午前の授業が終わった後の昼休み。俺たち四人は昨日と同じテーブルで、向かい合うようにして食事をしていた。ちなみに隣に座っているのはかすみで、正面にはしずくがいる。
校舎が広く食事をとれる場所が多い虹ヶ咲の屋上には誰もいなく、ここは絶好の昼食スポットだった。
俺たちはいつものように雑談をしながら、昼食を食べ進めていた。
「えっ!? かすみさんのお弁当って、お兄さんが作ったんですか!?」
桜坂は大きな声を上げ目を見開きながら、かすみが手にしている弁当箱を凝視する。ちなみにこの弁当は俺が作ったものだ。我ながら見た目はかなり綺麗にできたと思う。ご飯の上には色とりどりのおかずが乗っており、他にもタコの形に作られたウィンナーや花形の卵焼きなど、女の子が好きそうな物を多めに作っている。
朝が早かったのでかすみの分も作っていたら、よほど嬉しかったのか抱きつきながら喜ばれたのが記憶に新しい。遊園地同様、男の手作り弁当も女子の夢の一つだったようだ。
「桜坂も食べるか?」
「い、いいんですか!?」
桜坂が物珍しげに眺めてるのが見えたので、花形に切られた卵焼きを箸で取り、口に運んでやる。すると桜坂は頬を赤らめながらも、それにぱくりと食いついた。口に入れた瞬間、彼女の顔がふにゃりとにやけていく。
「すごい……凄く美味しいです!」
「智紀さん、私にもして欲しい」
するとそれに天王寺も便乗したのか、じっとこちらを見ながらねだってくる。いきなりおかずを二つも消費することになったが、多めに作ってきたので特に問題はない。
俺は自分の分の弁当からタコの形をしたウインナーを取ると、それを璃奈に差し出す。
「ん…。美味しい、智紀さんありがとう」
天王寺は表情こそ動いていないものの嬉しそうな声色で俺に感謝をし、パクっとウインナーを口に入れる。それをゆっくりと咀しゃくする様子はまるで小動物のように可愛く、思わず頭を撫でてしまいたくなるのだった。
「むぅ……。かすみんだって先輩にあ〜んして貰ったことないのに……」
しかし二人の嬉しそうな笑顔に反して、かすみは不満げな表情だ。どうやら自分に構わず他の子に構っていることが気に入らないらしい。
「かすみにも食べさせてやるよ」
期限を直すため、今度はミニハンバーグをかすみの口に持っていく。すると彼女は目を輝かせながら顔を近づけてきて、ハンバーグを口に含む。
「やっぱり先輩の料理は美味しいですぅ!」
すっかり笑顔に戻ったかすみは元気にそう言う。気に入ってくれてなによりだが、少し行儀が悪いぞ。まあでも、喜んでくれるのは素直に嬉しい。やっぱりかすみは笑顔が1番似合ってるな。
「ふふっ、お兄さんとかすみさんって本当に仲が良いんですね」
「そうだよっ! かすみんと先輩はラブラブなんだからっ!」
桜坂の言葉に、かすみはドヤ顔で無い胸を張っている。
「そっか…。寝取りたいな……」
「えっ、今しず子何か言った?」
「何でもないよっ!」
どこか不穏な言葉が桜坂から聞こえたような気がしたが、恐らく気のせいだろう。
その後食事を終えた俺たちは、各自自分の教室へと戻っていくのだった。
午後の授業を受け終えた放課後。今日もかすみと一緒に帰ろうと思ったが、同好会の用事があって一緒に帰れないらしく、俺は一人で帰路につこうとしていた。
しかし、一人で帰るのも味気ないしつまらない。せっかくだからかすみの同好会でも見てみようか、そんな軽い気持ちで俺は部室棟へと向かうことにした。
しばらく歩いていると、陸上部なのかグラウンドの方から掛け声が聞こえてきた。目に入る人は全員美人で、練習着から見える太ももや、適度に引き締まった臀部やお臍など、非常に魅力的な箇所が多い。
こんなに魅力的な女性達が汗水垂らしながら頑張っている姿を見ると、応援せずにはいられない。俺も学生時代は運動部をやっていたので、つい目に力が入ってしまう。
部員たちの邪魔にならないように、ひっそりとフェンス越しに彼女たちの練習風景を眺めていた。すると俺の存在に気づいたのか、ヒソヒソと会話をし始める。
「ねぇ、もしかして男の人見てない?」
「うん、しかもすっごくカッコいい……」
「犯してもいいかな…?」
「あの人、誰なんだろう? 一年生だと思うけど、背高いしガッチリしてるね…。子作りしたい」
どうやら俺で猥談をしているようだ。別に悪いことをしているわけでもないが、自分が性の対象として見られることの気まずさや恥ずかしさを感じた俺は、一旦この場を離れることにする。
「それでも私は君を愛している!」
「でも、私と貴方は結ばれてない運命なのよ!?」
講堂に近づくと、室内から何やらキザな声や台詞が聞こえてくる。どうやら演劇部が練習をしているらしい。俺はそこで暇を潰そうと思い、中を覗いてみる。
するとそこには、男女二人が向かい合って劇をしている姿があった。と言っても、男子で部活動をする奴はほぼ零に等しいため、恐らく男装かボーイッシュ女子とかだろう。
男役は金髪で端正な顔つきのイケメンで、主人公である女役は長い黒髪が印象的な和風美人だった。しかし、どこか見覚えのある女役に俺は首を傾げる。一体どこで見たのだろうか。するとその疑問はすぐに解消された。なぜなら女役の生徒がこちらを見て微笑んできたからだ。
それは紛れもなく桜坂であった。そういえば、桜坂も演劇部に所属していたことを思い出す。まさか彼女が主人公役をやるとは思わなかったが。
彼女に手を振ると、練習中だから声は出せないものの手を振り返してくれる。俺は椅子に座って演技が終わるのを待つことにした。
「すいません、お待たせしました」
数十分後、桜坂はタオルで額に浮かんだ汗を拭いながら駆け足で歩いてきた。その姿は先程まで見ていた凛々しい彼女とは打って変わって、どこか色っぽかった。
「この後同好会も行くんだろ? 大変だな」
かすみに聞いたところ、演劇がある日も毎日桜坂は同好会に顔を出しているらしい。それを聞いただけで、非常に勉強熱心で真面目な性格であることがわかる。
「まぁ、その……はい、そうですね」
しかし、桜坂は歯切れの悪い様子でそれに答える。一体どうしたのだろうか。
「練習のしすぎで疲れてるんじゃないのか? 汗でも拭いてやるよ」
彼女の首元や胸元は汗をかいたせいで、ブラジャーのラインがくっきりと浮き出てしまっている。それを見ていると、どうしてもそこに視線がいってしまいそうになる。俺は煩悩を振り払うために彼女をタオルで拭いてあげることにした。
「んっ……すいません、私汗っかきなんです……」
申し訳なさそうな表情を浮かべながら、桜坂は首元を拭かれる。彼女は俺の手の動きに合わせて、吐息混じりの色っぽい声を出していた。
桜坂の綺麗な白い肌に触れる度に、俺はドキドキしてしまう。彼女も興奮しているのか頬は紅潮しており、呼吸も更に荒くなっていた。
「先輩って、今日予定ないですよね?」
桜坂は欲望が滲み出た甘い声で俺に問いかけてくる。頬を赤く染めたまま瞳は濁っており、笑みもどことなく歪んだ様子だ。
「ああ、そうだ」
少し悩んだ末に、彼女の問いに対して肯定した。すると桜坂は妖艶な笑みを浮かべ、耳元でこう囁いてきた。
「だったら、お兄さんの家にお邪魔してもいいですか?」
それが目的だったとは思わなかった。しかし、俺にとっても僥倖である。まさかターゲットが自分から誘いに来てくれるとは。自分の運の良さに感謝をし、俺はそれに了承するのだった。
虹ヶ咲以外にグループ追加するとしたら何が見たい? ※今後の参考にするだけです。筆者の気分によって、出てくるアイドルグループは変わります。
-
μ's&A-RISE
-
Aqours&Saint Snow
-
Liella!