聖槍に選ばれたマクギリスはハーレム王になるそうです 作:生死郎
マクギリス・レラジェは新たに自分が所有することになった喫茶店に来ていた。入手して初めての入店。やや混んでいる店で彼はコーヒーを飲んでいた。
貴族同士の抗争によってコーヒーチェーン店を企業ごと得た。企業の経営はマクギリスの家臣に任せており、今はただコーヒーを飲むためだけに来ている。
珍しく午後を半休とした彼は眷属も連れずに余暇を楽しんでいた。コーヒーの味も好みだった。
ただコーヒーを楽しむだけのつもりだったが、時折、チラチラ店内に視線を向けて、店員や客に美人がいないか探してしまうのは、男の救いがたい性情であるし、欲望の肯定者である悪魔らしい行動ともいえる。
そして目を引く美しい女を見つけるのだった。
ファッション誌に取り上げられていそうな、華やかな美人だった。
ウェーブのかかった明るい茶色の髪、アクセサリーで華やかな印象を持たせる装いをしている。
トップスは肩からフロントにかけて大ぶりのフリルがあしらわれたフェミニンなブラウス。ふんわりとボリュームのあるスカートとローファーを組み合わせて上品にまとめている。
彼女は友人と談笑していた。
「男なんて馬鹿なものよ。ちょっと気のある素振りをみせてやれば、いくらでも言いなりになってくれるわ」
「あはっ、美奈子ってば悪い女だー」
「単純な男の方が悪いのよ。みんなあたしを見ると、すぐにヤれるかな?ってことばかり考えるんだもの。お馬鹿で可愛いわよね」
彼女たちの会話の声量は席が近いこともあってマクギリスはコーヒーを飲みながら、自然と耳に入った。
美奈子、という女はしたたかな悪女らしい。男をうまく操ってアクセサリーや服を貢がせているようだった。
「美奈子は凄いよねー。ミス・キャンパスも取ってさ、他のミスコンにも出てるんでしょ。男なんてよりどりみどりじゃん。この前も父親が社長だって人とも仲良かったよね」
「そうね。悪い噂が立たないように、上手にフラなきゃいけないから、大変」
先に友人の女が席を立つが、美奈子はまだ店に残るようだ。
マクギリスはコーヒーを飲み終えて席を立つ。コーヒーの味も気に入ったのでまた来てもいいだろう。
美奈子が座る席の横を通るとき、彼女がスマホを落としてしまったので、拾い上げた。
「あら、ごめんない……ねえ」
「はい?」
瞬間、美奈子の視線がマクギリスとぶつかり、大きくて黒い虹彩に囲まれた瞳が光る。
異能の発動。神が創造した神器とも異なる魔性の発露。
敵意はない、敵と思っていないのだから。熱いはない、殺す気など皆無なのだから。敵意も殺意もありはしないそれは、歴戦の戦士すら回避できない完璧な不意打ちだった。
だが……。
「美奈子、なあ美奈子、なあおい美奈子! 何のつもりで
どれだけ見事な不意打ちも、最初から警戒している者が相手では成功するはずもない。
「悪魔の私が呪いに対して何も対策をしていないと思うか? 呪い返しの魔法くらい体得している」
数代前の先祖に夢魔を持つ半妖の血筋の美奈子が持つ異能は、強力だからこそ彼女本人にも抗えず、精神が縛られ、変容していった。
「さて……人を呪わば穴二つの見本を君は見せてくれたわけだが、何故こんなことをしたのか理由を訊こうか。話してくれるね?」
「は、はい……」
先程まで友人が座っていた席へ着いたマクギリスが話しかけると、彼女はこくこく頷いた。
目はぼんやりとしているが、光は失われていない。精神支配の術中に堕ちているが、意識が完全奪われるのに時間がかかるようだ。
美奈子は自分が持つ異能で自分に箔をつけることができると思った男に異能を使い、自分の意のままにしていた。そしてマクギリスを裕福な美形の男と見込んで支配しようと思ったのだ───と、美奈子は説明をした。
男はステータス・シンボル、身を着飾るアクセサリー程度の認識で、飽いたり、不要と思ったりすれば、捨てること繰り返していた。
「それで男を何人フッたんだ?」
「今年はまだ、一〇人くらい……かな」
ほう、とマクギリスは呆れたような感心したような声をあげた。
「そのうち、何人と関係を持ったんだ?」
「えっと……三人」
「残り七人は残念無念なことだ。で、その三人たちはどんな人たちだった?」
「一人はイケメンだったけどあんまりお金持ってなかったし、下手くそだったから、フッちゃった。あと一人もイケメンで気に食わない女の彼氏だから盗ってみたけど、お金もないしつまらないから飽きて捨てた」
「その二人にも、いや他の八人にも異能は使ったのか?」
「……はい」
「相手の意志は無視したんだ」
「……男のキャラに、興味ないし……」
「キャラ、か」
マクギリスはテーブルの下で靴を脱ぐと、そのまま脚を伸ばして、美奈子の太ももにタッチする。
「あ……んっ……」
「セックスの時、ゴムは着けさせるのか?」
「もちろん……まだ学生だもの」
「じゃあ、フェラはどうだ?」
「欲しかったアクセサリーをプレゼントしてくれるって言うから、一度だけしてあげたわ。飲めって五月蠅くて、結局喧嘩別れになっちゃった」
男から搾り取るだけ搾り取って、消耗品のように捨てする。そんな女の性経験はそれほどでもないのが意外だった。抜け目のない狡猾さを持った美人である。
「おまえは悪い女だな。男を玩具として弄んで、楽しいか?」
マクギリスがそのままスカートの奥へと脚を伸ばし、足指で股間をなぞってやった。
二人の男だけが知るミス・キャンパスの秘所を無遠慮に突いてやる。
「私は他の男どもとは違うぞ。悪い女にはおしおきだ」
昼間の喫茶店だ。周囲には客や店員もいる。だがマクギリスはテーブルの下で悪戯を続け、女の陰部に足の指を押し付け続けた。美奈子は顔を俯かせ、肩を震わせ、声を押し殺す。
「うっ、んん……ごめん、なさい……。ね、ねえ、おしおきって、何……するの?」
期待と欲情と僅かに不安を含まれたようなで潤んで瞳で彼女が言う。謎めいた微笑みを浮かべている。
「……これから言う場所へ行って私の到着を待て。それまで待つんだ」
「きゃっ!」
事前に用意していた部屋へノックもなしに入れば女の小さな悲鳴が上がる。
部屋へ先に入るよう命じてあった美奈子だった。
彼女は服が激しく着崩れていて、半脱ぎの状態になっていた。肩から生地が滑り落ちて、乳房は片方が露出している。
喫茶店で分かれて一時間もしていないがその間に何をしていたのか、容易に想像することができる。
酔ったようにうっとりとして、瞳を潤ませ、頬に差す桜色、やや半開きにしてしずかにあえいでいる唇は濡れて赤い。美しいミス・キャンパスは待ちきれない、という顔でマクギリスの前に立っている。
マクギリスは彼女に語りかけることもなく、悠然と立っている。
数拍そうしていると美奈子の方から情熱的に抱きついてきた。マクギリスは笑みながら彼も抱擁する。鍛えられた胸板にぶつかり潰れる、豊満なバストの感触を味わった。
「んんっ」
美奈子の腕が首に回され、音が立つほど大胆にマクギリスの唇を吸う情熱的な口づけだ。
互いに熱い息を吐きながら軽くついばむように合わせ、やがて、互いに舌を絡ませ、より深く長いキスへ移っていった。
夢中になって互いの舌を絡まり合わせ、唾液を交換し、繋がり合う。マクギリスの手は美奈子の背中を降ろしていき、尻を撫で、柔らかな尻肉を揉みしだいた。
「はあっ……はあっ……ねえ……お願い……」
「何をお願いしたいんだ?」
「お願い……だから……セックス、してよ」
餓えて嘆願するような声。輝く華麗な美しい顔を赤く上気させ、綺麗な瞳を情欲に潤ませて、マクギリスへ向ける上目遣い。
男の魂を縛り、心を殺し、そうして貢がせ、飽いたら捨ててきた女。それがこうして自分の呪いを跳ね返されて自分から男に行為をせがむことになるというのは、因果応報の生き見本と言えた。
「まったく、おしおきだって言っているのだがな。ほら、デスクに手を突いて尻を向けろ」
ミス・キャンパスのプライドを砕こうと、マクギリスは屈辱的なポーズを自分からするように指示する。
美奈子は一瞬、躊躇うような素振りを見せたが、結局大人しく従うのだった。
当初予定していた話を作るのがうまくいかず、困って時間がかかり過ぎました。
そのため気分転換にお蔵入りしていた、本編では珍しい洗脳要素のあるエピソードを書きました。まだ1回か2回続きます。