※この作品はR-18です。

闇夜の海の上で   作:sudachi0402

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亀更新


再開

 

 

鎮守府は賑わっていた。

多くの艦娘が各々の姉妹や提督たちと談笑している。

 

そんな中、私は一人部屋に籠もっていた。

大勢の人はいつまで経っても苦手だ。

 

 

誰かが部屋をノックした。

どうぞ。というとドアが静かに開いた。

 

「あぁ。提督ですか。どうされましたか?」

 

「うん。今回の演習に君を組み込むことになってね。勿論、大本営からは許可を取っているよ。まぁ…ここの艦隊は人数がまだ少ないからね…出場できるかな?」

 

「了解いたしました。全力で参らせていただきます。」

 

「目覚めてまだ数日なのにすまないな…」

 

「いえ。もうすっかり元気になったので大丈夫ですよ。」

 

「なら良かった。また詳しいことは追って伝えるよ。」

 

忙しいのだろう。すぐに出ていこうとする提督に私は声をかける。

 

「あの!」

 

驚いた顔でこちらを向く提督。

 

「どうした?やっぱり嫌か?」

 

少し心配そうな表情を浮かべる提督。

 

「いえ…そうではなく…」

 

息を吸う。

意を決して口を開く。

 

「この演習が終わったら、少し時間をもらえませんか?」

 

提督の顔に笑みが浮かぶ。

 

 

「あぁ。分かった。」

 

全てが上手くいく。

そう感じた。

 

 

提督が去って数分後またドアがノックされた。

不審に思いながらも窓の外を見ながらどうぞ。と言うと静かにドアが開く。

 

「久しぶりにデース。」

 

その声、独特な訛りに私ははっとして期待を胸に振り返る。

そこには、金剛が立っていた。

 

しかし、右腕と義手で右脚は義足といった、悲惨な姿だった。

かつてともに勝利を誓い、戦いった。

最後は別部隊としての戦闘だった。

 

戦闘終了後、別部隊は壊滅。

金剛も海に散ったと聞かされていた。

 

従来の金剛とは違い、素っ気ない性格の金剛は内地で誕生したものの、態度が悪いとの理由で最前線に送られた艦娘だった。

 

最前線ではその性格のおかげが、性能を惜しみなく発揮し、当時は最強の艦娘の一角だった。

 

「生きて…いたんですね。」

 

数少ない昔のことを知る歴戦の艦娘が生きていながら話を全く聞かなかったことに疑問を持ったがすぐにその理由がわかった。

 

「えぇ。何とかデスけどね…見ての通り、このざまデス…死に損ないマシタ…」

 

そう言って微笑む彼女はどこか、寂しげだった。

 

「もう、戦えないのですか?」

 

「yes…以前のようにはもう…また、貴方とも戦いたかったデース…」

 

そう言って金剛は静かに首を振る。

 

私はどう声をかければいいかわからなかった。

 

 

 

金剛が帰ったあと、私は複雑な感情に揉まれていた。

私は励ましてあげることさえできなかった。

だが、金剛が生きていたのは素直に嬉しかった。

数少ない生きた戦友。

 

 

また、以前のように話せる日は来るのだろうか。

きっと、いつかそんな日が来る。

 

私はそう信じていた。

 

 

しかし、運命というものは残酷で、卑劣。

そして、私から全てを奪う。

 

最前線にいた頃の鎮守府が突破され、前線が後退し、鎮守府に所属していた艦娘の全滅と提督の死亡の情報が私に伝わったのは演習中の出来事だった。

 

 

幸い、私の出撃とは重なっていなかった為、提督に断りを入れ、金剛と共にすぐさま、私は大本営へと向かった。

 

私達は大本営に着いてみて驚いた。

いつもとは打って変わって空気が張り詰めていた。

 

どうやら大規模な侵攻が始まったらしい。

いずれ、私にも司令が届くとのことだ。

 

遺体の回収が難しいことから、戦死した提督や艦娘の葬儀はすぐ行われるとのことだった。

 

 

葬儀に参列し私は遺影の前でポツリと呟いた。

 

「嘘つき…」

 

目から涙があふれる。

久しぶりの悲しみという感情だった。

 

また会えると言った。

約束した。

 

私を一人にしないで…

 

表に出せず、公開した感情が悲鳴を上げている。

金剛が優しく抱きしめてくれた。

 

葬式の参列者は提督の遺族が数人とあとは私達だった。

葬式のあと、提督の母親らしき人物から話しかけられた。

 

「貴方達は…息子とどのような関係で?」

 

少し戸惑う。

が、意を決して答える。

 

「息子さんは…いえ、提督は、私達の大切な上官です。」

 

母親の目が大きく見張る。

 

「貴方達は…艦娘?」

 

無言でうなずく。

 

「もう何年も前。息子が軍へ行ってから軍学校卒業と昇進の報告の手紙で拝見しました。艦娘達の指揮を取ることになった。でも自分に務まるか心配だと。」

 

話しているうちに母親は涙が抑えきれなくなったようで、涙が頬を伝う。

 

「貴方達のような…部下を持って…息子は…幸せ者だったでしょう…」

 

その言葉は私が鎮守府への帰途についている最中も胸の奥で反響していた。

 

私は心にポッカリと穴が空いたような気がした。

居なくなってから大切さに気がつく。

 

感情などとうの昔に消えたと思っていた。

 

 

写真を取る。

笑顔の彼が写っている。

最後はどのような感じだったのだろうか。

 

気がつけば涙が溢れていた。

 

また夢に黒い何かが出てくる気がして、金剛の泊まっている部屋へと無意識のうちに向かっていた。

 

部屋をノックすると察したのか、中へ入れてくれ、優しく包み込むように抱きしめてくれた。

 

今夜は…少しだけ…。

人に甘えるのも悪くないかもしれない…。




イベントが終わりそうで焦ってます(笑)
いいドロップも特にないので…

期間延長してくれませんかね…?
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