親友に敗北した退魔師が式神と融合させられてTS悪堕ちする話 作:ナメクジ次郎
武器を構えた目の前の退魔師へ、人間だった頃では考えられないほど鋭利になった爪を振り下ろす。
それだけで武器は砕け、服は裂け、その下にある肉さえも簡単に切り裂いていってしまう。
おおよそ人の行えることではない、だけどそれでいい。俺は既に奴の、芦屋九曜の式神となったのだから。
だから、ほんの数時間前まで同僚であった男達を殺す事に嫌悪感はあれど抵抗は無く──むしろ興奮さえしていた。
「これはまた随分と楽しそうに殺すではないか柳殿。うむうむ、やはり人間そうやって楽しそうにしとるのが一番じゃのう、前までのお前は随分つまらなさそうな顔をしておったし」
などと言いながら今までずっと高みの見物をしていた芦屋に対してお前がそういう風にしたんだろうがと言いたくはあったが、それは飲み込むことにした。
魂が掌握されたのは事実だが、今こうやって殺人に悦びを感じているのは、紛れもなく自分自身なのだから。
「さすれば、頑張った柳殿には褒美を……む、いかんな。可愛い顔に返り血が付いておるではないか」
おどけながら近づいてきた芦屋がそう言うと、ずずい、と顔を近づけてくる。
以前よりも鋭敏になった嗅覚が主の匂いを強く感じ取り心臓がドクンと跳ねる。
しかしその数瞬後、この心臓はさらに早鐘を打つことになる。
「ペロリ……と、うむ、血化粧も良いがやはり柳殿にはすっぴんが似合うわい」
頬に感じる生暖かい温度と湿り気、それだけで何をされたのかを瞬時に理解する、してしまう。
舐め取られたのだ、返り血を。
男だった時なら、いや、恐らく普通の女性でも気持ち悪いと感じる行動だろう、なのに。
舐められた場所からボーっとしたような熱が広がっていく。息が荒れだらしなく口が開き、芦屋から目を離せなくなる。
感じた匂いと体の触れ合い、それだけでああ、この体は雌犬と混ざった体はすっかりと発情しているのだ。
「おおう、もうすっかりと出来上がっておるではないか。俺としても今ここで致すのはやぶさかではないが」
その言葉を聞き、俺の体は思考の制御すらも無視して芦屋へとにじり寄る。
こうなってしまえばもう止められない、欲望のままに主を押し倒す……。
「ああだがしかし、ここはあえての『待て』じゃな」
しかし、その言葉を受けて体は完全にストップする。
力ある言葉、上から下へ、主人から式神への命令、決して抗う事のできない絶対命令。
それによって強制的に従わされていることにより更に興奮は高まるが、ピクリとも動けない。完全な生殺し状態だ。
「欲望のままに交わるのも良いが、今日は二人の初夜になるのだ。であればお膳立てというのも必要であろう?」
初夜、というワードを耳が捉えた途端に、体は軽く達してしまう。
まさかそんな、自分は男だったというのにロマンチックな初体験なんてものを想像し、それだけでイってしまったというのか?
最早どこまでが式神になったことによって刻み込まれた感情なのか、それとも自分自身の願望であるのかすらわからなくなってしまう。
「柳殿はもう準備万端であろうが、こちらはまだ準備不足でな。故にほれ、奉仕せい」
奉仕をしろ、新たに与えられたその言葉に固まっていた体は喜んで応じる。
未だ手すら動かさない芦屋の代わりに僧衣の帯を解けば、奴の股間からは蛇と見まごう太く力強い男根が、ボロリと音でもするようにまろび出る。
(う、嘘だろ……これ、俺についてたやつより……)
「お? 今自分のモノと比べたな? 童貞のお前よりも経験豊富な俺の魔羅の方が雄々しきは道理であろうに、悲しき男のサガよなあ」
などと芦屋が心底楽しそうに煽っているが、対する俺はそれどころではなかった。
奴の男根……男性器、魔羅、チンポ。どう形容するのが正しいかという判断すら曖昧にしていくそれは、まさに魔性の一物で。
目は釘付けになり一瞬すらもその視線を離すことはできない。嗅覚はもはや、この場に満ちる血の香りすらも必要ないと言わんばかりに芦屋のオスの匂いのみを吸い込み、脳をしびれさせている。
口はだらしなく開き、今すぐにでも命令された奉仕を実行したいと舌は自然と芦屋の魔羅へと伸びていく。
(近くで嗅ぐとさらに濃くて……くらくらする……)
ゆっくり、ゆっくりと顔を近づけていき、その先端に舌が触れ、そのまま唇も触れていく。
唇と唇でのキスですらまだしていないというのに、ファーストキスをこちらに行うという淫らな行為。それが倒錯的な快感を生み出していく。
文字通り目と鼻の先という距離でもう一度大きく息を吸い、芦屋のオスの匂いを堪能してから命令された通りに奉仕を始めていく。
「んちゅ、れろ……」
なるべく興奮してもらえるようにと、舌を見せながらゆっくりと肉棒を舐め上げる。
付け根、裏筋と上がっていき、最後に亀頭に到達する。かつて自分にもついていたそれの部位を意識しながらフェラチオは、芦屋のモノの大きさを再び意識させるには十分だった。
(本当に大きい……これを今から……)
ごくり、と一度喉を鳴らし、俺は意を決して口を開いて目の前の肉棒を咥えこんだ。
「ん……じゅる……じゅぷっ」
口いっぱいに頬張らなければ奉仕できないほどの肉棒を咥えこめば、唾液と我慢汁が混ざりいやらしい音を立て、雄の匂いは鼻へ抜けていく。
味覚、嗅覚、聴覚、全てで芦屋の肉棒を堪能し高まった興奮は、必然的に出口を求める。
それ故に、気づけば自然に俺の指は、自分自身の股間へ伸びていた。
男という性を失い、女になった体に肉棒の代わりに存在するものは、必然的に女性のそれだ。
指を這わせればくちゅり、と淫らな水音と共に未知の快感を生み出すその行為が止まらなくなり、さらに深みへ嵌っていく。
そうして口での奉仕と自慰行為を続けていると、大きな快楽の波が押し寄せてくる。
その感覚に押し流され、自慰を行う手の動きはより激しくなる。女になりたてでも体が理解しているのだ、今から訪れるそれが、女の絶頂なのだと。
(あっ……これ……イッ……)
しかし絶頂を迎えようかというその時。ずるり、と俺の口から肉棒は引き抜かれた。
何故、と訴えようと芦屋の顔を見るが、そこにはにやにやとしたからかうような笑みが浮かべられている。
「ようし柳殿、奉仕はもう良いぞ。次はそうだな……俺をその気にさせる為に、淫らに誘惑してみせい」
その命令に、ずっと高鳴りっぱなしであった心臓はさらに大きく跳ねた。
散々焦らされ奉仕をさせられ、ついに抱いてもらえるということなのだ。
それを理解した途端に、俺の子宮が、男であった時には存在しなかった部分が早く子種を注いでほしいと言わんばかりに疼き始める。
しかし……。
(床は、嫌だな)
初体験は大きなベッドで、などとロマンチックな事を望んでいるわけではないが、それでも冷たく固い床の上でというのはあまりにもムードが無い。
しかしこの流れで仕切りなおしてホテルに行こうなどと提案するのはあまりにも興ざめだ。ならばどうすればいいか? どうすれば床での交合を回避できるのか?
そう思案していると、視界の片隅にあるモノが映った。
(ああ、なんだ。ちょうどいいものがあるじゃないか)
そこにあるのは、つい先ほど自分が作り出した
流れ出た血ですっかり赤く染まってはいるが、床よりは断然マシだろう。
俺は軽い足取りで死体のベッドへ歩みを進め、ゆっくりと体を預ける。
血の匂いと肉の擦れる音こそするけど、まだ温もりの残るそれは俺自身の火照った体を覚ますことが無いのでありがたかった。
「芦屋……お、俺のここに、早く……
両手を広げ、焦らしに焦らされすっかりと出来上がった内股を擦り合わせ、快楽に潤んだ瞳で芦屋を真っすぐに見つめながら俺は芦屋にそう言った。
男だった記憶があるせいで恥ずかしさの方が勝ってしまいあんまりにも拙い言い方になってしまったが、これで興奮してくれるのだろうか?
俺の誘惑を聞いてから芦屋が肩を震わせているのも、不安を増幅させていた。もしかしたら抱いてもらえないのではないか? と不安がよぎった矢先——
「ふ、クク。クヒヒヒヒ、ヒィヒャヒャヒャ! なんとまあ拙い! しかし良いではないか柳殿! さばとに出るような阿婆擦れ共にはない初々しさ、これじゃよこれ!」
随分と楽しそうな様子の芦屋は、早足でこちらに向かってくる。
そうしてずい、と顔を近づけた後、耳に息がかかるほどの距離で、こう囁いた。
「興が乗ったわ、最早止めろと言っても止めぬからな。覚悟しておれよ」
いつになく真剣なトーンの声色に俺は……。
「ひゃ、ひゃい」
などと、まるで本当の女のように返事を返すことしかできなかった。