※この作品はR-18です。

執行人姉妹1   作:宗門 志幸

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初投稿です。
1話分、短めの投稿となります。

あけびが触手と仲良く登場です。
初っ端から悶えます。

良かったら、感想などお聞かせください。


囚われた姉

 

 

「おおぉ━━」

 静かな呻き声が、女の口から漏れた。

 女の身体は、ゆらゆらと揺れている。地下神殿と呼ばれる空間の中程に、宙に浮くように女が一人揺られているのだ。

 その女の尻の下で、太く節くれだったモノがゆっくりと律動していた。さらに、女の胴ほどもある触手が何本も絡み合い、蠢いている。

「はああぁ……」

 粘液を纏って内腿を擦れていく触手に尻を震わせながら、女はその美しい鼻梁を天に向け、肺の奥から息を絞り出した。

「我慢できまい。いつまでそうして耐えるつもりだ?」

 頭に直接話しかける声に、まなじりを決して、

「うるさい!」

 と応じたが、声は掠れている。

「あけび━━」

 名前を呼ばれて女は声の主を改めて探したが、仄暗い地下神殿と呼ばれる空間のどこにいるかも見当がつかない。身体の下の触手の淫らなうねりを感じるだけだ。

「混血の執行人といえども、我らの与える愉悦に、ただではいられまい。」

 蠢く触手の上で、あけびと呼ばれた女は、虚空を睨みつけた。

 既に、自ら囚われの身となって半日近くが経とうとしていた。

 首都圏外郭放水路の調圧水槽、別名「地下神殿」に多くの一般人が囚われていると連絡があったのは、今朝早くだった。調停員ではなく監視員から直接の連絡は珍しい。訝しんだが、調停員があちら側━━魔淫界の幻獣にやられたと聞いて、すぐに動いた。

 いつもの黒いパンツスーツに身を包んで駆けつけた時には、既に五十人からの囚われ人━━その全員が女性で、明らかに女児と思われる者もいた━━が、地下神殿の触手の上に横たわっていた。触手は、その空間の三分の一ほどを占めて、蠢いていた。

 あけびは一人であった。単独での行動は珍しくないが、二人で行動することの方が多い。しかし、いつもパートナーを組んでいる妹の胡桃は、未明から所在不明だ。よくあることだからと放っておいたが、一筋縄ではいかないと踏んで、監視員には連絡をつけるようにと言ってある。

 囚われた女性たちの解放を、自らの身体と引き換えに交換条件として提案したのは、あけび自身であった。ランドセルを傍らに横たわる女児の姿が、あけびの視界に入っていた。

 女囚の解放は、あけびが着ていたスーツのズボンを脱いだ時に十人が、海を思わせる色の、レースがあしらわれたショーツを脱ぎ捨てた時に十人が、下半身を露わにして触手の上に跨った時に、また十人が解放されていった。

 触手によって中空に持ち上げられ、無抵抗で内腿と秘唇に粘液を擦り付けられた時には五人。ブラウスをはだけブラジャーのフロントホックを外してまた三人。

 目の前に突然触手から生み出された、鬼の金棒を思わせる小さな瘤で節くれだった太い男根を見せつけられながら、あけびの秘唇が愛液でしとどに濡れるまで舐られて六人。

 目の前から不意に消えたと思った男根が、びっしょりと濡れた秘唇の真下からあけびを貫いて八人。

 女児一人だけが、ランドセルと共に視界の遠くにまだ見えていた。

 その間、あけびは耐えた。平然とした表情で、触手のもたらす痴戯を受け入れた。

 

 魔淫界の妖獣━━淫獣は、その呼び名が示すように、人の性に貪欲であった。幾度もの邂逅と執行を通し、それは嫌というほどあけびの身体に染み付いた。

 快楽の中で人の身体から分泌される体液や欲情の高まりは、物理的にも精神的にも淫獣の餌となることがわかっている。

 そのため、淫獣は人の世に入り込み、長い時間を使って人を支配しようと試みていた。

 淫獣の出現と時を同じくして、人の世にも淫獣に対抗し得る人間が現れた。それがいつの頃のことなのか、記録にはついぞ残っていないが、インターネットが蔓延る現代社会において、その闘いは時代に応じて激しさをましていた。

 淫獣と闘う宿命を背負った執行人。その一人として、あけびはここにいる。

 あけびは、執行の度に、自分の身体も、普通の人間と異なることを思い知らされた。

 物心がつく前から、混血として生を受けたあけびには教育が施された。こちら側とあちら側の協力者によって。

 それは人の世の教育と呼べるものでは無論ない。執行人としての才を見出された者だけが受けるべくして受ける、熾烈を極めた無常の教育である。

 その教育を受けたのが一人だけなら、あけびは途中で投げ出していたかもしれない。そして、あちら側の血が混じっているからこそ、人知れず処理される。

 しかし、あけびはその教育を終えて、ここにいるのだ。一緒に受けたもう一人と共に、混血として双方の世界の類まれなる才能の結晶として。

 終わりに協力者は、まだ開いていない、気づけてもいない才能や力がねむっていると言った。人の世の年齢で5歳の開きがあるもう一人の妹も同様だと。

 人の子の感じる恐怖が、胸の内に上がったかと思う間に霧散した。どのような才能や力だとしても、自分のものに違いない。ならば、それと共にこの人の世で生きていくのが、あけびと、もう一人の妹━━胡桃の決めたことだった。

 




解説1
人間界側の淫獣対応には、三つに分けられた役割かある。

出現や人間界での状態を監視する「監視員」

戦闘にあたっての付近住民の避難や、淫獣の状態を観測し対処や対応の方法を探ったり決定したりし、事後処理も請負う「調停員」

淫獣を殲滅する「執行人」

それらを統括するのが「本部」と呼ばれるところ。
ただし、規模も人数も詳しいことは誰も知らない。
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