この作品は、Dead by Daylightとゴールデンカムイのクロスオーバー作品です。
ゲーム内のメタ発言や流血、猟奇的表現が含まれますので、閲覧に注意してください。
[人物紹介]
・宇佐美
トラパッパの助言により、ドクターの能力を借りてきた。
欲を言えば、尾形も生存者であって欲しかったが、合法的に月島と鯉登を弄り倒せてウキウキ。おまけに谷垣も着いてきてラッキーとか思ってたのに、爆音通知とライトで発狂しかけてる。
・月島
スキルチェックを止める意思はある。貰ったライトと走り出す。
・谷垣
スキルチェックを止める努力はしている。本人は至って真面目に隠密しているつもりだ。
・鯉登
やっと子慣れてきたのに、どうして鬼の様なスキルチェックを求められるのだっ!?宇佐美め…。覚悟……。
・エース
掴み所のないお調子者に見えて、やる時はやってくれる。
[我々は初心者ゆえ…]
はて?確か自分は菊田特務曹長と共に、連続殺人犯の様子を見ていた気がしたが……。菊田特務曹長の加齢臭のせいで自分は突然死でも起こしたのかもしれない。ウロウロと雑木林を見回してみても、記憶にある場所ではなく、宇佐美は死後の世界とは湿気の多い嫌な場所だとすっかり意気消沈気味で肩を落とした。
「はぁ〜〜……。早くこんな所から出て、鶴見中尉殿の為に生まれ変われたりしないものなのかなぁ〜?それにしても、何処だ此処は?」
「……ははぁ……。エンティティってのは、誰これ構わず取り入れて来るらしい。農家出の安い駒が来やがった。」
「…………。その声は百之助?……って事は、お前も死んだんだ?はっはーー!分かった!知った顔に会えて嬉しいんでしょ?っね?僕が来てホッとしたんだ?」
「あぁ?俺は死んでねぇぞ?お前、何言ってるんだ?」
はて?
では、一体自分はどうしてしまったんだ?
尾形は何を考えているか分からぬ顔で、こちらを見て溜め息をついていた。
訳が分からない事態に四方を見渡す。
大きな溜め息と共に、物凄く嫌味な表情を浮かべた尾形は飄々とした態度で今の現状を説明し始めた。
「……まぁ、要するに我々はいい玩具にされている訳だ。」
「はぁ?なんだそのエンティティって?会ったら、殺そ。」
訳の分からない現状に怒りを覚えた宇佐美。
尾形は、宇佐美の呟きに反応を示さずに、深い霧からこちらに向かってくる気配に息を潜めていた。
そこへ現れたのは、トラッパーと見慣れぬ白衣の猿轡電極変態男、更には姿こそ見えないが、そこに居るだろう人物が動くと、靄がかって見える。3人が尾形達を取り囲んだ。
「……お前らぼさっとしてねぇで手伝え!こっちは人手が足りねぇってのに、カスタムマッチ手伝わされてんだわ…。代わりにお前ら儀式に行ってこい!」
「あんたこそ、暇そうな透明野郎を連れてるじゃねぇか。」
「俺とレイスはこれからカスタムマッチだ。忙しいんだよ!ドクターはデスおじの腰でも診てやれ!もう3、4日動けねぇで寝てるぞあの爺さん。」
宇佐美はしげしげと白衣の男の様子を伺う。この男、ドクターと言うらしい。
時折頭から出た電極部分から微弱な電流がパチパチ音を立て青白い閃光を放っていた。
「うわぁ……。」
宇佐美がドクターを見ている間、尾形は別の空間へ移動しようと離れた。
付き合っていたら、いつまでもトラッパーの小言を聞かされそうだ。
宇佐美は、トラッパーとドクターに儀式の要領を聞かされると、トラッパーの指差す先を見た。
焚火の周りに4人の人影が見える。
「宇佐美って言ったか?あの4人が今回の儀式の相手だ。あ〜……。チビ野郎と無駄にデカいあの2人はスキチェ無能力だから、ドクターのブラスト撃って狂気度が上がれば、発電機を触れないだろ。でもって、スキチェを馬鹿みてぇに難しくして……。パークこれ持っていったらどうだ?」
宇佐美は四角形のカードを4枚手渡された。
それぞれに絵柄が入っているが内容は分かるはずも無い。
ドクターも同じ様な正四角形のカードを2枚手渡してくる。これにも絵柄が入っているが、やはり内容は分からない。
「トラッパーの渡した物はパークと言って、儀式中の君に与えられた力である。軽く説明してあげよう。《不安の元凶》これはお前が近くにいる場合にスキルチェックを難しくする。《オーバーチャージ》コイツは発電機を蹴って使う。使用後直ぐのスキルチェックがとてつもなく難しくなる。《怒涛の嵐》最後に連続するスキルチェックが現れる。慣れない奴らには止めるのはほぼ不可能だ。《苦悶の根源》お前から発せられる脅威範囲が広がる。
そしてこちらは、君に授ける私の固有能力を補助する為の物だ。今回は相手を惑わす為に〝鎮鎮〟構成にした。そうでなくても脅威範囲を広げておけば、そう大胆に動き回れないだろう。」
言葉の端々には満ち満ちた自信が感じられ、相手の狂気に口角が自然と上に上がった。
エンティティによって選ばれたマップは『マクミラン・エステート』と呼ばれる場所だった。
「杉本達に色々と聞かされてきたが……。やに暗い場所だな?」
「鯉登少尉殿。あっちに谷垣が居ます。合流しますか?」
「いや、構わん。こちらの建物の中に発電機があれば、それを直してしまおう。直して此処を出るだけなのであろう?」
「エンティティなる存在も言っていましたが、殺人鬼が発電の邪魔をする。生贄として我々を処刑するのが殺人鬼陣営の目的だと……。そう簡単にはいかんでしょう。気を引き締めて下さい。」
天井の高い建物の中は大きな配管が中央に陣取り、過去何らかの加工の為に存在していたであろう事だけは伺えるが、それ以上の情報を得られる程の建物的特徴は無かった。かなり劣化した建物はそこに置き去りにされた佇まいである。
入口付近に1台の発電機を見つけ、早速修理を開始する鯉登と月島。だが、宇佐美からは直ぐにその場所と、もう一箇所から爆発音と赤く点灯する視覚情報が確認できた。
これが、ドクターの言っていたスキルチェックミスによる通知音と視覚情報だと瞬時に悟る。そして、通知音は永遠に二箇所から鳴り響き続けた。
『う、うるさっっっ!!!?何なの!?アイツら、俺の鼓膜でも破ろうとしてるワケ???害悪過ぎるんですけどっっ!!??』
取り敢えず、姿が見えた鯉登のお坊ちゃんと軍曹にちょっかい掛けよう。
ドクターから教わった通り、手元に集中し外へ放出する様な手振りをして見せると、自身から放射状に磁場爆発が起こった。
「キエェェェェッ!!?」
「ッ!?電磁波?」
うんうん。奴らの場所が手に取るように分かるぞ。
さ、その木陰に逃げたのは軍曹だな?
木陰の裏には目を見開き、驚きの表情を隠さずこちらを視認した軍曹が、何か言いかけて直ぐに移動し始めた。距離を取られたので一撃を回避される。
直ぐに後を追跡していくが、岩をぐるぐる回ってみたり、そこへ立て掛けてあった板を問答無用でぶち当ててみたり、窓を飛び越えてみたりと…、このおじさん。一向に捕まってくれそうに無い。
そこで、ドクターから手習いを受けていた第二の能力『ショック療法』を軍曹めがけて放つ。
「厶ゥッ!?」
多少距離が縮まり、攻撃を当てられそうだ。持っているロット状の物を軍曹の頭上めがけて振り下ろした。
確かな鈍い感触と、低くくぐもった呻き声を耳にし、宇佐美は胸の高鳴りを抑えられなかった。
『うんうん。軍曹をぶん殴るなんて、とても現実世界じゃ出来っこない事だけど、此処は合法的に鯉登少尉でさえも殴れちゃうんだ!……なんて役得!凄い!
あ〜あ。尾形もそっち側だったら申し分無いのに。まぁ、いいか。とにかく、先ずは軍曹倒さなきゃ。……て、言うかコレで殴って動き回れるって軍曹ってやっぱりゴリラか何かだろ…。』
追いかけている内軍曹との間に謎の胡散臭いおじさんが割って入る。倒された板にまたもや直撃し、板を蹴破ろうと立ち止まる。直後に視界が真っ白に染まり、目眩しまで食らった。
「ささっ、今の内遠くに逃げちゃえグンソー!おいちゃんがチェイス引き継ぐよん!何かあったらこれ使って!」
サングラスの中年は(儀式開始直前に、握手を求められ、半場強引に手を握られながら自ら「エース」と名乗ってきた。)持っていた筒状の何かを放り投げた。慌てて両手で受け止めるが、それが何であるかは分からない。先程宇佐美の顔目掛けて照射していたから、目眩しに使うのだろう事は理解した。
見ると小さなボタンがあり、押し込むとカチリと音を立てて光が光線状に一点を照らす。
サッと宇佐美の顔面目掛けて光を照射してから、その場をエースに任せ、宇佐美から逃れた。
「グンソー、ライト上手いな〜。さてさて、おいちゃんも頑張っちゃおうかねぇ!」
「あっ!くそっ!待て!ぐぁっ!?何ーーー!?このおじさん!?ムカつくんですけど!?」
宇佐美は、エースに翻弄される様に追従している。
「おいちゃんもやれば出来るのよ!こっちだよ!ウサちゃん!」
「おじさんに変な渾名で呼ばれる筋合い無いんだけどぉ〜??腹立つなぁっ!!」
この隙に自身はすべき事をこなそう。
発電機を探しつつ、離れてしまった鯉登少尉を案じるが、自身よりも発電はこなせていたし、何処かで発電を行っているに違いない。
少尉への思考はそこで止め、発電機を捜索する。
直ぐに丘の横にぽつんと設置された発電機と、それに引っ付くように修理を試みている谷垣を見つける。
「谷垣か。儀式からずっとここに居るのか?」
「いえ、宇佐美上等兵が近付いて来た時にはそこの物置?の様なものに身を隠しました。しばらく姿を見せないですが、自分は……。」
「そうか。鯉登少尉も何処かで修理しているだろう。我々もこれを修理してしまうぞ。」
現実世界での一件もあり、谷垣とはやややりにくさを感じる。自身を殺そうとした相手と一緒という谷垣の方が、俺よりも一層居心地が悪いだろう。気を遣わせるような事をさせぬよう、さっさと発電機の修理をしてしまおうと谷垣にも視線で促す。
そこから、永遠という時間があるのでは無いかと思えるくらい、発電機は直る兆しが一向に訪れない。
[スキルチェック]が起こると、互いに失敗させる為、進めば後退するを繰り返している。
「月島軍曹…。いざと言う時はこれを使って脱出してください。ハッチ?という物で脱出出来るそうです。エースが俺にくれました。自分は発電機の修理が苦手です…。自分は……サバイバーのお荷物です……!」
小さな鍵を手のひらに乗せた腕をこちらに向けて伸ばしている。自分は、エースから受け取った対宇佐美用の目潰し光源を手にしている。いざとなれば、これでどうにか出来るだろう。鍵は受け取らず、修理を続けた。
谷垣は目に涙を溜める。鼻が豚のように鳴った。
「谷垣。こちらは4人だ。手分けをすればこちらに有利であろう。相手が誰であれ何とかなる。」
「月島軍曹…。」
二人で発電機の修理を再開した。
パチパチと火花が散っては、黒煙が上がる。
会話を挟むこと無く、二人は黙々と発電機を爆発させ続けた。
宇佐美もエースに翻弄されているばかりでは無かった。このまま馬鹿の一つ覚えにエースを追っても、他の三人が発電を終了させてしまっては元も子も無い。エースを追うのをすっぱり諦め鯉登や谷垣を追う事にした。
『月島軍曹は、ちょこまかと追いにくかったしチャンスがあれば追いつめよ。後回しだな…。』
マクミラン某所発電機に齧り付く鯉登も、いくらかスキルチェックが上手いといえ、ドクターの[狂気度Ⅱ]と[怒涛の嵐]の不規則かつ連続のスキルチェックに苦戦を強いられていた。
「キエェェェェッ!?何だあの地獄車の様なスキルチェックはっ!?我々は初心者なのだぞ!!もう少し手加減と言うものを……。」
その時キラーが視認できる範囲でこちらにむかってきた。この儀式で初めてキラーである宇佐美の姿を肉眼で捕える。バチバチと等間隔で青光りする電流が走る太めの筒を両手で握り締めながら走り近付いて来ていた。
一段高くなった丘の上へ登り、段差の端へ近付く。
「鯉登少尉ぃ〜?なんで逃げるんですかぁ〜?
早く殴らせて下さいよぉ〜?」
「お前、宇佐美上等兵! 殴らせろと言われて、待つ奴が居るか!!」
猿叫と共に鯉登は、一撃誘発させてから段差を降りる。着地後直ぐに加速し一直線に距離を取った。
宇佐美もショック療法で鯉登との距離を開かせまいと応戦する。ジリジリと距離は詰まり、一撃を負わせた。負傷した鯉登は数秒加速し距離をとる事が出来たが、まだ建物や石壁のジャングル地帯を有効に使う手段を知らない鯉登はひたすらに真っ直ぐ逃げる。初出陣の宇佐美でも容易く瀕死状態まで持ち込むことが出来た。
「よっこいしょ!えーと、フックに吊るせば良いんだったな?」
近くに丁度よくフックを見つけたので、鯉登を担いで丘を上がる。これなら、助けに近付く他の奴らも見つけやすいし一石二鳥と言う奴だ。
フックへ掛けると、この儀式中にも何度聞いたか分からない奇声を至近距離で聞かされ鼓膜が痛い。
丘を降りてから、放電爆破で他の奴らの居場所を索敵する。爆破を受けて視認通知を受け取ったのは、声から察するに月島軍曹だ。
『あの人は後回しが良いんだよなぁ〜……。少尉殿を助けに来る奴を狩るか……。』
後回しにしたい気持ちとは裏腹に、月島軍曹はウロウロ目に付くような行動をとる。……分かりやすい陽動動作に周辺の情報を隈無く探った。
大岩の影に軍服がチラリと見える。隠れているつもりだろうが、肥えた尻が全く隠れていない。
「マヌケだなぁ谷垣一等卒。それで隠れてるつもりなのかなぁ?」
岩を回り込み、谷垣を負傷させる。加速した勢いで丘を登り、鯉登をフックから下ろした。宇佐美もダウンを狙い二人を追い丘を登る。
鯉登は落下硬直無くスマートに距離を取り、谷垣は落下後少しもつらせながら前方に走る。降りた先を狙い宇佐美も谷垣目掛けてロットを振り下ろすが、すかさず割って入ったのは陽動の為に近くで待機していた軍曹だった。
まんまとやられてしまい、頭に血が上る。
「うっわ!!何その連携!面倒くさっ!待てよ!!誰かぶっ倒れろ!!」
「宇佐美!これでも喰らえっ!」
しっかりとライトが顔面を照射する。
上った血は、容易に沸騰し試合の勝敗関係無く、ただ目の前の獲物を狩る獣と化すのには充分な量の熱量となった。
「軍曹コロス……。」
ブツブツと呪詛を唱えながら、目の前をウロウロ小賢しく走る人影を一心に追う。
『 コイツだけは仕留める……!』
もう宇佐美には周りなんてどうでもよかった。
ただ一つ。月島基という人物を一網打尽にしてやりたい。その一心だけだった。
殺人鬼は生存者を一定時間追跡すると、血の渇望が溜まる。
これにより、移動速度が一時的に上昇するのだが、殺人鬼によっては、固有能力によって渇望が切れてしまう事がある。
ドクターのショック療法も、使用すると渇望が切れてしまう固有能力の一つで、これによって中々宇佐美は生存者に追いつけないでいた側面もある。
じっと、その瞬間を待った。
確実に一撃が与えられる場面を待ち、障害物から障害物まで距離がある開けた場所まで追い込んで行く。
その間に視界の端と、聴覚情報から発電機の通電が完了した通知情報を得た。
次の障害物までの最短距離を阻止して、ロットを振り下ろす。
軍曹に攻撃は当たり、月島軍曹はそこに打ち倒れた。
「ハーーッ! ゼハァーーーーッ!やっと……、倒した……!」
「……私を倒した所で、通電は済んでいる。他の者がゲートから出れれば、私は倒れたとしてもそれで良い。この儀式と言うのは、そういう事だ。」
「僕も、貴方さえ倒せれば、それで良いんですよォ。煩わしい事ばっかりした貴方さえ倒せれば……!」
月島軍曹を担ぎ上げて、手頃なフックまで運ぶ。先程の鯉登少尉の時と同様に吊るした所で、音声によってゲート解放の情報を得る。
鯉登少尉、エースはまだ残っている様子だったが、谷垣一等卒は別行動だったのか、脱出した事が視覚情報で認識出来た。
何の気無しに、ロットで野球の様にスウィングをしていたら、偶然にも吊られている軍曹に当たった様で、低く短い呻き声が漏れ出た。
宙吊りで抵抗出来ない相手に偶然当たった攻撃判定に、思わず背筋が震える。
もう一発。
今度はしっかりと力を込めて。
「ッグゥ!」
苦悶の表情を浮かべる軍曹に、更にロットを振り下ろし続けた。
この世界線では、フックに身体を突き刺されようとも、チェンソーの刃で斬られようとも、死に至らない。
裏を返せば、生命維持活動の何かを欠いても死には至れないのでこの霧の森に囚われ続けているのである。
例外的に、儀式の中で殺害を行う事が出来る能力や、オファリングなる物も存在するが、殺害されて終わる訳ではなく…、
また霧に囚われ、ふと意識を戻すと生存者はいつもの待機場へ戻ってきているのだ。
正に、死に救済が無いのがこの森なのである。
宇佐美はこの時点で、そんな事を知る由もないが、どんなに痛めつけても悶絶するだけで、ビクともしない月島をさっきまでのお返しと言わんばかりロットを振り下ろし続ける。
そんな様子を物陰から伺っていたエースは、難しい顔をして同じくすぐ後ろに控えていた鯉登に告げた。
「ん〜……。フェイスキャンプにケバブ……。良くないねぇ〜……。グンソーの救助は出来なくもないけどあの感じだと難しいねぇ……。」
「いや。月島は助ける。部下を見捨ておく訳にはいかん。」
それまでの飄々とした態度や雰囲気を全て消して、エースは静かに。先程よりも低い声で言った。
「ンふふふ。そう言うと思った。
……けれど、ダメだぜ。見捨てた方が身のためだ。このゲームは、どれだけ他人と協力して脱出できるか否かしか無い。そこに何人犠牲が出ても、一人でも脱出出来ればオレ達の勝ちなんだよ。」
「エース、お前は先に出ていればいい!何もお前まで残っている必要は無いはずだ!」
「あぁ。分かっているよ。お前達を見捨てた方がオレには得な話だって。だが、さっきも言ったろ?どれだけ他人と協力して脱出できるかって。……オレもまだまだ熱いハートを持ってたって事かな…?オトちゃんに賭けるぜ。」
茂みをゆっくりと移動する。
幸い、宇佐美は月島にのみ視線を送っている為に、二人の動きは視界に入っていない。
簡単にエースたち二人は宇佐美の背後を取る事が出来た。
鯉登は言われた通り宇佐美に向かって左から月島が吊られているフックの端へ。宇佐美が鯉登を攻撃しようとロットを振るが、鯉登と宇佐美の間に挟まるように月島が吊られている為に攻撃の判定は月島に当たる。そこをすかさずエースが右側宇佐美の死角から月島をフックから救助する。
宇佐美も応戦するが、エースの経験値が場を一気に逆転させた。
月島、鯉登、エースの順でゲートへ向けてひた走る。エースが一撃喰らい、鯉登が最後尾を走り、また一撃。
月島、鯉登がゲートを抜け脱出する。
エースは見届けてからゲート内で地団駄を踏む宇佐美に向けて声をかけた。
「ウサちゃん!ウサちゃんはもっと一杯試合を重ねたら、絶対スゴいキラーになるぜ。戻ったらブライトとか言う気難しい科学者にでも指南して貰ったらどうだ?たぶんそこそこ気が合うんじゃないかと思うぜ。そんじゃ、アデュー!」
ゲートとは逆方向に進み、目当てのハッチまで辿り着く。エースはハッチの中の深淵に躊躇すること無く潜って行った。