【R18】初心な年下男性へのいけない気持ちが抑えられなくなってしまう女性の話 作:【R18】木村直輝
1
「ふぅー……」
思わずため息が漏れる。
私、
「渡さん、大丈夫ですか?」
「あっ、大丈夫です。すいません。仕事中にため息なんかついて……」
「いや、そんな。大丈夫なら、よかったですけど……。無理、しないで大丈夫ですからね? 少なくともここでは、俺がいるんで」
穏やかな口調で微笑んでくれたこの男の子は、同じアルバイトの
「ありがとうございます。もう、おばあちゃんですね。すぐ疲れちゃって」
「いや、そんな……。おばあちゃんだとしたら、すっごく素敵な歳の重ね方したおばあちゃんですね。とっても綺麗でかわいいおばあちゃんです」
「いやいやいや、マスクしてるからですよ!」
「確かに。マスクしてると、みんなかわいく見えますよね」
「そうですよ……」
本気で謙遜したものの、ちょっと複雑な気持ちになる私に、蔓村さんは微笑んで言った。
「じゃあ、ちょっと俺、あれ片してくるんで。何かあったらすぐ呼んで下さい」
颯爽と速足で行ってしまった蔓村さんの背中を目で追いかけながら、マスクのない蔓村さんの笑顔を見られないのが、ちょっと残念だなと思った。
私は年下の彼に、魅かれてしまっている……。
2
不運とは重なるもので――。
「大丈夫ですか?」
「はい……。大丈夫です……」
口ではそう言いながら、内心では最悪だと思っていた。
色々あって、私は酷く遅い時間にアルバイト先にいた。本当に、色々あったのだ。最悪だ……。なんでこう、上手くいかないんだろう……。終電も、もうないし……。
そこでふと、純粋に疑問に思った私は聞いてみる。
「
「ああ、俺の使ってる線は終電遅いんで。
「私は逃しちゃいました。タクシー使うしかないかなぁって……。ただでさえお金ないのに……」
つい愚痴が口をついて出てしまう。
「……お金、大丈夫ですか? 足りなかったら言って下さいね。貸しますから」
「いやいやいや、下ろせばありますから。大丈夫です」
「でも、手数料かかりません? この時間。まあ俺も、そんなに持ってないですけど……。足りなかったら遠慮なく言って下さい。あるだけ全部貸しますから」
そう言って微笑む蔓村さんの優しい目を見て、すさんだ私の心に、ふと邪念がわいてしまった。
「蔓村さん、家近いんですか?」
「まあ。電車で二十分くらいですかね」
「いいですね。私、明日も早いんですよね……」
「じゃあ、早く帰らなきゃですね」
そう言って蔓村さんがお財布を出す。たぶん私にお金を貸す気だ。全然、わかってない。
「でも、今からタクシー呼んで帰っても絶対一時間以上かかるし、最悪ですよ。タクシー代、だいぶ掛かるだろうし……。電車で二十分なら、蔓村さんの家に泊まった方が絶対楽ですね」
胸がチクリとして、ドキドキする。言ってしまった。
「……いや。それは、流石に」
「そうですよね。迷惑ですよね。ごめんなさい。そっちの方が楽だなーってつい言っちゃっただけですから、気にしないでください」
「いや、迷惑ではないですけど、なんて言うか……、よくないじゃないですか……」
「何がですか?」
「いや、何がって……」
蔓村さんの困った顔に私は胸が痛んだけど、それ以上にもう一押しというドキドキで、私は止まれなかった。
「軽い気持ちで言っちゃいましたけど、蔓村さんが迷惑じゃないのなら、本気で泊めて貰えた方が助かりますよ? お金貸して貰えるより」
「……いや。……えっと」
悪いことの後にはいいことがあった――。