それに伴い読んで下さる人が増えているようです、こちらにも感謝を。
…しかし、これはやはり玉パン効果?
喧嘩(決闘)を吹っ掛けてられ返り討ち(無力化して放置)にしたら親公認(本人は姿見えず)で嫁に来られた。
おかしい、この数行足らずのあらすじが、全てにおいておかしい……!
「じゃ、娘の事はよろしく頼んだぜ! 孫が出来たら呼んでくれや、抱っこしに来るからよぉ!!」
「いやいや! 待って! 待ってくださいよ将軍!?」
「いやぁ~、これで娘達が皆嫁にいったなぁ! 少し家が寂しくなるが……かあちゃんも寂しがったらまた一頑張りしてガキでもこさえるかぁ? ……ガゥハッハッハー!!」
「本っっ当に全然話聞かねぇなコイツ!?!?」
そしてそのまま『言うことは言った! それじゃな!』と、カタパルトもビックリなぶん投げ将軍は俺が止める間もなく帰って行った。
俺、唖然。
「新たな奥様を御迎えするとなりますと……今日の御夕食はメニューを一新致しましょう」
そして斜め後ろになんか普通に受け入れようとしている……いや、もう受け入れ終えているメイドが居ることにまた唖然。
「……ふむ、少々忙しくなって参りました。旦那様、私もここで失礼致します」
全てを見聞きし、補足すらしてくれたメイドがさっさと退室。
「…………」
そして、応接室には誰も居なくなった……。
・
・
・
……ガサッ!
「!」
応接室にて立ち尽くしていた俺だが、小さな物音によって現実に引き戻される。
そうだ、そういえばあの馬鹿将軍が何か手土産(だいたい察しは付いている)を置いていったんだったな。
……ガサガサッ
ソファーの横に一人が一人余裕で収まるだろうバカデカイ袋、そして明らかに中でソレが動いている。
あの将軍“シバき倒して引き摺ってきた”って言ってたが、マジで言葉の通りだったのか……?
ガサッ! ガサガサッ……!?
「ムー! ム──ー!!」
もはや空耳では済まされない何かが呻く声。
……開けるしかないんだな。
「……うーむ」
「……」
……シュルリ……
袋の結び目をほどく。
開いた袋口からまず出てきたのは鮮やかな空色の髪、それと同色の耳。
……ストン……
袋口が落ちきりその下に隠れていた顔が出てくる。
周囲の明るさのせいか目を一瞬しかめるも、彼女は目の前に現れた俺が誰だか気がつくと声を上げる。
「ム──ー!?! ムム──!!」
……猿轡を食い破らんと噛みしめ、拘束されているであろう体を揺する。出てきた人物はやはり、あの時の狼娘セレステ・ブラウであった。
──ー
──
ー
「グルル……、グルルルルぅぅぅ~」
視線で射殺さんとばかりに前を睨むセレステ。
もちろん、睨んでいる相手は俺だ。
「…………はぁ」
恐らく父親である将軍に一方的に連れてこられたのだろう、袋を完全に外したところ騎士然とした装いをしているのが分かる。
軽装鎧の端々に土が付いてるのはシバかれた名残か……
「ウゥゥゥ……ガウ、ガウゥ!」
軽く観察するだけでも吠えられる。
……目を合わせたら喧嘩を売ったことになるのって猫じゃなかったか?
「……コレを、嫁に……? 理由は、決闘で勝ったから……?」
……びくっ!!
「……ガ、ガウウ……」
決闘という単語にビクリと反応して唸るセレステ。
……てゆーかさあ!?
「お前普通にしゃべれんだろ!! 何唸ってんだよアホ犬!!!」
ちなみに、既に猿轡は解いてやっている。
始めは噛まれるかとも思ったが、そんな時でも大丈夫。そう、『見えざる手』ならね。
「くっ!? ……い、犬ではない、蒼狼族である! 狼だ!」
ようやく言葉を思い出したようだ、この部屋でやっとまともに会話を出来る……よな?
まったく! 失礼な奴め……プンプン! と分かりやすく怒ってますアピールをする狼娘。
「その蒼狼族だよ……なんだよ一族の誇りを掛けた決闘って……、なんでそれで負けて嫁に来てるんだよお前……」
「むぐぐっ……、し、仕方がないではないか! 私だってあの誓いをしたのは騎士となる前、正に小娘と呼べる年の頃なのだぞ?」
「……なんでそんな昔の話になってんだよぉ」
ウジウジと言い訳するセレステに俺は疑問しか浮かばない。
「決闘をしても負けたことなど無かったし、
「曖昧ぃぃっ!! 一族の慣習の扱いが雑過ぎるぅ!!」
こいつアレやろ、負けなしで我が儘要求を通しまくってたから、その要求ばっかりポコジャカ作って叶えて、そんで
「流石は父上だ、あのような昔の事までをもつぶさに覚えておったとはな! ハッハッハー!」
なに笑てんねんコイツ!?
「ハッハッ……ふう……。まあそういうわけだ! しかし私も嫁入りしたとなっては何かと不自由でな? だが一族の誓いは守らねばならぬ!」
「なんでだよ。別に反故にして帰ればいいじゃん、俺は止めねぇから……」
「馬鹿を言え! あの父上の事だ、私がお前と夫婦となり子宝に恵まれ、孫を抱っこするまでは絶対に首を縦に振らん、それに他人の話を全く聞かない堅物だ!!」
……おう、後半はお前も当てはまるな。
「だが私に一つ考えがあってな?」
「ふむ?」
いいだろう、続けて?
「……いくら夫婦と言えど、致命的な事態や問題を抱えていた場合は父上も嫁入りを考え直すに違いない! そしてその問題だが……」
何やら不敵に笑うセレステ、自信満々に手首を縛られた両手を前に伸ばす。
「私が貴様の陰茎をもごう!!」
そのままグッと両拳を握り引き寄せるセレステ。
え、どんなガッツポーズそれ?
あと、今なんて言った?
「……なんだって?」
俺の聞き間違いの可能性しかない、もう一度、もう一度だけ確認せにゃならん。
間違いだよな? そうだよな……!?
……しかし、目の前のアホ狼は変わらぬ様子で口を開く。
「なんだ、耳の悪い奴だな! だ・か・ら、貴様の陰茎をもいで夫として不能だと断じ、嫁入り相手に不足であったと言うことにして私は王国へ帰る!!」
「……」
「嫁入り、結婚初夜にして貴様の物理的不能が発覚。どうせ小さな
…………
……
……
……ブチッ!!!
「……ああ、そうかぁ」
ゆらりと俺は立ち上がる。
まったく、わざわざしゃがんで目を合わせて話していたのが馬鹿みたいじゃないか……
「ちょっ!? どうしたのだ? なぜ私の体が浮いて……!? ひゃぁ!?」
発動させた『見えざる手』がキャンキャン鳴く犬を持ち上げる。
こいつぁ、躾のなってねぇ犬だ……
ここでこの尻を蹴り飛ばして、野に放つことすら憚られる。
なら、ヤることは一つしかない…………
「お前が捥ぐといったモノがどんなものか……徹底的にな!!」
足取りは思いの外軽く、向かう寝室の途中で厨房にも寄っていく。
……オリビアに歓迎会は明日以降に延期だと伝えておこかねばな。
──ー
──
ー
「くっ! 貴様、私をこのように縛り付けて! いったいどうするつもりだ!?」
女騎士……この場合は“元”女騎士か?
ともかく高慢ちきな狼女を縛り上げ、体の自由を奪う。
「お前がモグだのコボルトだの言ってたヤツがどれ程のものか、骨の髄まで分からせてやるんだよぉ……」
俺の怒気を受けたセレステが尻尾の毛をブワリとふくらむ。一瞬気圧された表情を見せるが、すぐに不適な、こちらを侮るようなニヤケ顔でこう返す。
「……ふ、ふん! 貴様のような軟弱そうな男に私がどうこう出来ると思わんことだな! 例え何をされようとも、私の心は屈しない!!」
ビシッ!!! と自信満々にキメ顔宣言する囚われの女狼騎士セレステ。
「……ふん、その自信がいつまで持つか見物だな」
対する俺は始めのカードを切る。
「……? なんだ、そんな紙切れを取り出して? まさか貴様の粗末なコボルトを起こすのに薬が必要なのか?」
粗末な挑発は無視して中を開く。
「さて、ここに一枚の手紙があります、差出人の欄には『マーリン・ブラウ』」
「……母上!?」
この手紙、コイツが押し込められていた袋に添えられていた。……つまり、あのぶん投げ将軍の他に、奥さんまでもがこのアホ娘の一件に一枚の噛んでいると言うことになる。……はぁ
「中身を聞かせてやるよ」
『全略、まだ見ぬ娘の夫殿へ
娘は夫アズラクと同じで『尻尾の付け根』が弱点です、優しくしてあげてね♥️
P.S.蒼狼秘伝の書の写しを同封しましたので、我が儘をいうようならそちらを読んでね♪』
なかなかポップな文字のお手紙である。簡潔、強行、要点のみと書く人物の人柄が容易に想像できる。
そして同封されていた写しとやらも目を通したが……書いてある事がえげつなさすぎてギャップで自然発火しそうな程だった。
これが母親のやることかよぉ…!?
「は、母上ぇぇぇ!?」
驚きのあまり絶叫するセレステ。
ああ、コイツら一族ってマジこんななのな。
しかし同情はしない、むしろ俺は決意を固くしただけ。ほんとそれだけ。
「ほんじゃ、素晴らしい教本も有ることだしさっさと始めるぞ~? まずは……」
ガサゴソ……ガサゴソ……
テッテテ──☆
『ピンクスライム~』
「ひっ!?」
べたりと足元に転がす。
ぷるっ、ぷるるっ……
相手の立ち位置(張り付き位置)を確認するように震えるとピンクスライムのピンク1号が、用意はいいぞと艶やく。
「よし、ピンク1号配置に付いたな? ……やれ」
……シュバッ!!
ピンク1号は素早く広がりセレステの体、主に下半身にまとわり付いた。
「ややや、止めろスライムめがっ!! 私にまとわり付くなぁ!」
足元から這い上がるように昇り、うねうねぷるぷると半透明な触手が伸びる。
スライム触手は狼尻尾も粘液が張り付き、セレステはそれを振り払おうと動くが全く落ちる気配はない。
「ああっ!? く、スライムが装備の下にっっ!! くぬぅぅ!!」
騎士服の隙間から潜り込むピンク1号。
ウゾウゾと広がりながら、占有範囲を広げてゆく。
ズムムム…………ぷにゅり♥️
「ほひっ!?」
ぷにゅぷにゅ……ぐりゅるんっ!!
「アオォォォォン!?!? ♥️」
吠えるセレステ、どうやらピンク1号は目的の場所に潜入出来たらしい。
「……とりあえず中を綺麗にせんとこの教本の内容が実践できんからな、よかったなスライムがあって? 無ければ“浣腸”だったんだぞ?」
「アオォォン♥️!? あ、おしっ!? 中をがっ! ……ハオォォォン♥️!?」
グピュグピュ♥️シュワシュワ……♥️
まず先陣をきったピンク1号の目的は、汚れを落とすこと。伸されて土が付き、汚れた服のまま連れてこられたのもあるし、中に貯まっているものも有るだろう。
そこいらへんを綺麗にしてくれるのがピンク1号だ、なんと便利な奴だろう! ……かわりに分泌するのは媚薬だしな!
「お尻っ! 私のお尻が熱い!? やめ、奥に来るんじゃな……ハオォォォン!!? ♥️♥️ワオオォォン!? ♥️」
とりあえず順調そうだし、小汚かった狼娘が綺麗になるまで教本を読み進めるか……。
「ワオォォォぉぉぉ♡! ♡!? ハォォォォぉぉぉ! ♡♡ん゛ほほオオォォォォン♡♡!!!」
-トピック-
『マーリン・ブラウ』
王国の将軍の一人アズラク・ブラウを射止めた蒼狼族の女性。
アズラクとの間に2男4女の子をもうけ、元気に育てた女傑。
ぶっちゃけ嫁入りを諦めてた娘セレステが決闘に負けたと知り、諸手を挙げて喜び筆を取った。セレステ以外の兄妹は皆まとも。
-おまけ挿絵- 水色のスライム「スカイ2号」が居た場合
【挿絵表示】