「……故郷にいた頃は普通に良い子だったんだけどなぁ」
両手で顔を覆いながらも目の前でヤバい事いう旧友を庇うリーリヤさん。
「普通に? 良い子??」
視覚情報に限っては路地裏で突っ伏してる悲劇のエルフ。しかしそこに聴覚が加われば、やれ御姉様は私だけのだの、やれ子供は自分が三人産んで四人産んで貰うだの、やれ
「……あれで?」
「……た、たしかにちょ──ーっと、スキンシップが激しかったり? 家にやたらとお泊まりしたがったり? 公衆浴場ではほぼ100%鉢合わせたり?」
顔を上げて思い当たる事案を指折り数えながら教えてくれるが、その時点でも既にちょっとで済まなそうな節が……
「家にきたら家事とかも手伝ってくれて。そうそう、食器とか服を頻繁にプレゼントしてくれたりもして……うん? でも物で溢れかえらなかったのは何でだろ? そういえば古い物を捨てたりした記憶が無いような……」
「あー……」
途中で首を傾げるリーリヤ、彼女との思い出を遡る道で気がついてはいけない可能性にも寄り道しているらしい。いかんぞ、それ以上は泥沼にはまる道だ。
「はあっ、はあっ、ごふっ!! いけません叫び過ぎましたか、……お、御姉様成分を補給しないと……」
見失ったリーリヤを求めて叫び過ぎたシーシェラが喉にダメージを負い咳き込む。ちゃんと息吸えよ、まじで……
フーフーと荒い息のままガサゴソと上着の内に手を入れ何かを取り出すシーシェラ。あれは……ハンカチ? 薄い質感の良さそうな布地、持ち歩く小物にまでお金を掛けれるとは以外と裕福なのか……?
「ス──ハ──、ス──ハ──……うへへ……おねいさまぁ♡♡ああ、おねいさまのぬくもりぃぃ♡♡」
口元に当ててトリップするシーシェラ。
「!!!」
その様子を同じく見守っていたリーリヤが腕のなかで身をよじる。
「ど、どうした?」
「ああ、あれっ。私の……、し……」
「し?」
リーリヤのし? ハンカチの“ハ”では無く“し”と来ましたか、どれどれもう一度良く観察して──
「……はぁはぁ、くんかくんか……♥️ぁあ! もう辛抱なりませんっ!!!」
シーシェラが口元に当てていた布を両手に持ち替える。
そして両手で広げると……
「──装っ着☆……フォオオオオオオオ!」 挿絵
叫び声を上げながら両膝を地につけ叫ぶ、まさかのニースライディングポーズである。
……あっ、シーシェラが持ってた布を開いて顔に被ったから形が分かりやすくなった。
うん、あれは……誰が見ても一目瞭然、女性物のパンツですね!
つまりあれは、リーリヤさんの下着みたいです!!
「みゃぁぁあ゛あ゛!?」
お顔真っ赤のリーリヤさん。普段はパンツなんぞ部屋で脱ぎ散らかしてる癖に、この様なタイミング、更にあのような使用方法をされるのは恥ずかしいらしい。
ふむふむ、しかしあのデザインを見るに……
「…………リーリヤお前、昔と趣味が変わった?」
「ツッコムとこそこじゃないでしょっ!?」
むう、顔に被れるタイプの下着だったので気になって聞いたら怒られてしまった……解せぬ。
「うへへへ、御姉様らしい柔らかな体臭♥️そして私の鼻を包むクロッチから感じられる芳醇な……あ゛~~ぁぁ♥️高まるぅぅぅぅ~♥️んっくっ!! ♥️」
だいぶ高まっているのか
「「へ、変態だぁ──!!!!」」
「──ッ!? だれっ!?」
「あっ……」
シンクロした心の叫びが路地に響き渡ったせいか、折角の魔法が解け、腹筋力のみで上体を起こした変態とバッチリ目が合う。やべ、見つかった!
「御姉様!? と、人間族の雄! そんなところに隠れていましたか!」
愛しの御姉様を見つけたシーシェラはこちらに近寄る為にと立ち上がろうとするが……
「あひんっ♥️……!? しまった……! こ、腰がっ……♥️」
立てた膝から力が抜けたのか、ペタんと尻餅を着いてしまうシーシェラ。
手を地面につき、いうことを聞かない自分の足を見て悔やむ。
「くっ! 御姉様成分の回復を優先しすぎました……」
「な、な、なななななっ!?!?」
「御姉様成分……」
「君もソコを繰り返して言わないで!?」
謎の単語だが言わんとすることが分かる。
つまりリーリヤの……
「ス──、ハ──、あ゛ぁぁ……この六百歳2日穿きのおパンツでは強力過ぎて足腰が立ちませんっ!!」
「なぁぁぁああああ!?!?!?!?」
「……二日穿きで強力すぎる!?」
「にゃぁぁ!? 君もなんでソコに食いつくの!?!?」
悔し気に吐き捨てられたセリフに耳まで真っ赤にするリーリヤさん。
おい、そこの変態エルフ! ウチの可愛いリリさんに何言うんだ! 困ってるだろ!?
そうですよね!? そんな言い方、まるで自分のパンツが臭いって言われているみたいですもんね!?
「あっ、当然臭くなんてありませんよ!? だだこの香りの奥に僅かに残る熟れた果実のような……」
「ああ……、あれね……うんうん」
「ちょっ!? なんで君も頷いてるのぉ!?!?」
わたわたと荒ぶるリーリヤさんをしり目に再び立ち上がろうとするシーシェラ。
「くっ……!」
が、ダメ。
再び膝を落としてしまう。
いかん! あれは
「せめてこの、八百五十歳1日穿きに抑えておけばっ……!!」
「……あ、ちょっとデザインが今風だ……」
「きゃぁぁ!? 何もう一個取り出してんのさ! 君も凝視しないでよ!!!!」
……なるほど、着ていた時の好みで年代も変わってくるのか。
などと、ついつい抱きかかえているリリさんの臀部に視線が。
「こ、こっちを見るのも禁止!! 今穿いてるの思い出して比べないで!!!」
そんなところも鋭いリーリヤさん。
「こうなればこのまま♥️す──は──、す──ーは──……ああっ、鼻腔がぁっ♥️はぁはぁ……」
もはや開き直ってパンツを堪能しだした変態が呼吸を荒げる。
心なしか片手が股の方に伸びているような……
そこからは俺が止める間など無く、見逃してしまう程速かった。
「やめんかぁ────!!」
「あっ♡御姉さ──」
体を抱えていた腕を外し、ゼロ距離まで一気に迫ると速度と慣性を乗せた拳で──―
バキッ!
「──はぐぅぅ!?!?」
変態の頬を綺麗に捉え吹き飛ばした、後衛にしとくには勿体無いパンチだ。
────ベチャッ……
「お、御姉様の愛は、相変わらずヘヴィ……ですわ……ガクッ」
「……うわ~」
シーシェラはそのまま気を失った。
────
──ー
──
「これもっ! ……これも、これもぉぉ!? 一体何着くすねてるのよこの子ぉ!?」
「やんっ♡あんっ♡♡御姉様ったらそんなご無体な♡」
HENTAIエルフをふん縛り、持ち物をあらためるリーリヤさん。
マジックアイテムなのか魔法なのか、上着の内側から女物の下着がでるわでるわ……
枚数で幾つ? などと数えるレベルではない、……このエルフのお嬢ちゃんパンツ屋さんでも開くの?
「……もう中から出てこないわね、これで全部……よね……?」
そしてようやくシルクの山の成長が止まる。
結果を見れば『脱衣籠三つ分』という驚異の枚数にもはや関心してしまう。
「そもそも御姉様! このおパンツ達ですが、私がくすねただなんて誤解です! 私はただ、御姉様の身の回りをお世話する一環でお洗濯の際たまたま……そう、たまたま洗い忘れてしまっていた品を…………脱ぎたての温もりが消えぬうちに時空間魔法で固定して個別に保存して手元に置いておいただけです!! 」
「そんなたまたまがあってたまるかぁぁぁぁ!?!?」
ベチ────ンッ!!!
「──ぐべらっ!?」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「ぐはぁ……♡はぁ……はぁ……♡御姉様のお手が私の頬に……ぐへへへ♡」
ほっぺに手のあとがくっきり付いているのに気持ち悪い笑顔を浮かべる御姉様ラヴの化身。
折檻がご褒美にしかなっていないとか、そんなことあるんですね。
「シシェの変態っ! 変態エルフっ! HENTAIパンツ娘ッ!!」
「ああっ♡もっと! もっと私を罵って御姉様♡!! そう、御姉様の視界も思考も私で満たしてくださいぃ♡♡」
「うううぅぅ、うううぅぅぅぅ……」
シーシェラが恍惚の表情で罵倒を求め、相手をしていたリーリヤさんが遂に泣き出してしまう。
物理ダメージを無効どころか吸収して強くなるって反則だよね……
[女神メモ]
エルフの若者シーシェラちゃんは先輩エルフリーリヤさんの言う通り、故郷ではここまで変態なのはバレて無かったゾッ☆ミ
ただ先輩が故郷から旅立ってからは、会えない時間積もって変態を熟成させちゃったみたい☆ミ