※この作品はR-18です。

対魔忍キララ~東京キングダムの奴隷娼婦~   作:平々論茅乃

1 / 1
RPGでのみことちゃんときららパイセンの関係が原作対魔忍ユキカゼでのゆきかぜと凜子のコンビみたいに任務で組んでたら良いなーとか考えてました。エロなしです。


プロローグ:潜入失敗、奴隷娼婦契約

 東京キングダム。ヨミハラ、アミダハラに並ぶ闇の街であるこの都市は、本土から海上に10㎞地点に浮かんでいる人口島である。本土から東京キングダムへ入るためには唯一の陸路である10㎞の海上道路を渡るか、もしくは密漁船や海賊船が蔓延る沿岸部から上陸するしかない。このアクセスの悪さは、ある種の閉鎖的な監獄のような役割を果たし、闇に属する者たちが暗躍跋扈するまでそう時間は掛からなかった。

 

 東京キングダムの沿岸部、打ち捨てられた漁船や海賊船が集められた廃墟に、島全体でも比較的新しい近代的な研究所があった。アーカムバイオ社が別名義で設立したこの研究所では、本土でさえ行う事を躊躇されるような研究や生体実験が行われているという噂があった。

 研究所の外。外観を一層できる鉄塔に女の影があった。長身にツインテールの金髪。月明りに照らされるのは凛々しくも少女的な美しい顔立ち。そして影にもくっきりと映し出されるほどの女性として圧倒的なプロポーション。まるで西瓜を二つ並べたような胸は三角形のマイクロビキニで先端だけを覆われており、そのほとんどを露出している。だがそれこそが、特異な能力を持つ彼女、鬼崎きららのために効率化された戦闘服=対魔忍スーツだった。

『鬼崎先輩、聞こえますか?今から30秒後に監視カメラの映像を切り替えます。準備は良いですか?』

 インカムから幼さの残った声が流れる。

「問題なし。いつでも行けるわ。みこともあんまり無茶しちゃだめよ?やばいと思ったら逃げる。いい?」

『わかってますよ。もう無茶はしません。でも、この任務は絶対に成功させたいんです。必ずアーカムバイオの尻尾を掴んでみせます』

インカムの主、綴木みことはきららの後輩、そして今回の潜入任務のパートナーに抜擢された。みことは忍術が使えないが、それを補うため自身専用の特殊デバイス装備しハッキングはおろか精神制御まで可能な後方支援に特化した対魔忍である。

 今回の任務は、本土からこの研究所に持ち込まれたという魔道具の破壊、並びにここで行われている違法な魔界技術の研究の証拠を掴む事であった。ターゲットの破壊には戦闘能力に秀でた鬼崎きららが、そして後方支援兼諜報活動のスペシャリストとして綴木みことが選ばれたのだった。

 みことはハッキング可能な範囲内の最も遠い場所に潜み、万が一のことがあればすぐにでも撤退できるようにしている。彼女の対人戦闘能力は対魔忍の中でも見習い以下、武装した兵が一人でもいれば容易く制圧できてしまう事から逃げ道の確保はみことの最優先事項であった。

『4、3、2・・・今です』

「了解っ!」

 鉄塔から音を絶てずに着地、そのまま非常口へ向かうきらら。赤いランプが点滅し警戒態勢とあるが、きららがドアに付かづくと自動で開いた。

(流石みことね)

 そのまま通路を進み、いくつかの階段を下りてゆく。途中、インカムからみことの指示があり警備兵が居る場所を避けているため、誰ともすれ違う事なく研究所の最奥にまで辿り着く事ができた。

『鬼崎先輩、ここが一番重要な部屋見たいです。ちょっとロックが厳重で・・・10秒だけ待ってください』

「オッケー」

 息をひそめてインカムに返す。

(みことの指示で避けているとはいえ、やけに警備が薄いわね・・・危険な魔道具を扱っているならもうちょっと警備が神経質になっても良いと思うけど)

『フゥー。開きましたよ。・・・ちょっと疲れましたけど』

 みことの特殊なデバイスは彼女の空間認識能力を必要とする。そのため高度なハッキングや精神干渉をするとみこと自身にも多大な負荷が掛かってしまう。

「大丈夫?最悪でもターゲットを破壊すれば良いのだから、もうみことは無理しなくても大丈夫よ。証拠を掴むのはあくまでも可能であれば、だからね」

『わ、わかってますよ!』

 ついつい先輩の為に頑張りすぎてしまうかわいい後輩。過去には頑張りが過ぎて危ない目にあった時もあった。だがそれもあって今ではもっと距離が縮まり、お互いにとって大切な友人になることができたのだ。

 

「これがターゲット・・・か。」

 何重にもロックされた扉の奥では、培養ポッドに浮かぶ巨大な肉腫があった。いくつもの管が繋がれモニターには複雑な変数が表示、そのすべてがこの肉腫がまぎれもなく生物であると示していた。

「何にせよ危険であることには変わりないわ。この部屋の機械ごと潰すっ!」

 一呼吸の間をおいたあと、きららの周囲で極寒の冷気が吹き荒れる。絶対零度の魔力は氷爆となり、培養ポッドと部屋中の機器を破砕させる。培養層に浮かぶ肉腫はいくつもの肉片へと砕かれ、確実にその命を終わらせたように見えた。

 直後。最大レベルの緊急警報を告げるアラームが研究所に鳴り響く。

『ここからがわたしの戦い。長く見積もって3分とちょっと間。この時間で必ず奴らの証拠を掴んで見せる!』

 インカム越しに息巻くみこと。このアラームはわざと作動させたものだ。突然の侵入者に破壊工作のあとは研究所内でパニックが起こる。その隙にみことがより深部へとハッキング、アーカムバイオがこの研究所で行っている実験のデータを奪取する。その間、きららは敵の造兵を蹴散らしながら脱出。しかし、みことがハッキングする時間を稼ぎながらのため、ある程度と戦闘をして敵の注意を惹きつける必要がある。

「おい!いたぞ!」

「敵は女だ!囲め!囲め!」

「おいおい娼婦が道に迷っちまったのかぁ!?おれたちが可愛がってやるぜ!」

 武装した兵たちが押し寄せるが、それらはすべてオークや亜人などの魔族で構成された部隊であった。

「少しだけ暴れる必要もあるしちょうどいっか」

 そう言ってきららは両手に冷気を集中、氷でできたクロー付きのガントレットを生成する。

「対魔忍鬼崎きらら参上!かかって来るなら容赦しないわ!」

 ファイティングポーズを取るきららの姿、そして対魔忍という魔を狩る存在に慄く魔族たち。

「た、対魔忍かよぉ!聞いてねぇぞこんなの!?」

「び、ビビるな!こちとら最新鋭の武器なんだぞ!?相手は一人だ!」

「う、撃てぇ!」

 警備兵たちが手にするのは最新式の電磁ガン。研究所などの室内で壁や機器を気づ付けることなく対象を無効化し捕捉する武器だ。

 両端に球体の付いた高圧電流の流れるチューブを、きららに向け乱射する魔族兵。並の人間であれば身体のどこかに触れた瞬間に拘束、同時に電流によって身動きが取れなくなるはずだった。

「遅いのよ!てやぁぁぁ!」

 狭い通路の壁と天井蹴り、縦横無尽の高速移動で敵に迫る。左手のクローから繰り出された2発の高速ジャブは正確に武器とオークのアゴにヒット、まずは一人目を戦闘不能にする。

「ひ、ひぃ!?」

「な、なんで当たらねぇんだ!」

 右腕のストレートで武器を電磁ガンを盾代わりにした魔族を打ち、武器を砕きながらノックアウト。そこから流れるような動きで大きく左脚を蹴り上げ、最後の一人へ放つ。蹴り上げられた電磁ガンが天井に刺さり、魔族兵のアゴ先を掠ると、対した怪我もなくその場で失神した。

 一瞬で3人を戦闘不能にしたきららだが、違和感が頭をよぎる。だが、まずは任務だ。予定通り時間を稼ぎながらエントランスへ向かうのだった。

 

「そんなっ、もう2分しかない!これじゃあっ・・・」

 その頃、研究所の外でアーカムバイオへのハッキングを行うみことは焦りを感じていた。極秘ファイルを開く事はできたものの、二重に暗号化されたデータは解析しなければコピーすらできない状態だったのだ。

「鬼崎先輩が時間を稼いでくれてるんだ!わたしも覚悟を決めないと!」

 そういってみことは研究所への接近を試みる。先ほどまではハッキングが可能な最も遠い場所で行っていたのだ。目的となる施設へ近づくにつれ、電子への干渉ハードルが下がりみことの奥の手である意識をネットへ飛ばすブレインダイブも可能になる。ブレインダイブ中は生身の身体は完全無防備になってしまうが、残された時間を考慮するとこれが最善である、と彼女は考えた。

「これはわたしにしかできない事。だから他の誰でもない、わたしがやるっ!」

 孤軍奮闘する先輩に憧れる少女は、警報が鳴り響く研究所へ向かう。その背後を誰に見られているとも知らずに。

 

「流石におかしいわね」

 最奥のラボから敵を迎撃しながら脱出を図るきらら。すでに数十人の追手を戦闘不能にしてきたが、それらはすべて魔族であった。しかも訓練された兵などではなく、この東京キングダムに掃いて捨てる程いるような小物共だ。しかし装備だけはアーカムバイオ社の提供する最新式の武装である。

(資金難でまともな警備兵を雇えなかった?いえ、そんなはずはない。だとしたら一体何の目的でこいつらを雇って・・・)

 不安を抱えつつも約束のタイムリミットである3分を稼ぎ、エントランスに辿り着いたきらら。そしてその瞬間を待っていたかのように、エントランスにある巨大なモニターが起動した。

『こんにちは対魔忍さん。ちゃんと映っていると嬉しいのだけど』

所長室と思わしき豪勢な部屋のソファーに座る女の姿が映し出された。

「・・・ええ、見えているわ」

 あくまで冷静に、相手の反応を伺うよう返事をするきらら。

『あら?意外と落ち着いているのね。私の知っている対魔忍ならもっと面白いリアクションをしていたと思うわ。失礼、自己紹介がまだね。私は矢崎玲子。この研究所のオーナー、といったところかしら』

 シルバーブロンドの短い髪。研究所の所長にしては露出度が高く、胸元のほとんどを露出させた服に短いビジネススカート。美しい外見であることは確かだが、どのくらいの年齢なのかは判断が付かない怪しさをその美貌に兼ねていた。

『そんなに怖い顔しないで。お仲間の子は元気よ。ほら』

 画面が切り替わると、鉄格子の小部屋に繋がれ床に寝そべるみことの姿があった。

(みことっ!?そんなっ・・・)

 予想はしていた。だが実際に仲間が囚われている映像を見せられたると流石に動揺を隠せない。

『状況が良く理解できたかしら?お前たち、お客様を所長室まで案内しなさい』

 

数匹の武装した魔族に連れられ、きららは研究所の所長室へ連れて来られた。

「入っていいわよ」

 魔族の警備兵たちは署長に恐れを抱いているのか、扉のすぐ横で直立不動したままだ。入室の許可を得たのはきららだけらしい。

 扉の前までくると人感センサーが反応し自動ドアが開く。

 豪勢な作りのデスクに資料棚、研究所らしく様々なアンプルや何かの標本がインテリアのように置いてある部屋だった。

「初めまして対魔忍さん」

「・・・鬼崎きららよ」

「うふふ、もちろん知っているわよ。高位の鬼族、霜の鬼神の一族と対魔忍のハーフ。その身体に興味が尽きないわ」

「矢崎玲子、それは本当の名前なの?」

「鈍いわね。偽名に決まってるわ」

 直に相対すると矢崎玲子からは妙な違和感がする。その佇まいは間違いなく人のそれだが、発せられる圧が明らかに普通ではない。人ではなくいや魔族の中でも高位の、何らかの神格のようなプレッシャーをきららは感じていた。

(なんなのこの女・・・それにやっぱりみことはここじゃない場所に捕らわれているみたいね)

 みことは命に別状はないはずだ。少なくとも先ほどの映像からは外傷の後は見られない。任務のターゲットを破壊した今、きららとみことのどちらかが無事に帰還する事が優先事項である。だが、もしかするときららが稼いだ時間でみことがアーカムバイオに関する情報を掴んだかもしれない。ならば、もっとも優先すべきは情報を持っている可能性のある綴木みことの無事と救出である。

「私は快楽殺人者という訳ではないわ。純粋にビジネスを楽しんでる。だからあなたとも取引したいの」

そんなきららの考えを見透かすかのように矢崎玲子は言った。

「私に何の得があるというの?いざとなれば仲間を切ってでも任務を遂行するのが対魔忍よ。仲間の命可愛さに敵と取引なんてすると思うのかしら?」

(あんたならきっとこういうわよね)

 こういう時の鎌のかけ方は後輩の男子から教わった。危うい時こそ冷静に、そして難を逃れるための一手を打たなければならない。

「ふむ。おかしいわね。対魔忍はもっとナイーブかと思ったけど。それとも強がっているのかしら」

 そういうと矢崎玲子は端末とりだし、声をきかせろと命じる。

『お、鬼崎先輩!にげっ・・・いぎゃあああああああっ!いだいっ!!?いだいいだいいだいいだいいだいいだいいだい!!!!!』

 耳に痛い金切り声。間違いなくみことの声だった。

「や、やめてっ!」

 矢崎玲子は端末に命じると声は止まる。止めさせたのか音声を切ったのか、きららには判断がつかない。

「っく・・・卑怯者っ!最低の下種女ねあんた」

「理解が早くて助かるわ♪それじゃあ交渉と行きましょう」

 きららは既に、狡猾で容赦のないこの蛇の如き妖女の毒牙に掛かっていたのだ。こうなってしまっては先ほどまでの冷静さも役に立たない。敵の証拠を握っている彼女を見捨て、拷問されている事を知りながら一人逃げおおせるなどきららにはできなかった。

「担当直入に言うわね。あなたにはこの東京キングダムで、私が運営する娼館の看板商品として奴隷娼婦になって欲しいのよ」

「ど、奴隷っ、娼婦ですって!?わ、私に娼館で働けっていうの!?」

「そうよ。でもずっとっていう訳じゃない。奴隷娼婦はそもそういう契約で、2年間働けばその売り上げと共に解放される。この契約が履行されている間はあなたとお仲間の命は保証してあげる。どう?ここで2人とも死ぬよりは悪くないじょうけんだと思うけど」

 きららはともかく、捕らわれているみことはきっと凄惨な拷問の果てに死ぬのだろう。そしてあのみことの事だ。対魔忍の情報や今回の任務の事、アーカムバイオを探っている事などは絶対にしゃべらないだろう。それはみことに、あの可愛い後輩に惨たらしい死しか与えない。

今なら、きらら一人であれば逃げ切れるかもしれない。しかし、対魔忍としてでなく、学園の先輩としての鬼崎きららにそんなことはできない。

「・・・わかったわ。奴隷娼婦でもなんでもやってやるわよ。だけどその間、あの子には絶対に手を出さないと約束しなさい。もし手を上げたりしたらただで済むと思わない事ね」

「ええ、約束はするわ。ふふふ。それじゃあ早速だけど奴隷娼婦の契約を結んでもらうわ」

 矢崎玲子は一枚の書類を取り出した。羊皮紙で出来た契約書には魔力で刻まれた文字が浮かび、魔術的拘束を発揮するのだと分る。

(たかが娼婦と思っていたけれどここまでするとはね。これはちょっと厄介そうね・・・)

 きららは自身の血を使って署名する。すると契約書に刻まれた文字が青く発光。履行が始まったらしい。

「それからこれを飲んでちょうだい。契約をあなたの身体に結びつけるキメラ微生体よ」

 そういってい一錠のカプセルを渡され、きららは迷わず口に入れた。

「熱っ、何よこれっ、舌がっ・・・」

 服用してしばらくすると、一瞬だけ焼けるような熱が舌に走った。

「舌を見せなさい」

 言われるまま口を開くきらら。

「ちゃんと寄生したようね。このキメラ微生体は契約に違反しないかを常にあなたの身体のどこかで監視している。もし契約に反する事や私の意に逆らう事があれば、その時は四肢が爆破されちゃうから気を付けなさい」

「なっ!?爆破ですって!?そ、そんなの聞いてないわよ!」

「仲間の命を守るためよ?それくらいの代償は安いものよね。ふふふ」

 きららはここに来てようやく、この東京キングダムがヨミハラ、アミダハラと並ぶ闇の街であるという事を本当の意味で理解した。だがもう戻れない。体内に潜むキメラ微生体がその一挙一動を監視し、闇の街で奴隷娼婦となる以外の選択肢をきららから奪い去ってゆく。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。