※この作品はR-18です。

八舞ドリームキャッチャー   作:TORIA

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(注)今回の話はR-18要素はありません。


⑥八舞耶倶矢も縛ってみたい

 

 この場所が何というのか、正式名称は誰も知らない。

 

 おそらく、確実なのは死後の世界、と言うことだ。

 

 距離や時間さえあいまいなその朦朧とした世界の片隅で、物憂げに少女が佇んでいた。

 葡萄色のミドルヘアと切れがちな目、整った顔立ちは衣装と合わさって煽情的だが、巻かれた包帯と顔の傷が何とも痛々しい。

 その少女――蓮は一人溜息を吐き、覚悟を決めたように口内で呟く。

 

(これ程、やりたいのに始めたくない気分になるのは初めてだ…)

 

 準備を済ませた蓮は、用意した椅子に座る。

 目の前には硝子のテーブルと椅子がある。霊力で作り出したものだが、傷も使用感もないその様は、ある意味本物より本物に近いとも言える。

 ----霊力がある。その事実は矛盾する。何せ蓮は霊力をすべて失うことで事実上死に、ここに落ちた。霊力があり、自分がそれを使えるというならそれは生き返ったとでも言うのだろうか。

 

(客観的には自分は死人以外何でもない……まあ、それも今から聞けば良いか……すっかり成功する前提だけれども)

 

 内心の緊張を紛らわすかのように溜息をつく。ここへ来てからそんな気分になることは一度もなかったはずだ。元々蓮はストレスを強く感じるような性格ではない。

 それでも今から会う(かもしれない)であろう相手のことを考えると、やめたくなる感じに何度も襲われる。正直、今回のことは昨日今日思いついたわけではない。

 

 無論、馬鹿げた妄想だと考えようとしたこともあったが、考えれば考えるほど、彼女があれで終わったとは思えない――あるいは思いたくなかった。

 

 改めて覚悟を決めた蓮は薄く微笑みながら目を閉じ、いつも通りの余裕を含ませた声色で虚空に話しかける。いや呼び掛ける。

 

「さて…自分たちがここに落ちて幾年月。改めて死後の世界とは随分と慈悲深いと思う次第であります。全てを失った自分たちが意識を持ち、群れ集い、まるでめぐり合わせたかのように希人が来たる。運命とはかくも優しく、皮肉であり、寂しがり屋である――そうは思いませんか、母上?」

 

 何かを呼ぶ魔法の呪文にしてはずいぶん酷いものだが、それは間違いなく届いた。

 

 気配がした。本能が訴える。予想通り突然の出現。漣はゆっくりと瞼を開く。そこには――

 

「全く、私の娘たちは優秀で困るね……久しぶりだね、蓮」

「お久しぶりです、母上。ここで会うのは自分が落ちた時以来ですね」

 

 女神の様な面と霊装

 透き通る様な透明感

 言葉で言い表せない最も美しい女

 

 蓮の造物主にして始原の精霊、崇宮澪がガラスの椅子に腰かけていた。

 

「もっと早くに気が付くべきでした。自分たちが死んだ後、どうして意識を保っているのか。どうして霊力を都合よく使えるのか。どうして別の時間軸の哀れな来訪者達がたどり着けたのか……」

 

 蓮が指折り数えていく。

 

「何より、生きている時ですら死んだ自分に会いに来れるあなたが、死んだ後死後の世界で会えないわけがない…唯の勘ですが、あなたが意識を全て世界に溶かしてしまって消えたというのは自分にはどうしても信じられませんでした」

「……ん。信頼してもらっている、と言うべきなのかな。間違えてはいないね」

 

 連の確認とも言うべき問いかけを肯定する澪。これで三度目となる邂逅は----澪の蓮に対する外道な仕打ちを考えると----思いの外穏やかに始められた。

 蓮は自分の中に澪に対する憎悪がやはり無いことを確認し、今まで感じていた緊張感が溶けていくのを感じる。今蓮の中にあるのは懐古と不思議な信頼感が綯い交ぜたもの。

 

「呼べば来る、などと言うのはあなたでなければ試そうとも思わなかったでしょうが。…それで母上、色々お尋ねしたいことがあるのですが」

「わかっているよ。私が不義理を働いた娘の頼み、何でも答えさせてくれ」

 

 かくして、生前はまともな会話すら無かった親子は、死後に初めて親しげに雑談することができた。

 

 

 

 

 

 耶倶矢にとって士道との関係は、どこまで夕弦が許してくれるかと言うのを探りながら楽しむものだった。もし耶倶矢が士道に一番ふさわしい相手は、と聞かれれば今も昔も夕弦の名前を出すだろう…もし二番目を聞かれれば躊躇いがちに自分の名前を出すかもしれない。

 以前の夕弦なら同じ質問に、最初に耶倶矢の名前を出すに違いない……今そんな質問をしたら、何をされることやら。

 そんな耶倶矢にとって自分が夕弦の二番目であるというのは――寂しくはあっても――十分受け入れられるもの、と言うより望外の幸運だった。

間違いなく他の誰であっても、夕弦も士道も決して受け入れなかっただろう。変則的な形であれ、自分が士道と関係を持つことを夕弦が許してくれたこと自体が、耶俱矢にとって一番の喜びだった。

 

 ――故に

 

「ちょっと待ってよ…結婚しないってそれどういう事…?」

 

 夕弦が割りと気楽にその発言をしたことは耶倶矢にとてつもなく大きな衝撃を与えたのだった。

 

「説明。別に士道と別れるつもりは毛頭ありません。……士道が別れると言っても放しません。これからも同じ家に住むでしょうし、助け合って暮らします。時期が来れば子供も設けるでしょう。ただ結婚して籍を入れるという形にならないだけです」

「それって…私に遠慮して……?」

「耶倶矢――」

「そんなの嫌だよ……! 私に遠慮しないでよ! 夕弦が幸せになるのに私が邪魔だって言うなら…!!」

「…耶倶矢!」

「ゆ、夕弦な、んっ――!? ――」

 激昂しかかった耶倶矢は急に目の前に現れた夕弦の顔に驚き、そのままキスされたことで二の句を繋げなくなる。

 同性である夕弦とのキス----無論初めてではないし嫌でもないのだが、夕弦と士道によって仕込まれた最近の耶俱矢にとって、キスをするとスイッチが入ってしまう。

 

「んっんっ…んっ――! ぷはっ……はぁはぁ…ちょっと……ズルくない……?」

「沈着。落ち着いたでしょう。……シャイな耶俱矢の顔は真っ赤ですが」

「何よ、夕弦も真っ赤じゃんか……」

 

 お互いの顔を見やる。相手の顔と同じく、自分の顔も熱いのは気のせいではないだろう。

 

「確信。夕弦には耶倶矢と士道が必要なのと同じように、耶倶矢にも士道が必要です。今さら前の何もなかったころにはお互い戻れないでしょう……耶倶矢も孕みたい孕みたいって駄々を捏ねていたではありませんか?……まあそれだけでもないですが」

「? あっ、あれはその場の勢いと言うか何というか……我が言霊の奔流がパトスとなったっていうか…ひゃい!?」

「虚言。嘘をついたり誤魔化すのはこの子宮ですか」

「い、いきなり触んないでよぅ……あううぅ……」

「そーれ、ぐりぐりー」

「や、やめてぇ……」

 

 夕弦は耶倶矢の旅館浴衣の隙間から下腹部に手を伸ばし、調度子宮の上あたりをマッサージの要領で刺激し続ける。初めての感覚と羞恥に耶倶矢は悶えることとなるが、それでも言わなければならないことは言う。

 

「わ、わかったし……認めるから……私も夕弦と同じで士道の子供はいつか欲しい、と思う。でもさ、それはあくまで夕弦と士道の関係が一番でその次なんだから。夕弦だって私が士道とセックスしてるときに落ち着かない時、結構あるでしょ?」

「それは……」

「それは当然なんだって。私と夕弦の立場が逆でも多分そう思うし。……ねぇ夕弦、私は士道とアンタが事実婚でも勿論祝福するし、私が士道との子供を授かることを許してくれるって言うならぶっちゃけそれに甘えたい。……でもちゃんと夕弦が一番、って証が無いとダメだよ。そうでないと夕弦も士道も私も辛くなる、と思う……」

「……」

 

 いつになく必死な耶倶矢の正論に言葉を紡ぎかねる夕弦。反論しようとするが耶倶矢が自分を慮る健気な目を見るとそれらが下らないことの様に思えてくる。

風が強く吹く。

 いつもならただ心地よく思うそれが、何となく二人の間に割って入る様な、そうでもない様な微妙な感覚に、夕弦は珍しく厭わしいと思った。

 

 

「成程、あの時そんなことがあったのか」

 

 旅行から戻ってきた次の日、士道は耶倶矢から前日のことについて近くの喫茶店で説明を受けていた。

 あの後の二人の様子は実に奇妙だった。喧嘩したような雰囲気でもなく、気まずさはあっても険悪な感じはなし。どちらかと言うとお互い戸惑っているように感じた。    

 実際夕弦に話しかけても上の空で、それが今に至る目で続くとくれば士道としても気にせざるを得ない。

 

「士道もさ、夕弦と話したんでしょ?もうちょっとなんか言ってあげてよね」

「そうだな……すまんかった。……こんな状況で聞くのもなんだけど耶倶矢は俺らに縛られるような形で本当に良いのか」

 

 言うや否や耶倶矢は士道の横によって来ると右手を取り、自分の服の上から胸を触らせた。

 

「か、耶倶矢……?」

「覚えてる?」

「……ああ、一瞬で思い出した。」

 

 耶倶矢と夕弦、どちらかを選んでほしいと言われ。どちらに興奮するかを二人の胸を触らせることで確かめた、今となっては懐かしい記憶。確かあの時耶倶矢は――

 

「離さないよ。士道が選んでくれるまでずっと待っているから…うん、自分で言うのもなんだけど結構恥ずかしいね」

 

 微笑む耶倶矢。頬をわずかに染めるその可愛らしいありさまと裏腹に、士道はそんな耶倶矢がまだ手を放してくれないことに少しの恥ずかしさと不安を覚える。

 

「私はきっとあの時からずっと待ってたんだよ。ただ、相手が夕弦だったから諦めた…諦めた振りができた。今は多分もう無理、かな」

「そうか……いや、そうだな」

「うん。私は士道が好き。ううん、愛してるんだと思う――それこそ夕弦の次でも良いくらいに。……くくくっ、士道の方こそ何を勘違いしておるのか。」

「え?」

 

 ここでようやく耶倶矢は士道の手を放し、代わりに首に抱き着いた。

 

「前々から言うておるではないか、我が従僕は八舞の所有物だと……士道は未来永劫八舞に縛られ続けるのだ……!」

「それは何とも……楽しそうでゾっとしないな」

 

 二人で顔を見合わせると声を抑えて笑いあう。

 もう大丈夫だろう。耶倶矢も夕弦も自分も上手くやっていける。士道は先ほど感じた不安が跡形もなくなっていることに気が付いた。そんなことを感じていた自分の方が恥ずかしい。

 

「恩に着るよ、耶倶矢。そうなると、後は夕弦を特別にか。といってもどんな方法が良いかな」

「ふっ、我に腹案有り、主たるもの常に先を見据えておるわ……まあ、ぶっちゃけ昨日偶々折紙にあってやたら熱心に進めてきたんだけど」

「折紙が……何だ?」

「士道、夕弦と結婚式しない?」

 

 

「驚嘆。これは……」

「そ。ウエディングドレス。夕弦にサイズはぴったりのはず……胸は知らないけど」

「困惑。一体どうやって調べたのです。しかもレンタルでもかなりの値がするはずですが」

「夕弦、前に折紙と魂活寺とか言う変な所行ってウエディングドレス着たでしょ。折紙が行ったら何か貰えたって」

 

 説明する耶倶矢だが実のところ良くわかっていない。ついていった耶倶矢が見たのは妙に厳ついウエディングドレスをきた(多分)女性達が、折紙が現れるや否や驚愕した表情を浮かべ、折紙が何かを説明すると目じりに光るものを浮かべサムズアップするという謎な光景だったのだから。

 

(折紙に聞いても「問題ない」の一言だったし、いくらお古っていっても全然きれいなやつをロハで貰ってきたって冷静に考えたら意味わかんないし……)

 

 世の中親切な人もいるものだと、何故か遠い目をしている夕弦を視界に収めながら耶倶矢は思う――思い込むことにする。

 

「理解。話は分かりました。マスター折紙にも余計なお世話を……耶倶矢、夕弦達の事情をマスター折紙に説明したのですか?」

「え? うん、何かわかんないけど、折紙凄い食いつきだったから。大体事情は把握してる。どうせいつか言うんだし問題ないでしょ?それより、今から準備しといてよ。説明した通り、籍を入れるとかじゃなくて結婚式だけだし、私達だけだから気楽にいけるって」

「急転。いくらなんでも早すぎるでしょう。家に戻って来るや否や、明日休みだから結婚しようとは……まるで飲み会のお誘いです。夕弦が点数化したら落第確定です」

「かかか、油断したな夕弦…八舞は疾くあるもの、変化に追いつけぬものは生存できぬのだ……で、どう、いけそう?」

「愚問。夕弦が耶倶矢と士道のお誘いを断るわけがありません。――耶倶矢」

「ん? 何、どうしたって――うわっ!」

 

 夕弦の方を向き直った耶倶矢は、いきなり抱き着かれたことで体勢を崩す。

 

「感謝。夕弦のせいで心配をかけました。それなのに、こんな…本当にありがとう」

「もう、何言ってんのさ。私がやりたくて勝手にやっただけだし。…まあ、夕弦は絶対に似合うと思うけど」

 

 耶倶矢でも見たことがないように笑う夕弦。その様子を見ていた耶倶矢は、夕弦が拒絶したりせず、上手くいったことに安堵と喜びを感じ、同時にこの後少しだけ企んでいることに若干の申し訳なさを感じるのであった。

 

 

 

 今の御時世、結婚するカップルの数は減る一歩であり、その一方で結婚式で個々人に応じた対応が式場側に求められることはかつてないほど増えた。

 すなわち、今回の耶倶矢の要求――チャペルだけ借りるというのは何とか通った。

 

「こっちは準備できたけど、耶倶矢大丈夫か?」

「我を誰と心得る、颶風の巫女たるもの神事など造作もないことよ…結構動きずらいね、これ」

「どこで用意したんだよそれ…その格好でないとだめなのか?」

「似合わない……?」

「いや似合うけどさ……」

 

 えへへーとはにかむ、今の耶倶矢の格好は二亜のかつての霊装から露出度を下げ、クラシックな様相にしたもの――要するにシスターの格好だ。カトリックの神父に女性はいないので苦肉の策でこうなったのだ。

 

 そう、今回の趣旨は耶倶矢が、夕弦と士道を祝福する、というのが肝なのだ。

 それゆえに今回の参加人数は当事者三人と式場カメラマンだけだ。

 勿論、他の元精霊たちを初め、多くの参加者の下祝福を受けるというのもあったろう。

 しかし、耶倶矢の意図を聞いた二人は、結局今回はこの人数で行くことに決めた。かなり急な決定だったし、何より厳密にはこれは結婚式ではあっても結婚ではないのだ。

 

(別に籍を入れるのではない儀式としての結婚だからあまり大ごとにしたくない、か。俺達は大学生だし、籍を入れないのなら入れないで、先にそういうのをやった方がケジメになるというのはわかるんだけど…他の連中には悪いことしたかもな)

 

 呼べば彼女たちの事だ、他のどんな用事をおいても来るだろう。今回のこれはちょっとそれに見合った規模ではないし何より――

 

「耶倶矢が俺達だけの為に祝ってくれるんだしな……うん、これ以上は考えない」

 

 いつか代わりに何か催すのも悪くないと考えた士道に話しかける声があった。

 

「それにしても最近の若い人は面白いことを考えますね。双子の姉妹とはいえ、他の誰よりも身内に祝詞をあげて欲しいとは」

 

 白髪が混じり始めた年配のカメラマンが感心したように頷きながら話しかける。

 

「やっぱり変わっていると思いますか?」

「いえいえ、結婚もお互いの納得と満足が一番です。あなたもご結婚なさる妹さんも、お姉さんと仲がよろしいのがこちらまで伝わってきます。とても幸福なご結婚だと、個人的には思いますね」

「……ありがとうございます。そう言っていただけると彼女達もとても喜ぶでしょう」

 

 どうやら耶倶矢は夕弦を妹と言ったらしいが、そんなことより、実はそのお姉さんとも関係があるんです、というのは僅かたりとて気づかれたくない士道は礼を言い、話を切りそろそろ来るであろう夕弦を探す。

 

 

 

 

 

 

 

 ああいう風にするべき娘ではなかった。

 澪は蓮と話し、そう思う。

 

 テーブルの上には澪が霊力を変換して作った各種の御茶菓子や紅茶のポットがある。先ほどまでは随分量も数も多かったのだが、今や数を数えられるほどだ----そう、蓮が概ね食べた、それだけだ。

 まるで彼女の正しい意味での妹分である、十香を思わせる健啖さに思わず表情が綻ぶ。

 笑われた、と蓮は思ったのだろう。努めて落ち着いているさまを出そうとしているが、どこかぶすっとした雰囲気を出してしまっている。

 

「母上、何か」

「……ん。大したことではないよ。ただ私の娘が可愛くてね」

「またまたお戯れを…」

 

 ----本当に表情に出る娘だ。どうやら蓮は真顔になるか、話題を逸らすことで自分の感情を隠そうとするようだ。きりりとした表情で恥ずかしそうな気配を出すという、ある意味器用な不器用さを醸し出すこの娘は

 

(つくづく悪事を働くのに向いていないね……私の娘ではあるが)

 

 澪は自嘲する。思えば澪は蓮について何も知らなかった。思いのほか食に拘ることも、感情の制御が蓮自身の思っているほど上手くないことも、意外と謙虚で素直で控えめなことも。

 何より、あれだけの仕打ちをした澪を恨むどころか、憧憬に近い感情を持っていることも。

 

 悪人の素質がない娘が、母に悪役を押し付けられた。

 

 恐らくそれが蓮の実態であり、故に澪は激しく後悔し、それをおくびにも出さない。

 今更謝罪は意味がなく、そもそも蓮が望んでいない。澪も蓮も一度死んだ身。この邂逅自体がありえざることである。それならば――

 

「それで、母上……お話が少し長くなりましたので、一度内容を纏めたいと思います」

「そうだね。確認しよう……あくまで私の知る範囲ではあるけれど」

「母上が知らないことは、多分他の手段でも自分が知ることは無いでしょう」

 

 今、澪が蓮にできることは彼女の想定する母上になり、彼女の話を聞き、彼女の望みをできるだけ叶えることだろう…どうにも期待値が高い気もするが。

 

 澪は自分が作り出したティーカップに口を付けると、ほぅと溜息にならない程度に息を吐いた。

 

 

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