季節話だよ!!!
キリスト教にとっては今日はかなり特別な日。
12/24日及び25日は聖キリストが処刑され蘇生した日とされる。
まぁ私はそんなのちっとも信じちゃいないから風習程度に見てるけどね。
言っちゃえば私自身がそーいう目に遭っているって言えなくもないし……
まぁこれは知ってる人間はかなり少ないから……どーでも良いや。
それよりもこの時期はどんな状況下であってもある程度人が浮かれるんだ。
WW3中は知らないけど、少なくとも今のこの状況下では……
「いやいや、キミ達全員浮かれすぎでしょ?」
私が所属するS09の基地内部はすっかりクリスマスムード。
綺羅びやかなイルミネーションに内部の飾り付け、デカいクリスマスツリーにたくさんのプレゼント。
プレゼントは私も参加してるしまぁ……私個人のツテで入荷した工具セットだったりする。
端的に言えばハズレ枠だね、あははは。
実務に支障がないなら別に私も口を出さないけど……明らかに歩哨とかが浮かれてるんだもの。
ライフルマンのポジションの他の人形だってそうだ。
アンタは違っててほしかったなぁ……って思ってたスプリングフィールドもそうだったし。
何よ一番はっちゃけてるのが……外っ面はツンケンしててプロフェッショナル気取ってる我が義妹達だよ。
「あーあぁ、416め指揮官とくっつこうと策を焦ったな……つーか酒弱いから止めろって何度も言ってんのにウィスキーボンボンかよ」
私の手のかかる妹分と勝手に見てる416はご執心の指揮官相手に猛アタック仕掛けて……自分で仕掛けてた泥酔待ったなしの菓子……
まぁ魂胆としては酔わせてベッド・インして既成事実重ねてからのゴールインってトコか。
あんまグイグイ行ってもダメなもんはダメだけどね。
これはお節介ながら私が何度も伝えてるんだけど……私の完璧な外見と性格、作戦なら問題ないから黙ってろの一点張り。
で、コレだから……乱痴気騒ぎになっていって指揮官溺愛勢が駆けつけてきてるし……
「ま、なんかあったら私が対応したら良いっしょ」
雪が降るシベリアの空の下、白い息を吐きながら招かれざる客が来ないかだけ見ておこう。
あとは指揮官がどっかほっつき歩く事がないように見張っておかないとね。
ま、私は混ざっていくより……外から眺めてる方が楽しいし。
こういう平和な一コマが愛おしく感じるんだよ。
幸いな事に、クリスマスを重んじるのは私達だけでなく絶賛反乱中のハズな鉄血工造のAI達も同じみたい。
前線の活動も抑え気味で遠目に小さなパーティをしている姿が目撃されている。
その辺はリコが教育してたのかなぁ……いや、リコの事だからその辺適当にしてたんだろうけどなぁ。
スタッフが結構グイグイと誘ってきてウザかったとか遠回しに言ってたし。
……もしかしたら反乱中のエリザはリコとXmasパーティとかしたかったのかもね。
「本社工場に手が届くのは一体何時になることかなぁ……」
疑似人格とは言え親子の再会を果たしてやりたいけど……それはドレだけ先になるか分かんないし……
正規軍もなんかキナ臭い動きしてたりするし……当分先の事になりそうだなぁ。
ま、今日は……どんなものか……
「……指揮官、今良い?端末見れる?……今から私の視覚情報送るから、判断をお願いしたいな」
……鉄血の話ししてたからってコレが来るかぁ。
うーん……こりゃこりゃ対処に困る感じだから思わず指揮官に丸投げしちゃったや。
だってさぁ……鉄血のエリート人形、デストロイヤーがクリスマスのサンタ帽被ってコソコソ入り込む姿とか……
まるで貧しい家庭の子供がコソコソクリスマスパーティー会場に入り込む姿みたいじゃないのさ。
流石に憐れみが強くて即決出来ないって……
「……はい、了解。じゃあ対処するよ……少し待ってて」
オーダーは下った、さて……おもてなしの準備だな。
侵入警報はこっちから切っておくか、ハァ……全くもう。
数分で降りしきる雪が消すとは言え……足跡をこんなに残すのは迂闊も迂闊だと思うな。
お客さんのデストロイヤーは寒そうに身を縮こませながら補給トラックの荷台を見ては離れてを繰り返してる。
お菓子が大量に運び込まれてるのを知ってるな。
しかしまぁ警戒も全然してない……いや、してるつもりだろうけど色々お粗末。
むこうも本気で来てないから……ってのもあるだろうけど。
武装してないし、部下も引き連れちゃいない……
「ふふん、グリフィンのバカ共まるで気づいてない……!」
見逃されているだけなんだけどなぁ……こーいうところも微笑ましいねぇ。
目を細めて後ろを追って……さて、そろそろ良いかな。
指揮官も準備が出来たとか言ってるから……じゃ、軽く行きますか。
雪で接地圧が逃げるのも計算に入れて……出力解放。
「――――へぇっ!?」
「寝てな」
対人形用スタンロッドを味わうが良い。
バチィッ……とまぁ嫌な音がする。
やったのは簡単、高出力解放して一気に接近、ちょうど肌の抵抗をちょーっと貫通する程度に味付けされてるスタンロッドでバチっと。
スタンさせる必要があったかといったら微妙だけど……下手に抵抗されてもだしね。
「な……に……」
「あら、起きてる……ごめんごめん、手荒な事しちゃったね。まぁまぁ怖いことはしないから……よっこいせ」
お姫様抱っこは出来ないし、背負ってから……指揮官の指定した場所は……ふぅん、カフェか。
丁度いいね、今は準備中だろうし……だーれも近寄らない。
スプリングフィールドも気を利かせてくれるだろうしね。
本当は見張りしてないといけないんだけどなぁ……
指揮官がデストロイヤーにちょっとおもてなししてあげようと言うから……まーさか私がキッチンに立つことになるとはなぁ。
「……エプロンの意味よ」
「ふふ、417さんはその胸ですからね」
「そーね、そっちのスポンジちょーだい」
やってるのは所謂ホールケーキの作成。
スポンジはスプリングフィールドがもう焼いていたから後はクリーム、フルーツのトッピング。
ただ塗れば良い訳じゃなくて厚みとかも考えないといけないから地味に難しいのよ。
簡単そうに見えるものは案外難しい物……書籍データを片目に見ながらやってる。
……天然物のフルーツって結構高いハズなんだけど、どっから仕入れたんだか。
「しきかーん、そっちは……あ、起きたんだ」
「……それ、アタシに作ってくれてるの?」
「そうそう、それと……帰りにアンタの所で展開して食えるようなお菓子類も渡すから……出る時もこーっそりといきなよ?」
……はは、こりゃ良い。返事が無いからって見てみりゃキラキラした目でケーキ見てる。
ほんと、鉄血とのゴタゴタが無くなりゃ……今すぐにでも私個人的に保護してやりたいくらいだよ。
「ほら、あっちの席に行って待ってて……すぐに作って持っていくから」
「はっ……す、すぐに持ってきてよね!」
「仰せのままに」
クリスマスだけは……本当に静かに過ごせるね、良い事だ。
もう手元のケーキは完成しつつあった……
ふふ、誰かのために作るってのは……楽しいね。
……デストロイヤーは敵のエリートっていう立場だけど本当にすっごく素直な子だった。
元々がかなり子供っぽい子で相手していた心安らぐ相手だった。
指揮官にもかなり……短時間で懐いていたのが印象的。
お菓子の入ったリュックを大事そうに抱えてスタコラと帰っていったのは……正直残念だった。
一応リュックに詰める際はしっかり見せてたしお菓子のパッケージも見せてた。
細工がないのはしーっかりと確認させてるから……まぁ安心してくれると思う。
向こうに戻ってどう取られるかは知らないけどさ。
「で、良かったの?」
「何が……かな?」
「あのまま捕まえてこっちの戦力にしても良かったんじゃない?」
コーヒーをすすりながら後処理をする指揮官に尋ねる。
まぁそうしないのは単にクリスマスだからってことじゃないと思うけど。
「こうやってこっちへの好意を重ねさせたらなにかの拍子に一部隊コロッと寝返ったりしないかなって」
「なるほど……目が泳いでるよ、即席で考えたね?」
「俺がどういう人間か良く知ってるのにそれ聞くかい?」
「……戦う相手じゃなくなればいいね」
稀代の人形愛好家は違ったや……まぁソレでこそって感じでもあるかな。
……なんかこっちをチラチラ見てるけど、なんだ?
「……この後時間、あるかな?」
「あるけど……というか指揮官もこの後全員オフって言ってたでしょ、それで?」
「俺と個人的なパーティーをしようよ、へへ」
「……あぁ、なるほど……そういうことなら喜んで、断る理由もないよ」
聖なるン時間は……眠れなさそうだな、ふふ♪