戦いの始まりは唐突に~紳士編~【挿絵有】
俺はその日、ガチャから出て来きて覚えた魔法スキルを試す為にとある魔術都市へと訪れていた。
幸運の女神による加護を受ける前の俺は、魔法なんてのはからっきしダメな肉体任せの前衛クラス。
降って湧いた力で、攻撃だの防御だのに魔法を使おうものなら、大事なところで制御をミスって大惨事! という未来は免れられない。
そこで魔法の試し撃ちと鍛練兼、練習場にくるような真面目な奴にコツでも聞けたらなと、この魔法練武場へと足を運んだ訳だ。
「ほほぉー、めちゃめちゃ広いな!」
入り口をくぐって転移陣とやらに運ばれた先では、遥か遠くに練武場を囲う壁が見える。
なんでも、魔法ギルドの超お偉いさんが「魔王と荒神と竜とウチのかみさんが同時に魔法をぶっぱなしても崩れん位に頑丈だ! はっはっは!!」と太鼓判を押していた施設である。
世界残念観光名所にも数えられる、だだっ広い地面と高く聳え立つ防壁が頼もしい。
「……それでは、周囲エリアの安全も確保されておりますので、存分に魔法をご使用下さい。規定時間になりましたらアナウンス致しますので」
「はい、ありがとうございます」
案内してくれた係りの人に礼を述べるとサッと姿が見えなくなる。
説明を聞く限り、長距離魔法だろうが大規模範囲陣だろうが絨毯爆撃だろうが、自由に試してもOKとのこと。……まじでそんな事やる奴おるんです? こわっ……。
不安を頭の隅に追いやって気持ちを切り替える。どれ、さっそく試してみようかな! レッツ魔法ショー!!
──ー
──
ー
覚えた魔法を粗方試した結果、俺が心配していた暴発や自爆などは起きない事が判明。そもそも、一人の魔力で賄いきれないような高難度の魔法とかは発動すらせず、魔法制御の能力が足りないモノは発動しても威力が弱かった……。
「ん~、体から離れれば離れるほどに制御難度が上がる? 近距離とか纏うタイプの魔法はすんなり発動できるって~のは……?」
体に魔力を纏わせて属性エンチャントしたり、手の平から火炎放射したりは上手くできた。この事からも今の俺では、魔力に目覚めても結局近接型の動きをしなければならないんだなと確信する。うん、知ってたさ。
そうこうしてウンウン唸っていると、少し遠くの方で閃光が瞬いた。
チュゴ────ン!!!!
練習中に鳴り出したのだが、どうやらソコソコ離れた地点で同じく魔法を試している奴が居るらしい。
「た~まや~」
始めの二、三回であのどでかい爆音にも慣れ、掛け声を上げる余裕も出てきた。
轟音の後、遠くで濛々と巻き上がる噴煙。遅れてやってくる風で土埃が飛び、顔を庇う俺。
ズゴゴ────ン!!!!
「か~ぎや~」
再び響き渡った爆音、今度は地響きが強めで足元をグラグラと揺らす衝撃に、流石に立ったままではいられず膝を地に付いて対応。……ここは特撮の撮影現場ですか?
おっと! いかんいかん、気がそれているな。
よそ様の事は放っておいて続きを……
ひゅるるぅ~~~~……ボテッ!!!
「あうっ!!」
親方、空から女の子が!?
視界の端に飛び込んできた人影。
上空から落ちてきたというよりかは、ライナー軌道で飛んで来たと言うべきか? ともかく俺は魔法の練習なんぞそっちのけで人間砲弾娘の救助に向かうべく、着弾点へと駆け出した。
「大丈夫ですか~!?」
「側に人が!? ……すみません~、助けて下さ~い」
ブレーキ痕ならぬ着陸痕を地面に残し、肩から上を地面に突っ込みながら前衛的なうさぎのポーズをしている要救助者。
マントがめくれてスカートのなかも全開なのは、救助の前払いとしては十二分な報酬である。気張って助けさせて貰おう!
「ああ~と、息は出来てるのか? とりあえず腰を掴んで引っこ抜くぞ!? 砂が入らないように目と口を閉じとけよ~!!」
「す、すみません~! お願いします~!」
足元から了承の返事も聞こえたので、細めのお腰に失礼して体をズボボと持ち上げる。
グググ、ズボッ!!
「ぷわ~!! えほっ、えっほ!!」
地面から引っ張り出した娘は砂にまみれた顔を振り、口に入り込んだ砂を吐き出す。
眼鏡の奥のくりっとしたお目めが印象的な、快活そうな美女である。頭から行ったのに、よく無事でしたねその眼鏡……
いつまでも逆さまでは頭に血が昇るのでさっさと体をおろしてやる。砲弾娘はむくりと起き上がると、頭に乗った砂を払いながら、こちらに向き直り礼を言う。
「いや~、助かりました! たまたま吹き飛んだ先に人がいて良かったですよ。えへへ……」
ちょいと端が煤けたマントを揺らし、恥ずかしそうに笑う。
「えへへて……頭から地面に行ってたぞ? 首とか痛くないか? 歩けるなら医務室に行った方がいんじゃないか?」
一見元気そうに見えるが、後から怪我が発覚することも少なくはない。しかし見ず知らずの娘が心配だろうと言えども、あんまりしつこくすれば通報されかねんし……。
「いえいえ! この通りピンピンしておりますので! これでもよくぶっ飛んで墜落してますんで慣れてるんですよ」
腰に手を当てえへんと胸を張られるが、よほど心配になってきた。よくぶっ飛んで頭をぶつけてるって……
「ホイホイッ! ホ──イッ!! うむ、体の動きにも問題ありません。いやはや、ご迷惑をおかけしました……それでは!!」
よくわからん決めポーズを確認したと思えば満足そうに頷き、背を向けて歩き出す。……が、
「はら~~~!?」バタンッ!!
「うわー!? やっぱり!!」
二歩歩いたらぶっ倒れやがった。
再び彼女に駆け寄り、体を仰向けにひっくり返せば目をぐるぐる回しているお馬鹿フェイスとこんにちは。
「あぁぁ……お空がまわるぅぅ~~?」
「医者──! 誰か医者ぁぁぁぁ!!!」
さながら悲劇の主人公バリに助けを求めてしまう。響き渡る助けを求める声、四方に木霊する残響。
──俺が『コス用お医者さんセット』の存在を思い出すまで、後三分。
──ー
──
ー
さてさて、ここで診断結果でました!
軽い脳震盪と、魔力じゅ、じゅ……? 読めんのでこっちはパス!!
現在俺は着けていたマントを日陰の地面に敷き、倒れた娘を安静な状態にさせている。
聴診器モードの『コス用お医者さんセット』をドクターバックに戻すと分かったことを再確認する。
「症状項目にあった軽い脳震盪の方がさっきの墜落で、ぶっ倒れた直接の原因だな。一先ずは寝かしたまま安静にするってのでいいんだが……」
どうやら頭をぶつけた事は本当に大したこと無いようで一安心。しかしまた別の問題が俺に襲いかかって来やがった!
「……この娘さん、とんでもない爆弾を抱えてやがるッ!!!」
この『爆弾』とは、育成ゲームにあるような肩や膝に持つアレではない。文字通り、ダイナマイツ!! な女性の最終兵器のことを差す言葉である。
「うううん……」
プルン♥️プルルン♥️
意識が戻りかけているのか、小さな身動ぎをしただけだというのに二つのバクダンバストが暴れるわ暴れるわ。
「こ、こんなことが……」
魔術都市学園の制服なのだろう、ブレザーの内に何とか収まっている状態のバクダンが、窮屈の原因であるボタンをギリギリと引きちぎろうとしていやがる。
バチンッ
「あっ」
ブレザーのボタンさん殉職、弾けとんでどこかに旅立たれました。
そして飛び出した二つの巨砲が薄手のブラウスをパンパンに引っ張りながら、解放感満喫中☆とでもいうかのように自由を謳歌し始める。
薄手の白い服ってのは、中の肌色が透けて見えるから目のやり場に困る……
すっと目を反らすと、俺の中の
男たるもの、寝室の外では常に紳士でありたい。
よって
……もみゅん♥️
「うゅぅん♥️」
「はっ!? 手が吸い寄せられた!?」
巨星の中心に向かって働く
ブラウス越しに伝わってくる体温を手に感じ、乗せただけで浅く沈む魅惑の球体の感触に手を放すことができないっ!!
もみゅん♥️もみゅん♥️……モミモミモミモミ♥️
「うぅ♥️ふぅぅぅ♥️」
「さ、逆らいがたい感触……人をダメにするクッションより凶悪だぞこれは……!!」
紳士の中の紳士である俺とあろう者が、ああっ、手が……勝手にっ!!
「ふぁっ♥️ううふぅ……♥️」
この戦い、どうやらとんでもないことになりそうだぜっ!! ──ーモミモミ♥️
セーラーかブレザーかはあまり悩みませんでした。
『学園』はブレザーなイメージががが…