※この作品はR-18です。

聖槍に選ばれたマクギリスはハーレム王になるそうです   作:生死郎

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眷属によるハーレムの先人と言えばライザーとディオドラですね。自分の嗜好をはっきりと出しているのは凄いですね。ディオドラとか、R18ならばもっと出番があったことでしょう。


それでは本編続きです。感想・評価を頂けますと幸いです。



悪魔との取引

 マクギリスがヘクトールの執務室を出ると、待機していた騎士(ナイト)の源(みなもとの)頼光(らいこう)が傍に控える。眷属悪魔でも騎士は「王」の護衛を任される役目にある。しかしながら、ヘクトールの執務室には流石に許可なく入ることは出来なかった。

 マクギリスの騎士は摂津源氏の子孫で平安時代最強の『神秘殺し』源頼光の魂を有している雅で清潔で艶やかな美女だった。黒絹のような長い艶かな髪、一〇〇cm超えの豊かな乳房、ほっそりした腰、一〇〇cmの形がよく肉づきの良い美巨尻。性別問わず、魅了する豊麗さを持つマクギリス自慢の騎士だ。

 

「さあ、私たちの家に帰ろうか」

「承知いたしました」

 

 優美な笑みを浮かべ、頼光は主の言葉に応じる。彼女が転移魔法陣を展開する。

 レラジェ領にあるマクギリスの屋敷に戻って来た。屋敷に到着すると、メイド一同がずらりと整列して待機していた。

 マクギリスと頼光は邸宅の中へと入っていく。彼は歩きながら近くのメイドに女王(クイーン)のスカサハを呼ぶように命じる。マクギリスたちが屋敷の管理をしているメイド長に先導されるまま進んでいたら、一番大きな部屋へと案内された。

 

 しばらくしてメイドを従えてスカサハがやって来た。異境・魔境『影の国』の主であった女傑こそがマクギリス・レラジェの女王(クイーン)である。

 赤みを帯びた闇色の長い黒髪、うす蒼い翳を落す睫毛、蝋細工のような鼻、柔らかな花弁を合わせたような唇、象牙色の光沢を仄かに照り返す頸、そして身体のラインがはっきりしたタイツのような戦装束をふんわりと盛り上がらせているふたつの玉椀を伏せたような乳房、なよなよとくびれた丸い胴からむっちりと張った腰……。

 

 頼光もそうだが、マクギリスが希求した美女だけあって彼女らを眷属として招き入れただけで、男性悪魔たちの嫉視反感は免れないであろう。

 

「おかえり、マクギリス、頼光。あのトロイアの守護者に何か命じられたのではないか?」

「話が早くて助かる。少し話そうか」

 

 マクギリス、スカサハ、頼光が座るとメイドたちがお茶の準備を始める。その間にマクギリスはヘクトールとのやり取りを伝える。

 

「ヘクトールさんから、一年後の魔王様方やお歴々に対して対面させても恥ずかしくないよう、眷属を集めるように、とのことだ」

「そうか、お前も上級悪魔なのだからそれも当然か。四大魔王と大王、大公家による代理戦争に近いと訊く、そこに参加するお前は、望まずともヘクトールの代理としてみられることになるか。ふふふ、責任重大だな?」

 

 スカサハは画家がデッサンを望むような形の良い手を顎にかけて、微笑みながら言った。

 

「そうさ、ヘクトールさんの信頼を裏切るわけにはいかないよ。領地運営は順調だし、これからは眷属集めを優先するつもりだ」

「貴方には何か求めている人材はあるのですか?」

 

 頼光から聞かれてマクギリスは考える。優秀で美しいは前提として求める人材と言えば色々欲しいものがある。思惟の海に沈んでいたマクギリスはふと、一人の顔を思い出す。

 もしも、自分が上級悪魔になれば希求しただろうと、当時は益体もなく考えていた才媛がいた。

 

「そうだな、私は魔力の扱い方は得手ではない。ウィザードタイプとは違うからこそ、私の苦手分野を補う魔術師が欲しい。僧侶(ビショップ)として招き入れたい魔法使いにあてがある」

 

 スカサハと頼光が興味を示した。

 

「番外の悪魔(エキストラ・デーモン)として特に有名なメフィスト・フェレス卿が理事をしている魔法使いの組織『灰色の魔術師(グラウ・ツァオベラー)』に、俺の知己がいる。仕事で何度か関わって彼女の人となりや実力もわかっている。彼女は是非とも眷属に招き入れられないか、交渉してみたいと思う」

「まあ、『灰色の魔術師』に所属する魔法使い……僧侶にするにはうってつけですね」

 

 頼光は喜んでマクギリスの提案に賛成する。スカサハも異論はなかった。

 

「何という名だ、その魔術師は」

「オフェリア・ファムルソローネ。現代の戦乙女と大層なあだ名で呼ばれている魔法使いだ。……まあ、本人はそのあだ名を恥ずかしがってはいるけどね」

「あのオフェリアという方はハーレムを容認していただけるのでしょうか?」

「そうだな。お前の眷属になるということは、必然的にお前の愛人にもなるということだろう」

「そこは……なんとかしよう」

 

 マクギリスは少し言い淀む。オフェリアが真面目な性格で潔癖症なことから拒否される可能性に危惧していた。

 

「なんとか説得するよ。……彼女が他の男のもとに行くと想像すると、心がかき乱される。勝手な話だけどね」

「まあ、強欲な方ですね。たくさんの女性を囲いたいなどと。悪魔の中には眷属の間で不純異性交遊禁止なところもあるのでしょうか?」

「不純異性交遊禁止なところは知っているが、結局は痴情の縺れでごたごたがあってそこは大変だったぞ?」

 

 マクギリスが当時のことを思い出して疲れたような表情をした。頼光のほうは不思議そうだ。スカサハはすぐに何か察したようだ。

 

「つまりあれか、異性ではなく同性交遊は容認されていたのか」

「そうそう。確か頼光と同じ日本出身の上級悪魔のところで起きたんだ。確かあの悪魔は阿部……だったかな。まあ、それはもういいか」

 

 思い出したくない記憶を仕舞って、マクギリスはオフェリアに連絡を取ることにした。そして同じく知己がいる黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン)へも連絡することとした。

 サーゼクス・ルシファー眷属に転生したマグレガー・メイザースの縁から、マクギリスも黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン)には顔見知りがいる。そこで僧侶あるいは他の眷属のあてがないか相談してみようと思ったのだ。

 

 そして、連絡を取ろうとした時である。マクギリスが持つ召喚用の魔方陣に反応を示したのである。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 古の頃より悪魔の仕事として願いを叶える際に対価を得るという契約を履行する。かつては契約を達成した後で魂を奪うこともあったが、近年では魂の代わりに物品を代価として受け取ることも多い。

 

 召喚用魔法陣が起動する。起動する式から旧知の仲の人間に渡したものだとマクギリスは察した。

 一瞬の浮遊した感覚。そして転移される。眼前にいるのはマクギリスの予想とは反する人物だった。

 

 類稀なる美女だった。白蝋に似た顔や、しなしなとか細い身体、それでいて詰襟の服を大きく隆起させる豊かな乳房に妙に男をいらだたせる肉感的な翳があった。

 蝶の髪飾りで後ろ髪は夜会巻きで纏めており、蝶の羽を模した柄の羽織を着用している。

 

「君は……、カナエの妹か」

「お久しぶりです。胡蝶(こちょう)カナエの妹、胡蝶(こちょう)しのぶです」

「会うのは四年ぶりだな。あの魔法陣はカナエに渡したものだが、彼女は?」

「……亡くなりました。四年前、あなたと別れたあと暫くして堕天使との戦いに敗れました」

「そうか、君も大変だったな。それで私を召喚した理由は何かな?」

 

 しのぶの優美な笑みを浮かべるその顔にある微かな翳。それがマクギリスに不吉な予感をさせた。

 

「私が預かっている継ぎ子たちの保護をよろしくお願いします」

 

 しのぶの家は五大宗家と呼ばれる異能力集団の一族、その一角童門(どうもん)家門下筋の退魔の家系だ。しのぶはカナエの仇である堕天使の居所を特定して、報復をするつもりである。それは他勢力を刺激することを好まない主家童門の方針に反する。違反行為である。

 そういった事情からしのぶが弟子として養っている者たちの保護をマクギリスは依頼された。しのぶとしては弟子が望まない限りは、異形や異能と関わることを望まないし、しのぶがやろうとしていることを考えれば他の門下筋や主家を頼れない。

 そのため最終的に頼ったのはカナエが信頼する友人だったマクギリスだった。

 

「君は死ぬつもりか?」

「……マクギリスさんにお願いするのは万が一の場合です。私も死ぬつもりはありません。生きて帰りますよ」

「しのぶ、自分が信じていないことを他人に言うものじゃない」

 

 マクギリスにはしのぶが嘘をついていること見抜く。戦場で幾度も死線を潜った彼にはしのぶのような顔で戦場を駆け抜けた者たちを知っている。彼らは皆、帰ってくることはなかった。

 

「───」

 

 凛然としても、どこか翳りがあるしのぶを見て、マクギリスは考える。恐らく、自分がここで何を言っても彼女は仇を討つために行動するだろう。今は弟子たちの将来を気にする理性が爆発しそうになる激情を抑えているようだった。

 

(カナエを思わせる仕草、言葉遣いだが、あの頃と同じところはちゃんと残っているんだな)

 

 マクギリスが知るしのぶは、おっとりとして温和な姉を支えるしっかり者で、勝気なところがある少女だった。

 飼っている金魚にフグと名付けたり、保護したばかりで名前が無かった子供の名前候補としてハコベ、カマス、タナゴ、とびこ、という名前を挙げたりする独特なセンスは、悪魔であるマクギリスには理解し難いものだったが、それも彼女の愛おしい美点だと思う。

 

「───」

 

 マクギリスには彼女を喪うのが惜しかった。天寿をまっとうしたならば仕方ない、だが無謀な復讐のために亡き友人の妹が若くして亡くなるのは止めたかった。

 

「しのぶ、提案がある。私との契約内容を変更しないか?」

「どのように変更するのですか?」

「君の仇討ちに協力しよう。復讐は君一人で行いたいのかもしれないが、私を仇に突き立てる凶器だと思ってくれ。私も聖槍も、君のための刃としてあろう」

 

 しのぶは瞠目した。予想外の申し出であった。自分もカナエの復讐に協力させて欲しいなどではなく、悪魔らしい取引の持ち掛けだった。

 最強の神滅具を持つ、冥界で起きた大戦の英雄。ならばあの、おぞましい人のかたちをした邪竜を屠れるかもしれない。

 しのぶは激情に燃えながらも計算できる冷静さを失ってはいなかった。

 

「……その場合、対価は何になるのですか?」

 

 彼女は慎重にマクギリスの出方を伺った。いかに姉の友人で自分でも信頼している相手とはいえ、悪魔との取引である。慎重になって然るべきだった。

 

 悪魔とは慣れあわず一定の距離を保って付き合うこと、異能の業界ではそれが常識であるし、慎重に慎重を重ねて対応していかなければいつかは自身をも滅ぼすことになりかねない。

 

「私は君を我が眷属に迎え入れたい。故に、対価は君のそのもの。私に捧げて欲しい」

「……風の噂に聞く『悪魔の駒』というものですか。わかりません、どうしてあなたは私を傘下にしようとするのですか?」

「より優秀で美しい者こそを眷属として欲する。当然のことではないかね?」

 

 マクギリスはさらに自分の眷属に入れる意味をしのぶに説明した。しのぶの頬が、内部に太陽をもつかのように紅潮している。

 

「す、凄いですね。そんなことを臆面もなく言えるだなんて……」

 

 マクギリスにとって救いなのは彼女が、嫌悪しているというより戸惑っているだけのようだったことだ。

 

「ハーレムを作ることは恥じることなど一切ないからね。気後れすることなどしないよ」

 

 眷属入りをすれば、しのぶが当初望んでいたように弟子たちの保護も行うことをマクギリスは確約した。

 

「さて、胡蝶しのぶ。私は強要するつもりはない。眷属になるか否かは君が決めるといい」

「私は……私は姉の仇を討つために生きて、そしてそのためならば命を棄てる覚悟で臨むつもりでした」

 

 しのぶは姉を亡くして怒りを抱えて長き月日を耐え、忍び、『生きる』という試練をしのぶは自分に課してきた。仇敵たるあの───邪竜と化したあの堕天使の命脈を断てるのであれば、迷うことはなかった。

 

「一度は棄てるつもりだったこの身。もしも、生き長らえれば眷属となりあなたに差し上げます」




うーん、交渉場面が難しいですね。原作でも転生悪魔になることを交渉する場面でロスヴァイセくらいしかなかったような。

現時点のレラジェ眷属
女王:スカサハ(影の国の女王)
騎士:源頼光(英雄源頼光の魂を継ぐ者)
兵士:狭霧友子(狭霧流の剣豪)
兵士:狭霧耀子(狭霧流の剣豪)
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