の職人たちが喉から手が出るほどに欲しい材料である。
家に使えば千年腐らず、家具に使えば万年使えると、マニア垂涎の木材。
……といっても、実家の父母から10年に一度のスパンで送られてくるのでリーリヤ本人としては、特に有り難がっていないのでこうなった。
よく手入れされており、変な臭いもしない。恋する花の精の香り。
その筋のマニアに「美女エルフの使用済みディルドー」として売れば、連合国家や大帝国等の国家予算では足りない額の値が付くことだろう。
「いいから落ち着けって、ほら水飲め、水」
「くぅうう~、なんでこんなことに……ゴクゴク……」
半分上の空状態なリーリヤさん。
それでも差し出したグラスからお水を飲むのでそろそろ完全にお酒も抜けることだろう。
なんたって、彼女の植物魔法が最後の頼みの綱でもあるのだ。
……だが、その前に! 君には確認しなければならないことがある!!
彼女に反比例してお酒を頂いておりました私、既にアクセルはベタ踏みです!!!
「ゴクゴク……んー、もういいよ、ありが「……てかリリさんさー、……これ、
「ブハ────!!!!」
確信をつかれた美しき囚われの森の妖精は、口から水を噴き出す。
水に濡れる世界樹と俺の手。
「うわっ! ばっちいぞ、リリ!! めっちゃ手にかかった」
水を得たおかげか、世界樹からのびる蔦が動きリーリヤさんの姿勢が変わる。
……せき込む彼女が水を飲み込まないように下げてくれたのか?
まあ、それは今はどうでもいい。
「突然水を噴き出すとか、どうしたー?」
「ゴッホ!! それは、君が変なこと言うからでしょ!!!??」
ふーむ、一理ある。
だがそれでは俺は止まらないゼ!
「だって、これどう見ても俺のビックマグナムだぜ!? 毎日見てる俺が言うんだから間違いないって! 股間から落としたかと思ったもん!!」
「なーに大声で言ってるの!! やめ、やめてよ、恥ずかしいでしょ!? それにそんな物が私の部屋にあったとか言って……!」
ズボン越しに感じる視線。
リーリヤさんのお顔が良い位置にあるので、普段の数倍視線をビンビン感じます!
手に持つ張形を横に並べ、リーリヤさんに問い詰める。
「ほーん、ならこの玩具は自分は知らないと? リーリヤさんはそうおっしゃるのですかー?」
「そ、そうよ! きっとどこかの誰かのいたずらで、私の家に放り込んだ張形だわ! しかも君の形と似てるだなんて、ただの気のせいよ!!」
おやおや、喉が潤ったら舌がまわりますのぉー。
このエルフ、誰かのいたずらとか、形も似てないとか無理のある論理を展開してきましたぜ!?
苦しい! 苦し紛れのエルフ! 普段飲んでる緑茶はそんなに苦いのか!!
「よーくわかったぞ……ならばよろしい、俺は真実を突き付けるのみ!!!」
くらえ!!
ボロン!!
勢いよくズボンを下ろし、いきり立つマイビックマグナムをエルフの鼻先に突き付ける。
「!?!?!?」
並ぶ双砲は銃口を美しいエルフに突き付けられた。
微動だにできないリーリヤ。
緊張からか、ヒクヒクと動く鼻と泳いでいる目が落ち着かない。
この反応こそが、今まで彼女は嘘をついていたのだという証拠!!
偽りの心のヴェールを破く会心の一撃。決まったぜ!!
「な、な、な!!! なんてモノを出しとるか!!!! 君ぃぃぃぃ!!!」
犯人の最後の悲鳴が法廷に響く。
それは自らの犯行を認める、悲痛な叫びであった…………
‐
「……つまり? 自分の指ではものたりなくなって、唯一知っていた俺の息子を参考に? 願望マシマシで作った夜の恋人だと認めるんだな!?」
「ふぇぇぇぇぇん!! そうよぉ……、私が世界樹の枝で作った玩具よぉぉぉぉ…………」
遂に自供したリーリヤさん。
なかなかに長い戦いだった……。
まったく、強情な女だったぜ!
つまりは、彼女が俺の息子を象って作った世界樹君は、最近ガチャの影響でパワーアップした俺が近づいたことにより覚醒。
自在に蔓を出す他、色々できるようになったと。
そして、持ち主のリーリヤが部屋に来たのを察知し、いつものように自分を使ったオナニータイムだと思いこのような事になったと言うことらしい。
彼女に自供させるため、マイ息子の臭いをこれでもかと嗅がせたり、蔦達のテクニシャンタッチに加勢したり、秘蔵の酒を世界樹の密告のもと人質にとったりと、様々な手段を取らされてしまった。
特に楽しめたのは、「目隠しさせた口に咥えて貰って、どっちが本物か当たるまでフェラする」という尋問で、開始直後口に近づけるだけで一発正解したリーリヤにキレた世界樹が、彼女の服をビリビリに破いたことだろうか。
世界樹のジェラシーにそれとなく慰めてやってから、コイツと仲良くなれた気がする。
だっておれの息子と同じ形してるもんな、他人の気がしないわ!
「ふぇぇぇん、もう生きていけないわぁ……」
羞恥に濡れ、涙に濡れるリーリヤさん。
「大丈夫だってリリ! 俺は!! そんなお前も愛しい……! 寧ろ嬉しいくらいだ! だから泣かないでくれよぉ!!」
彼女を慰めると同時に、蔓のやつらも動き出す。
彼女の姿勢を変え、あやす様に体を撫でる。
「ううぅ♥️君ったら、そんなこと言って……、誤魔化され無いんだからね! もうっ……♥️お前もだぞ、ずっと体をまさぐって……やんっ♥️♥️」
チョロエルフリーリヤさん。
すっかり冷めたはずの酔いがまた回っているのかもしれない。
ちょいちょい口移しで飲ませたり、世界樹の奴がこそこそ何かしてたしな……。
いや、考えすぎか? 俺も大分飲みすぎたのかもしれん……。
ここは頭を回す為に少し水を飲んだ方がいいかもしれない。
「あー、水でも飲むかぁ……ん?」
俺の言葉を聞いた世界樹が、水を入れていたデキャンタを掴んだ。
蔓が器に絡み付き、リーリヤの上にデキャンタを運ぶ。
すると、そのまま器を傾け、吊られたてるてるエルフに雨を降らせる。
……当然避けようもなく、水に濡れるリーリヤ。
「ひゃ! 冷たい……!」
……その雨は白く美しくそびえ立つ二つの山……は言い過ぎか!
慎ましい、なだらかな丘。「リリが丘」へと降り注ぐ。
丘肌をつたい雨は川となり下流へ。
柔らかい腹溝を流れ、一度ヘソ穴に溜まり泉となる。
その泉から溢れた僅かな水が、浅く茂る恥丘の崖道へと伝い、彼女の桃園の割れ目へ……。
エルフの秘境へと滲み渡った水は、甘い蜜床の隙間から湧き出るとそのまま下へと垂れる。
チャポ、チャポ、チャポ……
その垂れた天然水をグラスへ集める蔓。
それはたまり醤油のようにゆっくりと量を増やし、やがて並々とグラスの中の一杯として収まる。
「ちょっ! ああっ!」
さあ、御賞味あれと蔓から差し出されたグラス。
まるで自慢の一杯を奢ってくれるバーのマスターの様な振る舞い。
いたく感動した俺は、恭しく受け取ったカップを顔の前で軽く回す。
元は水であるが、部屋の光を受けたそれは清涼たる輝きを放っている気がする。
名を付けるならば、これはまさに「森の妖精の水浴び」といった所。
「そんなまじまじと見ないで! やめてっー!」
輝きを楽しんだ俺は、そのままグラスの中身を煽る。
微かに残る人肌の温かみ、舌の上に広がる確かなとろみ……鼻の奥に抜けていくのは、森林浴をした時の風の香り?
「フム! ミネラルが溶けだしたのか、少し塩気があるがこれはこれで……」
「ばかー!! 変態!! ヘンタイ──!!」
大絶叫エルフリーリヤ。
「なんだい! 酒ばかりでは体に悪いだろうとわざわざ秘境から汲んで来てくれた水だぞ? ん~、マスター! もう一杯!!」
「誰が秘境だ! 誰がマスターだー! きー! なんたる辱しめ!」
暴れるリーリヤさん。
ぎしぎしと絞まる蔦によって強調されるセクシャル。
静かな雰囲気を楽しみたいバーの客としては、あまり同じ店内で騒がれると興が削がれるのだが……。
「今すぐほどっ!! モガッ!! モモガ──!!」
マスターから「他のお客様のご迷惑となりますので……拘束」を受けたリーリヤ。
俺は世界樹のファインプレーに握手を送り、もう一杯の水をオーダー。
今度は塩気が濃くなる気がするが、飲まないことには分からない。
揺れるリーリヤを眺めながら、注がれるグラスの一杯を楽しみに待つことにした。
『ワカメ酒』ならぬ『エルフの天然水』
類似品に、『聖女の聖水』や『人魚の涙』や『水の女神の慈悲の雨』などがあると言われている。