更新は時間がかかってもちゃんとします
結局、演習には参加しなかった。
金剛は知らない間に帰ったいた。
また、会おうとの伝言を残して。
でも何故かその伝言に私は嫌な予感がした。
私の心に空いた黒い穴のようなものは埋まる日が来るのだろうか。
私にはもう何もわからない、考えたくない…
…………
今、私の前には司令官と姉が座っている。
ふたりとも、私の話に耳を傾けていた。
私が呼んだのに、上手く言葉にならず、たどたどしくなってしまった。
しかし、提督は頷きながら。姉は泣きながら。
私の話を真剣に聞いてくれた。
決して話せば何かが変わるわけでも、私が楽になるわけでもない。
同情してほしいわけでもない。
でも。
何故か心が温まるのはなぜだろうか。
話し終えると姉は私に抱きつき、提督は頭を撫でてくれた。
もしかすると私はこのことを誰かに話すと拒絶されるのが怖かったのかもしれない。
いや、誰も信じていなかったのかもしれない。
しかし、今日本当の意味で姉とは姉妹に。
提督とは上司と部下の関係になれたのかもしれないと思った。
それに。私も早くここに馴染まなければいけない。
ここの鎮守府も大きくなった。
出撃しない私は異例の存在だった。
この鎮守府では教導艦として派遣された大本営直属の艦娘がいるため、私がここに居る意味は殆ど無かった。
時折、姉の訓練に付き合うくらいだった。
そのため、提督と姉以外からは異質の存在として関わないようにされていた。
辛くはなかったし、別に何とも思わなかったが姉達は心配してくれた。
よく声を掛けてくれたり食事に誘われたりした。
その甲斐のおかげか段々と少しづつだが、話しかけてくれる人や姉の話で聞いたのか、指導を願い出る艦娘もいた。
今まで塞ぎ込んでいた私にとって、新鮮なような懐かしい感覚だった。
今度こそ。
何度そう願ったことが。
私の掌からはすべてが零れ落ちていく。
運命が私を嘲笑っているように感じる。
何度自分を恨んだことか。
得るものがあれば失うものもある。
それが戦争だ。
分かっていても自分には受け入れられない。
自分は何年も生きたとはいえ、まだまだ年数的に見れば子供のようなものだ。
受け入れられるわけがない。
とうの昔に心など既に壊れていたのかもしれない。
今まで皆が私の心を繋ぎ止めてくれていた。
そして…
皆死ぬ。
早く私も死にたかったのかもしれない。
継ぎ接ぎだらけの心はいつ限界を迎えてもおかしくなかった。
だから昨日の出撃で行方不明となった姉の轟沈が知らされたとき私は怒りや悲しみを通り越し、ただただ無の感情が心を満たしただけだった。
必死に提督から謝られたが、私の心には届いていなかった。
あぁ。
また、こうなるのか、と。
自分を責めるな。
そんなのは無理だ。
孤独感、喪失感、失望感。
皆、生きて帰ると約束した。
なのに…
ドウシテ…
黒い何かはもう抑えることが出来そうになく、どんどん染み出して来ている。
もう…これ以上失いたくない…
私が皆を守りたい。
その一心が唯一心を繋ぎ止めている思いだった。
何かを変えなければいけない。
もう、守られるだけの自分は嫌だ。
私は今まで一人だと思っていた。
でも、今の私が生きているのは沢山の人々のおかげだ。
それに気がついたのは、ここに来てからだ。
だが、いつも全て遅い。
今すぐにでも逃げ出したかった。
自分を責めるたびに黒い何かが広がる。
私は誰だ?
いつからか、分からなくなっていた。
名前も思い出せない。
記憶も定かではないことが多い気もする。
私は私が誰なのか、何があったのか覚えていないのではないか。
それが明確になったのは姉と提督と話しているときだった。
今のまでの思い出に靄がかかった気分だった。
まだまだ死にます。
どうしようかは考え中です。