自然が豊かで山と海に囲まれた冬木市。地方都市として中規模に位置していたが、突如発生した闇のはしらによる災害が多数の死者と街の中央に大きなクレーターを残した。
前代未聞の大災害だったが被害がこれ以上の広がらなかったのは謎の光によって食い止めたのを目の当たりにした2人がいた。
衰退する世界を救うために旅をしていた魔術師である衛宮切嗣。その旅の途中に災害で両親を失い切嗣に救われて養子になった少年、衛宮士郎の2人である。
二人は世界を救う手段として、冬木市に存在する旧家の朔月家で代々行われ続けて来た神稚児信仰の実態を調査に赴いていた。
闇のはしらによる災害を止めた謎の光の出所を突き止めた士郎は半壊した家の崩れる瓦礫に下敷きにされそうな少女を助ける際
“止まれ”士郎の強い願いに聞き入れたかのように不自然な力によって瓦礫が止まり、助けることができた。
それが神稚児の願望機として力そして朔月の最後の生き残りの朔月美遊であった。
世界は大きく滅びの方と傾いてしまった。
地軸の歪みによる気候変動、マナの枯渇による有害物質の発生。夏には雪だって降る始末。このままでは人類は200年か100年も持つか分からない。
ようやく世界を救済できる手段を確保した切嗣だったが、
衛宮切嗣は自室で朔月家にあった書物を読みふけっていた。神稚児の力の究明を探っているが光明が一向に見つからない。
「どういうことだ!?どうやったら人類は救われるんだ!」
吸っていた煙草を灰皿にたたきつける。吸い殻がすでに満杯になっており溢れ出す、それだけに余裕が無く苛立ちの声を上げる。
「朔月美遊!朔月家最後の生き残り。人の願望を読み取り奇跡を起こす聖杯。世界を救う代償として”アレ”の命と魂が世界に永遠に縛り続けられる!」
人として扱わず”アレ”は道具だと自分自身に言い聞かせた。外道だと罵られようが世界と一人の命は比べくもない。
だが、どうしても使う方法が見つからない。
書物には神稚児は数えで7歳を迎えるまで家に結界を張り、外に出さず母親一人で育てて神から人に下ろすために必要な儀式らしい。
もはや美遊は6歳の誕生日を迎え、切嗣自身も余命幾ばくも無いときた。
自分の死期を悟った衛宮切嗣は世界救済のためにどうしても神稚児の力が必要だった。
ならばと一計を案じた。
「神稚児の力が見込めないなら”アレ”は母体として機能させて子に期待すればいい。次に交配相手は誰か?無論、僕じゃない。当然だろ」