前回予告した通り、今話からリクエストキャラを反映させていきます。
最初に登場するのはペルソナ4より、白鐘直斗です。
直斗君ちゃんは個人的にめっちゃどストライクなキャラをしているので、いつか書いてみたいと思っていました。
小猫と共に暮らし始めてから、一か月ほどが過ぎた。
あれから俺は、街中でクラックを見かける度に情報収集も兼ねて対処に当たっていた。ここ一か月ほどで経験を積んだこともあり、最初の頃と比べてよりいい動きができるようになったと思う。しかしあの森については、相変わらずわからずじまいだった。
そんなある日のこと、俺の通っている学校にある噂が立つようになった。
「ねぇ、聞いた? 最近この町でよく青い服を着たすごくかっこいい男の子を見かけるって」
「知ってる! 確かその子探偵とかで、最近この町で起きてる事件について調査してるんだって!」
「そうなんだ~。でも確かに最近この町でよく行方不明者が出てるって噂があるよね~」
「しかも何か変な化け物を見かけるって噂だよ~」
「そんなのほんとにいるの? でももしいたらすごく怖い話だよね。帰り道とか気をつけなきゃ」
(……実際にその化け物を見たけど、マジで恐ろしかったぞあれ)
思わず口から出そうになったその言葉を、俺はどうにか飲み込む。どうやらインベスたちの活動は、ここ最近活発になってきたようだった。クラスの女子たちの話を聞く限り、既に行方不明者も出始めているらしい。クラックの出現頻度もそのうちもっと増えるだろう。俺ももっと強くならなければ。
(にしても探偵か。探偵が出てくるってことはやっぱり何か裏があるのか?)
探偵の件については俺もちょくちょく耳にする。一週間前ほどからこの町でよく見かけるようになったと言われる探偵。ほとんどわかっていないが、出回っている噂はどれもすごいものだった。
曰く、これまで数々の難事件を解決へと導いた凄腕の探偵。
曰く、わずかな証拠から犯人の行動を正確に予測し、次の犯行を未然に防ぐ頭脳の持ち主。
曰く、見れば誰もが振り返るほどの美形の持ち主。その容姿から『探偵王子』とも呼ばれている。
他にも様々な噂があるが、そんな有名人が都会から離れた黄泉原町にいるとなると、町中に噂が広まるのも納得だった。
(是非とも顔を見てみたいけど、そんなに都合よく目の前に現れてくれるわけでもないしなぁ……)
そんなことを考えながら、俺は帰り支度を整えて学校を出る。しばらく通学路を歩いていると、前から青い服を着た人物が歩いてきた。その人物はどんどん俺との距離を詰めていき、やがて俺の前で立ち止まると声をかけてきた。
「すみません。少しお話いいですか?」
「ど、どうしました?」
俺は突然の質問に緊張しながらも、どうにか言葉を返す。目の前にいる人物は男性とも女性ともとれる中性的な顔立ちに、探偵のような帽子を被っている。もしかして、目の前の彼があの探偵王子なのだろうか?
頭の中で目の前の人物について考察していると、彼が再び口を開く。
「最近、このあたりで行方不明者が出ていると噂を聞きまして。それについて何か知っていることがあれば教えてほしいのですが」
「行方不明者ですか? なんだか最近よく出るようになったと聞きますが、俺の周りでは特におかしな出来事は起きてませんね」
彼から出された質問に答えると、目の前の人物は続けて質問を投げかけてきた。
「では、この写真に写っている化け物についてはどうでしょうか?」
「っ!?」
俺はその写真を見て思わず息を飲む。そこに映っていたのは、まぎれもなくインベスの姿そのものだったからだ。しかも写真には、俺がここ最近よく見かけるクラックも写っている。
(こいつ……一週間でもうここまで調べ上げたのか?)
「どうかしましたか?」
俺の様子が気になったのか、彼は俺の顔をじっと見てくる。改めて彼の顔をよく見ると、男の俺でも思わず見惚れてしまいそうになるほどの顔立ちだ。正直言って、めっちゃ可愛い。
「……いえ、何でもありません。それより、その化け物がどうかしたんですか?」
「なんでも、最近この町で見かけるようになった化け物らしくて。僕もまだ直接見たわけではありませんが、この化け物が行方不明事件と何か関係があると思っていまして」
「そ、そうなんですね。でもこんな化け物が実際にいるなんて、俺は考えられませんよ。何かの作り話なんじゃないですか?」
「……そうですね。僕も正直言って、あまり信じられません。ですがこうして写真に写っている以上、僕は本当に存在するものと考えています。と言っても、僕の話を真剣に聞いてくれる人はほとんどいませんが」
「そうですか……」
話を聞く限り、白鐘の捜査はあまりうまくいってないらしく、ほとんどが作り話として片付けられているようだ。俺は白鐘に自分はそいつらと戦っていると告げるべきか悩んだ。ここで白鐘に事情を説明すれば、あの森について何か明らかになるかもしれない。ちなみにサガラはあの日以来一度も姿を見ていない。もし再び会えば何か教えてくれるかもしれないが、あまり期待しない方がいいだろう。
(……でも、こいつに俺が写真の化け物と戦っていると告げるのはやめといたほうがいいかもな。ないとは思うけど、むやみやたらと話して怪しまれたりしたら嫌だし)
結局悩んだ末、白鐘には話さないことにした。その後俺は白鐘としばらく話を弾ませた。ひと段落ついて打ち解けてきた頃には日が傾き始めていた。
「お時間取らせてしまいすいませんでした。事件に巻き込まれないように気を付けて帰ってくださいね」
「ありがとう。えっと……」
「あ、申し遅れました。僕は白鐘直斗と言います。以後、お見知りおきを」
「俺は倉岡光弘だ。白鐘も気を付けて帰れよ」
「ご心配どうも。では倉岡さん、僕はこれで」
そう言って白鐘は俺の前から去っていった。多分もう会うことはないだろうが、どうか無事に捜査を進めてほしいところだ。
「あ、そうだ。まだ夕飯まで時間あるし、少しサクラハリケーンでも走らせよう」
たまには気晴らしにバイクで走るのもいいだろう。そう考えた俺はカバンからロックモードのサクラハリケーンを取り出して起動した。すると先ほどまでロックシード状態だったサクラハリケーンは、一瞬のうちにバイクに早変わりした。
「さて、ツーリングがてら森の探索といきますか」
俺はヘルメットを被ってサクラハリケーンに乗り込むと、夕方の街に繰り出した。
~~~~~~~
(今日はこんなところか。辺りも暗くなってきたし、そろそろ帰ろう)
僕は今日の捜査を終えて自宅に帰っている途中、先ほど会った黄泉原学園の制服を着た人物のことを思い出していた。
(なんだか不思議な人だったな。あんなに人と喋ったのは久しぶりかもしれない)
この町で今起きている行方不明事件。そしてこの町で近頃見かけられるという謎の化け物。そしてその化け物が住んでいると思われる空間のようなもの。
僕はそれらを調べるために、一週間前にこの黄泉原町にやってきた。黄泉原警察署で今回の事件についての概要を聞かされた時、僕はひたすらに困惑した。なにせ事件の内容がどれも非現実的なものばかりで、当初の僕は刑事の人たちがそろいもそろって僕をからかっているのではないかと思ったほどだ。
しかし実際に行方不明になっている者たちが増えているのは事実であり、そのうえ痕跡の一つすらも見つからないというのは確かに妙だった。誘拐するにしてもよほど計画的な物でなければ、現場近くに落ちている髪の毛など何らかの痕跡があるものだ。それらの痕跡が一切ないとなると、捜査は途端に厳しいものになる。いくら探偵と言えども、手掛かりなしで真相にたどり着くことはできないのだから。
(今のところ、手がかりはこの写真に写っている化け物と謎の空間らしきものだけ。しかも実在するか怪しい。でも必ず……)
必ず手がかりを掴んで真相にたどり着いて見せる。心の中でそう決意した僕は、明日に備えて早めに寝ようと自宅へ帰る足を速めようとした。
その直後、僕はありえない光景にその足を止めることになる。
「……なんだ、これは」
僕の目の前に広がっていたのは、この世のものとは思えないほどの幻想的な植物。そしてその植物の近くには、写真にも写っていた空間の入り口らしきものが出現していた。奥には森のような空間がどこまでも広がっている。
「この中に、あの化け物たちが……」
これは捜査を進める好機だ。今まで影も形もつかめなかった化け物をこの目で見ることができるかもしれない。そう考えた僕は後先考えず、目の前の入り口に足を踏み入れる。
今思えば、この時の僕は事件が一向に進展しないことに焦っていたのかもしれない。そんな中で解決の糸口が見つかったら、それを確かめたくなるのは探偵の性なのだろう。
「はぁ……はぁ……っ!」
その焦りが今のこの状況を生んだ。僕は今、人生で一番命の危機に直面している。
「ゴァァァァァ!」
「くそっ……まだ追ってくる……!」
結論から言うと、例の化け物は実在した。緑色の硬質化した皮膚に覆われた肉体に、大きく発達した右腕に生えている爪。写真に写っていた化け物とは少し違っていたが、おそらく同類の化け物だろう。
そんな化け物を初めて目にした僕は、驚きと恐怖で頭がいっぱいだった。まさか本当に実在していたなんて。いまだに信じられない……というより信じたくないという気持ちが、僕の頭の中を支配していた。
その恐怖が行動に出てしまったのか、僕は足元の木の枝を踏みつけてしまい、その音を察知した化け物に追われて今に至る。
「あっ……!」
恐怖で震える足で必死に逃げていると、落ちていた石に足が躓いてしまう。急いで体勢を整えようと起き上がったころには、化け物はもう目と鼻の先まで来ていた。
「グルルルル……」
「ひっ……」
僕は目の前の化け物を前に足を動かせずにいた。頭の中では早く逃げなきゃと思っていても、恐怖がそれを上回ってしまう。
(僕は……こんなところで……無残に殺されるのか?)
怖い。これから僕を待ち受ける運命に、僕は涙を流しながらただただ震えるしかなかった。
誰か、助けて。殺される。
そんな都合がいいことが起きるわけもないのに、僕は心の中で必死に助けを求めていた。死にたくない。こんなところで死ぬなんて嫌だ。
「グルァァァァァァ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
そんな僕をあざ笑うかのように、化け物が僕を狩り殺そうと右腕を振り上げる。
(終わった。僕はここで死ぬんだ)
僕は数秒後に訪れるであろう結末を予感して、思わず目をつぶった。その時だった。
「グガァァァ!?」
「……え?」
突然バイクのエンジン音が聞こえてきたかと思うと、化け物は何かに突撃されて大きく吹っ飛んだ。一体何が起きたんだと僕は目を開ける。そこにはどこか近未来風の白いバイクと──
「おい君! 怪我はない……か……?」
先ほどまで話していた彼の姿があった。
~~~~~~~
(ちょっと待て! なんであいつがここにいるんだよ!? まさかクラックを通り抜けてきたのか!?)
俺はついさっきまで話していた白鐘の姿を見て驚愕していた。まさか別れてから一時間もたたないうちに、しかもこの森の中で再開するとは思わなかったからだ。
「倉岡さん……ですか? どうして、あなたがここにっ?」
白鐘は震えた口調で俺に問いかけてきた。白鐘はぱっと見大きな怪我はしてないみたいだが、涙に濡れたその表情を見ると、先ほどまで命の危機に直面していたことは明白であった。
(とにかく無事でよかった……。あと少し遅れていたら白鐘は……)
そうこう考えているうちに、インベスが起き上がって俺の方へ襲いかかってきた。
「話はあとだ! しばらく隠れてろ!」
「は、はいっ!」
俺は白鐘を下がらせると、腰に戦極ドライバーを装着する。インベスの攻撃を躱しながらブドウロックシードを装填すると、そのままカッティングブレードを倒した。
【ロックオン!】
「変身!」
【ハイィー! ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!】
変身すると同時に、ドライバーの横にマウントされた無双セイバーを抜いてインベスを切り裂いた。
「グォォォ!」
「相変わらずすごい切れ味だな。それに……」
俺は追い打ちに無双セイバーのトリガーを引いて銃弾を浴びせる。銃撃をもろに受けたインベスは唸り声をあげながら後ずさった。
「こうして銃としても使えるから超便利だ。あいつには感謝しないとな」
俺は心の中でサガラに感謝しながら、無双セイバーにブドウロックシードを装填する。
【ロックオン! イチ・ジュウ・ヒャク】
無双セイバーにロックシードのエネルギーがチャージされると同時に、俺はトリガーを引く。
【ブドウチャージ!】
「食らえぇぇぇぇぇぇ!」
俺は叫び声をあげると同時に、ブドウのエネルギーを纏った無双セイバーをインベスに向かって振り下ろした。無双セイバーから放たれたエネルギーの刃は、一直線にインベスに向かっていく。
「グラァァァ!」
インベスは腕を組んでエネルギーの刃を防ごうとする。しかし、エネルギーの刃は徐々にインベスの腕へと食い込んでいき、やがて腕もろともインベスを真っ二つに切り裂いた。
「ふぅ……よし、これでもう大丈夫だな」
俺はロックシードを閉じて変身を解除する。しばらくすると、様子を見ていた白鐘があり得ないものを見たかのように驚愕の視線を向けながら近づいてきた。
「あの……あなたは一体?」
「……とりあえずまずはこの森から出よう。ひとまず俺の家まで来ないか? 説明はそこでちゃんとするから」
「……わかりました」
俺は後ろに白鐘を乗せたサクラハリケーンを走らせる。しばらく走っていると、前方に空間の裂け目が出現した。
「うわっ!」
「大丈夫だ。しっかりつかまってろ」
俺はそのまま空間の裂け目に向かってバイクを走らせる。空間の裂け目を抜けると、そこは元居た黄泉原町の景色が広がっていた。
「す、すごい……。こんなものがあったなんて」
後ろに座っている白鐘は度重なる非現実染みた光景に理解が追い付いていないようだった。こりゃ説明するのが大変そうだな……。そう思いながら、俺は自宅までの道をバイクで走っていった。……背中に当たる柔らかい感触がやけに気になったが、気のせいだと思うことにした。
次回は直斗君ちゃんのエロ回です。
直斗君ちゃんのキャラがうまく書けているかわかりませんが、もしこれは直斗じゃないという意見があれば(やさしく)指摘してくださるとありがたいです。
リクエストの方もまだまだ募集中ですので、活動報告(またはメッセージ)からリクエストしてください!