「だから、本当に見たんだって!!ピッグがマザー・ドゥエリングの建物よりも大きくなってたの!」
「建物よりも大きいキラーに、あんた脱出したって絶対ウソでしょ?踏み潰されて儀式はめちゃくちゃなのがオチだって!」
言い合っているのは、エロディとジェーン。
何かと彼女たちは揉め事をよく起こしている為、半信半疑ではあるが、巨大化するキラーが居るとすれば何か条件を満たせれば、こちらも身長を伸ばすことが出来るのではないかと考えを巡らす。
「…話の途中で申し訳ないが、どうやって巨大化したか分かるか?」
すこし身長の足りない私が、こんな訳の分からない森の中でくらい、多少の身長を夢見ても文句は言われないだろう。
月島はエロディの説明を聞きながら、自分にもどうにかその現象が起きないかと内心で考えていた。
[はじめに]
この作品は、Dead by Daylightの世界にもしも杉本達が迷い込んでしまったら……?というコンセプトのクロスオーバー作品です。
※DbDのDLCキャラも登場しているので、多重クロスオーバーとなってます。
・Dead by Daylightとは?
一人の迷える仔羊(殺人鬼)が四人の悪魔達(生存者)に妨害されながら、個性豊かなフィールドで血涙を流しつつ脱出されない様に処刑する(???)非対称型対戦サバイバルホラーゲームです。
ゲーム内のメタ発言や流血、猟奇的表現に加え、カップリング要素(ほんのりBL、GL)が含まれます。閲覧は、自己責任の元ご覧になって下さい。
気分を害されましても、当方は責任を負いかねますのでご了承下さい。
[人物紹介]
・月島 基
巨大化バグの話を聞きつけて、自分の足りない身長が、どうにかなるのじゃないかと淡い期待が脳裏をかすめてる。
・鯉登 音乃進
一度負傷してから、どういう訳かT字ポーズから戻らない。
・谷垣 源次郎
身体的異常は感じられないが、明らかに尻の肉が削れてる。
・メグ・トーマス
いつもの三つ編み浮遊バグにうんざりしてる。
・レイス
自分では分かっていないだろうが、全身もったりテカテカ灰褐色スキンバグに見舞われてる。
「なぜ…私が縮んでいるんだ…ッ!」
淡い期待を抱きながら儀式を開始した月島だったが、
儀式開始直後、月島が自身の身体を見下ろすと、巨大化するどころか元のサイズの半分以下にまで縮小していた。
ただでさえ体格差を気にしているのに、これではまるで歩くマトリョーシカの末っ子。草むらに完全に埋まり、見える世界は何もかもが巨大。最悪の気分。
更に運が悪いことに、相手は隠密キラーレイス。
こちらは低くなった視界のせいで、ほとんど接近に気付けない。気づけるはずがない。
縮みに縮んだ身長では、ほとんど数メートル先の情報しか視界に入らないからだ。
「ふはははッ! 月島ぁ! 貴様、豆粒みたいになっておるぞ! 踏み潰してやろうか!!」
横から聞こえてきたのは、悪びれる様子など微塵もない鯉登少尉の高笑い。
茶化しているつもりだろうが、少尉も見て明らかな欠陥を抱えてるのは一目瞭然だった。
鯉登は満面の笑みでこちらを見下ろしているが、両手を真横にピーンと広げた「T字ポーズ」のまま固定されている様子だった。
歩く時も、走る時も、発電機を触る時でさえ、腕は微動だにせず地面をスライドするように移動し、まるで思念で修理しているかのように微動だにせず発電をする始末。
開始直後からこの様子だったかと言うとそうでもなく、一度レイスに負傷を入れられてから回復をした直後から「T字ポーズ」になっていた。
身長が少し伸びる淡い期待は捨て去り、さっさと儀式を終わりにすべく、壊滅的な発電機修理を月島は急ぐ。
相変わらずのスキルチェック能力皆無の月島は、サバイバーの仲間から良い助言をもらっていた。
ちょんっと触っては離す。スキルチェックが出ないように。
これで、爆発させずに修理も少しづつ進めることが出来るようになった。
「キエエエエエィッ!!!この状態、何時もよりも動きが遅い気がするぞ!?」
レイスの接近に気付き逃げ始めた鯉登だったが、横滑り方式の移動は普段の感覚と違うようで確かに少々動きが鈍足な様に思える。
あっという間に瀕死状態になってしまった。
よく見ると、レイスも何か変な違和感を感じる。何時もよりも暗い色味というか、もったりしているというか、それでいて艶がかっているというか…。あんなに灰褐色だったか?
「救助しようにも、この体では届かないな。任せて発電機の修理がいいか…。」
幸い、豆粒サイズ過ぎてレイスは視認出来ていない様で、何度か横を通り過ぎているが気付いていなかった。
「…はぁ。また遠巻きに私ってバレちゃうじゃん。このバグどうにかしてよね!」
頭上に三つ編みを飼育しながら、私の救助に向かっているのはメグ・トーマスだ。
ほわほわと浮いた三つ編みを追ってか、モヤがメグの後ろを付いてきている。メグも気付いて救助を断念してチェイスに回ってくれそうだ。フックの裏側からこっそりと近づいてきていた谷垣が救助を通す。
「鯉登少尉……。ふざけてないで、手を下ろしてもらっても?」
「谷垣一等卒……。これがふざけているように思うか?戻らないんだっ!!この体勢から!戻そうとしてないと思ったか!?
ふざけてるのはお前の方だろっ!?なんだその洗濯板みたいな尻は!?バランスが悪い!」
「……ブヒィッ!」
アイデンティティとも言える、豊満で逞しい臀部が、洗濯板のようにペラペラになっていることを皮肉ったつもりだったが、悲痛な顔で自分の平らな尻を撫で回す谷垣。意外と繊細なこいつの扱いが面倒くさい。
「泣くな!キエエエエエィッ!!」
その後、T字ポーズで板を倒し、窓を飛び越え奮闘した鯉登、尻の面積が減って多少隠密しやすくなったのかだいぶ翻弄していた谷垣、頭上に髪の毛を飼いならしながら、レイスを引き受けていたメグ。そして草むらから見上げる事しか出来なかった極小の月島。
豆粒サイズの月島だけがレイスに見つからずに生き延びたが、ハッチを閉められゲートのスイッチに手が届かない月島はそのままエンティティの生贄となり儀式は終了した。
焚き火の前に戻ってきた3人。しかし、絶望はまさにこれからだった。
バグが、直らず豆粒サイズのままの月島、相変わらず腕を下ろせない鯉登、そして平らな尻のままの谷垣。
メグの三つ編みは元の位置に戻っているというのに、3人の姿は戻ること無く継続しておかしなまま。
月島が空に向かって怒号を上げ、鯉登がT字のまま不器用に首を縦に振り、お決まりの猿叫を叫び、谷垣が失われた尻を求めて天を仰ぐ。
霧の森の空に向かって、3人は理不尽な邪神に対して盛大にブチ切れた。
「いい加減にしろォォォ!!!」