聖槍に選ばれたマクギリスはハーレム王になるそうです 作:生死郎
今日は短いですが投稿します。
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「そうか、マクギリス君とはうまくやれているようだね」
「ええ、相手がレラジェ侯マクギリスと聞いたときは、恐ろしく荒々しい方かと思いましたが、思いの外穏やかで優しい殿方でしたわ」
朱乃は今日会ったマクギリスを思い出す。一九〇センチに近い均整の取れた長身には、刀匠によって鍛えられたサーベルの強靭さがあり、髪は豪奢な黄金。
あの美貌の若者が大戦の英雄、聖槍の担い手であるということで会う当初は怖いとさえ朱乃は思っていたが、いたずらに武勇を誇示することはなく温和に礼節を持って朱乃や依頼人へ接していた。
「そうかそうか、それは何よりだ。ちゃんと彼とはやっていけそうかな?」
「問題ないかと思います」
よろしい、とサーゼクスは満足したように頷いた。
「リアス、ヘラクレスさんたちにお任せしているベントンさんの娘さんの護衛に問題はありませんか?」
紅髪の美少女。朱乃の主であり友人でもあるリアス・グレモリーに朱乃は訊いた。
依頼人の家族で唯一生き残ったまだ幼い娘もグレモリー眷属が守っており、それを担当しているのは
「ヘラクレスが何度か刺客を撃退しているけど、隔離先を変えてから刺客は途絶えたわ」
弱者を特に子供が害されることに激しい嫌悪を感じるヘラクレスにとって、組織抗争のために子供を犠牲にしようとする者に、手心を加える理由は奈辺にもなくただ死体を生産するだけだった。
「お兄さま、それで今回のレーティングゲームのルールはどのようになるのですか?」
リアスが兄である魔王サーゼクス・ルシファーに訊ねた。レーティングゲームは毎回様々なルールから選ばれることになる。そして今回のレーティングゲームのルールはサーゼクスが選ぶことになっていた。
「それなんだが、今回はダイス・フィギュアを採用する」
ダイス・フィギュアとは両者の王が六面ダイスを振って出た目の合計と同数の駒価値の選手を参戦させるゲームである。
数字に見合うだけの価値を持つ選手を試合に出せるルールのため自陣営から一度の試合で複数の眷属を出場させることも可能になる。
「レーティングゲームは三セットマッチ。今回の王二人、マクギリス君とジャスアーノ・フォルネウスは駒価値一二とする。ちなみに基本的なルール通り王本人が敗北すればその時点で試合は終了だ」
王の参加は事前に審査委員会から出された評価によって出られる数字が決まるが、今回は
「朱乃、私たちの中でも先にレーティングゲームを経験するのだから、そこで得られたものは後で私たちにも教えてね」
「ええ、承りましたわ」
「それと、もしもレラジェ眷属と何か困ったことがあれば、私に連絡してちょうだい」
◇◆◇
翌日、マクギリスたちレラジェ眷属と朱乃は対戦するフォルネウス眷属の今までのレーティングゲームの対戦ログを確認したり、調べられる範囲での王や眷属についての情報を集めたりしていた。
「それで、フォルネウスたちについてわかったことは何かあったかな?」
マクギリスの問いに答えるのは
「元七二柱六一位ザガン家の分家筋と交流があるようで、そこと眷属のトレードを頻繁にしているようです。その方は眷属の育成に力を注いでいらっしゃる方らしく、ご自身はゲームへの参加にはさほど興味はないようですが、育てた眷属をトレードに出して対価を受け取っているらしいです」
レーティングゲームで勝利するために眷属のトレードをして眷属自体の能力を向上させることは上級悪魔にはよくあることだ。
「ほう、眷属トレードか。ファルネウスはレーティングゲームに熱心な方なのだな」
「マクギリス、私は悪魔にとって眷属トレードというのは詳しくはないのですが、トレードはよくあることなのですか?」
「事情はそれぞれだが、珍しいことではないと訊く」
オフェリアの問いも、新米上級悪魔であるマクギリスは一般論の範疇で答える。
「強い眷属を求めるため、上級悪魔がすることはトレードかもとより強い者を眷属にすることだ。実のところ、自分や眷属を鍛えるというのは珍しいことなのだよ」
「私も最初知ったときは意外だったのよねぇ。強くなるには鍛えるしかないじゃないって」
「転生悪魔それも元人間は特に意外に思うらしいね」
上級悪魔には修行や鍛錬といった己を鍛えるという考え方は一般的ではない。才能と知識を駆使し、戦いの中で経験を積んで技術を覚えていくことが常識だ。そしてそれで結果を出せるからこそ、修行や鍛錬するという考え方が根付いていない。
眷属を強くするのも他の上級悪魔と下僕のトレードを行うことで戦力を充実させるものだ。
「つまり、私のように修行をするという上級悪魔というのは物好き扱いされるんだ」
本人の言う通りマクギリスのように積極的に鍛錬を実践する上級悪魔はかなり珍しい。
「それはそれとして、トレードに熱心ということは眷属も戦力は充実しているだろう、皆、脅威足りえる敵手となる」
「マクギリス様は誰か注目する相手はいらっしゃいますか?」
「そうだな。この
「風の防壁で大抵の攻撃は弾かれますし、遠くからの一方的な攻撃も得意とするようですからね。近接戦闘を得意とする者が多い私たちでは確かに脅威になりますね」
全員で資料を読み解いた後に、レラジェ眷属と朱乃たちが自分たち自身の実力について共有するため、模擬戦闘をしてその日は終わった。
◇◆◇
依頼遂行中のレラジェ眷属が逗留するために用意された駒王町にあるホテルだった。
賓客をもてなすために作られたグレモリーの持ち物ということもあって、地方都市とはいえなかなのグレードの高いホテルだった。
スウィートルームだけでなくワンフロアを貸し切ったレラジェ眷属。
朱乃とともにマクギリスたちはホテルで食事を取った。食後、アルクェイドが同胞とともサロンに移ってゲームを興味深そうにはじめていた。
それを眺めながらマクギリスと朱乃はアルクェイドたちを見ながら言葉を交わしていた。
マクギリスが何杯目かのブランデーのときだった。マクギリスが表情をあらためた。
「ひとつ真面目な話をしたいのだがな、朱乃」
朱乃は頷いてマクギリスを見た。絵になる男だ、と朱乃は思った。戦場に立っても、仲間たちに囲まれた日常にあっても、名画に描かれたように”決まっている”のだ。生まれついた素質であろう。
「……今日あなたの実力を見て、雷の巫女と呼ばれる所以がわかった。だが君の力は本来、雷ではなく雷光なのではないか?」
「……レラジェ卿の目は誤魔化せませんね。私は、堕天使と人間の間に生まれた混ざりものです。……それでなんだというのです?」
朱乃は、歪んた微笑を唇の端に閃かせた。このようなとき、とるべき態度を決するのは知性や教養とはまた別のものである。そして、マクギリスはそれを意図せずして選択していた。
「君の雷は堕天使に由来するのか。成程……私も堕天使を眷属に招いてみたいものだ」
「そ、それだけですか……? 堕天使に対する嫌悪感とかはないんですか? 悪魔と堕天使は敵対してきた間柄でしょう。あなたが倒すべき堕天使の血を宿しているのですよ」
「堕天使と戦場で相まみえることはあったが、それで何故彼ら全体を嫌うことになるのだ? それに私は君が見せた力には大変興味をひかれたよ」
朱乃は呆けたような、感心したようにマクギリスを見ていた。
マクギリスが嘘や詭弁ではなく悪魔として堕天使に恨みや憎しみがないことを知った。そして朱乃の出自など目もくれず、能力だけを見ている。
「レラジェ卿、私は堕天使の血から逃れられない……でも、少しだけ気が楽になりました」
朱乃とのコミュ回の今回、次回から戦闘回です。エロは暫く先になりますが、それはリクエストで応募したものから選びたいと思います。
ヘラクレスの奮闘ぶりはufoのアニメや映画をイメージして頂ければ刺客たちがどうなっていたかも伝わるかと思います。