・モンスターハンターライズ:サンブレイク
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・れじぇくろ! のストーリーを進めていた
主に、この3つが理由です。申し訳ありませんでしらm(_ _)m
一行は三階の奥の部屋に向かった。
三階に一部屋しかないようだ。奥の扉を開けると、そこには直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。
いっそ一つの芸術と言っても過言ではないほど見事な幾何学模様である。
その魔法陣の向こう側には一脚の豪奢な椅子が置かれている。管理維持はされているというのに、しばらく使用された形跡のない不思議な椅子だ。
「その魔法陣の上に乗れば、神代魔法の一つ、生成魔法を習得することができるよ」
「ふぅん。この魔方陣で神代魔法を、ね」
「生成魔法……どんな魔法なんだろう? 名前からは想像もつかないなあ……」
リリーの説明を聞いた四人は何の躊躇いもなく魔法陣の上に向けて足を踏み出した。
そして、四人が魔法陣の中央に足を踏み入れた瞬間、カッと純白……とは少し異なる、春に注ぐ穏やかな陽の光のような魔力光が部屋を満たした。
眩しさに目を閉じる四人。直後、何かが頭の中に侵入すると、まるで走馬灯のように奈落に飛び降りてから今までのことが脳裏をよぎった。
やがて魔法陣を発生源とした陽色の魔力光が輝きを弱め、目を開けた四人の目の前には……いつの間にか、何の気配もなく、黒衣の青年が立っていた。
神秘的な光が部屋を満たす中、咄嗟に拳を握りしめた恵里は、しかし直ぐにその拳を解いた。
どうにも目の前の青年からは敵意や悪意どころか、存在感そのものが感じられないからだ。
現代日本で知識を身に付けた恵里には、その青年の正体が
「数多の試練を乗り越えよく此処まで辿り着いた。
私の名はオスカー・オルクス。この迷宮の創造者だ。反逆者と言えばわかるかな?」
どうやら、黒衣の青年ことオスカー・オルクスはこの【オルクス大迷宮】の創造者らしい。
あっ、これシリアスな話だぞ。と察した四人は、真面目な表情で話を聞くことにした。
「ああ、質問は許してほしい。
これはただの記録映像のようなものでね。生憎と君の質問には答えられない。
だが、この場所に辿り着いた君に、世界の真実を知る者として。
我々が何のために戦ったのか……知ってほしくてね。このような形を取らせてもらった。
どうか聞いてほしい。……我々は、反逆者であって反逆者ではないということを」
そうして始まったオスカーの話は、王国で教わった歴史とはかけ離れた驚愕すべきものだった。
それは狂った神とその子孫達の戦いの物語。
神代の少し後の時代。
世界は争いで満たされていた。人間と魔人、様々な亜人達が絶えず戦争を続けていた。
争う理由は様々だ。支配欲、領土拡大、種族的価値観……そして、その一番は”神敵”だから。
現代よりずっと種族も国も細かく分かれていた時代、それぞれの種族、国がそれぞれに神を祀っていた。その神からの神託で人々は意味のない争いを続けていた。
だが、そんな何百年と続く争いに終止符を打とうとする者達が現れた。
それが当時、”解放者”と呼ばれた集団である。
彼等には共通する繋がりがあった。それは、全員が神代から続く神々の直径の子孫であったということだ。そのためか”解放者”のリーダーは、ある時偶然にも神の真意を知ってしまった。
何と神々は、人々を駒に遊戯のつもりで戦争を促していたのだ。
”解放者”のリーダーは、神が裏で人々を操り戦争へと駆り立てていることに耐えられなくなり、神を討ち、人々の自由と平和を守るために志を同じくする者達を集めることにした。
彼等は”神域”と呼ばれる神々がいると言われている場所を突き止めた。”解放者”のメンバーでも先祖返りと言われる強大な力を持った七人を中心に、彼等は神に戦いを挑む……はずだった。
しかし、その目論見は戦いを挑む前に破綻してしまう。神は人々に嘘を吹き込み、”解放者”達を世界に破滅を齎さんとする神敵であると認識させて、人々自身に相手をさせたのである。
その過程にも紆余曲折はあったのだが、守るべき人々に力を振るう訳にもいかず。
結局、神の恩恵も忘れて世界を滅ぼさんと神に仇なした”反逆者”として彼等は討たれていった。
最後まで残ったのは中央の七人だけだった。
世界を敵に回し、彼等は、もはや自分達では神を討つことはできないと判断した。
そして、バラバラに大陸の果てに迷宮を創り潜伏することにしたのだ。
自分達の用意した試練を突破した強者に自らの力を譲り渡し、その中から、いつの日か神の遊戯を終わらせる者が現れることを願って。
長い話が終わり、オスカーは穏やかに微笑む。
「君が何者で何の目的で此処に辿り着いたのかはわからない。神殺しを強要するつもりもない。
ただ、知っておいてほしかった。我々が何のために立ち上がったのか。
……君に私の力を授ける。
どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないでほしい。
話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」
そう話を締めくくり、オスカーの記録映像はスッと消えた。
同時に、四人の脳裏に何かが侵入してくる。
ズキズキと頭が痛むが、それが生成魔法を刷り込んでいるためと理解できたのと、優花のお盆アタックほどキツくはなかったので筋金入りの悪ガキ達も大人しく耐えた。
魔法陣の光が消え、やがて頭の痛みも収まる。元救世の勇者はゆっくりと息を吐いた。
「あちゃー、やっぱり神様が黒幕だったかあ」
「え?」
ユエは、元勇者の第一声に困惑の声を上げる。
やっぱり? と、この衝撃の真実を予想していたような発言に本気で疑問を抱いていた。
「うむ、予想通りであるな……できれば、外れていてほしい予想であったのだが」
「これでまた、お約束とやらが的中したってわけね」
「うーむ、嫌な予想が的中したわい……やっぱり面倒事になったのじゃ」
実際、この四人は神の真意についてとっくの昔に予想していた。
具体的には、聖教教会にて教皇イシュタルの話を聞いた時点で勇者と魔王の二人は察していた。
この世界に彼等を召喚したエヒト神こそが、自分達が倒すべき真のラスボスであると。
『どうしたのよ? いつもなら、すっげーお約束じゃん! とか言って騒ぐのに』
『うーん。お約束はお約束なんだけどさ。今回のはかなり面倒臭いパターンっぽいんだよなー』
『うむ、これは余にもわかる。かなり厄介なパターンだぞ、これは』
『やれやれ、これは面倒事になりそうじゃのう』
あの時、異世界召喚エンジョイ勢のハジメが難しい表情をしていたのはこれが原因だ。
普段はアホ丸出しのハジメだが、決して頭が悪い訳ではない。むしろ、頭の回転が速いほうだ。
人間族の九割以上が創造神エヒトを崇める聖教教会の信徒である。
その話を聞いた時点で、聖教教会が後ろ暗いことをしていることくらいは予想していた。
前世にて、愛の女神であるミュトラス神と会っていたこともエヒト神を怪しんだ理由の一つだ。
地上世界に干渉しないのが原則である前世の神々も邪神討伐や神造兵器が相手となれば、祝福や加護、神器などの形で地上世界に生きる者達に力を貸していた。
なのに、この世界の神は異世界人を放り込むだけでそれ以上は何もしようとしない。守護神としての神を知るからこそ、人間族の守護神であるはずのエヒト神の異常に気が付くことができた。
何より、異世界召喚モノでは召喚者である神が黒幕のパターンも少なくはないのが大きい。
前世では大学生の時に念願の異世界召喚を果たしたハジメは、今生でも異世界に召喚されることを期待して、その予習として異世界召喚系の創作物を幾つも読んできた。
その中には、主人公を召喚した神こそが全ての黒幕であるパターンも存在していた。そういう展開の創作物において、世界的宗教の唯一神というのは、ラスボスのお約束の設定なのである。
経験上、異世界ではお約束通りに物事が進んでいくことを学んでいるハジメが、如何にもラスボスっぽい設定の神様を怪しむのは、当然の帰結だった。
「ふふっ、流石はトラブルメーカーズの皆だ。それで。この話を聞いて君達はどうするのかな?」
その問いに返す言葉は決まってる。
「勿論、邪神を倒しに行くさ! 世界の一つも救わなきゃ、召喚された意味が無いしな!」
「そうね。私も、この世界の神には個人的な恨みがあるわ!
鈴を危険に晒してくれたこの世界の神は、一発殴らないと気が済まないと思ってたのよ!」
「うむ。余は特に恨みはないが……我が盟友、リリーの敵とあれば倒さぬ理由はない」
「……まあ、今更邪神くらいは脅威でもないしのう。勿論、わしも邪神討伐を手伝うわい」
トラブルメーカーズ。その正体は、邪神討伐を成し遂げた救世の英雄一行。
今再び、世界を救った救世の英雄一行が、邪神を打ち倒すために異界の地で立ち上がる。
(不思議な人達ですね……)
その姿に、ユエは伝説に語られる英雄の姿を見た。
先程までは、ただのダメ人間にしか見えないような問題児そのものだったのに。
今は、物語の英雄にしか見えない。
姉の語る英雄の顔と、先程までの等身大の姿。きっと、そのどちらも正解なのではないか。
ユエはそんな風に考え始めていた。
「で、生成魔法のことだけど。正直、私にはこういう面倒いのは使いこなせる気がしないわね」
「魔法を鉱物に付加して、特殊な性質を持った鉱物を生成する魔法か……こういうのは、ハジメ、貴様の領分であろう」
「前世でもわしらを召喚するお守りを作っておったしのう……」
と、トラブルメーカーズの三人は生成魔法の運用に関してハジメに丸投げする。
「いや、違う」
「ん? 何が違うのじゃ?」
「生成魔法は”魔法を鉱物に付与する魔法”じゃない。”無機的な物質に干渉する魔法”だ」
仲間一人に全てを丸投げする三人の姿に呆れていたユエは、しかし、丸投げされた側の有り得ない発言に驚愕の表情を浮かべた。
「どうしてそれを……私達も、全ての神代魔法を習得するまでは知らなかったのに……」
「ユーリ坊主……ではなかったの。ハジメ坊主の魔法技術は世界最高峰……それこそわしを上回るほどだからのう。生成魔法の本質を解析できたとしてもおかしくはないのじゃ」
「とはいえ、この短時間で解析したことは、流石は愛しい人と感心するべきだろうね」
神代魔法は”理”に干渉する魔法……その本質は、並の術者に理解できるものではない。
本来ならば、全ての神代魔法を習得した者のみが理解することのできる深淵。
この男はそんな常識を置き去りにして、生成魔法の正確な力の根本をほぼ完全に理解していた。
生成魔法とは、”無機物に干渉する魔法”である。
そのため、理論上は鉱物だけでなく、水や塩といったものにも干渉することができる。
「……とは言っても、今直ぐに干渉できるのは鉱物くらいなのは間違いないけど。
それなりに時間をかけて、生成魔法を分析すれば。鉱物以外にも使えるようになるけどさ」
流石に、今直ぐに生成魔法の深淵を行使することが出来ないことに安堵の息を吐くユエ。
魔法の天才として、そんなことができてたまるものか、という思いが彼女にはあった。
しかし、ユエは自分以上の規格外の才というものを姉妹以外で初めて目の当たりにすることになる。
彼女の考える「それなり」と実際に必要とする時間の間には、大きな隔たりがあることを今の彼女は知らなかった。