※この作品はR-18です。

聖槍に選ばれたマクギリスはハーレム王になるそうです   作:生死郎

57 / 94
眷属がモンハンのモンスターばかりで構成されていたり、デュエルモンスターズで構成されている上級悪魔キャラがいても面白いかも?


この御方こそが、私が信仰を捧げる真なる御方

 異教徒の女を拉致して帰って来た信奉者の暗殺者たちを、信奉者の衛兵が迎え入れた。

 バンからは女を抱えた暗殺者たちが降りてくる様子を、衛兵は何の感慨もなく眺めている。彼にとっては暗殺者の仕事が成功することは当然だった。

 

 高速で移動する魔法を駆使して、瞬く間に標的に近づける暗殺者たちはそのまま標的を仕留めることもできれば、捕らえて拉致することも容易い。

 

「おい、一〇号の部屋を開けてくれ」

「ああ、来いよ。って、女一人運ぶのにお前ら全員がついてくることはないだろう」

「……それもそうだ。あとは任せたぞ」

「承知した」

 

 三人の暗殺者は去っていき、女を担いだ暗殺者が衛兵のあとをついて来て地下室まで降りて来る。

 

「よし、じゃあここに───」

 

 衛兵は振り返るとそこには暗殺者が抱えていたはずの異教徒の女が立っており、紅玉のような瞳を爛と光らせている。衛兵の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 マクギリスたちは信奉者や歌織に化けて、聞きだした教団の拠点へ潜入が成功していた。仕事を誤ることはないと油断していた衛兵はマクギリスたちを入れてしまった。

 

「他人の姿を変える魔法でここまで侵入できるだなんて、ここの結界も随分とザルよね」

 

 捕らえられていた奈瀬歌織に擬態していたアルクェイドが呆れたように言う。彼女の魔眼によって暗示をかけられた信奉者の衛兵はぼうっと立っていた。

 

「精神防御の構築はだいぶ古い術式だし組み立て方も甘い。これじゃあ精神魔法の専門家でなくても脆弱性を突くのも簡単よ」

 

 アルクェイドの信奉者の衛兵への評価はかなり厳しい。だが、彼女が持つ高位の魔眼を防げる術や礼装も稀有なものではあるのだ。

 

「さて、部屋の中はどうなっているのか聞いてみようか」

 

 信奉者の暗殺者に擬態していたマクギリスが、衛兵に話せるようにアルクェイドに頼む。

 衛兵は地下室が異教徒や供物となる人間を捕らえる牢であると説明する。色々と聞きだした後、衛兵を牢に閉じ込めて暗殺者に擬態して内部を捜索していた眷属たちと合流しようと地下から一階に出る。

 

「地下室へ通じる階段は隠されていて、表向き存在していないことになっているとは胡散臭いな」

「一般の信者には秘匿しているらしいから、ここの館内案内表にも書いてないわね」

 

 マクギリスが信奉者から訊き出した情報も、おそらく全貌は把握できていないだろう、と思う。

 この本部の建物にせよ、財政にせよ、全容を信徒に開放している宗教団体など、存在しないだろう。しかし、信奉者の暗殺者たちが利用したことがあるのであれば、虚偽はないだろう。

 

 大礼拝堂、司教級集会所、大司教級集会所、総大司教謁見室、懺悔室、瞑想室、審問室……一階から五階まで大小無数の部屋が案内表に記されている。そして、六階は総大司教の部屋となっている。

 

「それで、どこから見て回る?」

 

 各処にカメラ・モニターが設置されているため、軽率な行動は不可能だがそこはマクギリスが手を回して、無効化させているため監視室に異常が伝わることはないだろう。

 

「大礼拝堂は儀式のために信徒が集まっているらしいからな、人目につくのは面倒なので後回し。六階を探ってみようか」

 

 二人は階段を登って六階に着いて総大司教の部屋と思われる豪華な意匠を施された扉の前まで行けば、先行していたジャンヌ・ダルクと合流した。彼女もまた信奉者の暗殺者に擬態したままだ。

 

「ジャンヌ、総大司教はいなかったか?」

「いいえ、このフロアにはいないようです。オフェリアとミニーニャはここの結界や魔術設備を解析しています」

「そうか。では、私たちでこの総大司教の部屋を調べてみるとしよう」

 

 扉の鍵を魔法で解錠して、マクギリスたちは総大司教の部屋へと入る。

 総大司教の部屋は豪奢な調度とキングサイズのベッドが備え付けられたもので、宗教者とりわけ求道者の部屋というよりも、富裕層の俗人の部屋のようだった。

 

 部屋には札束の山、教団が握った要人の弱みを記録したディスクなどが隠し金庫にはあったが、他に教団でも限られたものしか読めない資料といくつかの鍵などがある。マクギリスは札束やディスクには目を向けず、総大司教のみ入室できる部屋、大司教級以上でなければ入室できない部屋などのカードキーと、本部の図面を回収した。これにより、教団本部の内部構造は全て把握することができた。

 

「図面を見てどうするのです。尼僧の控室を探しているのですか?」

「……ジャンヌは私を何だと思っているんだ」

 

 

 ◇◆◇

 

 

 その総大司教は四七歳の若さだった。高位になれば年齢も高くなる宗教者たちの界隈では充分に若いと言える。教祖から衣鉢を継ぎ、その団体の代表となる異例の出世は、教理を極めたためでも信仰の深遠たるためでもなく、生来の俗人としての能力のゆえであった。もしも表の社会にいれば、官僚としてそのなかでも頂点を極めたであろう。彼は決して口外しなかったが、狂信者の頂点に立ちながら、実は自分の才覚だけを信仰の対象としていた。

 

「さあ、始めましょう」

 

 大礼拝堂で多くの信徒や司教たちを従えて、総大司教はそこで目を瞑り、意識を集中し始めた。彼に倣い信徒や司教たちも同じく瞑目する。

 彼の前には魔方陣が敷設されている。溶かした宝石で作られたその魔方陣は仄かに光を発している。

 

 総大司教にとって自分の異能の才も、我欲を満たす手段に過ぎない。

魔法陣には招き寄せたモノには強制的に従属させる術式を織り込んでいる。召喚した対象が強大極まる存在であったり、強靭な意志を持っていたりすれば、その力に反発されて術が暴走するリスクがある。しかし、総大司教は今まで失敗がなかったことと、自分の才幹への自信からリスクを気にせず術を行使した。

 

招き寄せたモノを利用して信徒たちの心を満たし、自分へ集まる尊敬や権勢をより強固なものとする。彼にとって、教団とは彼の城で、信徒たちは家臣であり奴隷である。

 

 今まで仄かに輝いていた魔法陣が一気に輝きを増す。魔法陣の上で稲光のように魔力光が奔り、何度も魔方陣の上に落ちていく。陽炎のように魔方陣の上の空間が揺らいでいる。

 

(こ、これは……!)

 

 総大司教の表情に変化がある。顔に貼り付いているのは焦りだった。

 偶然、未知なる場所へ繋がってしまい、その領域は彼の手にあまるものだった。もしも、彼の城に侵入した悪魔が、自分たちの魔法陣を敷設するために魔力の流れに干渉したことを総大司教が気づいていれば、儀式を取りやめるか、術式の調整をしていただろうが、もしもを考えるのは無意味なことだった。

 

 やがて荒れ狂う魔力は一つに集束し、魔法陣が強い光を放つ。その光の強さから総大司教は目を瞑ってしまう。しかし光はやがて収まり、目を開き魔法陣を見たとき。

 

 総大司教の意識がこの世から蒸発した。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 マクギリスが眷属たちを率いて、総大司教たちが集まる大礼拝堂へ乗り込んだとき、『それ』は居た。

 

 魔方陣の上に聳え立つモノは黒みがかり濁った緑色をしている。目はなく耳も鼻もない。しかし口は着いており、くわっと開いた口には乱杭歯が目立つ。

 

 その姿を形容するにはあまりに見たままであり、勇壮と屹立するそれは力強さを感じさせる牡の象徴である。卑猥且つ逞しい形は───

 

「あれって……」

「言わなくてもわかるから、言わないで」

 

 眷属たちはドン引きしていた。

 

『ア……アァ……アアア……』

 

 怪異なる緑のソレから声らしきものが洩れるが、殆ど聞こえない上に言葉になっていなかった。

 

「もしかすると……あれってマーラかしら?」

「知っているのか?」

 

 緑色のソレについてアルクェイドは心当たりがあった。面識はなくとも、その特徴的な見た目からアルクェイドは脳細胞の畑のなかから、欲する知識を選び、口に出した。

 

「悪霊を従える魔王であり、覚者の修行を妨げようとしたこともある存在。一応、神と呼ばれる存在だわ」

「神格持ちにしては、随分と存在が希薄で規模も小さいな」

 

 神殺しの経験もあるスカサハが紅玉のような瞳でマーラを見据える。

 

「……そうなの?」

 

 友子の疑問にスカサハが首肯する。彼女はマーラが持つ力が弱く……あくまでも神としては、である……本体ではなくマーラの力の断片が異界から流出してマーラの形になっているだけだと、スカサハが私見を披露した。

 

 悪魔たちの会話を遮るような金切り声があがる。

 

「おおっ! おおぉぉっ! なんて……なんて雄々しく御立派な姿なんだ! 素晴らしい!素晴らしいぃぃぃ!」

 

 総大司教は全身全霊を込めてマーラを崇めていた。その様子は尋常ではなく、感涙にむせび泣き激しく崇拝している。

 

「この御方こそが、私が信仰を捧げる真なる御方ぁぁぁ!」

 

 総大司教だけではない、大礼拝堂にいるすべての人間がマーラを崇拝して狂喜のあまり絶叫していた。

 

「これは……一体?」

 

 ハリベルが戸惑いながら、人間たちの痴態を眺めていた。

 

「魅了(チャーム)の類のようね。みんな、マーラの魔力に当てられて魅了されているみたい。マーラの魔力に触れるか、姿を見ただけで信者へ洗脳されるみたい」

「私たちに影響がないのは神滅具である聖槍の力で魅了の効果を無力化できているのかもしれないな」

 

 オフェリアの考察にマクギリスは自説を加えた。

 

「あれの信奉者には成りたくないですね」

 

 卑猥な姿のマーラを崇める自分を想像するだけで、しのぶには戦慄に価する凄じさである。

 

「聖槍の所有者である私の眷属であるから、しのぶたちにも槍の加護が及んでいるのかもしれないね」

「マスターの慈悲に縋れて私たちは幸せでした」

 

 頼光は洗脳される心配がないとわかり、心底安堵していた。

 

「オフェリア、スカサハ、あれを送り返すことはできそうか?」

「術式が独特過ぎて解析に時間がかかります」

「送り返すよりも、討滅するほうが速く、簡単だ」

「……そうか、ならば退治するとしようか。あの信者たちが邪魔をするかもしれないが油断せずにいこう」

 

 マクギリスの手元の空間が歪み、最高位の聖遺物(レリック)にして最強の神滅具(ロンギヌス)である黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)が現れる。

 

 その時、魔法陣の内にいたマーラに変化が起こる。今まで狂的な信者たちに讃えられるがままであったが、聖槍の出現とともに呻きが意味を持つようになった。

 

「アァ……オマエタチ……」

 

 双眸のない頭部がマクギリスたちのほうに向いた。マクギリスたちは一斉に臨戦態勢に移る。

 彼らの敵意を感じ取ったのかマーラは勇壮と屹立して大きく伸びあがる。大きく膨れ上がり硬くなる様子は、いかにもそれらしい姿にも見える。

 

 頭部から放たれる腐った藻のような暗い緑色の魔力が迸る。マクギリスが持つ聖槍の穂先が開き、光を放つ。緑色の魔力と聖なるオーラが衝突して霧散するがマーラは依然として存在していた。

 

「なんてところから魔力を撃ち出してくるんだ……。まさか分霊未満の存在とはいえ神と戦うことになるとはな」

「ある意味、ここに神殺しの槍があるのは幸運だったかもしれんな」

 

 スカサハも朱槍を構え、好戦的な笑みを浮かべる。洩れだした力であるとは言え、神に列する存在。そう易々とは事が運ばないようだ。

 

「刺し穿ち、突き穿つ──!」

「────」

 

 神体を串刺しにするつもりなスカサハの剣呑な言葉に、マクギリスは自然と内股になる。

 十七分の戦闘の末、魔力を使い果たし存在を維持できなくなったマーラはこの世から消滅するのだった。




御立派様こと、聳え立つ煩悩大王が登場!切断したら千切れた煩悩大王が増えるみたいなことも書いたけど結局ボツに……。

ペルソナ5ロイヤルではマーラ様を銃撃特化構成で作りました。銃撃反射があるからカウンタを気にしなくてよくなるのがいいですね。きっと銃撃スキルは頭から撃ち出すんだろうな。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。