ランスが女の世界で魔人アイゼルに転生〜洗脳能力と原作知識で魔王を目指す〜 作:斧池 数馬
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「アイゼル様。クルックー・モフスです。参りました」
法王となった魔人アイゼル。本来ならば法王に与えられる名前であるムーララルーと呼ぶべきなのですが、彼自身の命によって元の名前で呼んでいます。
【AL教の信徒にとって法王の命令は絶対】ですから、仕方ないことではありますが、少し座りの悪さを覚えます。
「入りなさい」
「失礼します」
ノックをして、返事を待ってから入室すると淫靡な匂いが鼻につきました。
彼が法王に就任してからよく嗅ぐようになった匂いです。
「こんにちは。クルックー」
「ランス、あなたも呼ばれていたのですね」
AL教の中枢とも言える法王の執務室。本来であれば信者以外の立ち入りは制限されて然るべきですが、【法王が良しとしている】ので問題はありません。
彼女はこの世界を良くも悪くも乱しかねないバランス・ブレイカーでもありますから、法王がそれを管理するのは理に適っていると言えるでしょう。
「信徒クルックー、あなたに【祝福】を授けましょう」
「……よろしいのですか?わたしはこの通り貧相な体です。もっと【祝福】を受けるのに相応しい者はいると思いますが?」
法王直々の祝福はそれを受ける相手にも相応の格が求められます。
一番重要な条件は【魔人アイゼルが欲情を覚え、犯したくなる女性である】ということ。
これがランスであれば納得がいきます。神官の衣装を押し上げる乳房や臀部。明るく朗らかな笑顔。男性が好む美質を多く有していると言えるでしょう。彼女の迷わず、悔やまず、まっすぐな姿はわたしもとても好ましく感じます。
対して、わたしは幼い容姿であり性的な魅力に欠けていることでしょう。以前彼の城を訪れた時もわたしだけ犯されませんでした。
「ふふ、あなたも充分魅力的ですよ」
「そうそう。クルックーは可愛い」
臆面のない好意に気恥ずかしさを覚えます。もっとも表情には特に出てこないのですが。
「あはは、クルックーが照れてる。そういうところも可愛いよね」
「ええ、同感です」
だというのに二人にはわたしの内心を見抜かれてしまいます。人の心を、精神を操る魔人アイゼルは納得がいくのですが、ランスはどうして分かるのでしょう?
「というわけでランス、クルックー。おいでなさい」
ランスと共にベッドの上に誘われます。【多くの女性に祝福を与えたがる点を除けば】彼はとても無欲な男性です。その分ベッドは最高級なものが法王の執務室には設えられています。
「【祝福】の先達者として、わたしからご挨拶させてもらうね。アイゼル様、わたしの処女を奪ってくださってありがとうございます。今日もたくさんわたしのことを気持ちよくしてください。そしてアイゼル様も、わたしを使って気持ちよくなってくださいね♡」
「……法王。ムーララルー。アイゼル様。わたしの処女をどうか受け取ってください。わたしを、あなたの所有物にしてください。わたしはこの、名誉と引き換えに、わたしのすべてをあなたに捧げます」
スカートを大きくたくし上げて中身が見えるようにする。【祝福】の経験者であるランスは相応しい格好について熟知しているのか、普通だったら神官の衣装の下に着けることが冒涜的とされるようなデザインの黒の下着を身につけています。
対してわたしは質こそ良いものの、上品な白の下着です。【祝福】を受けるのに不安要素ではありましたが、突き刺さるような視線を感じ内心で安堵します。
「くすくす、いいでしょう。二人に祝福を与えます」
わたしたちに片手ずつ手が伸びてきて、乳房を触ります。くすぐったさを覚えますが、一切の抵抗をせずに受け入れます。
自分を幸せに出来ない人間に、他人を幸せにすることは出来ない。
ALICE様の教えとは、少し違うのかもしれませんがランスのその信念はわたしの中に強く響きました。
ただ聖書の教えのみに従って、流されるままに生きていたわたしは、そもそも法王に相応しくなかったのだと納得しました。
そもそも司教の座すら荷が重いとすら思います。ですが、アイゼルはわたしを司教の地位に置き続けています。
そして司教であるわたしを慕ってくれるサチコやセルさんのような信徒たち。
彼らの期待を裏切らない。それが今のわたしのやりたいこと、自分が幸せになるためにしたいことだと、そう思うのです。
「あんっ♡んんっ♡アイゼル様、直接触って欲しいです♡」
「いいでしょう。二人とも、服を脱ぎなさい。ああ、信徒の証である十字架を外さないようにね」
「……分かりました」
そう意気込んでみてもランスのように乳房を弄ばれて喜ぶことは出来ません。あれこそ【わたしが目指すべき姿】だと思うのですが、一朝一夕で出来ることではありません。
だからせめて先達の言葉を良く聞いて、良く学ぶことにしましょう。
当然のことながら【祝福のときを除いて】性欲に耽溺することは我らには許されていません。ですから学ぶにはこうして法王に時間を割いてもらって直接の指導を受けるほかないのです。
「アイゼル様、わたしのおっぱいどうぞお楽しみください♡」
「……ランスのものと比べるとつまらないものではありますが、お気に召すままに弄んでいただければ幸いです」
AL教の信徒であることを示す、帽子とカラー、十字架を残して服を脱ぎます。理由は分かりませんがランスを真似て靴下も残しました。
素肌に直接十字架の金属の冷たさを感じでくすぐったさを覚えますが、これならばAL教の信徒であることが一目瞭然でしょう。
「ああ、どちらから楽しむか悩みますね。苦悩もまた信仰への道なのかもしれませんが……、法王として恙無く【祝福】を遂行することを優先することに致しましょう」
そう言うと彼の体が二重にブレて、気づくと二人になっています。
彼の魔人としての能力、なのでしょうか?司教トータスが見つけた彼について書かれた第一次魔人戦争の記述にはなかった能力です。
ともかく、二人になった彼はわたしたちを背後から抱きしめました。
「あっ♡あっ♡んん……♡」
「ふっ……ん……。あ……♡」
「ああ……。とてもいいですね。この上ない安らぎを感じます。魂が浄化されていくのを感じますよ」
魔人としての力ではない、クラウゼンのような聖人の力として彼は人の心の闇、魂の汚染を祓うことが出来ます。
しかし、その苦痛は彼の魂に汚染を生じさせます。それを浄化することも【祝福】の目的の一つです。
ALICE様の御心に沿って人々が清く正しく生きる一助となる達成感と共に、深い安堵を感じているアイゼルの様子にも良かった、という感想を覚えました。
「あっ♡あっ♡気持ち、いい……♡乳首、くりくりされるの……好きです……♡」
「クルックー、あなたもランスを見習って肉欲の喜びを知りなさい」
「は、はい……。乳首、気持ちいい?です。んんっ♡いま、少しぴりっとしたような……」
「クルックー、それが気持ちいい♡ってことなんですよ。アイゼル様におっぱい玩具にされて固くなった乳首をいじめられると、女の子は気持ちよくなって♡幸せになっちゃうんです♡」
まるで鏡合わせのように、同じ動きでわたしたちは乳房を弄ばれています。下からすくい上げるように掌で覆われ、優しく揉まれ、指の腹で乳首を撫でられる。
ランスの言葉をそのままなぞるとまるで感染したかのようにくすぐったさとは違う感覚を覚えます。
「あんっ♡えへへ……♡クリトリスを弄られるとわたし、すぐイっちゃうんです……♡だからこうして優しく可愛がってもらってるんですよ♡」
「んんっ。確かに……、これは、刺激が強いですね。腰がっ、動かせないせいで、余計にっ」
片手が股間に伸びてきて、そこにある突起に指先が触れます。
より一層繊細な手つきの愛撫。それでも思わず腰がはねてしまいそうになるのをもう片方の手で押さえ付けられます。
下腹部に掌を当てられて押さえ付けられているので、暖かさがじんわりと伝わってきます。
「そろそろでしょうか」
「は、はい♡最初の一回は……、アイゼル様のおちんぽ様でイきたいです♡」
「ええと、終わったのですか?」
「いいえ、ここからが本番です」
されるがままにベッドの上に仰向けにされます。横に視界を向けるとランスが慈愛を感じさせる微笑みをたたえていました。
何も言わずにわたしの手を握ってきて、そこから温もりが伝わってきます。
「挿入れますよ」
鉄のように固くまっすぐなアイゼルの男性器がわたしたちの柔らかくなった女性器にあてがわれます。
不信心なことですが、そのあまりの力強さと熱さに恐怖に似た感情を覚えてしまいました。
その恥を少しでも拭うべく、ランスを真似て腰を揺らして陰唇を亀頭に擦り付けるとにちゃりと液体に塗れたもの同士が絡み合う感触がしました。
これならわたしが【犯されたがっている雌】であることが十全に伝わったことでしょう。
「はい……♡」
「どうぞ……」
ゆっくりと体重がかかってきて、肉棒がわたしの中に。
そしてある地点で彼は挿入を止めると一呼吸置きました。
わたしはそれを、一気に腰を叩きつけるために力を溜めているんだなと感じました。
「ああんっ♡」
「くっ……!」
次の瞬間、嬌声と悲鳴が同時に上がりました。もちろん悲鳴を上げたのはわたしの方です。破瓜の痛みゆえ仕方ないことではありますが、ランスの喘ぎを聞くと自身の未熟さを感じてしまいます。
「あはっ、クルックー。処女喪失おめでとう!」
「はい……。ありがとうございます」
とはいえこうして心からの祝辞を浴びせられるとすぐに喜びが上回ります。散々体を弄ばれたおかげか、あるいは精神そのものを操作してもらったのか、すぐに痛みは和らいでいき、代わりに体内に感じる熱にのみ意識が集中していきます。
「あっ♡あっ♡えへへぇ♡これすきぃ♡」
「んっ♡んっ♡なるほど……確かに……♡」
腰を掴まれて下半身を持ち上げられた上で男根に貫かれる。処女のわたしに合わせてかその動きは緩慢かつ浅いものでしたが、それでもなお強烈な刺激でした。
ともすれば意識を手放してしまいそうになるのをランスの手を強く握って繋ぎ止めます。
「これが……【祝福】。……性交。知っているのととやるのとでは大違いですね……」
「うんっ♡あったかくて、嬉しくて、気持ち良い♡絶対クルックーも気にいるよ♡」
「んんっ♡乱れてしまうのは、少し、ああっ♡問題がありますねっ♡」
【法王が授ける祝福は問題ありません】が、性行為に淫してしまうのは困ります。普通、ALICE様の信徒に許されるのは子を作るための行為のみです。当然、わたしにはそんなお相手がいないのでランスのように堕ち切ってしまうと大変なことになってしまいそうです。
ランスほどの頻度で【祝福】を授かるというのもなかなか難しそうです。
そんなふうに思いを巡らせていると、一つの考えが浮かんでしまいました。
「アイゼル様っ♡アイゼル様っ♡」
「あっ♡あっ♡アイゼル様……♡」
それはランスの子を孕むという発想です。彼女は女性でありながらカラーの女王や女悪魔との間に子供をもうけていました。
その発想をかぶりを振って追い出します。
今は【ひたすらに快感に溺れ】、【気持ち良くなることだけを考える】べき【祝福】の時間です。
「あっ♡んんっ♡もっとぉ♡」
「はぁっ♡はぁっ♡あんっ♡んんっ♡」
「射精しますよ」
気持ちを切り替え、ランスを真似て喘いでいるとアイゼルが腰の動きを早めました。
何かに追い立てられているような、必死な動き。それはわたしも同じでした、近づいてくる、大きな何かの予感に、余裕がなくなってしまいます。
「ああああ〜〜〜〜♡」
「んん〜〜〜♡」
まるで体内でぷちハニーが弾けたみたいな衝撃。お腹の中に出てきた熱いもの。
あまりに意識が朦朧としすぎていて、それが精液だと気づいたのは、ペニスが引き出されて赤色の混じった白濁液が、女性器からこぼれ落ちたのを見たときでした。
◆ ◆ ◆
「ふふ、わたしには知られてはいけない秘密が多すぎますからね……」
わたしの計画、わたしの野心。それは当然のことながら前世の、原作のランスの物語の記憶に基づいている。
しかし、それを神に知られる訳には行かなかった。ランスの物語のハッピーエンド。あの大団円は神への謀りに他ならないからだ。
だから、前世の記憶を消したわたしを神のもとに送り込んだ。たとえどれほどの拷問に晒されようとそれを吐いてしまうことがないように。
当然のこととして魔血魂は彼が持っていなければならないから、力の大半はあちらが有することになる。
その上で神の目を掻い潜るため、共有される苦痛に耐えるため、前世の記憶を持ったわたしは完全汚染人間であらねばならなかった。
悪魔の力、自己洗脳、魂の枷。持てる手段のすべてを駆使して自殺衝動を抑えようとも、ドス黒い感情を味わわされることを避けることは出来ない。
だから祝福と称して女を抱いた。肉の交わりが心の闇を祓うことを信じて。
そうして、何とか精神的なトラウマを魂の汚染によって狂気に酔いしれて誤魔化すことなく、正気のまま飲み込めるまでに至った。
裸身を晒したまま寝息を立てる二人を見ながら、わたしは自身の破滅に突き進む欲深さを嘲笑した。
女神ALICEの目を誤魔化した方法はセルフ洗脳による魂汚染と記憶操作でした。
単純すぎると思われるかもしれませんが神にとって人間の考えを警戒なんてしない方がらしいかなと。
深謀遠慮な策略なんて思いつかない書き手の都合も多分にありますが……。