リーリヤさんによる作戦名『再会した同郷の性的に狙ってくる厄介な妹分を竿姉妹として俺に押し付けちゃえ作戦』(作戦名は後の供述により判明)が無事成功。
荒療治ではあったが御姉様に子を産ませたい&産みたい病末期だったシーシェラの心の歪みは矯正され、御姉様と同じ子種で孕み産みたい……位にまで矛先を逸らすことに成功。
煮立った狂愛は、快楽を伴う
かくして、俺とリーリヤは彼女から更なる情報を聞き出そうとしているのだが……
「……待って待って、ちょっと頭が痛いんだけど」
「……リリもか? 良かった俺だけかと思った」
「なんです! お二人で私に話させておいて頭が痛いなど……、昨夜にお酒の飲み過ぎではありませんの?」
頭を抱える俺とリリに対しシーシェラはプリプリ怒りながら、俺達の頭痛の原因は二日酔いなのでしょう?と咎めなさる。
「あんたねぇ、さっきまで一緒にアヘってたんだから別に何とも無かったって分かるでしょうに。今、私達の頭が痛いのはあんたの話のせいよ」
「なんならもう、また酒を飲み始める時間だからなぁ……むしろ酒でも飲まんと聞いてられない内容だったから困ってるんだよ……」
「あらそうですか、それは失礼しました」
しれっと言ってのける豪胆さは
「ともかく! 私は御姉様を孕ませる為にあらゆる手段を模索し、ようやくたどり着いた先が我ら『明けの明星』の幹部、
自信満々にそう言ってのけるシーシェラちゃん。
なんでも、愛する御姉様に子を産ませる云々は、女性にはない性器*1を自ら生やしてファ○クするしかない!! と結論付け、それらを研究するうちに似た思想を持った者が集ってしまったらしい。
それぞれが想い人(もしくは異性)に対して確固たる歪んだ欲望を果たさんと、暗い闇夜を乗り越え暁の空に輝かんとする組織なのだそうだ。そんなのもう一生明けない星であって欲しい。
「因みに私は『両性具有』を研究し、この前回収した
ああ、なんか連れ去るとき「同士」だとかいってたものね、それでか。
「それじゃああれかい、四導師ってことは君意外にもまだ三人も似たような子がいるの?」
「いいえ、導師と呼ばれる地位の子は私と先程話したコルルと後一人ですけれど?」
「…えっ?」
「えっ?」
ポカンと小首を傾げるシーシェラさん。
いや、えっ? じゃないのだが……
「よ、四導師と呼ばれる幹部なんだよね?」
「ええ、いかにも」
「それで他の幹部は?」
「ですから、貴方と御姉様も知っている飲んだくれのコルルと、後一人のあわせて三人です!」
「四人居ねぇじゃねえか!!!」
今日一の声量が飛び出し、勢い余ってズッコケそうになるのを堪える。
咄嗟に耳を抑えて鼓膜を守ったエルフは胸の前で腕を組み、眉を吊り上げ非難してくる。
「なんです五月蝿い殿方ですね、人数など些細な違いじゃないですか!」
「そうだよ~、別に人生長く生きてりゃ数が会わない事くらいあるって。君も一度はあるでしょ、そういうこと」
後ろからもそんな同意の意見が。
「待って、俺がこの場で少数派なの? 嘘でしょっ!? 『明けの明星』とか組織名まで名乗って幹部まで決めてるのに数が合わないのは些細で済まされる事なの!?」
シーシェラ側にまさかの寝返りを見せるリーリヤさんに動揺を隠せない俺。
ここは譲れないぞと、二人に幹部やら四天王のロマンを説くがイマイチ反応が悪い。
「四導師って言うなら、名乗られた側だって『これだけ強い奴が他にも後三人!?』って思わせる数字ありきの称号なんだよ? 只の呼び名じゃなくて重みがあるんだよ重みが!」
「そもそもまだ人数も多くなくて、他の同士達は実力が皆似たり寄ったりですし……」
「それならせめてもう少し地盤を整えてからとかさぁ!?」
「いえ、それについては近い内に実力を示した者を起用するつもりでしたし……」
「君たちの言う
「えー、それをいうなら人間が最近作った世界地図だって四大陸って描いてるけどぉ、本当は五大陸だし数あってないじゃん?」
「リリさん、それ五百年前の知識だってこの間教えたよね? 今は神災によって沈んだ幻の大地だって言われてる大地だから、そこは!!」
「あ? そうだったっけ!?」
「えっ!? そうなんですか!?」
二人して同じような顔で愕然としだすエルフさん達。
ん~、この長寿族特有のアバウトさよ!!
「ぬぁぁ! せめて初めは三耀星とかにして増えたら四導師にとかさぁ……」
もはや尋問で情報を得る事なんぞそっちのけで組織の構成からコンサルティングしそうになるが──
ブォォン……ピカーーーーン!!
「うおっ!? なんだっ!」
「きゃっ!?」
突如室内を満たした眩い光に怯んでしまう。
「うふふ、ウフフフフフ……」
光に満ちた室内に響く女の笑い声、しかし霞む視界ではその声の主を見つけることが出来ない……
「……ふん、来ましたね」
目の前で落ち着きを払いつつも、どこかバツの悪そうにそうごちるシーシェラ。
「待たせたわね同士シーシェラ! そして我ら『明けの明星』に仇なす男と女よ!!」
「な、誰だっ!?」
「ウフフ、フゥーフフフフ……『逆召喚』っ!!」
キュパ──ンッ☆☆
声高らかなかけ声と共に、無秩序に照らし散らしていた光が集束し、いつの間にか足元にあった魔方陣へと光の粒子となり吸い込まれる。
どこか既視感を覚えるビバ・召喚な演出を一通り終えるとボワワンと濃い煙が広がり一瞬の浮遊感が身を襲う。そしてようやく晴れた煙の中から一人の女性が現れた。
「良く来たわね我らに仇なす者共よ! 今貴方達が目にしている
ババ──ン!!とポンチョをひるがえし、身の丈はあろうかという杖を構えて決めポーズ。
「「!?」」
煙の晴れきった部屋は既に先程までいた宿の一室とは異なり、どことも知れない薄暗いレンガ作りの広間に変わっていた。
「なっ!? 転移させられた!?」
「えっ、何処ここ……」
一瞬の速業に混乱する俺達に、女は余裕の表情で近寄り値踏みするようにこちらを観察する。
「ふふん、我らが組織の優秀な魔術師と錬金術師がお世話になったわね? その幸運とも呼べる手腕、誉めてあげるわ……!」
こちらに杖を向けながら、フフフンと自信満々にそう言ってのける彼女は、なんともまあ破壊力の高いお体をボディラインの主張するタイトなワンピースに押し込めたお姉さんだ。
飴色のふんわりヘヤーと優しげな垂れ気味の目元が安心感を与える癖に、そのファッションセンスのせいでご近所のお子さんに悪影響を及ぼし兼ねない危うさが見受けられる。総計としましては、素敵な別嬪さんですね。薄暗いお部屋のせいか、アダルティーさも相まって誠に宜しい。
「ちょっとルーフェン、いつから私達が三輝星になったのよ? 四人の導師として世の性癖を正しましょうって話してたじゃない……」
「あ──ー! 三輝星よ! 貴女と私と同士コルル、三人で明けの明星の三輝星でしょ!? 始めっからそうだったわー!? ねー、そうでしょ同士シーシェラ?」
「「「えぇ……」」」
素敵な別嬪さんなのだが、なかなかにアクの強い幹部さんらしい。どうやってかさっきの俺たちの会話を盗み聞きしていたらしく、自分達の呼称を自分の一存のみでひっくり返す傲慢さ。
これは四天王最強かもしれない……あ、四導師だっけ?
「……こほん! しかし同士シーシェラ、今まで三人の幹部として組織を引っ張ってき私達にも匹敵する、新たな幹部を呼び出す召喚契約がついさっき完成したの! その召喚の儀に幹部である貴女が立ち会わなくては『明けの明星』の威信にかかわるわ!」
「ねえルーフェン、今あたしも大事な触媒を培養してる最中だからとっとと済ませて元の場所に戻して欲しいんだけど!」
広間の別の端にいた見覚えのあるチミッ子が同じくルーフェンに文句を言う。
「なによ同士コルルまで!良いじゃない、少し位前口上を述べる時間があったって! 真の成果の発表には段取りってものがあるのは分かるでしょ!?」
むううぅ……と、ルーフェン嬢の言い分にも思うところが有るのか不満をおさえて唸るコルルちゃん。どうやら俺達と同じく一方的にこの場に召喚されたらしいが俺やリリのような動揺が見られない事から、既に何度か体験済みの事態らしい。
チラッとこっちを見て目が合ったのを確認したか、フリフリと手を振っている。……あの娘呑気か!?
「どうやら同意を得られたようね、ありがとう。さあさあ貴女達二人をそんな目に合わせた二人に目にもの見せてやるわよ? この呼び出されし悪魔を従え、新たに四導師と名を改め世の性癖に変革をもたらしましょう!!」
そして広間の石畳に燦然と輝く魔法陣が浮き上がり、高まる魔力が渦を巻まいてゆく!!!
「顕現せよ! 『大いなる欲を内包せし悪魔』よ!!! 『大召喚』!!!」
突如として現れた召喚術師の大魔法を止める術など俺達には無く、ただただ魔法陣から湧き上がる膨大な魔力に押し流されないように踏みとどまる事しかできないのであった。