※この作品はR-18です。

バフォメット村長が病弱ショタ気味青年に無知ゆえに好き放題してしまい、最終的に好き放題されて、ぐちゃぐちゃに混ざり合って最終的に二人で幸せになる話   作:五角ちくわ

1 / 10
ハーメルンでは初投稿です。

メギド72のバフォメット村長のSSです。

お品書き
・おっぱい押し付けられ
・おっぱいポロリ
・村長にオナニーを見られる
・あん摩と勘違いした村長からの無知責め手コキ
・精液の味の感想を言われる


バフォメット村長に、無意識に誘惑されて情緒をぐちゃぐちゃにされる話

 

─プロローグ─

 

 悪魔、天使、いつの時代、どこの世界でも、互いに憎み合い、いがみ合い、時には殺し合うような両者。そして、両者の間にいる人間は、されるがままに翻弄されていく運命。それはこの世界、ヴァイガルドの人間──ヴィータにとっても同じだった。

 

「おい、聞いたか。昨日取引した村、例の悪魔連中──メギドに襲われて滅んじまったらしいぜ」

 

 今ヴィータたちは、悪魔と呼ばれる存在、メギドと、メギドたちが使役する怪物──幻獣におびやかされている。

 しかし、そんな生活から脱しようとする者たちは、メギドからの驚異に対抗しようとしている、王都エルプシャフトの庇護下の領地に移住してきたり、新たに村を興そうとしていた。

 

「あぁ? そんな与太話信じてるのかよ。あれは多分流行り病かなんかだって噂だぜ」

「お前のそれも噂話じゃねえかよ」

 

 しかし、庇護下から離れ、遠くに暮らしている者たちは、悪魔を創話の世界のものだと認識しており、そのせいもあってか、最近はもっぱら、辺境の町や村がメギドの標的となっていた。

 

「まあ、万が一にもうちが狙われることは無いから、あんまビビんなよ」

「ビビってねえよ! あくまで噂話としてだな……」

「ほれそこ! おしゃべりは仕事ではないぞ! キビキビ働かんか!」

 

 そんな辺境事情もどこ吹く風と、誰も住まわぬような不毛な大地に村を作り、手当り次第に贄を欲する幻獣でさえ、見向きもしない土地であることを利用し安全を確保。

 そして、沿岸の村では路傍の石と変わらぬ価値の「塩」を端金(はしたがね)で買取り、海から遠く離れた街々に高値で売りさばく悪魔的な手腕の女村長が、今日も今日とて、高笑いをしながら村人を、馬車馬のように働かせていた。

 

「ハーッハッハッハッハ! ほれ、貴様も手が止まっておるぞ。今日の割当がまだ終わっとらんではないか!」

「そ、村長。……すまん! ワシは昨日の塩の運搬で腕をやってしまったんだ」

「何、腕だと?」

 

 50cm四方の塩の巨塊を荷台に積み込もうとした壮年の村人に近づき、藍鼠(あいねず)色のざんばら髪をバサバサと揺らしながら、上から下までを睨めつける村長。

 彼女は、一通り眺め終えると、ふむと鼻を鳴らし、右肩から斜めがけしている鞄から、山羊の内蔵で作った、耐水性の小袋を一つ取り出した。

 

「ええい。それでは仕事にならんではないか! この軟膏(なんこう)を塗って安静にして、一刻も早く復帰できるように養生せんか!」

「すまねえな村長。あンたも、働き詰めは怪我の元じゃから、気をつけてくれよ」

「ハーッハッハッハッハ! 我のことは気にするな。貴様らが万事健康で居てくれればそれでよい!」

 

 高笑いをしながら、村人に気を使う彼女は、他の村人を呼びつけ、塩の運搬を代替わりさせた。

 彼女自身も、帳簿を読みながら、時には非力ながらも運搬を手伝い、どの村人よりも働き、彼らを叱咤激励して回っている。それ故に村人たちは、彼女が悪魔的な手腕で村をまわしているとは思いつつも、彼女を敬い、慕っていた。

 

「クフフッ、いいぞ、いいぞ。手駒を使い潰すのは愚者のやることだ」

「人心を掌握し、ゆくゆくはこの村を世界一の国に仕立て上げ……」

 

 誰に見せるでもなく、目の前の空を指差し、その尊大な態度とは対象的な、可愛らしいハスキーボイスで宣言をする彼女は、

 

「新たな社会を築き! その頂点に君臨する! それこそが我がヴァイガルド征服計画!」

 

 人々を使役し、育て、共に歩みながらも世界を掌握しようとする、世にも珍しいメギドだった。

 

「我が名はバフォメット! この世界の支配者となる者だ! ハーッハッハッハッハ!」

「またその話ですか村長」

「まあ村長なら、いつかは本当に征服しそうですけどねえ」

 

 そんな彼女の大いなる野望は、厳しくも優しい彼女自身の日頃の行いのおかげで、村人からは夢物語を語っていると思われていた。

 

「んん~? 貴様ら、まだ我が計画を信じておらんな? 我が国が興った暁には、最高の地位を与えようというのに……」

 

 彼女は、なおも笑う村人を払いつつ、これまでを追憶していく。

 

──生まれ落ちた世界、宵界メギドラルを支配しようと、中央の軍団に挑み、敗れ、命からがらヴァイガルドへ逃げてきた。それからはヴィータの文化を学び、人々に紛れ彼らを観察し、そしてこの村を発展させていった。

──ヴァイガルドの理を暴き、脆弱性を見つけ、そこに付けいり世界を征服すべく、粉骨砕身で働き、そして、我に着いてきてくれる村人にも、つらい思いをさせてしまっている。

 

「……それでも我は歩みを止めぬ、それに、貴様らには見合う褒美をとらせるつもりじゃ、だから、これからも我に──」

「そんなもんなくっても、全員ついて行きますって、村長」

「お前さんが一番頑張ってんのは、みんなわかってんだから、みなまで言うなよ」

 

 村人からの言葉を聞いた瞬間、彼女は、黄色い瞳のたれ目から、滝のような涙を流し始めた。そして、たまたま通りかかった青年の肩をわしづかみ、グラグラと揺らし、かと思えば青年の身を抱き寄せ、その華奢ながらも豊満な胸を押し付ける。

 

「ゔおぉぉおん……我は……我は貴様たちを誇り思っておるぞおおぉ……!」

「バフォ……村長!? 待って下さい! 胸が、胸があたってますから!」

「こうなると暫くは泣きやまないんだよな、村長」

「そして毎回お前が生贄になるんだよな」

 

 顔を真赤にしながら、どうにかバフォメットを落ち着かせようとする青年は、助けようと思えば助けられるはずの、筋骨隆々な村人たちに、涙目になりながら叫んだ。

 

「ちょっと! 僕が抵抗できないくらい弱いの知ってますよね!?」

 

 助けてくれ、と鳴く青年を尻目に、彼とバフォメットが落としたそれぞれの台帳を拾う村人。そしてそのまま、青年がするはずだった指示出しを数人で代わり、人目もはばからず乳繰り合ってるようにしか見えない二人を置いて、荷物の積み込みを終え、移動してしまった。

 

「おんおん、おんおん、おんおん」

「村長! そろそろ離してくれませんか! その……色々と危ないので!」

 

 膨らんで張ってしまった股間が、彼女の体が当たらぬように身を捩りつつ、なおも助けを求める青年。元服手前くらいの年齢の彼は、年に見合わぬ白髪の癖毛、運搬業を中心とした村に似つかわしくない細さ、少年のような顔立ちにエメラルドグリーンの瞳を携えており、同年代の平均より指2本分ほど低い身長も相まって、やや幼く見えた。

 

「はあ……ぐずっ……ふう……す、すまんの、少し感情的になってしまった」

「い、いえ大丈夫ですううううう!!」

 

 バフォメットが彼に抱きついていた時に、胸を支える布を繋ぎとめていたリボンがほころび、大ぶりの梨ほどの大きさの胸が顕になってしまっていた。

 重力でたゆんと垂れるその中心には、ビスケット程の大きさの、プクとした乳輪、小指の先ほどの大きさの乳首、そして、普段は見えない位置にある、左乳の側面にホクロがひとつ、ポツと付いている。

 

「うひゃあ! なにをそんなに大声で……おっと、胸がまろび出ていたか」

 

 すまん、とだけ言った彼女は、青年の目の前で服の中に乳を戻し、リボンを繋ぎ止めなおす。そんな彼女を、ふうふうと息を荒げて凝視していた彼は、咳込み、過呼吸気味になってしまった。

 

「ひゅ……ひゅー、げほっ、うぐ……」

「大丈夫かボフマン? また過呼吸になっておるのか、仕方のないやつだ」

 

 咳き込む青年──ボフマンを、引きずりながら運ぶバフォメット。その道中で、またか、と呆け見る村人に彼女は檄を飛ばしつつ、どうにか木陰まで彼を運び終えた。

 

「貴様は相変わらず体が弱いな、我より肉体で劣るヴィータなぞ、そうそうおらぬというのに」

「す、すみませ……ごほっ」

 

 未だ咳き込む彼の頭を、むちりとした太ももで膝枕をし、母のように撫でるバフォメット。彼らを覆う木々の間を抜ける風で、遠くから聞こえる喧騒がかき消える。

 

「ソロモンのするように、フォトンを少しでも与えられれば改善するのかもしれぬが……。ぐすっ、すまぬ……我にはどうにもできぬのだ……うぐ」

 

 数度ほど顔を合わせたことのある、彼よりも2歳ほど年上の青年──ソロモンの事を、ボフマンは思い出していく。

 

──確か、村長の手下の一人で、フォトンを操れる能力をもっているんだっけ。

──おとぎ話のはずの「ハルマゲドン」……世界の終わりが本当にくるかもしれなくて、それを止めようとしてるって。

 

 そんな事を考えながら青年は、またも泣き出しそうなバフォメットの顔を、ばるんと突き出る柔らかそうな胸の下から覗き込む。半分ほどしか見えない彼女の顔を、ほう、と眺めていると、またも抱きしめようとするバフォメットが身をかがめ、そのせいで、もにんと揺れる双乳が彼の顔に近づいてきた。

 

「ひゅ……そんちょ……ごほ、今抱きしめられると、息が……」

「おお、すまん。……ぐずっ、この土地にフォトンがあれば、何か出来たかもしれぬのだがな」

 

 フォトン。

 それは、この世界の基本的なエネルギー源であり、生命を司る力であり、ヴィータたちからは「大地の恵み」と呼ばれている。そのフォトンが、この土地には殆どない。

 闘争と戦争でフォトンが枯渇したメギドラルへ、ヴァイガルドに豊富にあるフォトンを、詐取し運搬する目的で送られた幻獣が、この土地に寄り付かないのはそれ故であった。

 

 この物語は、そんな不毛の地だった土地を興し、征服のためにと言いながらも、村人のためにあくせくと働く、涙もろい女村長──バフォメットと、

 虚弱、華奢、かと言って特段秀でているわけでもない青年──ボフマンが、強い絆で結ばれるまでの、短くも鮮烈な記録と記憶である。

 

 

 

1章 ─悪魔との契約─

 

 

 

 息を吸う。息を吐く。

 普通の人なら意識せずともできる呼吸を、全身全霊で、僕は行う。

 ぼやけていた意識が、少しずつ戻ってきた。

 

「……すみません村長、もう大丈夫です」

 

 僕の呼吸が落ち着いた頃には、ちょうど今日分の仕事が終わり、働き詰めだった村人たちが酒場に繰り出したり、遊び疲れた子どもたちが、自宅へと戻る時間だった。

 低木の隙間から、夕日に伸びる人々の影が見える。

 

「そろそろ戻るとするか。ほれ、起きれるか?」

「ありがとうございます。あの、まだ残っている仕事があるので先に戻ってて下さい」

 

 仕事が残っているのは本当だ。けどそれよりも、一緒に邸宅へと戻るところを、他の村人に見られたくなかった。

 商品として、荷台で運ばれていた僕を買い取り、村人として扱ってくれた村長。彼女に抱いている、密やかな恋心を、他の人に感づかれたくなかったからだ。

 他の村人よりも数段体が弱かった僕は、彼女から直接、事務や雑務を教え込まれ、そしてそのまま、バフォメット村長の屋敷に、ただ一人の使用人として雇われた。

 3年ほどが経った今も、まだ半人前ではあるが、どうにか彼女の右腕になれるように、日々を必死に生きている。

 

「……よし、こんなものか。そろそろ屋敷に帰って食事の準備をしないと」

 

 瑕疵のないように見える彼女にも、料理が壊滅的に出来ないという弱点があった。だから僕は、商売相手との会食や、彼女の毎日の食事を担当している。

 今日は、どんな風に料理を食べてくれるだろうか。

 そんな事を想いながら、僕は閉店間際の市場へと向かった。

 

 僕は、自分が作った料理を、バフォメット村長が食べてくれるのが好きだ。

 僕の作った料理が、彼女の口腔を経由し、胃へと流れ込み、彼女の体に浸透していくのがたまらなく嬉しい。

 咀嚼するたびに膨れる頬、艶めく唇、盛り上がる喉を思い返すと、全身がこそばゆく疼いてくる。

 僕の思考の暴走は止まらず、彼女が無頓着に露出している腹が、食事の際にうごめいていたことを思い出し、下半身が熱を帯びてきてしまった。

 

「うぅ……深呼吸、深呼吸……。すみません、『贖罪のリンゴ』7つと、羊肉を一塊……あと『アースアガリクス』を2株下さい」

「あいよ、付き人くん。待ってな、今すぐ用意す……ちょっとアンタ! また酒飲みに行くのかい?」

「へっへへ、いいじゃねえかよ。ちゃんとお土産買ってくるからさぁ」

 

 そんな店主と旦那の会話を聞き流しつつ、代金を渡し、愛想笑いをする。

 

「あんたもいい加減、バフォメット村長とくっつけばいいのにさ……まだヤってないのかい?」

 

 しかし、店主からの突然の煽りで、作り物の笑みは吹き飛ばされてしまい、僕の心臓は喉下まで跳ね上がり、肺の空気が押し出され、またも咳き込んでしまった。

 

「げっほ、げほ……ひゅー……げほ」

「ハハハ、ごめんごめん。バフォメット村長は朴念仁だからね、押せ押せでやるくらいじゃないと駄目だよ! 頑張りな!」

「な、なんのことですかねえ。ハハ……げほ」

 

 どうにかその場を切り抜け屋敷へと戻った僕は、パントリーに貯蔵していた食材をいくつか取り出し、台所へと向かう。

 買ってきた食材を刻んでいくと、セージの鼻をツンと刺激する爽やかな香りと、キノコの柔らかな土を思わせる香りが、キッチンいっぱいに広がった。

 細かくした食材をボウルに放り込んだ後、羊肉を指一本ほどの厚さに切り分け、熱したフライパンの上にバターをひき、じっくりと焼いていく。

 

「んお、いつにも増していい匂いだな。早く食べたいぞ」

「はーい、今すぐ」

 

 焼ける羊肉の、クラっとするような濃い動物性の匂いを嗅ぎつけた彼女が、上階の書斎から降りてきた。

 僕は彼女に返事をしながら、焼けた羊肉から出た油を先程のボウルに注ぎ、摺りおろしたリンゴと混ぜソースを作っていく。

 

「バフォメットさーん、そろそろ出来るんで運んでくれませんかー」

「おー、ちょっと待っておれ、すぐ行くぞ」

 

 彼女の履く革製のブーツが、床を鳴らす音がすぐそこまで来た頃、メインディッシュの、羊肉のステーキのリンゴソースがけが出来上がった。

 今日も美味しく出来たな、などと思い鼻息をフスと吹く。いそいそと2人分のステーキを皿に盛っていると、インクで手を黒くさせた村長が、タレ目を細ませ、こちらを見ていた。

 袖で手の黒を落とす彼女の、寄せられる胸元をチラと見てしまい、顔をそむける。僕は赤らみ熱をもちはじめた顔を隠し、ステーキが乗った2枚の皿を彼女に手渡たした。

 温め直したシチューと、うさぎ型に切り分けたリンゴ、そして、パンの入ったカゴを盆に載せ、2人で使うには少し広い食堂の、端においてある小さなテーブルに乗せていく。

 二人分で丁度埋まる天板に料理を広げ終え、彼女を椅子にエスコートした後に、僕は自分の席に座った。

 二人同時に手を合わせ、口を揃えていただきますと言い、彼女は、どこか嬉しそうに料理を観察した後、切り分けた羊ステーキを口に放り込む。

 

「んむ、んむ、滋味に富んだよい味だ! 旨いぞ!」

「それ毎回言ってますよね……」

 

 そう言いながらも僕は、気づかれないように、彼女の一挙手一投足を目で追っていく。

 艶めく唇を舐める舌、垂れたソースが付いた胸肌、それをすくい取る細い指、そして、こちらを覗く黄色の瞳。

 

「え、あれ……バフォメットさん?」

「いつもいつも、なぜ貴様は食事中に我の顔や体をじーっと見ておるのだ?」

 

 瞬間、喉が狭まり、息がぐうと詰まる。

 気づかれてしまった。

 僕の密やかな楽しみが、彼女に気づかれてしまった。

 テーブルを挟んで対面にいた彼女が、ずいと身を乗り出し、困り眉の間にシワを寄せ、顔を間近に近づける。

 彼女の吐息が、僕の口元に当たる。もう少し近づければ、唇同士が触れる距離。

 僕は、彼女の肩を抱き、

 

「いや、いや! ちゃんと噛んで食べてるか見てただけですよ。バフォメットさん、結構せっかちですからねえ!」

 

 彼女を、元いた椅子に押し戻した。

 こちらを怪訝な顔で睨めつけていた彼女は、一応の納得をつけたのか、フンと鼻を鳴らし、食事を再開する。

 カチ、カチと鳴る秒針の音が聞こえる。痛いほどの沈黙が、僕と彼女の間を満たしていった。

 

「貴様にも秘密のひとつくらいあるのだろう、詮索はせんでおいてやる」

 

 ガタと椅子を退け、彼女が書斎へと戻ってゆく。その背を愛想笑いで送り出した僕は、震える手を抑え、食器を片付けていった。

 水で満たされた桶にすべてを沈めきった瞬間、力が抜け、その場にしゃがみ込む。

 バレてはいない、ただ少し変な行動をするやつだと思われただけだ。

 そう言い聞かせ、先程までステーキの乗っていた皿に手を付ける。

 1枚、2枚と皿を重ねていくうちに、僕の呼吸と震えは次第に落ち着いていった。

 

「……バフォメットさん、まだ仕事してるだろうな」

 

 紅茶を一杯、夜遅くまで仕事をしている村長へと持っていこうと思い立ち、湯を湧かせ、茶葉を濾して盆へ乗せ、2階の書斎へと持っていく。

 

「バフォメットさんいますかー。……あれ、バフォメットさん?」

 

 彼女は、机に突っ伏して、寝息を立てていた。

 

 心に、黒いものが湧き上がる。

 音を立てないように、僕は、ゆっくりと盆を置いた。

 シンとした書斎の中に、僕の荒い呼吸の音だけが響く。

 彼女のゆるんだ胸元がはだけ、重力に負けた胸が、たゆんと零れ落ちそうになっていて、

 僕は、覆いかぶさるように彼女を抱き、その双乳に五指をうずめていった。

 

「ん……ふう……うう……」

 

 彼女の寝息が、甘い、色を帯びた声に変わっていく。

 まだばれていない、そう思った僕は、その柔らかな乳房をぐにと、揉みしだいていった。

 次第に彼女の頬が朱く染まり、困ったようなハの字眉の眉頭が更に下がっていく。

 

「ふぁっ……ん……ひぅ……」

「はぁっ……はぁっ……バフォメットさんっ……!」

 

 彼女の嬌声で熱に浮かされ、揉みしだく両手の動きも、遠慮がなくなってきてしまう。

 そして僕は、彼女の乳首に指を掛け、くにくにと弄び、勢い余ってピン、と指でソコをはじいてしまった。

 

「ふぅっ……んゃ……! ッ……! ひゃうんッ!♡」

「っ……!」

 思わず叫びそうになるのを止め、逃げるようにその場から立ち去ろうとする。

 

「うぁ……貴様、今何をしていた」

 

 しかし、ゆらと体を起こした彼女に、まどろんだ目で睨みつけられて、動けなくなってしまった。

 

「い、いや、その……」

「胸を触っておったな?」

 

 彼女は、はだけた胸元を直しながら、すとすとと足音を立て、こちらに詰め寄ってきた。

 全身に焦燥が走り、体の感覚が霧散するような感覚に陥ってしまう。

 

「いいか、正直に話せば許す。我に3年も付いていたのだ、そうしなかった場合はどうなるか、わかっておるだろう?」

 

 彼女の黄色い瞳で見つめられ、蛇睨みされたカエルのように、その場で固まってしまう。

 言えば首になるかもしれない。

 けど、言い訳を並べ、嘘を言えば、もっと悪い結果になるだろう。

 二律背反で板挟みになった僕は、せめて彼女に誠実であらねばと、明け透けに言葉を放った。

 

「すみません、村長の胸を……その、魅力的だなと思って、バレないと思って、触ってしまいました……」

 

 心が萎れていき、自然と頭も下がっていく。

 滲んでくる感情が、下瞼に溜まっていき、昨日掃除したばかりのカーペットに、ポツポツと雫が落ちていった。

 僕は、視界がぼやける中、落ちる雫に引きずられ、より一層みじめに、弱々しくなっていく。

 嫌われる、首にされる、明日からどうやって生きていけばいいのだろう。

 一時は眉を釣り上げていた彼女は、僕の様子の変化に気付いたのか、何やら慌て始めた。

 

「おおぉ!? な、何故泣いておるのだ? 腹が痛いのか?……ええい、何とか言わんか!」

 つられて泣きそうになる彼女をみて冷静になった僕は、自分の中の感情を整理しながら、彼女に事細かく説明をしていった。

「ふむ、ふむ、つまり……我が体を押し付けたり、胸を開けていたせいで、発情してしまったと……」

「まあ、その。……そうです」

 

 足を組みうなずいていた彼女は、急に立ち上がりと椅子を跳ね飛ばした。

 木製の椅子と机がタタタンと音を立てぶつかる。それに驚き、羞恥と劣等感で呆けていた脳が覚醒した。

 

「ヴィータとて生物だ、つがいを作りたいという欲求は理解しておる。だが我にはヴァイガルド征服という最大の野望があるのだ。すまんが他をあたってくれ」

 

 倒した椅子を戻し、机へと向き直る彼女に一礼をし、僕は書斎を後にした。

 震える右手を押さえ、廊下を進む。

 自室の扉が、いつもよりも重く感じた。

 ベッドに座り込み、項垂れ頭を抱える。

 

 明日からどんな顔で接すればいいのだろう。多分、村長は何も変わらずに接してくれてしまうのだろう。

 そんな事を考えながら、未だに両手に残る胸の感触の余韻に中てられ、居ても立っても居られなくなり、ズボンの上から、亀頭を撫でくり回していった。

 

「ん……ふぅ……くっ……」

 

 ブドウの一粒をつまむように、ボルトを捻じるように、先端を、ぐりぐりと刺激していく。

 いじらしくなった僕は、何度か留め具を外し損ねながら、ズボンと降ろした。

 すると、下着にぽつりと、先走りの跡が染み付いていて、僕は誰が見ているでもないのに、少し縮こまってしまう。

 

「う……バフォメットさん……バフォメットっ……!」

 

 先走りで張り付く下着を脱ぎ捨てて、彼女の名を呼びながら、陰茎を扱(しご)いていく。

 彼女の目、唇、胸、尻、太ももを思い出し、上下に動かす手の動きが、激しさを増したその時、

 

「貴様! 発注書の桁が一つ多いではない……か……?」

 

 想い描いていた人が、自室に入ってきてしまった。

 彼女は観察するように、僕のぎちぎちと強張る肉棒を眺める。

 

「あー『手扱き』とかいうやつだったか? 実際を見たのは初めてだな……痛くないのか?」

「え、あ、はい……痛くはないです……」

 

 手コキではなく自慰なんだけど。

 そう思う脳は静かに熱暴走していて、思考が焼け付き、出すべき言葉は出ず、そのまま状況は悪転してしまう。

 

「ふむ、確か陰茎を上下に扱いてあん摩するんだったな。……む、何かひらめきそうな感じが……」

「いやあの、あん摩というか処理という、か……」

 

 彼女は、思案顔のまま下半身を晒す僕に近づき、僕の目の前でしゃがみ込んだ。

 膨らむ亀頭を、ピクと跳ねる竿を、きゅうきゅうと縮こまる睾丸を、彼女に見られている。

 焼け付く脳では、言葉が紡げず、ただ鯉のように口をぱくぱくとさせることしか出来ない。

 彼女は、下から、上から、僕の股間を、ねっとりと観察していった。

 

「あの……離れて……」

「ふむ、この透明な分泌液はなんだ?……すん、すぅ」

「えっと、それは先走り……いや嗅がないで! お願いします嗅がないで下さい!」

 

 亀頭に、彼女の鼻先が付きそうになる。吸って、吐く鼻息が当たり、未知の快感で精液がせり上がってくる。

 息がうまくできなくない、苦しみと悦びで心臓が張り裂けそうだ。

 彼女は人差し指の先で、亀頭を弄(いじく)り、鈴口を穿(ほじく)り、僕をもてあそび始めた。

 僕を煽り、虐めるためなのか、本当に知らずに指淫しているかはわからない。

 

「う……くぅ……バフォメットさん……!それ、きもちいです……!」

「おお? そうなのか? ふむ、では日頃のねぎらいも兼ねて、我があん摩してやろう」

 

 そういうと彼女は、その細い指で、ぐにぐにと竿を揉み込み始めた。

 働き詰めで出来ているマメが、裏筋や太い血管を、こりこりと摺(こす)り上げていく。

 自分で扱くときよりも、柔らかく、優しく握り込まれ、男である矜持を溶かされ、先走りが情けなく溢れ出てきてしまう。

 

「クフフッ、貴様には世話になっているからな。本で学んだあん摩法でも、意外と悪くないだろう?」

「ふぁっ……! うぐ……どんな本で……!ふぅっ……」

「ん? 『疲労がびゅくん♡と取れるあん摩大全』とかいったか。大酒飲みを婿にした、あの店主が我に渡してきて……な!」

 

 未だに溢れ続ける先走りが、彼女の手をべちゃべちゃに濡らし、滑り動かされ、しびれるほどの快感が全身に走る。

 嬌声が抑えられない。聞かれたくない。

 もっと聞いてほしい。

 あん摩のつもりで施される彼女からの手淫で、足は震え、背は跳ね、乱れる呼吸で腹がビクつくいてしまう。

 情けなく漏れ出る声を抑えきれず、とうとう僕は、

 

「もう、イきます……! イ……くぅっ……!」

「待て行くな! まだあん摩は終わってな……うひゃあ!?」

 

 びゅく、びゅっく、びゅくん、びゅぐ、ぴゅく

 彼女の顔めがけ、どろどろとした濃い精液を勢いよく射精してしまった。

 

 突然の事で呆け、避けることも忘れているのか、彼女は僕の精液を、顔面ですべて受け止めていく。

 

「うぷぁ……んっ! はふ、なんだこれは! 陰茎からドロドロの汁が……うわぁ! 口に入って……!」

「はぁっ、ひゅ……す、すみませ……ふぅっ……」

 

 思考も、プライドも、想いも、鈴口からどぷどぷと漏れ出てしまう。

 まだ出てる、気持ちいい、ああ、村長が僕の精液を浴びている。

 今まで生きてきた中で、一番長い、一番多い射精が終わる頃には、目も開けられないほどに白濁を浴びせられた、彼女の姿がそこにあった。

 密かに想いを寄せている人が、僕の精液まみれになっている。更には、僕の精液を口に含んでいる。その事実に、よこしまな悦びが、射精したばかりの下腹部から湧き上がる。

 

 飲んでほしい、味わってほしい、咀嚼してほしい。

 ノドの手前でせき止められた欲望が、堰を切って溢れ出した。

 

「飲んで……くれませんか」

「んぷ……別にいいが、くちゅ、にちゅ……結局これはなんなんだ?」

 

 僕の、僕の精液を、精子を、羊肉のステーキを食べた時のように、噛み潰し、味わってくれている。

 息ができない、口の中がカラカラになる。

 ねだるような視線を彼女に送り、僕は、もう止める気もない熱情をぶつけていった。

 

「味、味はどうですか?」

「んむ、滋味に富んだよい味だ。……ちゅぴ」

「他には?」

「んん? そうだな、少々青臭いというか、薬品臭いというか……まあ、良薬は口に苦しというしな、我は嫌いじゃないぞ……にちゅ」

 

 彼女の艶めく唇が、右へ左へと波打つ。

 顔に付いた白濁をこそげ落とし、口に含んでいく。

 口腔では、僕の精液を混ぜたくり、舌で転がし、口蓋ですり潰しているのだろう。

 普段、村人に指示を出し、取引相手と交渉し、悪徳業者を口撃し、抜け目なく言を振るう、その口で。

 

「うむ、なにやら体が元気になってきたぞ! 恐らくこの分泌液にはフォトンが多く含まれているのだな!」

「わかるんですか?」

「勿論だ。この感覚だと、ワイン瓶一本分ほど摂取すれば、ソロモンなしでもメギ……完全体になれそうだ!」

 

 ワインの瓶に詰められた僕の精液と、それを喜々として飲み干す彼女の姿が浮かんでくる。

 彼女の言葉で、声で、脳が悦び震える。しかし、全てを出し切った僕には、その刺激は劇薬のようなもので、

 

「ちょっと瓶いっぱいまで出せ……ボフマン? どうした大丈夫か?」

 

 僕は、毒に侵されたように倒れ込み、そのまま、気絶してしまった。

 彼女の声が、遠のいていく。

 視界が、黒い帳に覆われて、僕は、そのまま──

 

 

 

「はっ……ふう……はぁ……」

 

 朝日が自室に挿しこみ、目に軽い痛みが走る。周りを見渡すと、先程までの──いや、恐らく昨晩の、喧騒の跡は、なくなっていた。

 

「夢……だったのかな」

「ふむ、大事無いようだな」

「わああ! ば、バフォメットさんおは──」

「挨拶より……まず先に何か履け、風邪を引くぞ」

 

 夢見心地でふわふわとしていた脳が、彼女の言葉で覚醒する。僕は、丸出しの陰茎のままで倒れてしまったらしく、紅茶を2杯持ってきた彼女に見つめられ、大慌てで毛布を引き寄せ、股間を押さえ隠した。

 

「お、オハヨウゴザイマス」

「うむ、寝起きのところ悪いのだが、新しい仕事の話をしようではないか」

 

 縮こまる僕を尻目に、彼女はビリジアングリーンの上着の胸元をクイとあげ、鼻をフスと鳴らした。

 

「貴様に施してやったあん摩なのだがな……事業にしようと思っとるのだ!」

 

 彼女の言葉が、右から左へと流れ、理解の範囲からこぼれていく。

 しかし彼女は、呆ける僕をビシリと指し、自論をどんどんと展開していった。

 

「先ほど村人に聞いて回ったんだがな? そういうサービスがもうあると言うではないか! 塩業ほどはヴィータの生活に入り込めんだろうが、あれだけ心地よくしておったのだ。需要があるとは思わんか?」

「バフォメットさん……あのですね……」

「手始めに、運搬作業をして疲れているだろう村人に、我があん摩を──」

「村長!」

 

 細身の僕から出た大声に、ぎょっとした彼女は、盆をひっくり返しそうになりながらも、呼びかけに返答した。

 

「お、おお……なんだ?」

「バフォメットさん……その……昨日のアレ、僕だけにシてくれませんか」

 

 お願いします、お願いしますと彼女にすがり乞う。誰にも取られたくない。子供じみた独占欲が鎌首をもたげる。

 

「ええい、しつこいぞ貴様! まったく……我のカリスマを一身に浴びたいのはわかるが、あくまで貴様は我の使用人であるということを忘れるな」

 

 自身の感情の発露に耐えきれず、想いをぶつけてしまい、拒絶されてしまった。そう思い、彼女に謝罪をしようとする。

 しかし、彼女はその謝罪を手で制して、僕に微笑みかけた。

 

「ただ、貴様からの数少ない願いではあるしな、聞いてやらんこともない」

 

 突然、陰茎に何かが触れ、びくりと跳ねてしまう。

 目を白黒させて股間の方を見やると、彼女は、僕の裏筋につつと指を這わせていた。

 

「その代わり、貴様の『精液』を、我に全て寄越せ」

 

 彼女は不敵に笑い、世界征服を目論んでいる時と同じ目の色になっていた。

 僕は、彼女がなぜ僕の精液を欲しているのか、わからないまま、それでも溢れる欲が止められず、か細い懇願が、口から漏れ出てしまった。

 

「…………よろしくお願いします」

 

 この日から、僕とバフォメットさんとの関係が、混ざり合って溶けてしまうようなものへと、大きく変化してしまった。

 

 

 

終

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。