トラブルメーカーズの四人が、直ぐに次の七大迷宮の攻略に向かうことはなかった。
クラスメイトや王都に暮らす友人知人に生存報告をするなり、迷宮攻略の間は飲むことが出来ずにいた酒類を楽しむなり、彼等なりにやるべきことが山のようにあったからだ。
そんな中、ハジメはほぼセックスしかしていない怠惰と色欲の極みのような生活を送っていた。
ミュトラス神の”モラトリアム”の奇跡を再現した避妊魔法で、男としての”責任”を取るのを遅らせているのをいいことに、中学生男子もかくやという性欲で性生活に溺れているハジメ。
聖人という言葉から最もかけ離れた人間であるハジメは、可愛い女の子に誘われるとホイホイ付いて行ってしまう。その後はお察しの通りである。
これは、そんな日常生活――もとい日常性活を送っていたある日の夜のこと。
「ハジメ様、御令嬢の皆様から夜会のお知らせが来ております」
「ハジメ様、気分転換に行ってみない? ずっと王宮に居るのも息が詰まるでしょう?」
高貴なお姫様メイドと、従順な正統派メイド。身分違いの二人をベッドに引き込み、交互に、或いは同時に奉仕させる。そんな不敬なプレイを心行くまで楽しんだ後のことだ。
二人のメイドは、どこか既視感を覚える台詞を口にした。その既視感の正体を考え込んでいると、左右からおっぱいが押し付けられる。
途端、頭の中から賢者が消え去る。そして、代わりに姿を見せた勇者が聖剣を解放した。
「あらっ、まだまだ元気ね、ハジメ様♡」
「ふふ、ハジメ様ったら……」
ペニスをうっとりと見つめる据え膳を前にして、この男が我慢など出来るはずもなく。
直前に抱いた既視感も忘れて、目の前の御馳走に夢中になった。
きゃあっ、と嬉しそうな悲鳴を上げた二人のメイドさんのご奉仕をその日も存分に堪能した。
そうこうしている間に、夜会の日が訪れた。
時刻は夕暮れ時。馬車に乗り、郊外に建つ迎賓館に向かう。
何故か、前日から”そういうこと”が出来ていないハジメは少しばかりムラムラしていた。
今日は誰としよう? 等とヤリチンの極みのようなことを考えていたハジメは。
馬車を降りた途端、爆発するような黄色い歓声に包まれた。
「きゃあ、勇者様、勇者様だわっ!」
「ああ、また会えるなんて……こんなに幸せなことはないわ!」
「まるで夢みたい……!」
そこには、色鮮やかなドレスに身を包む、見覚えのある御令嬢が大集合していた。
色とりどりのドレスが、どれも胸元の開いたデザインなのは、間違いなく狙ってのことだろう。
白い胸の谷間がくっきりと見えて、禁欲中(一日のみ)のハジメには目の毒だった。
「にひひ、前世ぶりだねっ、ユーリさまっ♪」
「もしかして……ジュリエット?」
「うんっ! 覚えていてくれたんだぁ……アタシ、すっごく嬉しいよっ!」
忘れられるわけがない。ショッキングピンクの下着と共に、彼女の名前は記憶に刻まれている。
ジュリエット……ストロベリーピンクを基調とした違法改造メイド服を身に纏い、邪神もかくやという猛烈なアタックをかけ、お手付き第一号の座を勝ち取ったメイドさん。
金髪のショートヘアに、クリクリしたツリ目がちな瞳。小悪魔めいた、思わせぶりな笑みがコケティッシュな魅力を放っている。睫毛も長く、ギャルっぽいキラキラ感がいっぱいの美少女だ。
「あー、その……今は、ハジメって名前なんだ」
「ハジメさま……うん、覚えたっ! これからは勇者さまのことハジメさまって呼ぶねっ♪」
「う、うん。それで、ジュリエットの方は……」
「アタシはジュリエットのままだよ。それより……ほら、一緒に行こうよハジメさまっ! 夜会の会場はこっちだよ!」
ジュリエットに手を引かれ、あれよあれよという間に館へ連れて行かれてしまう。
彼女以外の御令嬢方も積極的で、左右から、前後から、ハジメを揉みくちゃにしていた。
至近距離から匂い立つ、女の子の匂いに目眩がする。
薄暗がりの中で、ぷるんと震える上乳の白さが目に焼き付いた。
「ここが会場だよっ!」
立派な扉を開き、シャンデリアの吊るされた大広間に足を踏み入れる。
そこには、ワインレッドのドレスに身を包む、派手な美少女が昂然と待ち構えていた。
自信に満ちた、如何にも傲慢そうな笑みを浮かべた少女。
燃えるような金髪が、その性格を表すようだ。
「ようこそおいでくださいました。わたくし、ドミニナ公爵の娘、ヴェラと申しますわ。
……などと、自己紹介をする必要は無さそうですわね。また勇者様とお会いできて、これ以上の幸せはありませんわ」
ニッコリと、傲慢さが滲み出るような笑い方。
体のラインがわかるセクシーなドレスは、見せつけるように胸元が開いている。発育のいいバストが作る、白い山脈がはっきり見えて、ハジメは鼻の下を伸ばした。
まさに絵に描いたような”貴族/悪役令嬢”である。プライドも高そうだが、ボディもわがまま。
ついガン見してしまうハジメの視線を感じ、ヴェラはますます笑みを深めるのだった。
高貴な御令嬢の集まる夜会。そう聞けば、お淑やかな情景を想像することだろう。
実際、普通の夜会はそういうものだ。しかし、こと彼女達に限っては”普通”の在り方が違った。
「ハジメ様ぁ、わたくし、酔ってしまいましたぁ……♡」
「この果物、甘くて美味しいですよ? はい、あーんっ」
キャバクラ、という単語が脳裏を過ぎり、慌てて頭を振っては否定する。
やたらと抱きついてきたり、身を寄せてきたり、腕を取っておっぱいで挟んだり、セクキャバみたいな接待をされているのは事実だが、それでも相手は名のある貴族の御令嬢なのである。
その表現は、流石に不敬が過ぎるものだろう。お嬢様方が不敬と受け取るかは別問題として。
「こちらのお酒もいいものですわ、ハジメ様」
ヴェラはすすっと身を寄せると空っぽのグラスに酌をした。プライドの高そうなお嬢様なのに、距離感がおかしく、ぴっとり触れ合うほどの距離でお酒を勧めてくる。
しかし、これこそが彼女達の普通であった。前世、救世の勇者であったハジメと婚姻関係にあった少女達は、普段の擬態を解き、離宮で過ごしていた頃の自分をすっかり取り戻していた。
「お、サンキュー……ん、あれ、この味はまさか……」
「ふふっ、お察しの通りですわ」
やっぱり、と全てを
飲み干した胃袋から、かっと熱くなるような感覚が走り抜けた。
そして、ムラムラしていた下半身が、もう我慢できないとばかりにムクムクと。
「お察しのことでしょうが、このお酒はナルクですわ。
本日、この場に集められたのは、わたくしも含め、ユーリ様と関係のあった娘ばかりですわ。
とはいえ、今生では生娘の者ばかりなので、お酒の力に頼ることにしましたの」
ヴェラは男の胸板に縋りつき、指でのの字を書きながら、蕩けるような甘い声で囁いた。
お酒の力を借りる。間違いではないのだが、明らかに何かがおかしい。
「どうか存分にお愉しみ下さいませ」
その言葉を聞くや否や、ハジメはヴェラの唇を強引に奪った。
むちゅっ、くちゅっ、とわざと音を立てながら、瑞々しい十代の少女の唇を蹂躙する。
それは相手が普通の少女であれば、恐怖に体を震わせるような口辱だった。
しかし、前世持ちの彼女が普通のはずがなく、恐怖ではなく昂奮と感動と歓喜に体を震わせた。
「はむ、むちゅっ、んんっ……♪」
次第にキスは深く、互いの舌を絡ませる淫らなものになっていく。
ドレスの開いた胸元に手を差し入れ、若い乳房を掴み取る。たわわな実りを鷲掴みにする。
「ふぁっ、あんっ、ハジメ様ぁ……♡」
愛しい人に触られたからか、それともナルクの効果なのか。
乳首はコリコリと固くなっていて、白い頬はリンゴのように赤く染まっている。
(……もう、我慢できない)
媚薬に浮かされた頭で、ハジメはぼんやりと考える。
愛撫しながら、少女の肢体をソファーに横たえ、更にむしゃぶりつく。胸を開けさせ、ドレスの裾を捲り上げ、少女の性を剥き出しにする。その姿は、童貞のように余裕がなく荒々しいものだ。
自分もカチャカチャとベルトを外し、ポロンと勃起ペニスを剥き出しにして、さあセックスというところ。
「お願い、お待ちになって……寝室の用意が、してありますの」
相変わらず準備がいい。そう思いつつも、軽やかなヴェラの肢体をお姫様抱っこする。
「じゃあ、たっぷり楽しませてもらおうか」
ヴェラに導かれるまま広間を出て、寝室への道をゆっくりと歩んでいく。
後ろに置いてきた令嬢達のことまでは頭が回らない。
ただ、大輪の花を思わせる美しい少女を、どう貪るかで頭がいっぱいになっていた。