ウチ到来、修行の成果を見せてやるッス!
草木も寝静まった頃、月と星の女神が優しく見守るような月夜の晩にそれは現れた。
僅かに空いた窓の隙間から音もなく侵入したソレは、布団の上で寝ている男の横に降り立つと、パサパサと飛膜をはためかせ小さく“キー”と鳴いた。
★ぼふんっ★
小さな蝙蝠だったはずのソレは、コミカルな音と共に姿を変える。月明かりを浴びて静かに輝く銀色の髪と瞳、対するようにすべすべした小麦色の肌。
「にっしっし……!潜入成功ッス……」
漆黒を切り出した様なナイトドレスをはためかせながらその女はイタズラっぽく笑う。
そう、彼女の名前はベロニカ・ルーゼカ
夜の国に根差す
「さあさあ使徒っち、一皮どころか十皮剥けて、数多の死線を潜り抜けてきた素敵なお嫁さんにご褒美の
音もなく動く体、伸びた手は掛け布団の端を掴みハラリと捲る。すると中から吸血鬼的に芳しい香りをした男が──
「カ、カヒュ~~…………」
「わぁぁぁ!!?使徒っちが!か、からっからッスゥ!?!?」
まるで精根尽き果てたと言わんばかりに干からびた旦那様がそこに横たわっていた。……ツヤツヤした金髪の人族とセットで。
「むにゃ!?」
「ほえ?」
「誰か!お医者さんッスぅぅ~~助けて下さいッスぅぅ~!!」
──ー
──
ー
「いや~、驚いたよベロニカちゃん。まさかこの拠点に気配もなく忍び込むなんてね!」
その後、からっからに搾り取られ寝ていた使徒が驚いたベロニカの声で目を覚まし、あれよやいよと言う間に今に至る。太陽が黄色く……いや、今ならば月が真っ白に見えているだろう有り様だった彼も、瞬く間に元の調子に戻るのだから中々にギャグ体質である。
「いやいやいや!?驚かされたのはウチの方ッス!何であんなにからっからなってるッスか、吸血鬼でもあそこまで血は吸わないッスよ!?」
「お、おほほほほ……」
元に戻った
使徒の横に正座し、誤魔化すようにオホホと笑うフェオナに内心気圧されているベロニカも、もし寝ていた使徒が普通の状態だったら構わずチューチューしていた癖によく言いよる。
「それでは旦那様?旦那様の寝込みを襲うのは当番制ですので、改めてベロニカさんも含めたローテーションを組みますわね!」
「うん、それ俺が承知しなくても強行されるやつだもんね?もう好きにして頂戴……」
「はい!」
返事は大変よろしいフィオナさん。愛する旦那様に側室が増える度にのぞかせる度量の深さは王族故か、その営みマネジメント能力は使徒の意向を完全無視している事を除けば
うーん、と顎の下に人差し指を当て考える仕草を見せるも、用意していたかのように二の句を継ぐ。
「ではでは、早速ですが今日から3日間はベロニカさんに旦那様をお預けしましょうか。一応メイドのオリビアに聞いてベロニカさん好みの部屋を用意してありますから……旦那様、ベロニカさんとお部屋に御一緒して頂きますわね?……オリビア!」
ポンポンと手を拍ち部屋の外へ呼び掛けるフィオナ。
ズッバ──ンッ!
すると寝室の襖が勢いよく開け放たれ、い住まいを正した羊獣人メイドが姿を表す。
「既にお部屋の準備は整えてございます。お嬢様、旦那様、どうぞご存分にお楽しみ下さい」
出来るメイドオリビア、深夜過ぎの突然の主人の来訪であろうと華麗に対応。
「でかしましたわオリビア!」
ぐっとメイドに拳を突き出すフィオナ。
「ありがとうございます、フィオナ様」
ぐっと奥方に拳を突き返すオリビア。
「「さあ、お二人とも?行ってらっしゃいですわ(ませ)」」
笑顔のまま拳をぐっと二人に向けるフィオナとメイド。
「はわっ、はわわわっ……ッス♥️」
「ええい!その
とんでもないセクハラであった。
「またまた、旦那様はそんなことおっしゃって……♥️ねえ、オリビア?」
「ええ、まったくです。旦那様の魔力の高まりを感じます…………ぽっ♥️」
「こいつら……」
お分かり頂けただろうか……、後にベットの上で逆襲される為にわざと挑発している二人のコンビネーション。
使徒もこれを知ってか知らずか、固く復讐を誓っているのだから二人の手の平の上でコロッコロである。
「それでは行ってらっしゃいませ、……発動!『転移陣』!!」
ピカ──ン!!!
「「ぬわぁぁぁぁ(ッス~)!?」」
そうして主を標的にした転移魔法は、華麗に、有無を言わさずに、愛の巣へと二人を送り出すのであった。
──ー
──
ー
暗い室内を明かりを灯したキャンドルスタンドが淡く照している。先程までいた窓から差し込む月明かりの和室とはまた違った趣の部屋には、中央にドドンとキングサイズの、天蓋付ベッドが鎮座していた。
どことなく夜の国に逆召喚された時に見たベロニカの部屋に似ているのは気のせいではないだろう。
「うわ~♪ここがウチの部屋ッスか?素敵なお部屋を用意して貰えて感無量ッス~♥️うわっ、ベッドも実家より良いやつッス♪」
クルリと辺りを見周りながら、最後はベットの感触を確かめにぼふりとダイブするベロニカ。寝転びながらバタつかせる脚は裾の短いナイトドレスを捲りずらし、その下のむっちりとした小麦色の尻たぶが──
「やんっ、使徒っちのエッチな視線を感じるッス♥️」
「ん゛んんっ!?」
寝返りをうって俺に向き直る彼女は悪戯を成功させた子供のようにニシシと笑い、こう続ける。
「いや~、ウチってばおばあちゃんの厳しい修業を乗り越えたせいか使徒っちをメロメロにし過ぎちゃってるッスかね~?」
「そ、そそそ、そんなことね~し!?別に俺はエロい目でなんて見てねぇし!?ベロニカちゃんの気のせいじゃ──ー」
「……ペラリ♥️」
「んッッ!!
「あは~♪分かりやすいッス~」
しらを切った俺だが、黒蜜色の秘境へのベールが彼女の手によって一瞬開かれた時に、感嘆が口から溢れ出てしまった。体がベットに吸い寄せられるッッ!!……シルバーのおパンティですか、そうですか……あっ、布団が柔らかい……
「あ~ん、どうするッスかね~?ウチ的には辛い修業に耐えてココまでたどり着いた事へのご褒美が欲しかったんッスけど、さっきみた様なカラッカラの雑魚雑魚男子から吸血したら一瞬で灰になっちゃうんじゃないッスか?」
……ほう?
「ウチの旦那様ともあろう者がペラペラのミイラ系男子じゃ困るッス~。か~!ウチがパワーアップし過ぎたせいで悩むッス~!花嫁修業、辛かったッスからね~、か~!」
カッコかわいい系ギャル吸血鬼姫がここぞとばかりにマウントを取りよる。 わざわざ困りましたアピールでおでこに手を当てるのは何だろう、……しかし寝転んで下から見上げる脇はコレまた一段とセクスィ~♥️チラ見せの横乳も反則ではありませんか!?
「なんすか~♥️ウチのおっぱい見たいんすか使徒っち~?……でも使徒っちがよわよわだと、ウチの『
「ん?『闇の衣』?」
「そうッスよ?この身に付けてる服はウチの能力で闇を形にして纏っているんで~、変幻自在、防御力も抜群の真祖吸血鬼が誇る最強能力なんス。ほら、こんな感じ~♪」
ベロニカは脇見せセクスィナイトドレスを変質させ、瞬く間に谷間溢れる攻め攻めワンピースにしたり、パツパツ乳袋ニットセーターにしたりと、その万能性を披露して見せた。
「べ、ベロニカちゃん……つまりは修業の末にその衣を……常に?」
「へっへ~ん♪そうッスよ!これは花嫁修業で手にいれた力の一つですけど、便利で特に気に入ってるんス~こうやって使徒っちを誘惑出来るッスからね~♥️」
再びナイトドレスに闇を戻し、ウフンとしなをつくるベロニカに俺は驚きの感情をを禁じえない。
手を伸ばしてスカートの端を摘まむと、確かに布とは微妙に違う物質の手触り。これがスキルだとは……
「──ーッ!?」
「ウチとしては頼れる旦那様に力強く引っ張って行って欲しいッスし?まずはこの衣を破る位には──」
ベロニカちゃんが自分の優位を微塵も疑わず得意気に何かを話しているが、其どころではない!
彼女が『真祖吸血鬼』になってから常にこの『闇の衣』を纏っている……それは、それはつまり……ッッ!!
ガシッと両肩を掴み呼び掛ける。
「ベロニカちゃん!!!」
「えっ、あっ、ひゃぃ!?」
「んんんっ、君はつまりッッ!?今も裸で露出プレイを楽しむ、スケベギャルっ子だったと言うんだねッッ!?!?」
「……へ?」
ウオオォォォ!みなぎって来たぁぁぁッ!!
スキル習得し、嬉しそうに1人ファッションショーをしている孫娘の様子を教えたおばあちゃんは大変良い笑顔で見守っていました。因みにおばあちゃんは外套としてスキルを使用……つまり、そういうことさ