正体不明のマスク美女の襲撃を受け、事件の黒幕だった自称天才錬金術師コルル・シュタインをまんまと連れ去られた俺達。
ぶち破られた部屋の窓もそのまま、結局4ラウンドほどおセ○クスやガチャ排出を継続、リリの姐さんってば窓が開いていようがお構い無しに続けるんだからマジ情熱的っ。
そうこうして俺は彼女が満足いくまで搾り取られお相手し、身支度を整えた頃にはすっかり日も昇りきっていた。これからコルルとマスク美女の後を追い、再び捕まえるのはもはや不可能だろう。
くっ、まんまと逃げられてしまった!
「しかしまあ、いつまでもベットの上でだらけている訳にもいかないよな……よしっ!」
「ん~ふぅ、おっ? 君も起きたねぇ」
気持ちを切り替えてる所で、全開の窓(強制)の前で朝の町の賑わいをダイレクトに浴び伸びをしていたリーリヤがこちらを振り向く。つやっつやです、はい。
「さてさて、それじゃあこれからどうしよっか?」
「どうすっかな~」
切り替えた気持ちと共に計画も一新され現在ノープラン、目的や手掛かり無く街を探した所で消息を掴めるとは思えないし、どないしましょ?
「君の力で一回手ごめにした子は居場所がわかったりしないの?」
なにそれ怖っ! てか言い方!? いや、あんまり間違ってないのか……? でも手ごめって……人聞きの悪い。
「……そんな怖い能力は無い! ……はず」
確かに俺のスキルはガチャのお陰で便利なモノからどこで使うかわからない謎スキルまで多種多様である。だとしても人探しに使えそうなスキルは今のところ思い当たらな……おっ? この『痕跡サーチ』ってスキルはどうだ…………? 使い方が分からんが、とりあえず昨日の二人を思い浮かべて……発動!!
“──検索しました、…………終了します”
「……」
「……?」
…………えっ、終わり? 俺達の捜索は始まってすらいないのにスキルからは終了のアナウンス。とうぜん周りにヤツらは居ない、そうですか……ダメですか……
「……やっぱり、そんな便利なスキルは無い!」
「そっか~、ざんねん」
全てを悟った様な力強い断言に、大して残念そうになく相づちを打つリーリヤ。
「リリもあの仮面の女見覚えあったりしないのか? ありゃ間違いなくエルフだろ。目元しか隠れてなかったから種族バレバレだったし……」
「耳どころか顔の輪郭とか髪型も丸出しだったよね……特に耳を隠さないのは致命的。ん~、実のところ……知り合いかもしれないんだよね~?」
「……マジですか」
「たぶんだよ? たぶん」
「じゃあ思い当たる節があっ「いや、流石にそれはな……い? うん、ない……はず」
被せ気味の否定だが、それも余り自信は無いようで珍しく歯切れが悪い。
「でもまあ、無理に追いかける必要ないって。私も仮面の方の子とはあんまり再会したくはないって言うか……それに錬金術師の子も最後は反省して謝ってたじゃん?」
「うむぅ」
確かに、コルルは事の後半では『もうしましぇん』とか『許してぇ♥️』と言っていたからな……再犯の可能性は低かろう。
「ほら、過ぎた事よりも先のことだよ! こんなに良い天気なんだしそろそろ外にでようか?」
「……そうだな、そうするか!」
そうこうして宿に事情を説明して修繕費を支払い外にでた。無論修繕費は俺持ちだ、おのれ襲撃者め……
「フンフン~♪ フフ~ン♪」
恨めしがっている俺とは対照的にご機嫌なリーリヤさん。こちらの腕を引きながら先を歩くが、その足取りは軽やか。
先程からあっちにフラフラ、こっちにフラフラと町の中で気ままなデート状態だ。
どれくらいか歩いた所で町の広場へと差し掛かる。リーリヤは何かに気がいたのか、歩きながらも「焼き鳥はタレか塩か」の話をぶった切り小声で教えてくれる。
「このまま歩いて! つけられてる」
「……ん? えっ!?」
チラリと背後を伺うが、人混みであるとしか分からない。この雑踏の中からどうすればわかるんだ?
「よーし、このままあの路地に入ろう。奥の角で曲がるよ」
「わかった」
ちんぷんかんぷんの俺とは違い、出来る狩人リーリヤさんが周りの雑踏のどこかに潜む尾行者の対処方針を示してくれる。実に頼りになる。
「──ー!!」
スルリと人混みを通り抜け大通りから路地へと入り込み、更に角を曲がった所で待ち伏せる。後を着けていたストーカーも俺達を一時的に見失ったのだろう、通りの方から近寄ってくる気配を感じる。
「よーし、もっと寄ってくれるかな? 魔法で姿を隠しちゃうから」
「了解」
お許しもでたのでリーリヤを抱え込むように体を寄せ、すっぽりと彼女の体を両腕の中におさめる。しかし、それでもまだ足りないと、更に彼女は腕を抱き寄せ服越しに体温と鼓動を感じ程に密着させる。
すんすん鼻を鳴らして呼吸を整え満足し、にやけてゆるんだ口を開いて宣言する。
「ぬふふ、よーしそれじゃ始めるよ。あんまり動いたらダメだかんね~『シャドウハイド』」
魔法を唱える。こちらから見える視界がうっすらと暗くなった気がするが、これで外側から隠蔽できてると言うことだろうか。
「……これで隠れれたのか?」
「しっ、……丁度向こうも来たみたい」
「くっ、……いない!? そんなっ、痕跡も消えてっ!? 嘘、見失なった……」
タイミング良く路地に表れたのは一人の女エルフ。
小走りからの急ブレーキでなびく若葉色の髪、背丈はそれほど高くなく、美しいよりも可愛いによった印象の美女エルフちゃんだ。
……というか、仮面を着けていないだけで服装が昨夜見たそのまんまのダークでスマートな怪盗スタイルなので一発でわかる。昼間だとそれ目立たない?
「うわ、やっぱりあの子じゃん……」
リーリヤが追っ手を見て呟く。
「そうだな、昨日の仮面の襲撃者だ……まったく、あの目立つ格好のままで来やがるなんて、ふてえヤツだ」
追ってきたエルフをみて俺も頷く。
「あ、いや、……そうじゃなくってね?」
もにょもにょと小声で話すリーリヤの声はよく聞き取れない、……そうか! 確かに隠れてる最中に声を荒げるのはよろしくないな、いかんいかん。
そうして自戒しているうちに、俺達を見失ったエルフとがわなわな震えていたエルフが下げていた顔を上げて声を荒げる始める。
「やはりあれはリーリヤお姉さまでした! まさか故郷を出られて男を……じゃなかった、コルルの仇として逃がすわけには……そしてあの憎き男からお姉さまを取り戻し──」
悔し気に爪を噛む美女が聞き捨てならないセリフを口にする。
今彼女
腕の中の彼女をのぞき込む。
「あちゃ~、やっぱりか~」
「あちゃ~?」
片目を瞑って首をひねるリーリヤ。
あまり再開したくない知り合いがアレだとわかりやすいリアクション。
「ああっ、街の薄暗い路地でお姉さまが男と二人っきりだなんて……、っ!? 感じる、感じるわ! 今御姉様は汚らわしい男なんぞに腕を引かれて麗しき唇を──―」
感情の揺れが激しいのか、わなわなと蠢く両手の指がせわしない。
どういう原理なのか結んだツインテールが風もないのに揺らめく。
「ああっ、そんなっ!? 御姉様の体が私以外の……まして人間族の男になんてっ……グギギギギ──―」
ちょっとリリさん、このお嬢さんこんなこと言ってますよ?
それに、なんだか……随分と……ねぇ?
「そもそも男なぞに
「ハッ!? そもそも人質とされている大切な人とは御姉様と姉妹の契りを交わしたこの私のはず!? であれば居もしない人質の為に御姉様が!?」
いけません御姉様ーッ! 私は無事なんですー!! と虚空に手をかざすエルフ。俺から見た感じ全然無事には見えないんですけど、この子。
「……妹?」
指は指せないので目線で示して聞いてみる。
ガッと顔を上げたリーリヤが、ブンブン首を振って否定する。
「違う違う違うっ! シーシェラは故郷に居た時の友達で、単なる後輩というか、なんというか」
「でも姉妹の契りって……」
故郷では百合の花香るご関係だったとか?
「してないしてない!」
「ああっ! やはり旅立つとおっしゃられた時に無理矢理にでもお引き留めするべきでした! あの時の私のバカッ! なぜ永続束縛術式の構築に百年早く取りかからなかったの!? バカバカっ!」
「御姉様と私のラブラブ生活が……おはようからおやすみまで、お食事からお排泄まで全てをお世話できる夢の生活が……くぅぅぅ!!」
「「ヒェッ……」」
テシテシと地面を拳で叩くシーシェラ。
悲劇のヒロインによる過去の懺悔風だが、後半は言ってることがヤベー内容でしかない。
「御姉様──ーッ! カム、バ──ークッ!」
路地裏に響く悲鳴が虚しくこだまするが、当然返事はない……
「……シシェ、前より悪化してるよ」
「……oh」
その一言で大体の察しがつく。
リーリヤの呟きを聞いた俺は、一先ず彼女の頭を優しく撫でることにした。
拙者、感情の揺らめきで長い髪が揺れるの好き侍。
但しおなごに限る。