そして後半は本作中最後の接客。ほぼ日常というシーンでもあります。
中々に前向きとなったヒロインですが、このエピローグ終盤のやり取りが後のスピンオフへと繋がることは、執筆時点では考えていませんでした。すいません、ウソです。やっぱりあったと思います。
残すは本当のあとがきのみとなります。また新規に書きますので、少々のお時間をいただくと思います。それでは。
病院の個室に置かれたベッド。その上には一人の男が仰向けで横になっており、医者の言葉に従い安静にしていた。
「何はともあれ、無事で良かったわ。」
「………」
ベッドの傍にいる女口調の男に声を掛けられる彼は、黙ったままその言葉を聞く。手からは点滴の管が伸び、整っていた顔はやつれ、僅かばかりの生気を残しているだけであった。
「でもホント……一時はどうなるかと思ったわ。あの子にいなくなってしまったら、ウチだって人手不足になるところだったのだから。」
「その割には……ずいぶんと余裕があるように見えるね。」
女口調の男、コタロウの言葉に対してベッドの上の男が言葉を発する。それに対してコタロウは平然として受け応える。
「まぁ、真希ちゃんが危なっかしいことをするのは、今に始まったことじゃないから。私たちとしても、大体の予想はついていたわ。」
「……僕なんかよりも、よく彼女のことを分かっているようだ。」
コタロウに対して関心の言葉を述べる男。そこで会話が途切れる前に、コタロウは口調をやや真面目にして男に問いを掛ける。
「今になってあの子の前に来るなんて、殺されにでも来ていたのかしら。」
「……それでも、よかったと思う。いや……今思えば、その方がよかったのかもしれない。」
「あら、案外殊勝な心構えだったのね。てっきり真希ちゃんをもう一度自分のものにしようと思ってばかりいたのだけど……」
娼館の稼ぎ頭の過去に深く関わる男、彼女を傷付け、辱め、捨てた身勝手極まりない彼に対して、コタロウはその見方を僅かに変える。
「あなたの店で働いて彼女は、僕が知る彼女よりも遥かに魅力的だった。そして、僕が知っている彼女よりも淫らでもあった。」
「そうあの子を陥れたのは、他ならぬあなたよ……分かっているわよね。」
コタロウの言葉に男は小さく頷く。そして彼はさらに言葉を続ける。
「優しくて、全てを受け容れてくれる最高の女……真希は間違いなく僕の理想になっていた。でも……あまりに多くのことを受け容れてしまったようだ。」
「あなた以外に男を知らなかったのでしょう?こうなることだって、少なからず分かっていたはずよ。」
男を知らなかった彼女を女にして、自らの好む色に染め上げようとしていた彼であったが、彼女はそれほど強くはなかった。
「壊れていても綺麗だった。いや、壊れているから美しかったのかな。でも……変わっているようで何も変わっていなかったようだ。」
彼女は男を拒んだ。それは男に対する憎悪ではなく、自らが負った深い傷と、その痛みをかき消すために求めた快楽の虜となっていたからである。
「生憎だけど、あの子を救う方法は娼婦として生かすことしかなかったの。少なくとも、私の中では、の話だけどね。」
「本当に……憎い話だ。結果と失敗が同じ場所に辿り着いてしまうなんてね。」
男の理想となる女は、娼婦として生きることで叶えられたものの、娼婦となった彼女は男を求めようとはしなかった。彼はそのジレンマに娼婦となった女を抱いている時に気付いたのであった。
「どうして……彼女だったのかしら。優しくて、寛容的な女の子なら他にもいたはずよ。真希ちゃんを選んだ理由……教えてもらえる?」
コタロウは彼に問う。娼婦となった彼女を犯し、辱め、快楽の虜にした理由を。問わずにはいられないのであった。
「……幼少の頃から父親一人に育てられてね。母親の顔なんて覚えていなかった。」
その問いに対して男は意を決したように答え始める。
「父親を恨んだことなどなかった。多くを与えられ、それに満たされてもいた。ただ……」
「母親というものを知りたかった。知らないものを知りたくなるのは当然のこと、そうでしょ?」
彼は再び小さく頷く。母性に餓えていた、コタロウはそれだけを理解するのであった。
「確かに、最初はただ魅力的なだけだった。少し話をしただけで、男を知らないということも分かった。だが……彼女はただ綺麗なだけではなかった。」
おもむろに自らの左頬に手を当てる男。多くの女を惹きつけて止まなかったその顔に、全力で打ち込まれた平手を思い出す。
「意外と強気というか、強情なところはあったわね。実際大人しい見た目の割に、芯の強い子だとは思っていたわ。」
「僕を殴った後のあの顔……あれほど美しい女性の顔を見たのは初めてだった。」
頬に受けた痛みを通して、彼は彼女に対して母性を感じていた。女性に「叱られる」という経験が男にとって、それは耐え難い屈辱ではなく愛情を感じる行為なのであった。
「私みたいな人間が言うのもどうかと思うけど……あなた、歪み過ぎよ。」
「分かっているさ。でも……どんな形であっても、僕は彼女を愛したかった。僕以外の男を知った彼女を……」
母親を知らなかった男の歪な性愛、そして願望にコタロウは呆れ顔となる。それでも彼は彼女について言葉を口にする。
「あなたは真希ちゃんから多くのものを奪い、壊していた。それでもあの子は生きようとしていたわ。あなたの理想に近づくために。」
「…………」
「でも……あの子はあなたものにはならないわ。あなたの理想となった真希ちゃんは、決してあなたのものになることはない。壊れてしまったあの子が生きられるのは、娼婦としてだけなのだから。」
男に対して結果、そして現実を突きつけるコタロウ。彼はただ、彼女を弄んだ男に対して真実を述べるだけであった。そしてそれが、彼にとっていかなる謗りや罵りよりも、最も悔いの残る言葉となっていた。
「本当に……ひどいことしてしまったね。僕の母親になることなんて、出来るわけがなかったというのに。」
「安心してちょうだい。傷付いて壊れた真希ちゃんの心は、必ずあの子自身が取り戻してみせるわ。あなたのように、寂しさと虚しさを抱えたまま生きる人間とは絶対に違うわ。」
「大した自信だ……まるで、彼女を家族のように思ってくれている。」
顔を苦々しくしつつも、男は満足そうに言葉を紡ぐ。それに対してコタロウは自らの立場と彼女に対する思いを彼に伝えた。
「私は信じているの。真希ちゃんが娼婦として生きた時間と経験は、必ずあの子が大切なものを取り戻すための力になると。そう、あなたの記憶と共に。」
「…………」
コタロウの言葉に男が返事をすることはなかった。決して取り戻すことの出来ない愛する女を思いながら、彼はベッドの上で沈黙しているのであった。
◇
「あぁぁぁぁぁんっ!そ、そこぉっ、だめっ、ダメですぅっ!そんなにチンポで激しく突っつかれたら私……また、あぁっ、あぁぁぁぁぁんっ!」
ベッドの上で四つん這いとなり、乱暴に腰を打ち付けられて肉棒を突き入れられる裸の女。すでに何度も絶頂を迎えているのか、剛直が深く挿入されるたびに音を上げて喘いでいた。
「くぅっ……分かるよ、マキちゃん。イくたびにマンコが締まって、チンポを感じさせようとして……ぐぅぅっ!」
「はぁ、はぁ……も、申し訳ございません、マンコで何度もイってしまって……申しわけ……あっ、あぁぁぁんっ!いやぁっ、チンポ激しいっ!ま、またイっちゃう……マンコ、マンコでまたぁ……イっちゃうのぉぉぉぉぉっ!」
乱暴な抽挿によって繰り返し達し続け、顔をだらしなく蕩けさせ、自らも懸命に尻を振って肉棒に刺激を与えていく。
「出すよ……マキちゃん。いつもみたいに、マンコに出していいんだよね。」
「はいっ!ください、いっぱい出してくださいっ!お客様の勃起チンポから出るエロエロザーメン、マキの淫乱マンコに出してくださいっ!あぁぁっ、あっ、あぁぁぁっ!来るっ、来ちゃう……!大きいの……大きいのマンコから来ちゃうっ!」
ベッドのシーツを掴み、迫りくる快感に身を備える。毎日にように、幾度となく襲う身体を焦がすような甘い感覚に、彼女はその豊満な裸体を悦ばせる。
「うっ……で、出るっ……!ううっ……!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!あ、熱いのがいっぱい、マンコの中に出てますぅ……!チンポ、チンポザーメン、わらひのマンコの中でいっぱいになって……あぁぁぁぁんっ!」
そして膣奥深くに突き刺さった肉棒から、大量の精が注ぎ込まれる。剛直が膣内で躍動し、子種を解き放つ快楽に、彼女はそれまでよりも大きな快楽に飲み込まれていく。
「い、イくっ……イきますっ……わらひぃ……マンコでイっひゃうっ!チンポ汁中出しされたマンコ穴で、気持ちよくてイっひゃうまふぅぅっ!!!あぁぁっ、いやぁっ!いやぁぁぁぁっっ!!!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!」
激しい絶頂を迎え、一際大きな声を上げて果てる女。娼婦としての仕事も忘れ、彼女、坂下真希は客の男が与える肉棒の快感に酔い痴れているのであった。
「あっ、あぁぁ……も、もう私……こんなに気持ちいいチンポでイかされたら、ダメになっちゃいますよぉ……」
「んんっ……ふぅ。それじゃあ、マキちゃんがダメじゃない時なんて、今まであったのかな?」
「そ、それは……!私だって、セックスばかりしている自分に愛想を尽かすことくらいあるんですから。」
男がいる後ろを向きながら、真希は彼に対して不機嫌そうに声を上げる。そして肉棒が引き抜かれると仰向けになり、横になったまま言葉を続ける。
「この前だって……妹の見ている中、というかあの子と一緒にお客様たちにイかされまくって……大変だったんですから。」
「い、妹さんと一緒って……というか、真希ちゃん、一体何をしていたんだい……?」
「あっ……ふふっ、お客様には内緒です。でも……あの子のセックスを見ていたら、私も頑張らないと……なんて思っちゃいました。」
小悪魔的な笑みを浮かべて男をはぐらかす真希。しかし彼女の話に性欲を焚き付けられた男は、再び肉棒をいきり立たせてしまい、真希の両足を大きく開かせる。
「ああんっ……どうしましたか?またチンポが勃起して、マンコにぶち込みたくなってしまいましたか……?」
「くっ……そうやって君は、いつも人を弄んで……!」
顔を苦々しく歪ませながらも、男は真希の白濁が零れる淫裂に肉棒をあてがうと、再び自らの剛直で膣肉を貫く。
「あぁぁぁぁぁっ!!!!!!ま、またチンポが入って……あぁんっ!マンコが、マンコ裂けそう……あひぃっ、すごっ、すごいですぅっ……このチンポ、やっぱり好きぃ……」
「あくっ……二度目だというのに、マンコの締まりが強くなって……」
「あはっ……お客様の感じている顔、可愛いです。『あの子』に似ていて……子供みたいで……あぁぁぁぁぁんっ!」
挑発的な言動を続ける真希に対して、男は自らの男根を膣奥へと届かせるように突き犯す。抽挿に言葉を遮られた彼女は、客に対する礼儀も忘れ、さらに激しく声を上げる。
「いいっ……いいのぉっ!あなたのチンポ、やっぱり気持ちいいのぉっ!あの子のチンポに似ていているのに……あの子よりも立派なデカチンポ、マンコが感じ過ぎて気持ちいいのぉぉぉぉぉっ!」
「ふぅ、ふぅっ……クソっ、こんなに綺麗な子が、淫乱で……チンポ狂いだなんて……うぐぅっ……!」
「あぁんっ!あっ、あっ、あんっ、あぁぁぁんっ!いいですよぉ……お客様のチンポ、一回出しているのに、ビンビンで……あんっ!私のマンコ穴、お客様チンポの形になっちゃいそうですよぉ……!」
「そうやって……どの客にも媚びを売っているのだろうが……!」
怒気と共に男の突き入れは激しさを増し、乱暴な抽挿で真希を責め立てる。その言葉を彼女は否定ではなく肯定していく。
「ひうぅっ……そうですよ……私は、どんな男の人のチンポでも受け入れる娼婦。あんっ……私のマンコは、たくさんのチンポの形を覚えた娼婦のマンコ穴なんですから……あぁんっ!チンポぉっ、チンポいいのぉっ!」
短く切られた髪を振り乱し、身体をよがり狂わせ、乳房を弾ませて悦びを表す真希。自らの卑しさを認めつつもそれを受け容れ、男を喜ばせる娼婦は妖しく笑みを浮かべていた。
「出してぇっ!マンコの中にザーメンいっぱい出してぇぇっ!中出し大好きな淫乱マンコに、チンポザーメン全部出してぇぇぇぇぇつ!」
「くぅぅっ……マキ……マキっ……!」
再び限界を迎えそうになっている男は、さらに突き入れを激しくして、彼女の膣肉を渾身の力で蹂躙する。
「あはぁっ……中出しぃ……!大好きなチンポからビュッビュゥゥってマンコに中出しきちゃうのぉ……!」
「孕め……私の子種で、孕め……この……淫売が……!あっ、あぁぁっ!」
「いっ、んひぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!本当にきたぁぁっ……!マンコの一番奥にチンポザーメン、ドピュドピュ出てるのぉぉぉぉっ!!!!!!」
膣奥へ精を注ぎ込まれ、子宮口まで子種に満たされて喜悦の声を上げる真希。男の暴力的な言葉に彼女の叫び喘ぐ声も激しさを増す。
「気持ちいい……気持ちいい気持ちいい気持ちいいのぉぉぉっ!マンコっ!避妊していない危険日マンコに中出しされるの気持ちいいっ!気持ちいいのぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!」
「んくっ……え、マキちゃん今なんて……!?」
「イグっ……いぎゅっ……いぐぅぅっ!危険日マンコ、マンコ孕んでイグぅっ!チンポザーメンで孕みながらイくっ!チンポ……チンポセックスでイクっ、イクイクイクイクイクイクイグぅっ……イっっっっっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっ!!!!!!!!!!!!!!」
男が狼狽える暇もなく、真希は膣内に大量の精を浴びて絶頂する。子を孕むという自らの言葉に昂っていた彼女は、睾丸の中で生成されていた子種を全て絞り尽くしていくのであった。
「はぁ、はぁ、はぁ……も、もうわらひ……本当にらめぇれふかりゃあ……」
「わ、私も……もう、限界……」
「んんっ……お客様ぁ……とっても良かったですよ……本当に……とても……あむっ……んちゅっ、ぢゅぶぅっ、んぶぅ……れろぉ……」
自らの上に覆いかぶさる男の顔に手を添え、真希は彼と唇を重ねる。互いの舌を絡ませ、唾液が混ざり合う口付けに、彼女は静かに涙を流しながら没頭しているのであった。
◇
「今日は……謝らないのかな。」
「……はい。もう私は、自分から目を背けることはありませんから。」
行為を終え、同じ布団に入る真希と客の男。互いに背を向けたまま、会話を続けていく。
「でもさっき……とんでもない言葉を聞いたような気がするんだけど……」
「気のせいだと思います。」
「い、いや……絶対に危険日とかって言っていたよね。」
「……責任、取っていただけますか?」
殺し文句ともいうべき台詞を口にした真希に対して、男は思わず彼女の方を向いて言葉を発する。
「そ、それは……万が一のことがあれば、私だって覚悟は……」
「……大丈夫です。今日もピルは服用済みです。」
「なっ……!マキちゃん、ふざけるにも程があるよ……」
「ふふっ……お客様が興奮してくださるのでしたら、私は何でも致します。」
「うぐぐ……」
日頃から貪欲に快楽を求め、その度に詫びていた彼女から、今日その言葉を聞くことないのであった。
「少し見ない間に、ずいぶんと変わったようだね。」
「髪を……切りましたからね。」
「いや、外見のことじゃなくて、中身のことだよ。」
冗談半分な返事をする真希に対して、男は苦笑いを浮かべて言葉を返す。その彼に対して、今度は彼女から話をする。
「変わってしまったついでに……もう一つよろしいでしょうか。」
「ん……何かな?」
「以前にお話をして頂いた、典也くんについてのことですが……」
真希から発せられる男の息子の名前。その名に男は僅かに身体を強張らせ彼女の言葉を聞き、問いかける。
「典也と……店の外で会おうという話、だよね?」
否定の言葉を口にはせず、しばし沈黙の肯定をする真希。そして彼女は改めて言葉を口にする。
「典也くんが望んでいるのであれば、私は会いたいです。私も……嫌というわけではありませんから。」
「ほ、本当にいいのかい……マキちゃん。」
真希の返事を確かめようとする男の方を向き、彼女はさらに言葉を述べていく。
「私は……もう、戻ることは出来ません。きっと……娼婦としてしか生きていくことが出来ない女です。男を喜ばせ、狂わせ、不幸にする……そうすることに、もう躊躇いはありません。」
真剣な眼差しで男を見つめ、真希は自らの決意を語る。自らに関わる者の人生を狂い変えることに、彼女が恐れることはなくなっていた。
「大切だと思う人を傷付けてしまうことも、私自身が傷ついてしまうことも、きっと……生きている限り続くことなんだと思います。
「真希……君は、本当に……」
「私を優しいと言ってくれたあの子に、私が何をしてあげられるのか……娼婦である私に、何が出来るのか……」
その言葉を補うかのように、男は真希に言葉を続ける。
「君だけじゃないよ。一人じゃないほうが、出来ることはたくさんある。そう、独りでは見つけられなくたって……」
「はい。きっと、見つけてみせます。私の……私にとって大切な……」
彼を見つめる娼婦の瞳には暗さが漂うことはなく、生きることへの恐怖に立ち向かう決意が秘められる。全てを失っていた彼女は、今日も満たされることなく男に抱かれているのであった。