この作品は、Dead by Daylightの世界にもしも杉本達が迷い込んでしまったら……?というコンセプトのクロスオーバー作品です。
※DbDのDLCキャラも登場しているので、多重クロスオーバーとなってます。
・Dead by Daylightとは?
一人の迷える仔羊(殺人鬼)が四人の悪魔達(生存者)に妨害されながら、個性豊かなフィールドで血涙を流しつつ脱出されない様に処刑する(???)非対称型対戦サバイバルホラーゲームです。
ゲーム内のメタ発言や流血、猟奇的表現が含まれますので、閲覧に注意してください。
[人物紹介]
・ビットリオ・トスカーノ
最近霧の森にやってきた銀髪のエスパニョールなイケおじ。探究心と野心を胸に秘め、情熱的で一途なロマンチスト探究家。
・メグ・トーマス
霧の森は随分長い。明るく前向き全力疾走な子。時々ドジを踏む。実は純情。同じく長年の付き合いのネアやケイトは姉の様に慕い、クローデットやミンは同級生と同じ様に親しくしている。
・ジェーン・ロメロ
霧の森の面倒見良いお母さん的ポジションのダイナマイトボディセレブ姐さま。勘が鋭いし、物怖じしないで物事はバシバシ解き明かす。
・ザリーナ・カッシル
霧の森の流行や人間関係に敏感なセレブ姉さま。勘は良いが、内に秘めておくタイプ。
白石に興味津々。
「私はビットリオ・トスカーノ。よろしく頼む。」
サバイバー待機所には、すらっと伸びた四肢につんとした鼻筋を持った、如何にもラテン系のちょい不良おやじといった風貌の男が仲間入りした。
顎をしゃくり上げて早くも喧嘩腰な様子なのはキングと白石である。
「ピッグリオ?豚みてぇな名前だな?」
「ビットリオだ。君たちはなんと言うんだ?」
「ジジイに名乗ると思うか?あん?」
「こいつはデイビット。坊主頭はシライシ。私はメグよ。デイビットの事は気にしないで。臆病だから兎に角こうやってちょっかいを出して自分に害が無いか確かめる為に……いたっ!?」
「誰が臆病者だって?オレが何時ビビってるって言ったんだ?」
「デイビット。女性に暴力はいけない。それに彼女は君の事を慮って……」
「おいおい、相棒!女性には優しくなきゃいけねぇぞ?……大丈夫メグちゃん?」
「えぇ。いつもの事だし……」
「フン。メグ、あんまりいい気になってるなよ」
キングは決まり悪そうにその場を退散する。
白石はと言うと、メグに良い所を見せようと少々距離を詰め寄ろうとジリジリとすり足で近付いていた。
ビットリオは、さり気なく、意図も自然にメグの肩に手を回して柔和な紳士的な笑みを見せながらメグへ語りかけた。
「メグ。痛む所があるなら言ってくれ。ふらついたりしないかい?」
「え、えぇ。大丈夫よ。この森ではこれくらいの事では皆何とも思わないし、実際痛んだりしてないから大丈夫」
チラリと白石を見るビットリオ。口許には不敵な笑みが浮かんでいる。勝ち誇った様な。そんな攻撃的な笑みを白石に向けていた。
『あんにゃろう……!メグちゃんに気があるって事だな?あんなジジィに負けてられるか……!』
「そうだァ!メグちゃん!この前儀式中に困った事があったんだぁ。このままだと、他の面子に迷惑掛けるから、教えて欲しいんだけど今から時間空いてるかい?」
「え?えぇ。良いけど……」
「丁度いい。私もこの世界に来て日が浅い。メグ。私もご一緒しても宜しいかな?」
ビットリオは自然にメグの手を取り、その場に膝まづいて両手でそっと包み込んだ手の甲に軽く口付ける。
メグの人生に置いて、恋愛感情というものを多くの男友達に抱いた経験は無く、当時は恋愛以上に問題だったのは母親の介抱だった。
ビットリオからのあまりの待遇にどう自身の身を置いて良いか分からない。圧倒的に女性らしいエスコートを受ける事に不慣れだった。
霧の森に来てからはエース・ヴィスコンティの分かりやすく、破廉恥な態度やデイビット・キングの粗野で横暴な振る舞いを見慣れてきてしまったから、ビットリオの紳士的な振る舞いにしどろもどろになっている。
「え、えっと……。トスカーノさん?」
「おぉっと、すまない。私が元いた国ではこれが挨拶なんだよ。不快な思いをさせてしまったのなら、今後気をつけるから許してほしい……。メグ、いきなりすまなかった」
「はうぅ……。へ、平気よ……?その……、驚いただけで嫌だった訳では無いし……」
ビットリオは直ぐに手を離し、顔面に深々と哀顔を表して申し訳なさを目一杯表現する。
メグはそんなビットリオの様子にも平常を装えず視線を合わせて会話も出来ずに、赤毛の編み込みの先端を指先でクルクルと弄ばせながら視線を肩へ落として口の中で呟いた。
「……オイオイオイオイ!ビッブリオ!!メグちゃんが困ってるだろう?あんたみたいなジジィに触られたら嫌なんだって!分かったら、さっさとメグちゃんから離れな?」
「あぁ……。シライシ。すまないと思っている。
……メグ、私の思いを伝えたつもりだが、メグが嫌ならば私は此処で失礼するよ」
「……っ!そんな事は無いわ……!シライシも、ありがとう。大丈夫だから、気にしないでね。私だけの意見じゃ心許無いし、応援を呼ぶわね」
儀式の最中でも無いのに、メグは全速力で走って行ってしまう。
後ろ姿に白石は小さく声を掛け、気まずい男二人がその場に取り残された。
「オイ!ビックリオ!お前の所為で完全に怖がられちまっただろうが!いきなりキッスなんて迷惑にも程があるってもんだろ。アァン?」
「ビットリオだ。あれは女性に対する最上の挨拶だと言っているだろう?……だが、この時代、文化では使われていないという事だと理解した。今後これは改めるとして……。
警戒という点は、私に対してと言うよりはむしろ私達に対してと捉えた方が良い。不覚だが、私自身もメグとの距離感を履き違えてしまったらしい」
「お前が余計な事をしなきゃ、今頃二人っきりでお話出来てたのによぅ!」
「私がそれを許すと思うのかシライシ?はっきり言っておこう。私は遊び程度にしか考えていない君よりも誠実に彼女と向き合っているつもりだ。
……つまり、彼女は私のヴィーナスだ!君の方こそ、私の邪魔をしないで頂きたい」
「オイオイ……。ジィさん。あんた自分の歳考えた事あるか?鏡見てもう一回考えるんだな。オレとあんたで並んでいて、どちらと恋愛するかって聞かれたら断然オレに違い無いぜ?」
「恋愛に年齢なんぞ大きな問題では無い。肝心なのはお互いの愛だけだ」
両者の視線からはバチバチと激しく火花が飛ぶ様だった。二人がデイビットの様に好戦的で攻撃的な性分であったならばその場で取っ組み合い、拳で解決していた事だろうが、二人は出来うることなら衝突を避けようとする性分である為、互いを牽制しあい睨み合って動かない。
そんな二人の元に向かって来ている人影があった。メグが呼んだジェーン・ロメロ、ザリーナ・カッシルの二人である。
二人からは白石達の会話は聞き取れないで居たが、いがみ合っている様子だけは遠方からでもよく分かった。ジェーンは二人の様子を見て直感的に思った事を、横を共に歩くザリーナに語り掛ける。
「メグってば、罪な子ね。どっちつかずに話を紛らわして、男性二人を弄んじゃって……」
「あの子、きっとそうとは思ってないわよ。私達で悪い虫は払っておいた方がいいんじゃない?シライシだっけ?あの坊や、子犬みたいで可愛いじゃない」
「……とか何とか言って、つまみ食いする気ね?」
「フフフッ。ビットリオは遠慮しておくから適当に話でも聞いておいたら?メグに大人な恋愛なんてまだ早いわよ」
「ザリーナ。あなたって性格悪いわね。私に叔父様の相手をさせるの?『メグはまだまだ純情な乙女で男女の恋愛には無頓着なのよ』って?」
「それぐらい言わないとあの人は諦めきれないんじゃなくて?……まぁ、あとはメグ次第よ。白石の方は兎に角ナンパしたいんでしょ?私が相手してあげるわ。面白そうだし、いい暇潰しよ」
白石は近付いてくる二人の外国人美女を視認すると、表情を引き締め姿勢を正した。
「ハァイ?メグの言ってた二人組はあんた達ね。シライシと……ビッlトリオだったわね?」
「ハイ、白石由竹です!まだまだ霧の森には慣れて居ませんが、トラッパーには筋が良いって言われました!得意な事はトーテム探しと罠解除です!」
「ウフフ!シライシ。あなた面白いわね!それで?困った事があったんだってね?私がじっくり話を聞いてあげようかしら?」
「お願いします!お、お嬢様のお名前は?」
「私はザリーナ・カッシル。ザリーナで結構よ」
ビットリオは場所を移そうと移動し始める一行とは裏腹に辺りを気にしてその場をのろのろと移動する。その様子にジェーンが多少荒っぽく問いかけた。
「足腰でも痛むのかしら?ミスター トスカーノ。それとも、誰かさんをお探しかしら?」
「あ、あぁ……。メグが一緒で無いから、……やはり私の振る舞いが良く無かったのかと心配していた所だ」
「それだったら、当たらずしも遠からず……。あの子は純情で初心なのよ。探究家さんが生きた貴族時代の挨拶は刺激が強すぎだわ。ただ、貴方自身を嫌っている訳じゃないから、今後気を付ければ済むことよ。それとも、あたしじゃお役に立たないかしら?お若いお嬢さんの方がお好み?」
ジェーンはビットリオが何故メグに拘るかを多少気になり始めた。言葉尻に多少の怒気が垣間見えるのは、自身が相手に問うた事で自身がそこに属さない事を認めた様で癪に障った為だと分析する。努めて、平常を保ち笑顔を作り上げた。
「……いいや、そんな事は無いよ。ミス ロメロ。あなた方を頼りにしている。何時の時代でも、女性は強く崇高な存在だ。それと……、誤解がある様だからお伝えすると、若さが問題では無く、彼女だからこそ……なのだ。……あぁ、なんと言えばいいかな。始めてメグを見た時、あのサファイアの様な瞳に目を奪われてしまったのだ」
「……ミスター トスカーノ。正直、あなたが私の目に適わない様な人物だったら、今此処でありったけの避難を浴びせる所だったけれど、あなたは人間として紳士で常識のある人物と見て、メグの事だけど……。この森で永く過ごしてるメンバーの内の一人だから、支えになってあげて」
よく動く身振り手振りと、問いかけたジェーン自身にも気を回しながら選ばれた言葉の数々に、誠実さが伺えた。
ジェーンはメグの霧の森での生活を思い起こす。
儀式内外関係なく、明るく元気に振る舞う彼女だが勉学の道を挫折し、母親の面倒を診ていた矢先にこの森へ取り込まれて居るのだから何か思う節があるのだろう。極偶に物憂げな表情を見せることがあった。
ジェーン自身は、現実世界にはもう絶望しか残されていない。こちらでの生活は、余計な事を考える事をしなければ、実に気兼ねなく。元の生活よりも自由で危険な毎日に刺激的だった。
そんな自分が、メグに寄り添うよりも同じく現実世界に思いを馳せる人間かつ、メグの過去に囚われない新鮮な人間が寄り添う方がメグの中の暗い感情を癒せるのかもしれない。
「あ、遅くなってごめんなさい!さ、話を聞くわよ?」
一行は使用していない儀式の待機所へ移動してそこで各々自由に座り込んで話し出していたのだが、合流しないかもと期待しないでいたメグが合流してきた。
白石が顔を上げてメグの存在を察知した様だが、もう白石は自分に興味を持ってくれているザリーナへお熱だ。ザリーナが白石の質問にユーモアを交えながらあれこれ話す事を聞くのに忙しくしている。
彗星の如く速さで迎えたのはビットリオだった。
「メグ、さっきはすまない。それと、嫌な思いをしたのなら……」
「トスカーノさん。何度も謝ってるわよ?私はそんなに気の小さな人間に見えるかしら?
じゃあ、先ずはトスカーノさんの住んでた時代を教えて?儀式の事なら何時でも教えられるもの!」
「あらあら、さっきまでの慌て具合はどうしちゃったのかしら?誰かさんってば、外国式挨拶にドギマギして子供みたいだと思われてたらどうしようかって相談して来てたのよ」
「ジェーン!!言わないって約束したじゃない!」
「……フフフ。仲が良いのだね」
「あっ!メグちゃん!!聞きたい事聞いてくれるぅ??」
白石の猫撫で声が聞こえてくる。ザリーナも視線を送ってきてウィンクを投げてきた。
「ちょっと私だけの意見では難しい盤面だったから。あなた達の話も聞きたいわ」
「どういう事?」
話はもう儀式の話題にもちきりだ。白石はビットリオに向かってメグには悟られないように渾身の含み笑いを顔面に称える。
ビットリオは、してやったり顔の白石に奥歯をギリギリ言わせながら、『呪いのトーテムをいつ壊すか、キラーとの駆け引き』談義を静かに聞いた。
悲しいかな、ビットリオ自身も儀式経験は浅いので白石の仕返しに対抗手段が無い。
集まった5人は、丸太を囲んで正解の無い議論にしばらく白熱するのだった。
白石とビットリオのライバル関係はしばらく長引きそうであった。
今回の新サバ、新キラーのビジュアルが個人的に好き過ぎる。
ビットリおじさんはメグに一目惚れって設定です。この辺りを説明無しで書ききってしまったので、ビットリおじさんが若者好きなセクハラおやじと化してしまって、うちの霧の森ではエスパニョールなイケおじは存在してません。
別作品でその辺り書こうかなと思ったり。気が向いたら書くやも。