聖槍に選ばれたマクギリスはハーレム王になるそうです 作:生死郎
ようやく更新することが出来ました……
エタりませんし、失踪せずに頑張ります。
久しぶりの更新ですがエロ回がなくて申し訳ございません。新キャラ登場です。
駒王町での仕事を終えて領地に帰ったマクギリスは、意外な人物と再会する機会をもった、ルシファー眷属の女王グレイフィアである。領地へやって来たグレイフィアにマクギリスは訪問の理由を尋ねてみた。言葉は平凡である。
「本日はどのようなご用でしょうか」
文明の発生以来、一兆回以上も使われた言葉だろう。
「私は今回、マクギリス様とジャスアーノ様との間で取り決められたトレードに関して仲介を魔王様からお任せ頂きました」
ジャスアーノが急死してトレードの話が宙に浮いた状態になってしまったことを、彼女からマクギリスは説明を受けた。彼女の話ではジャスアーノがレーティングゲームに敗れて、ギャングとの取引も無くなってしまい彼だけでなくファルネウス家にも損失を与え、彼自身の名誉も傷をつけてしまった。癇癪を起して眷属に手を上げて憂さ晴らしをしたところ眷属に抵抗され、そのまま死亡してしまったのである。抵抗した眷属は主殺しの罪で既に処刑されてしまい、後の眷属たちは謹慎という処置を取られている。
「それはご愁傷様です」
それ以上言うべきこともなく、マクギリスは話題を転じた。
「トレードの件、これからはどのようになるのでしょうか」
「ジャスアーノ様へ指定した内容でよろしいかと存じます」
眷属のトレードには下僕悪魔本人の意思は特に必要とされない。『王』と『王』の間で条件について交渉がつけばそれで充分なのだ。待遇は上級悪魔にとって異なるが、下僕である眷属悪魔はそれに反感や不満を持つことは出来ても契約を反故にすることはできない。
グレイフィアのような名門の純血悪魔でもなければ、下僕悪魔の生殺与奪の権限は主に握られていると言っても過言ではない。
そのため、トレードの依頼について眷属から同意を得ようとするような内容はまるでなかった。
「先方の御当主もこの件を早く片付けたいというご様子でした。特にここからトレードの内容について変更を要望することもないでしょう」
グレイフィアが書類をマクギリスに渡してきた。ジャスアーノが神楽と取り決めた転生する際の条件だった。
「ありがとう」
眷属のトレードを行った場合、前の『王』との間で交わされた契約の内容が基本的には引き継がれることになっている。
条件を取りつけて眷属に迎えた転生悪魔をトレードに出した際に、新たな『王』が当時の契約を自分が結んでいないから知ったことではない、と突っ撥ねることができるのは不当であると、現魔王たちが『悪魔の駒』を導入した際に契約条件も引き継ぐことになっている。条件を変えるならばそれ相応に対応が必要になる。
暴力や恐喝や不正などで転生悪魔になるよう強いる事例もあるので、不当な契約を強制的に結ばされた転生悪魔は未だに多く、主側に大きな問題があることで『はぐれ悪魔』が発生していることも現実である。
◇◆◇
上級悪魔として日々仕事をこなしているマクギリスとそれを補佐する眷属たちだったが、仕事環境が一番過酷なのもマクギリスだった。彼自身の能力が高いこと貴族として仕事をするという経験がなかったことで、他人に仕事を任せることがほとんどないのが原因である。
日本の本州程の領地を持つグレモリー公爵家ほどではないが、レラジェ侯爵家の領地も日本の北海道ほどの領地がある。広大な領地の主として君臨するのは、やはり並大抵の苦労ではなかった。
グレイフィアが去ったその日も、午後から領地の内政関係の家臣数名と会い、煩雑ないくつかの問題について説明を聞くことになっていた。
しかし、それに待ったをかけたのは
「いきなり来て何を言い出すかと思えば、休暇を取れとはどういうことだ」
「人間よりもはるかに頑強な悪魔とはいえ、体力には限界はあるもの。マクギリス様はご自分の身体を酷使し過ぎです」
契約のため人間界で医者の仕事をして今日は領地にいない
「マクギリス、私たち眷属だけでなくレラジェ領に住む者たち全員に責任がある立場です。あなたに倒れられては多くの者たちが困ります。どうかご自愛下さい」
「いいだろう。そのかわり私が休息している間になにかあれば、すぐに連絡しろ」
休暇には
こうしてマクギリスは九六日ぶりの休暇を取ることになった。領内に抱える武官は引き入れず、眷属の護衛のみで外出することになった。
「この休暇を利用して眷属にするのに相応しい有能な人材を発掘するとしよう!」
「マクギリス様、人の話を訊いていましたか? 私は休めと言っているのですよ? 何仕事しようとしているのです?」
強張った笑顔で苦言を呈するしのぶ。カナヲも二人で止めようとするところ、彼らは声をかけられた。
「何を言う、余暇の過ごし方は人それぞれだろう。それに書類仕事をしているわけではないからいいだろう」
「まあまあ、師範……。有能な人材が増えることは、マクギリス様の負担軽減に繋がりますから。それに、美女を集めるというのもマクギリス様の趣味の活動と言えるのでは?」
しのぶを宥めているが、後半はカナヲが少し恥ずかしそうにしながら付け加える。
「ですが……やはり休息をとられては?」
「言われずともわかっているさ。休暇すべてを使うつもりはない。まずは人間界のスカウトをしている耀子のところにいくつもりだ」
マクギリスが一言いえば眷属たちは彼のもとへやってくるのだが、この若者は潔癖なのか頑固なのか、そのような点で楽をすることを拒否するのである。
「これはマクギリス様。どんな御用ですか?」
「眷属の選定の状況を知りたくてね」
耀子が笑顔で主と同胞を迎えいれた。人間界で行っていた眷属候補の選定の状況を確認していた。アルクェイドのようないきなり会いに来るというのは例外である。
「マクギリス様。冥界、人間界などへ募集をかけたところ特に優れた一人を選出することができました」
「それはどんな人物なんだ?」
「なんでも初代魔王アスモデウスの末裔と人間の男性との間に生まれたハーフで、旧魔王過激派や現政権とも関わらないため悪魔として冥界で生きるのではなく、人間界に住むことになったようです」
「旧魔王派というと、マクギリス様が昔戦った冥界の派閥でしたか」
しのぶの疑問についてマクギリスが補足した。旧魔王派は初代四大魔王の血族やその一党で構成されている一派で、その通常も冥界の現政権や他勢力からの呼び名に過ぎず、自分たちでは"真なる魔王の血族"と称している。
しかしながら、一枚岩ではなくその中でも、現・四大魔王を偽りの存在として憎んで初代魔王の血族の支配と権威を取り戻すことを望み武力クーデターを起こした過激派と、旧領の回復と現政権への参加だけを目的として、武力クーデターは望んでいない穏健派に分かれていた。
「初代魔王アスモデウスの末裔であるクルゼレイ・アスモデウスが過激派から離脱するときに、過激派とは相容れないと思っていた者たちや戦いに疲れた者たちを引き連れて生まれた派閥で、クルゼレイが穏健派の領袖なんだ。旧魔王派の二割程度であるがそれでも冥界では無視しえない勢力だ」
そこでカナヲが疑問に思ったことを訊ねた。
「今まで冥界とも関わることを避けていたのに、なぜ眷属となることを望んだのでしょうか?」
カナヲが感じた疑問は当然、耀子も本人に確認している。
「眷属入りする条件はアナスタシアが旧魔王の血統であることを理由に仲間に引き入れたいという旧魔王過激派からの干渉から守る後ろ盾となることよ」
カナヲはさらに疑問が浮かぶ。
「身内に旧魔王派がいるのならばそちらに頼るのは?」
「アナスタシア本人はクルゼレイ・アスモデウスとは疎遠になってはいるみたいなの。それに、穏健派は派閥としては大きくはないこともあって頼る相手としては不安に思ったようよ」
まだ上級悪魔として新米であっても既に武勲を重ね、悪魔でありながら聖槍に選ばれた存在として有名であるマクギリスを頼ることを望んだということになる。カナヲも納得して疑問は無くなった様子だった。
「眷属にされるか見定めるため、すぐにでもお会いになられますか?」
「勿論だ。それで名前は何というのだ?」
「アナスタシア・パルマ。欧州で多くの劇団を渡り歩いてきたスタァです」
耀子から手渡された書類に、マクギリスは目を通すことになった。
◇◆◇
優美なほど洗練された動作で歩いてきたアナスタシアは、氷を彫ったような美貌で彫りの深い端正な顔だちの颯爽たる美人だった。
長身で、豊かに盛り上がって大きく起伏しているはちきれるような胸、やや肉付きのよい褐色の肌、スラリと恐れげもなくのびた四肢、銀色のセミロングヘアだった。
「みなさん、ごきげんよう。私はアナスタシア・パルマ。あなたがレラジェ侯爵かしら?」
「そうだ。私がマクギリス・レラジェだ」
「そう、あなたが……。冥界での戦いでは、めざましい活躍をされたそうね。少壮気鋭の悪魔の眷属に招かれるなんて、光栄ね」
「私も、君のスタアとしての華々しい名声は聞き及んでいる。君の事情も聞いている。それでひとつ提案なのだが眷属ではなく当家の客人として招きたいと思うのだが、どうだろう?」
マクギリスの提案にアナスタシアは不思議そうに首を傾げる。その様子すら典雅でまるで舞台の一場面であるかのようだ。
「斉の孟嘗君のように客を広く集めようと思っていてな。領主である私の権限で領地内に住む場所と食事を用意すれば、くる者はいるだろう。そしてその中にはこれはという人物がいるかもしれない。孟嘗君のところに来た馮驩のようにね」
マクギリスがアナスタシアが庇護し、彼女もまたマクギリスに力を貸すという説明にアナスタシアは納得したように頷いた。
「そういうことね。ならば私のほうこそ、よろしくお願いするわ。レラジェ卿」
アナスタシアは優美に微笑み、マクギリスの誘いに応じた。
「歓迎しよう、アナスタシア・パルマ。君は最上の待遇で迎えよう」
※「スタア」は新サクラ大戦での表現をそのまま使いましたので誤字ではありません
本作のクルゼレイは原作とはかなり別人レベルに代わっていることになってます。いつか登場させる予定です。