ランスが女の世界で魔人アイゼルに転生〜洗脳能力と原作知識で魔王を目指す〜 作:斧池 数馬
シーラ・ヘルマンが兄、パットン・ヘルマンの率いる革命軍に合流し、本格的に革命が始まった。
手始めに、ヘルマンの即応部隊ともいえる第四軍を撃破し、革命の火蓋を切るのだった。
第四軍は、即応部隊といえども上層部の他国の侵攻に対する想定の甘さから、弱兵の寄せ集めとなっていたが、それでも軍一つを落としたという事実は、ヘルマンに大きな衝撃を与えた。
ここまでは正史ともいえる原作の流れをなぞっている。しかし、その裏では更なる悪意が蠢いていた。
◆ ◆ ◆
「何なんだこいつは……、呪い付きか何かか……?」
「おのれ……、傭兵風情がぁぁぁ」
弱兵の寄せ集めの第四軍はその長も、相応しい無能だった。
第四軍将軍、ネロ・チャペット7世。金でその地位を買ったこの男は、ナルシズムと夢想主義からなる現実の見えていない愚将の類だった。
追い詰められた彼は、身勝手な美意識からなる優美な最期として、周囲を巻き込んでの自決に臨んだが、たまたま雇われていた傭兵にその蛮行を咎められ、愚将に相応しい末路を遂げた──はずだった。
平和になったJAPANを離れ、戦火の匂いが色濃いヘルマンで傭兵として活動していた戦姫は、明らかに致命傷を与えたはずの男が、こちらに切り掛かってくるのを訝しげに見ていた。
「あの蛮行も、呪いの影響であるのならば、哀れだが……。許せ、どうしてやることもできん」
「わたしを、見下すなぁぁぁぁ」
薙刀の穂先で絡め取るようにして、あっさりと剣を奪うも、ネロは気にも止めずに素手で襲いかかってくる。
その手に、漆黒の指輪を認めた戦姫は、腕ごと切り落とすが、怯む様子すらなかった。
腹を貫かれ、腕を切り落とされてなお、殺意と憎悪で血走った目は、はっきり言って異常であった。
「ふふ、彼の驕り自体は元来のものです。呪われていなくても、同じことをしていたでしょうね」
「何者だぁぁぁ!」
血の混じった泡を吐く、ネロのくぐもった叫びを無視して、突如乱入した男が、彼の頭を鷲掴みにする。
一瞬のうちにネロは正気に立ち戻ると、その顔を恐怖と絶望に染め、そののちに、あっさりと事切れた。
男が手を離すと糸の切れた人形のようにネロの死体は倒れ落ちる。男はそれを無視して切り飛ばされた腕を拾い上げ、黒い指輪を回収した。
「魂の黒化に加えて、攻撃性も増強されていた……。腕輪から指輪に小型化されていますし、やはり改良型ですね」
「アイゼル殿か。久しいな、貴方もこの国に来ていたのか」
乱入者の正体は魔人アイゼルだった。それを見て戦姫は臨戦体勢を解く。日本人にとって絶対的な存在である帝に認められた彼は、疑う余地のない信頼すべき存在であるし、それを差し引いても彼は自分に
「アイゼル様!それに……戦姫さん!」
「おお!ランスか。ははっ、お前がいるなら、将の無能関係なく第四軍の負けは決まっていたということか」
逃走したネロを追って、革命軍に加わったランスも現れる。彼女はアイゼルの顔を見て相好を崩した。
シィルとともにランスに率いられていたルシアンも、かつての主人の姿に驚きを隠せないようだった。
「
「あっ!都市の守備隊の人が付けていました!何故か様子がおかしくて……、今はわたしたちの拠点で保護しています」
「これは魂の枷と呼ばれるアイテムの一種、身につけた者の魂を黒化させ、汚染人間を作り出すものです。AL教では、これを身につけてしまった者たちを保護と、これを配布している導く者たちの取り締まりをしています。その、汚染されたという守備隊の方のもとに案内してくれませんか?」
「分かりました」
「あのっ!アイゼル様」
「どうされましたか?お嬢さん」
「守備隊の人は、正気に戻れるのでしょうか?そして、どうして導く者の人たちはこんな恐ろしいことを……」
初対面の体を取るアイゼルの意を汲んで再開の挨拶を交わそうとはしなかったものの、湧き上がる疑問は抑え切れずにルシアンは声を上げた。
汚染人間の絶望に浸ることしか出来ない哀れな様に、少女は心を痛めていた。
「ええ、汚染を浄化する術をわたしは持っています。そして、導く者たちの目的とは救済です。この世に絶望しきって、その絶望に浸ったまま安らかに眠りに就くことこそが、唯一の救いだとなってしまった者たちが導く者です」
「そんな……。そんなことが救いだなんて」
「ええ、わたしもそうは思いません。しかし、この世に絶望してそう思ってしまう者がいることも仕方ないことだとも思っています」
アイゼルの言葉に、ルシアンは俯いていた。ヘルマンの腐敗政治によって生まれた民たちの絶望、その責任を感じていたからだ。
「ルシアンちゃん、大丈夫。守備隊の人はアイゼル様が救ってくれるし、ヘルマンの人たちの暮らしもパットンさんが良くしてくれるよ」
「はい、ありがとうございます。ランス様」
そんな彼女を、ランスは慰めた。
◆ ◆ ◆
「ヘルマンの軍人や守備隊、それも指示役を狙って魂の枷を嵌めている……。その目的はやはり何か直接的な手段の布石か?何か強大な暴力を所有し、それに対抗する意思を予め挫いておくことで一気に汚染人間を増やす……」
ここ、ヘルマンにおいて直接的な手段には心当たりがあった。
聖魔教団、最後の闘神にして、その創始者M・M・ルーンそのものといえる、闘神MM。
マジックポーンの大量生産という能力を、人類史上最大の魔力量で行使する彼の闘神は、物量戦において無敵といっても過言では無い。
闘神を目覚めさせて、そのまま暴れさせれば、その脅威に対する絶望感だけで大量の汚染人間が生まれることだろう。
ならば必然的にアム・イスエルの居所も闘神MMが地下に眠る帝都ラング・バウだと予想がつくが、わたしが直接向かうにはいかない懸念があった。
闘神MMが目覚める条件は、ルーンの魂と魔剣カオスが揃うこと。
ルーンの魂がシーラによって持ち出された現状では目覚める可能性は低い。しかし、かつて闘神都市で魔人であるわたしの存在を察知して、闘神が起動したように、闘神MMの何らかの防衛装置が起動するのではないかという可能性は十分にあった。
かつて戦った闘神ユプシロンは魔法使いを予備の魔力源として取り込む機能を有していた。
闘神MMにも同様の機能があれば、大量の魔力源となるルーンの魂がなくとも起動には足りる。
元法王であり、強力な神魔法の使い手であるアム・イスエルならば、ヘルマンに壊滅的な被害を及ぼす程度は十分に叶うことだろう。
よって、ヘルマンの中枢たるラング・バウには、パットン率いる革命軍が踏み入るのを待つしかなかった。
今、わたしに出来るのは、ヘルマン軍の正気を取り戻させつつ、アム・イスエルの手勢を削いでいくこと。
これは神の意向にも即しているため、女神ALICEに咎められることもない。
そしてもちろん、その過程においても大いに楽しませてもらうつもりだ。
「こんにちは、ルーベラン・ツェール」
「誰よ、あなた……」
ベッドに無気力な状態で横たわる彼女の名は、ヘルマン守備隊所属、ルーベラン・ツェール。
ランスたちが見つけた、汚染人間の一人が彼女だった。
都市所属の守備隊は、軍事的には大した役割を持たないが、有事には市民の避難誘導などの役割を担っている。
そんな彼女を汚染人間にしておけば、有事の際に被害を拡大させることは容易に想像がついた。
「くすくす。これからあなたを犯したいと思うのですが、抵抗されますか?」
「別にどうでもいいわ。もう全部がどうでもいい。家族を守れない、街を守れない、そんな自分にほとほと嫌気がさしたの。だから、もう、何もしたくない」
女性的な曲線を描きながらも、弛みは存在しない肉体。意思の強そうな眉。隙なく囲まれた隊服。
どれもが頑固なまでの性格を表していたが、中身がその印象を裏切っていた。
こんな状態で守備隊の任務をこなせていたはずもなく、ランスの話では、撃破された直後からこのような状態になったとのことだった。
恐らくは来る日まで汚染を隠して潜伏し、闘神MMによる破壊と混乱に即して発症。組織的な防衛を破綻させるとともに絶望を拡散させる爆弾としての運用を画策していたのだろう。
それが革命軍に撃破されたことへの無力感によって誤爆した。そう考えるのが自然な流れだ。
わたしならば発症前の汚染を目視し、浄化することも出来るかもしれないが、すべての潜在汚染人間を見つけ出して対処するのは不可能だろう。
やはりヘルマン革命の過程において一度彼らを撃破し、発症したところを逐一対処していくしかない。
「では遠慮なく」
「…………」
服に手をかけても何ら反応がなかった。ただすべてに無関心な目で衣服が奪われていくのを見ているのみだ。
一つずつボタンを外し、ベルトを抜き取り、下着を脱がそうとしても抵抗の素振りすら見せない。
服を脱がせる作業自体は、なかなか楽しかったが、趣味に合わないのは否めない。
洗脳であれ、取引であれ、本来であれば固く貞操を守ろうとする者が、わたしだけに浅ましく身体を開く独占感と支配感こそがわたしが求める物だった。
こんな状態ではわたし以外の男にも容易に蹂躙されてしまうだろうと、我儘その物の怒りと憤りを覚える。
「このままだとつまらないですね。汚染を浄化してから犯してもいいですが、もう少し趣向を凝らすとしましょう」
わたしは魔法陣を描いて、ある者をこの場に呼び出した。
「アイゼル様、メリムをお呼び出していただいてありがとうございます。どのようなご用件でしょうか?」
「……え?メリム……?メリムなの?」
「姉さん?」
悲劇によって引き裂かれた姉と妹の感動の再開──姉が服を奪われ、妹が奴隷に落ちているというのに目をつぶればだが。
「そんな訳ないわよね……。あの子がこんなところにいるはずはないわ」
「姉さん!姉さん!わたしです!メリムです!どうしちゃったんですか!?」
「メリム、あなたの姉は心労で弱っているところを突かれて、汚染人間となってしまいました。浄化のためには、わたしの精液が必要なのですが、手伝ってくれませんか?」
「当然です!姉さんのこと、よろしくお願いします。えへへ、姉さん、わたしね、アイゼル様の奴隷になったんだ。だから今、すっごく幸せなの。姉さんにも分けてあげるね」
そういって彼女は躊躇なく服を脱いでいく。調教によって刷り込まれた条件反射によって、肌は上気し、顔は羞恥と歓喜に染まっていく。
似つかない性格の姉妹が、同じように全裸になってわたしの前でその肉体を隠すそぶりもなく晒している。
絶望感と幸福感。二人が浮かべている感情も正反対で、その光景に笑みがこぼれる。
「そうだ!アイゼル様に遊んでもらおうと思って玩具も持ってきたんですよ。姉さんに貸してあげますね」
「んん……♡」
「姉さん、よく似合ってますよ。姉さん、上に乗らせてもらいますね。あんまり重くはないと思うんですが……あんっ♡姉さんの玩具の振動が伝わって……♡アイゼル様、準備できました。わたしのおまんこで気持ちよくなって、射精したくなったら姉さんに注いであげてください♡」
手際よくルーベランの股間に振動する玩具を取り付けるとそれを挟み込むように自身の体を重ねる。
興奮と振動で分泌された愛液が、ルーベランの閉じ切った女性器に流れ落ちていた。
「ふふ、良い趣向ですね。命じずともわたしが楽しめるように取り図ってくれる優秀な奴隷をもってわたしは幸せものです」
「えへへ、アイゼル様にそんなふうに言ってもらえるなんて、メリム感激です♡」
わたしは一つの
「ああっんっ♡」「あっ♡あっ♡」
挿入の瞬間、歓喜に満ちた喘ぎ声は二重になって聞こえた。わたしがかけたのは拡散モルルン、呪われた者の心理状態が周囲に拡散する呪い。
導く者が、汚染された魂に拡散モルルンに用いることで、その絶望感を伝播させることで、汚染人間を増やそうとしたのとは逆に、洗脳された奴隷の多幸感を伝播させることで汚染を浄化させようという企みだった。
「姉さん♡姉さん♡姉さんも気持ちよくなってるんですねっ♡すぐにアイゼル様の本物おちんぽ様が貰えますよ♡楽しみにしててください♡」
「あっ♡あっ♡な、何……何なのこれ……」
無気力、無関心。それは与えられる快楽にも何ら抵抗を示さないことを意味している。
元来生物に備わっている快感を得ようとする本能を制御する、理性が全く働いていない状態。
洗脳を施すにはうってつけだ。
「姉さん♡姉さん♡いっしょにアイゼル様の奴隷になりましょう♡アイゼル様の言うことを聞いて♡アイゼル様に可愛がってもらって♡アイゼル様に楽しんでもらうんです♡」
「い、いや……。これは、夢よ。メリムが奴隷になってるなんて、あり得ないわ」
肉棒が小柄なメリムの小さなそこを出入りする度に、じゅぷじゅぷと水音が奏でられる。
そしてその度にルーベランの魂の黒化が僅かに薄まっていくのが見て取れた。
綺麗な黒がまだらな白に侵食されていく光景は、浄化というには程遠い。
「姉さん♡姉さん♡姉さんは美人だからきっとアイゼル様に可愛がって貰えますよ♡ふふっ、このおっぱいもきっとアイゼル様に可愛がって貰うために育ったんですよ♡
「メリム……♡」
メリムは見た目からは想像も付かない巧みな手業で、ルーベランの乳房を愛撫する。
拡散モルルンによって、乳房に施される調教の内容と、それへの羨望の感情までも伝わったのか、ルーベランは恐怖の色を浮かべた。
恐怖が戻っているということは、魂の黒化の解除が進行しているということだ。
無論正気を取り戻すには足りていないが、実験としては成功といっていい。
「あっ♡あっ♡姉さん♡そろそろアイゼル様の精液が貰えますからね♡」
予告通り、射精の瞬間、肉棒を引き抜き、ルーベランの女性器へと突き入れる。快感と欲情の伝播によって潤っていても解れてはいないそこを男根が無理矢理こじ開けていく感覚に興奮を覚えながら、射精を迎えた。
同時に魂の黒化を完全に浄化した。
「う、うう……。頭が痛い……。何だか悪い夢を見ていたみたい……」
「姉さん!正気に戻ったんですね!」
「正気……、ええ、そうね。あなたたちのおかげで
「ふふっ、AL教の教えを守る者として当然のことをしたまでです。さて、あなたを保護してくれていた革命軍の方たちが心配していました。元気な姿を見せて安心させてあげてください」
「革命軍……。わたしの立場としては、取り締まるべき相手なのかもしれないけれど、この国で彼らが必要とされているのは痛いほど分かるし、わたしもそう思っている一人。出来る範囲で協力させてもらうわ」
当然、浄化とともに洗脳も施している。導く者がヘルマン軍の瓦解を狙うならば、わたしはその仕掛けを崩すと同時にヘルマン軍の掌握をさせて貰おう。
都市の守備隊は戦力にはならないかもしれないが、都市そのものの後方支援機能は革命軍、そして来たる魔人戦争において必要な物だ。
手を付けておいて損は無いだろう。
「メリム、あなたはしばらく姉といっしょに居てあげてください。姉妹水入らずの団欒、楽しんできてきなさい」
「アイゼル様……、はいっ、分かりました。また姉妹いっしょに可愛がってくださいね♡」
◆ ◆ ◆
「お久しぶりですね。パットン皇子」
「アイゼル……って名前を聞いたときはたまたまだろうと思ったけどマジとはなぁ。魔人がAL教の信徒だなんてどういう冗談だい?」
目の前の筋骨隆々の大男の名はパットン・ミスナルジ、またの名はパットン・ヘルマン。
この国の皇子であり、魔人と手を組んでリーザス侵攻を目論んだ愚者。
案の定、唯一の忠臣トーマ・リプトンを失い、魔人ノスに切り捨てられた彼はハンティ・カラーに助けられて命からがら逃げ出した訳だが、その流浪の生活の中で強く逞しく成長した。
原作の流れとして知っていることではあったが、リーザス侵攻前の小物そのものの姿を知っているだけに、彼の成長には驚かされるものがあった。
「世を偲ぶ仮の姿と言っておきましょうか」
「ランスの嬢ちゃんが持ってるカオスが狙いかい?」
「いいえ、あれは彼女が持っていた方が真価を発揮しますから。敵の敵は味方、ということで人間界には無事でいて貰わないと困る」
「かぁ、嘘を言って無さそうだなぁ。守備隊の子も正気に戻ってたし、とりあえずは信じるしかねぇか。……リーザスのときは俺が馬鹿だっただけだしな」
「感謝します。こちらもノスの叛意を見抜けずに申し訳ありませんでした」
「あんたは元々、俺のことを馬鹿にした目で見てなかったしな。ノスに騙されたのはお互い様ってことにしておこうぜ」
今となっては懐かしい昔のこと。野心もなくただ生き残ることしか考えていなかった頃。原作のアイゼルをなぞり切るつもりでいたが、そう上手くはいっていなかったようだった。
「それでは本題に入りましょう。正気を失った守備隊の女性、彼女のようになった者たちを治癒する術をわたしは有しています。それと人間界の顔で稼いだ資産。これであなた方の支援をさせてください」
「おいおい、いいのかい?俺たちゃヘルマンを荒らす無法者だぜ?」
「ご安心を。お金のやり取りを誤魔化す専門家との縁がありますから」
DX会のネットワークと、オズ・トータスのコネクション。
特にオズ・トータスは賄賂を受け取ることと、賄賂を送ることにはとても長けている。聖職者としては全く褒められたものではないが、存分に利用させて貰おう。
ともかく穏当な形で革命軍と直接的な協力関係を結ぶことに成功した。
ヘルマンの中枢に巣食う形で導く者が敵となるのならば、わたしも間接的な支援だけでは限界がある。
それに大手を振って革命軍のキャンプ地に入り込めるならば、ランスたちで楽しむことも出来るだろう。
その愉悦を思って、こっそりとほくそ笑んだ。
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