こちらも作者が気が付いた時にニヤついております。
トンカン、トンカン、トントンカン
「……ふぃ~、雨漏りはコレで大丈夫かな」
場所は移ってソルテ教の教会、屋根の上。
「おら~ガキ共~!もう屋根の下近付いてもいいぞ~~」
「は──い」
「わ──」
「きゃ~」
作業も終わったので庭で遊んでいる子供達に立ち入り禁止終了を伝え叫ぶ。
シスターの婆さんが普段からちゃんと言い聞かせているお陰か、作業中その辺の言うことは守ってくれていた。
素直で助かるな、ほんと。
「ほいほい、窓際のお前らも作業は終わりだ~もう見るもん無いぞ~?遊びに戻れ~」
「わ~い」
「えー、もっと釘打ってー!」
「トンカン~トントン~」
道具の出し入れに使っていた屋根際の窓に集っていた子供達も解散させる。自作なのか木と板紙でできたトンカチ擬きを持って釘打つ真似をするチビッ子までいる。
暫くは大工ごっこ遊びが孤児院で流行るかもしれんな。
俺の真似して屋根に登らんように、後でシスターさんに注意してもらわんと……
「よいしょっと……あ~、マリアさんはどこだ?」
屋根から教会内へと戻りシスターマリアを探す。
すると、ぱたぱたと小走りにこちらに近寄ってくるマリアさんの姿が。
「使徒様~、はぁ、はぁ……屋根の修理が済んだのですね?ありがとうございました」
「おお、マリアさん。ええ、修理は終わりましたんで!よく分かりましたね?」
「はい、使徒様が外の子供達に呼び掛けてるのが聞こえましたので、走って来ちゃいました」
「ああ、なるほど……」
いいタイミングで現れたのはそう言うわけか。しかし外で子供達の様子を見てたのなら教会の三階まで急いで来てくれんでも……疲れるだろうに、これが若さか?
「ふぅ……、さて、お茶をご用意しますので飲んで行って下さい。外で作業されていたので喉もお渇きでしょう?」
「それは有難い、ご馳走になります」
「はい♪さあ行きましょうか」
道具箱片手に先を行くマリアさんについて行く。
そして下の階へと向かう戻り道にて、事件は起こった…………
コツ……、コツ……、カツン──
「雨の多い時期に入る前に直せてよかったです、教会へお祈りに来られる方も多いですし、何よりの子供達が濡れた床で転んだりするので──ー」
「ああ、たしかにチビッ子達は走ってまわりますからね。シスターさん達が言っても聞かない子ばっかりでしょう?」
「うふふ……お返事は元気で良いのですが、そのまま走って戻っていくのもしばしばで……子供ですからね」
朗らかに笑いながらそんな話をしてくれるマリアさん。
やはり子供が可愛いのだろう、元気でいてくれるのは嬉しい半分困った半分といったところか。
カツン……、コツ……、コツ──
……プチ────ンッ!!
「ん?」
「──ッ!?」
階段を下りる俺たちの足音とは別に、何か小さな鋭い音が聞こえた。……なんだ?
マリアさんも音が聞こえたタイミングで足を止めたから同じ音を聞いたかもしれない。
「マリアさん、今何か音が……?」
「へっ!?え、あっ……い、いいえ!私には聞こえなかったかしら……」
「……そうですか?俺の気のせいかな……?」
マリアさんには聞こえていなかったらしい。
なら俺の気のせいか?
「…………」
「さ、さあ使徒様、下へ向かいましょう?」
「ああ、すみません途中で立ち止まってしまって。そうですね行きますか」
耳をすましていても特に何も聞こえなかったので気のせいだったと結論付け、下へと向かう。
……すると
コツ……、コツ……
カツ────ン!カッ、カッ、コロロ……
「ん!?」
「はきゃっ!?」
今度は何かが階段に落ちた音が響き、跳ねて足元を転がって行く。
上から……というか、直ぐ後ろから……?
踊場へコロコロと転がっていった“何か”はとても小さく、ハッキリと姿を見ることは出来なかった……
「……何か丸い物が転がって?……石?いや、ドングリとかか?」
……コッ
踊場の
俺はそのまま踊場へと下る。
「し、使徒様っ……!」
一息に階段をかけ降りる俺をマリアさんが呼ぶ。
大丈夫ですよ、チビッ子じゃないですから階段を踏み外して転がり落ちたりしませんって!
手を伸ばして制止にかかるマリアさんをしり目に降り立った踊場の床を見渡すと、隅の方に小さな丸いものが……!
「おっ!あったぞ!!」
「──ッ!?!?!?」
屈み込んでソレを指で摘まむ。
「ん~?これは……」
「し、使徒様っ!まっ……!」
拾い上げて視てみると、それは球体のガラス玉で、真ん中に穴が空いている。
「はわわわわっ」
トッ…………ストッ……
そしてほのかに温もりと湿り気が────
「はひっ!?やぁぁ──ッ!?」
「えっ!?マリアさ──」
何故か悲鳴を上げたマリアさんの方に振り返る。
すると彼女の足元から……
カシャ──ン、ジャララララ……
カツーンッ!バラララ……
「きゃぁぁぁぁあ────!?!?」
「うぇぇぇえええ!?!?」
階段とシスター服の隙間から、ジャラジャラと小さなソレが跳ね転がり落ちる。
カッカッカッ────
バララララ────
「やぁぁ……待ってぇぇ……」
弱々しく嘆くマリアさんの言葉は、ロングスカートの裾から転がり落ちて行くそれらに対してか、それとも……
「いやぁぁあ……使徒様、見ないでくださいぃぃ……」
跳ねた玉を何発も食らった俺に対してか。
───
──
─
階段に散らばったガラス玉達を広い集めた俺は、もはやお茶どころでは無くなったマリアさんに連れられ二階の彼女の私室へと連行された。
しかし部屋に入るなりテンパったマリアさんが捲し立てる誤魔化しの台詞を浴びるはめとなったのである。
「ふうぅぅぅぅ……ううぅぅぅ」
「……つまり、さっきの音はこの“下着”の紐が切れた音で、そこからバラバラとガラス玉達が落っこちてしまったのがコレらであると?」
「は、はぃぃぃ……♥️」
「……はぁ」
ついさっきまでは腰元に付けていたベルトの一部だとか、太ももに巻いていたガーターアクセだとか証言を二転三転させていたが、ようやくこれはショーツの一部であるという事実を認めたマリアさん。
あくまでしらを切り続ける彼女に『じゃあその壊れたアクセサリーを外して見せてください、直しますよ?』とか『このガラス玉、何となく穴の縁に汚れが……?』とか言ってゆさぶりをかけたのが大層効いたらしい。
どれもこれも同じデザインの下着の存在を事前に知っていたから出来た駆け引きだったぜ……
「そそ、それでそのぉ……使徒様が拾ってくださったその玉は、私のその……ボソボソ……に直接触れてたモノですので、で、で……、出来ればもう返して頂けたらと……」
「あ、ああ……そうですね、わかりました」
数珠部分の返却を求めるノーパンシスターマリア。
ここでいたずらっ子が如く『嫌だいっ!これは全部拾ったオイラのもんだい!』と駄々をこねても良いのだが、ギリギリのところで俺の良心が競り勝った。
素直に集めたガラス玉を返してあげる。
「ありがとうございましゅぅ……」
差し出された小箱にバラバラと集めた玉を入れると蚊の鳴くような声で礼を言われる。
……ここで手の匂いを嗅いだら怒られるかな?
「……いえいえ、いいんですよ」
そんな悪魔の囁きにも耐えて俺は笑顔で答える。
ここでふと思う、これはもしやチャンスなのではないだろうか?
何のチャンスかって?そりゃあ、アレですよ“アレ”……
「……ところでマリアさん」
「ひゃい!?」
「……取って食おうってんじゃないんですから、そんな怯えないでください」
「ひゃ、は、はいぃ……しゅみません……」
「まあいいですけど……それで実は、貴女に見て欲しい物が有りまして」
過剰反応する紐切れパンツシスターを落ち着かせながら、朝方に俺を悩ませていた一品を取り出す。
「コレなんですけどね?」
「はい……?こ、これは……!!」
一目見ただけでマリアの表情が変わる。
それは先程までの、羞恥に濡れる涙目のしおしお赤面シスターではなく、興奮冷めやらぬ驚きに満ちた表情。
「あ、手にとって見てもらっても構いませんよ?何かご存知なんですか?」
「し、失礼します……」
ワナワナと揺れる手でそっとソレを持ち上げるマリア。
「やはりこれは……!バタフライナイトの新作『愛の女神の雫』!?!?」
エチエチショーツシスター、まさかの品名特定。
「えっ?バナ……フラ……?……かみの雫?」
対する俺はちんぷんかんぷん。
「使徒様はご存知ないのですか!?でしたらご説明しましょうか!?」
「え、あ、はい、お願いします……」
マリアさんの物凄い圧に負けてご説明して頂くことに、以下解説。
『まず「バタフライナイト」というのは夜の国発祥の女性用下着ブランドの名前です。私も好きなブランドで度々商品を買ったりしてるんですけれど、どれもデザインが素敵で尚且つ着心地も抜群で人気のデザインだと直ぐに売り切れてしまってなかなかてに入らない物も多いんです!特に意中の男性にアタックをかけたい貴族の方々に人気で、嫁入り前に母親が娘に買い与えたり!その場で母親も自分の分を一緒に買って夜にはもう一人子供が欲しいわ♥️と誘惑したりと幅広い年齢層にも対応できる豊富な品揃えは業界No.1なんだとか。そしてその女性用下着界の金字塔がこの度世に送り出したのがこの『愛の女神の雫』というショーツ!バタフライナイトが誇る着心地を最大限に生かしながらもクロッチ部分を取り払うという大変革を実施!そこに高級感とセクシーさを融合させた“真珠を数珠にしたクロッチ”へという革新的なデザイン設計で、決戦に挑む淑女乙女を鼓舞しながらもアダルティに駆り立てる決死覚悟の
「あああっ……!わかった、わかりました!!もう十分わかりましたんで戻ってきてマリアさん!」
「えっあっ、え、はい……?」
なんか止まらなそうだったので緊急停止をかける。
とりあえずすごい人気ブラントの幻の新作下着ということがわかった、もうそれだけで十分!ねっ!?
「それね、もし良かったらマリアさんに貰ってほ「頂けるんですか!?」──想定外の食い付き!?」
「ありがとうございます、使徒様!おお、神よ……今日のこの祝福に感謝を……!!」
よっぽど嬉しいらしくパンツを握りしめ祈り出しちゃうマリアさん。
いや~、喜んでもらえてよかったよかった……
祈り終えたマリアさんは満面の笑みで立ち上がる。
「……それでしたら使徒様、この後お時間よろしいでしょうか……?♥️」
「はい?ええ、改めてお茶を……」
「いえ、折角ですから♥️この『愛の女神の雫』を着けた所を見て行ってくださいませんか?♥️」
「……!」
oh……
これはマリアさん、熱烈なお誘い文句っ!!
こんな情熱的なお誘いを断る言葉は持ち合わせちゃいないぜ!!
「もちろん、喜んで!!」
マリアの私室に、俺の元気な声が響いた。
マリア:
実は履いていたのは例の下着の試作品。勿論、修理を終えた使徒とあれこれするつもりで身に着けていたのだがまさかの事故によりもう大変。
しかし使徒の持っていた完成品を譲り受けるという大逆転が起き、たまらず感謝の祈りを捧げた。
使徒:
知らないうちに乙女に恥を雪いだ男、流石は幸運の使徒。
恥の部分も結構弄りたかった。