※この作品はR-18です。

ゴールデンえすけいぷ   作:山背としや

9 / 11
[はじめに]


この作品は、Dead by Daylightの世界にもしも杉本達が迷い込んでしまったら……?というコンセプトのクロスオーバー作品です。
※DbDのDLCキャラも登場しているので、多重クロスオーバーとなってます。

・Dead by Daylightとは?
一人の迷える仔羊(殺人鬼)が四人の悪魔達(生存者)に妨害されながら、個性豊かなフィールドで血涙を流しつつ脱出されない様に処刑する(???)非対称型対戦サバイバルホラーゲームです。

ゲーム内のメタ発言や流血、猟奇的表現が含まれますので、閲覧に注意してください。

[人物紹介]
・ハグ
dbd界きっての幼女。拉致監禁されて餓死寸前の所を犯人グループから必死に逃げた先に霧の森へ着いた。簡単な魔法陣で自分の偶像を出現させられる。好きな物は臓物。

・エクセキューショナー
某静岡からやってきた処刑人。三角頭のむっちりさん。大鉈から放たれる懲罰が理不尽チェイスを売りつける。今回のイベントの趣旨は全く理解してない。

・ナース
文句の付けようのないdbd界最強キラー。ただし、本人は儀式否定派でエンティティを良しとしていない。

・デススリンガー
BPに飢えるおじさん。贖い主を改造して、雪玉射出が可能になってる。つまり、雪玉ショットガン。

・ビットリオ
メグに超個人的事由により雪玉をぶつけられない。情熱的なエスパニョール。好きな言葉は愛。

・ケイト
ビットリオの一挙手一投足にモヤつきつつ、付き合いの長いメグに春の兆しが嬉しかったりする。

・メグ
超個人的事由による見逃されに困惑してる。ビットリオのストレートな好意に悩める20代。

・ネア
付き合いの長いメグに色恋沙汰と見えるが、ビットリオとの年齢差的に心配もある。
面白がってからかうミンの嗜め役。

・ミン
ビットリオとメグの恋愛事情がくっそ面白くてからかってるが、付き合い長いメグを全面的に応援してる。



[ 邪神の冬遊戯02 ]

 

普段はキラー達はキラー側の待機所が存在し、サバイバーはサバイバーの待機所で儀式の開始を待つのだが、この気まぐれな遊戯大会が行われている間はキラー、サバイバー共に同じ待機所に各々好き勝手に過ごしている。

 

尾形は、周りから少し離れた位置からモニターに映る試合の様子を伺っていた。

巨大な鉄製の三角形頭の異様な大男が画面にデカデカと映し出された。

谷垣がおずおず様子を伺っているのがオブジェクト越しに映っている。その後ろから軽やかに飛び出して来た小さな人影は、かろうじて人の顔の作りを維持した異形に、手足が細く、骨と皮だけの身体。肌の色も黒緑色に変色が見られ、腐敗して崩れかけている。生きているとは思えない身体が、意思を持って動き回っていた。確か、「ハグ」と言ったか……。

キラー側は、大体の奴らが話の分からないおかしな奴らばかりで、群れを好まない自分としては随分と居心地は良いが、時として得ぬ焦燥感に駆られる。

 

「ゲンジロ!罠仕掛け終わったーー!」

「わかった。よし……」

 

谷垣が岩から飛び出すと、三角頭が谷垣を追跡し始める。普段の儀式での立ち回りが体に染み込んでいると見えて、ジャングルポジションを隅へ追いやるように進んでいる。三角頭の後ろを小さな異形が付いて走って行く。谷垣は三角頭の追跡を受けてジャングルポジションへ誘導されていた。追って入り込んだ出口付近で突如三角頭の後ろに居るはずの異形が飛び出した。

三角頭は出口から出れず引き返そうにも後ろからも前を封じる異形に塞がれている。

谷垣は通路の側面に空けられた窓から三角頭目掛けて雪玉を投げ、後ろから迫っていた異形も雪玉を放つ。大きな三角頭はあえなく退場となった。

 

「……ふぅん。罠にはまったな。」

「百之助、知らないの?ハグは幻影の罠で偶像が出るんだってさ。」

「見れば分かる。ところで、次は俺たちの試合だ宇佐美。能力は誰のを借りるつもりだ?」

「オレは、そうだなぁ……。ナースの能力が強いじゃん?アレ使ったら負けなんてありえなそうだって思うんだよねぇ。百之助は?」

「俺は今回もデススリンガーに頼む。」

「好きだねぇ……。」

 

噂をすればモニターに映ったのはナースの姿。

ブリンクを駆使して、相手チームを探している様子だ。

コソコソとネア、ミンといった霧の森ベテランサバイバー達が、隠密を徹底する。

 

「……三角全く何にもしてないじゃん!!」

「で、デススリンガーは何してんの?」

「ネア、ミン! ……デスおじは、あっちでケイトに苦戦中って感じ。ナースが索敵と追撃してくる……よねぇ?」

「ナースが索敵、ハグが罠を張って、タニガキ、ビットリオが追い込んで、ケイトが相手チームの主力を潰す……。意外と統率取れてて厄介なチームね……。トラッパー達にどうして負けたんだろ?」

「レイスがやっぱり透明化で……?」

 

ナースの索敵を振り切った3人は、戦況的不利なこの状況に対抗する方法をアレコレ意見していく。

ハグやナースはデススリンガーの力が無ければ退場は難しそうだが、サバイバー達なら……引いてはチェイスにまだ不慣れな谷垣ならば、どうにかなるだろうと結論に至る。

 

「あっ!!!……二ヒヒヒ……。いい事思いついた☆」

「なになに?ミンにしては、冴えてるじゃない!」

「メグ。あんた、ビットリオに惚れられてるでしょ?あんたがビットリオの相手してやれば、無力化出来るじゃん!」

「え、……なんかそれ、気持ちを利用してる様で嫌だな……。」

「メグは分かってないなー!あぁ言うタイプは、少し誑かされてる方が燃えるんだよ。」

「これ以上熱烈なのも嫌だけど……。まぁ、いいわ。チームのためだもんね。」

 

渋々と言った様子で、編み込みヘアーの女が他二人から距離を取り、オブジェクトの影を進んで行った。

尾形は、デススリンガーの様子を見ていた。

着実に逃げ場を塞いで銃の照準を覗き込む。普段そこから発射されるものは銛だが、引き金を引いて噴出した物は、雪玉だった。

この為に、更に改造したようだ。俺だったら、アレで確実に相手に雪玉を当てられる。

能力を借りるのは、デススリンガーで確信した。

 

逃げ場を失ってから狙われたケイトは、しっかりと雪玉を2回受ける。

自分には後が無くなるが、デススリンガーを引き寄せている間に、ナースやハグ達が相手チームを退場させているだろう。谷垣とビットリオの陽動もきっと上手くいっているはずだ。

オーモンドの固有建築物のペンションの中に逃げ込む。直線上に入らなければ、デススリンガーも贖い主での射撃は難しくなる為少し時間稼ぎが出来る筈だ。

そこに、ハグに発見され罠側へ追いやられているメグの姿がある。待ち構えているのはビットリオだ。

何やら、頭を抱えて難しい顔をしているが、何をしているのだろう?

 

メグはハグの罠が「ずぶ濡れの靴/切り取られた手」のアドオン効果と理解している。普段であればそれを窓や板前に設置するが、ジャングルの内側に囲う様に設置して閉じ込める魂胆だと理解した。

ジャングルポジションへ誘導したいだろうハグの思惑を破り、メグは手前の罠の無い板ポジションでハグによる雪玉応戦に対応している。

 

「モーーーーッ!!!向こうっ!!ここは違うっ!!メグ嫌いっ!」

 

少し可哀想だが、メグも雪玉をハグ目掛けて投げる。脚力に自信があるメグだが、投擲は全くの素人の為、本人はハグを狙っているつもりだが、あらぬ方へ雪玉は飛んでいっている。ハグは特に避ける動作も必要無い為、雪玉さえ当ててしまえば訳ないが、悲しいかな足の速さ4.46毎秒キラーの宿命か、普段の儀式では血の渇望を溜めて距離を詰めることも可能だが、この遊戯では血の渇望は溜まらず、ほぼ真っ直ぐ走られるだけでも、メグに距離を離されてしまう。だからこそ、自身の能力下へ追い込みたいのだが、思い通りに誘導されない相手にうんざりして直ぐに追うことを止めてピタッとその場に硬直する。

 

「ビッたん!メグ嫌だから、あとヨロシクねっ!!」

「えぇっ!?……わ、私がやらないとならないのかい?」

 

ビットリオへの返答は無く、ハグは別の所へそそくさと行ってしまった。ジャングルポジションで待機していたビットリオがのろのろと出てきて深い溜息と、苦々しい表情を浮かべている。

メグは、一呼吸置いてから雪を攫って両手で雪玉を作る。ビットリオは利き手に持った雪玉を力無くメグに目掛け狙いを定める素振りをするが、直ぐに首を横に振って雪玉を地面に放り投げた。

 

「何してるの、ビットリオ?雪合戦なんだから、雪玉を相手に当てなくちゃ!」

「……あぁ、メグ。分かっているよ。……なんて日だ!神は私を弄んで楽しんでいるらしい!

私の愛しい人!私が君へ投げられる物は愛だけだ!」

「私は、雪玉も投げるわよ!」

 

雪玉は大きく弧を描いてビットリオを通り過ぎ、数メートル先の地面へ落ちた。大真面目に狙いを定めてこの結果である。メグにはソフトボールのピッチャーは任せられないだろう。

その様子を見たビットリオは、更に表情を暗くした。メグと対戦となった所でこの投球では間違いなく自分に3回も雪玉が当たる事は無いだろう。圧倒的に自分に優位である。

この状況で、「負けました」とチームメイトのタニガキ達に報告は出来ない。

悶々と考えを巡らし立ち竦んでいるビットリオを目掛けて雪玉を放っているメグだが、ビットリオの思惑通り、的外れな場所にばかり雪玉は放たれ、当たる気配は微塵も感じられ無い。

 

時を同じくして、デススリンガーがケイトを追い詰めようとペンションの中で難儀していた。血の渇望が堪らない状態で、足の速さが4.4族のままで遮蔽物に囲まれたこの室内ではケイトを仕留めるのは不可能に近かった。また2階部分からケイトは階下へ降り、外階段へ回ろうとしている。

贖い主を構えて標準を覗き込むと、ペンションの奥に見える共通小屋の横のスペースにメグと思しきシルエットと、ビットリオの心底困り果てた様な途方も無い表情が視界に入ってきた。

彼は片膝を地に付け、両手を横に広げて天に向かって何か叫んだ。喜劇でも始まるのか?興味が完全にそっちに移ったデススリンガーは、贖い主に体重を預けて様子を伺う。

ケイトも、デススリンガーの視線の先に見えた景色と聞こえて来た口上に困惑する。

 

「駄目だっ!!やはり、愛する人と争うなんて出来ない!!私の愛しい人!この距離ならば、直ぐに雪玉を当てる事が出来るはずだ!さぁっ!君に退場させられるなら、一向に私は構わないっ!

……タニガキ!……ケイト!

私を許してくれ……!愛には誰も敵わない!」

 

ケイトが必死に時間を稼いでいたこの間で、ビットリオはメグの手を握り込み、顔に息がかかる位に接近して自身に雪玉を当てる様に迫っているのだ。ケイトは身体の力が抜け、その場にクズ折れてしまう。これ迄の苦労をいとも簡単に折ってしまうなんて……。ビットリオに対する呆れの感情が怒りを生んだが直ぐに鎮まり、変わりにメグに対する憧れと、この動向の行方に強い後押しの気持ちが生まれる。

好意を真向から直球で受けているのがもし自分自身であったならば、どんな状況であれ相手の好意に好感を持ててしまうし、自分であれば許してしまう。

あんな風に他人から愛されてみたいものだ。

 

『まるで、おとぎ話のお姫様ね。』

「……プッ、ハッハッハッ!!傑作だ!!

惚れた女に雪玉も当てられねぇ……ってか?俺らキラー同士じゃ中々絡みなんざねぇから、色恋沙汰なんて面白ぇじゃねぇか!

ケイト。一時休戦だ!アイツら見物してていいか?」

「どうぞ。ご勝手に……。

……なんだ。案外、殺人鬼たちってお互いの事に関心が無いのね。」

「他人に関心がありゃ、上手く世の中生き抜いて行ったろうよ……。"何か"が明らかに欠けてるのが《殺人鬼(俺達)》だ。この俺みたいにな。」

「そう……。デススリンガーは知らないのね。」

「……それって、どう言う意味だ?」

 

キラーの世話役は、仮面も去ることながら、その下の素顔もポーカーフェイスを装っているようだ。

誰に悟られることも無く。

 

瞬間。

ブリンク音と共に、デススリンガーの背後にナースが現れた。振り上げられた拳の中には雪玉が握られている。正確なブリンクと正確な投球で、デススリンガーに一発雪玉が当たる。

デススリンガーはケイトとの攻防の中で一発当たって居たので、これで二発目だ。

 

「っちぃ!…………ナースとやり合うのは無理だって!」

 

贖い主を構えるより先に、疲労から回復したナースがもう一発投球する。

何とか贖い主で投げつけられた雪玉を払い除けたが、血の協定を結んだはずのケイトからの応戦には叶わず、あえなく退場となった。

 

「ナイスアシストだったわ。ケイトちゃん。」

 

小首を傾げ、頬に手をやるその小柄な未亡人は次なるターゲットを目下に捉えて、ブリンクを溜める。

この様子だと、残る所メグのみの様だ。

一直線にメグとビットリオの元にブリンクするナース。

メグは突然のナースの応戦に一瞬怯んだ様子だったが、投球を受けるすんでの所を《全力疾走(スプバ)》で距離を広げた。

慌てて逃げ込んだ先は先程逃げ込むのを嫌ったジャングル地形。……つまりはそこにハグのトラップが存在している。

 

ハグの幻影が現れ、行く手を阻まれてから、メグは『しまった』と思った。引き返そうにも、既にそこにはナースの姿があり、幻影の奥からはハグが迫って来た。

一気に雪玉の応戦にあい、呆気なくメグが退場となった時点で敗者復活戦はナースチームの勝利となった。

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