縮尺がおかしい姫様の日常的秘事 作:SHUKUSHAKU
晩夏の一幕
白いYシャツを着ている姫は髪を梳かしながら家主の動きをじぃっと、重さを感じるような目で見つめている。
この日は世間一般でいうと、連休にあたるとのことで、彼も珍しく休みだけを考えていればよいと、そう言っていたはずだが。
まさか昼過ぎまでどころか、夕方まで寝こけているとは思わなかったのである。
起き抜けに、寝ぼけた顔で彼女にあいさつした後シャワーを浴びれば、もう日は沈むかというほどで。
いつ起きて来るのか、起きたら共に何をしようかなどと考えながら、わざわざ共有スペースで待っていたのだが、そんな彼女の様子を特に気にした様子もなく、風呂上がりに彼女の顔よりも優に大きいジョッキで、腰に手を当てて豪快にお茶を飲んでいる。
肩口より上で切りそろえられた短い髪など、すぐに梳かし終わる。ソファに座って声をかける事のないこれは、彼女なりのこっちは今日のこと許していない。といったアピールであり、譲れないものだった。
会社の試供品だか取引先からのお中元か何かを押し付けられた形でもらってきた、ゼリー飲料の栄養剤を2つほど追加で飲んでから。彼はようやっと、姫の隣に腰を下ろした。
興味ないですよーと言うように、彼とは逆の方を向いて髪をいじるのをやめて。今度は爪を磨き始める。どうやって私の機嫌を取るつもりなのと言うアピールである。
いつもならば、ここでどうでもよい話からこちらの機嫌を探りに来るか、いまいちしまらない顔での謝罪をするかであろうから。しかし今日はそれで許すつもりはない。
なにせ、そう。久方ぶりのしっかりとした休みであり、のんびりと話でもしながら過ごしたいと彼女は思っていたのだから。もちろん明日も彼が休みなのは知っているが、それはそれだ。
さて、前回連絡なしに帰りが遅くなったときは、なぜ雄のペンギンが絶食をするのかなんて話から入ってきた。今回は何だろうかなんて思っていると、
急に肩からするりと手が伸びてきて、後ろから抱きしめられる。
「きゃっ!」
「……」
わざとらしく悲鳴を上げてみるも、内心はドキドキとワクワクしている。だんだんと積極性は増してきてはいたが、まさかこう来るとは。そういう期待が膨れ上がっていく。彼の吐息がつむじにあたってくすぐったい感じはするが、それよりもどうなるんだろうという期待感の中、ただただ無言で抱きすくめられている。
「…」
「…」
無言のまま彼から肩に延ばされていた右手がするっと降りて、彼女の左太ももへと落ちていく。左手は彼女を後ろから固定して。右手で足をまさぐられているという、とても健全といえるような体勢ではないが。彼女は更に興奮が抑えきれないでいた。
普段は細心の注意を払って割れ物を扱うかのように触り、歯や爪などは絶対に立てないという彼が。まさぐるように太ももを付け根に向かって手を這い回している。気が付けば左手も少しゆるんで二の腕で挟み込まれる形になっている、その代わりその大きな手で両の胸を揉みしだかれている。
「んっ……」
「…」
あまりにいつもと違う彼のその態度に、困惑よりも興奮がきており、思わず甘い声が漏れてしまいそのことにも驚く。
あまり上手ではないとしか言えない彼の前戯なのだが、今日は様子が違うのかもしれない。
いやそんな事はない、ただ無言で彼に乱暴に扱われるのが、この状況が彼の大きな手で、両の乳房を同時に鷲掴みされるようにつぶされる。痛みはない程度だが、いつもよりずいぶん乱暴だ。
足の方も、撫でられるがままに躰をよじらせて動いていたら、自然と大きく開脚をする形になっている。ひょいと下に回された手で持ち上げられて、彼の股の間で彼の太ももに足をかけるように両足を大きく開かされて座りなおされる。
「あっ……」
前から見られたら丸見えになってしまうなんて思いながら、ふと机の上を見ると化粧のために使っていた鏡が置きっぱなしになっており、角度からして自分の下腹部が────そう自身の秘処が彼には鏡を通して丸見えになっている。
「ねぇ下着を穿いてないのは、どうなんですか?」
「あっ、いやち、違くてっ!」
そう、彼女は家主を起き抜けのところを誘うのもアリと、上も下もつけていなかった。
今更見られたくらいで恥ずかしがるというほどの仲でも経験でもないが、電気に照らされた明るい部屋で、テーブルの鏡越しに見られているという、特殊なシチュエーションが、彼女の羞恥心を刺激していく。
服の上からこすられて、だんだん張ってくる乳首を指で摘むようにいじられ始めて、軽いしびれが背筋を走る。普段はここまで感じることもないのにと、自分自身の感覚がついに困惑と言えるほどになってきている。
「まさか、鏡で見せるなんて、直接的な誘われ方をされるとは思いませんでした、姫様」
「あ、それ本当に、ちが、ちがうのぉ」
そう、彼女がそっぽを向いて髪を梳かしている時にもテーブルの鏡は彼女の下腹部あたりが反射する角度にあり、それを起き抜けの家主が見ることになり、風呂から上がるころには完全に臨戦態勢に入っていた。
今時商売女でもしないような、その下品な誘い方に興奮を隠せなかったのだ。
「あっ、そんな恥ずかし」
一方で姫の方は、自分が何をしたのかをその聡明な頭で理解した。なるほど、そっけないふりをしながら、準備万端だって見せていたという事かと。
予期せぬ自分の失態というよりも、その痴態そのものに急に顔が熱くなるが、彼にやめてほしいという言葉は出てこなかった。
なにせ、野獣のようにこちらの体を弄んでくる彼にもう彼女は興奮と快楽が止まらなくなってしまっていたから。こんなことは初めてだったから。
自分の秘処に指を伸ばされて、暫くなぞった後で無遠慮に薬指を入れられても、ただただ甘い声で彼の腕の中で嬌声をあげることしかできなかった。
「家主様ぁ、ちゅーして? ちゅーしてほしいです」
「はい、姫様」
訂正、口づけを求めることしかできなかった。首を限界まで曲げて振り向く様に上を見ながら、彼の唇と舌を受け入れる。途端に口に集中して、彼の左右の手の動きが若干おざなりになってしまっているが、それでも彼女の脳内麻薬は止まらなかった。
辱められ、動きを封じられて、口づけをされている。
まるで一日お預けをさせられた後に、一気に責め立てられている。
彼から奪うように求めてきてくれている。
その3つが重なり合って、彼女は思わず腰を浮かす。
「んっ! んんっ!」
思わず漏れるくぐもった声と長くしびれるような感覚。視界が少しにじんで、視野が狭くなる。酸欠なのか悦楽なのかわからないまま、それでもきゅうと膣が閉まったのを彼の指越しに感じて。
その締め付けが緩くなると、手を抜いて彼女の鼠径部をなでてくる。
胸に回していた手も先端をいじる動きから、周りをゆっくりなでるように触るのに切り替える。
彼女の呼吸がゆっくりと整っていき、名残惜しくくっついていた唇を離した時には、既に彼女の眼は焦点が合っていない、トロンとした物だった。
「だ、大丈夫ですか? 少しやりすぎちゃいました」
「……」
心配そうな彼の声がどこか遠くに聞こえる。
よかった、しゅごく、良かった。
いままで彼から受けたハードなプレイはあまりなく、肌に痕を残してもらった時が一番良いと思っていたが、それを優に超えてきた。
物のように、加減なく後ろから突かれたときも良かったが、あれは彼が途中で果ててしまい、消化不良だった。
まさか彼にこんな緩急が付けられるかという驚きと。彼に快楽ではなく、ただ躰を求められたという充足感と。彼から愛を受け取ったという使命感が。
彼女の中で化学変化を起こしてしまった。
既に彼が腰に巻いていたバスタオルはソファーに敷かれており、腰どころか背中まで届く彼のモノは固くそして熱さを伝える程に当たっている。
正直な所、1日をすかされたので今日は意地悪な寸止めで遊ぼうと思っていたが、こんなに気持ちよくしてくれた家主様を、最大限に満足させたい。してもらいたい。彼女の奥で何かがかちっとハマってしまったような。そんな事になってしまった。
精が出なくなり、潮も尽きて、残り汁すら鈍くなり、強制的にドライでイッテもらい意識がホワイトアウトするまで。それまで気持ちよくしてあげないと。
そうスイッチが入ってしまったのだ。
余談になるがこの二人とも被加虐でいえばMで
家主が総受けで、姫様が奉仕型である。
賛否のどちらかがアレば後編に続きます