※この作品はR-18です。

聖槍に選ばれたマクギリスはハーレム王になるそうです   作:生死郎

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オリ主介入が難しい2巻まではオリジナルのシナリオを多めに物語を進めるつもりですが、なんとか原作3巻までにレラジェ眷属を全員揃えたいですね。そうでなければ駒の空があるのにゼノヴィアやイリナをスカウトしない理由を考えるのが難しくなってしまいますからね。

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いきなり王(キング)は取れないだろう

 パルシェが展開した魔方陣から光とともに呪的波動が放たれる。周囲の空気中のマナに異常な乱れが生じ、それに影響されてレラジェ眷属は心の疼くような警戒心を湧き立たせる。魔方陣が異常な魔力の発生源であることは明白だった。彼女らは咄嗟にパルシェから距離を取った。

 

 放たれた光の奥から巨大な影が現れる。アフリカゾウの二回りは大きな身体。スラリとしたスタイルながら異常に発達した筋肉で構成され、雄々しい角を持つ鹿にも似た巨獣であった。

 

 魔物の放つ霊圧に源(みなもとの)頼光(らいこう)たちレラジェ眷属たちは瞠目する。

 

「奴を侮っていた……まさかこれほどまでの怪物を召喚できるだなんて!」

「いいえ、召喚師が使役できる使い魔の“格”には限度があるはずよ。───尤も、それは“使役”することを考えていなければ、その限りではないけれども」

 

 驚嘆する霧葉(きりは)の言葉にアルクェイドは否定する。

 

「召喚後のコントロールを度外視して、ただ召喚するだけならばどんな強大な魔物だろうと、理屈の上では可能だわ。ただ『門』を開くだけの魔力と術式があればいいんだから」

「……あの化け物はパルシェの制御下にはないと?」

「そう考えておいて間違いないわ」

「そうみたいですね」

 

 アルクェイドの言葉に乗っかる形でミニーニャが、怪物を見ながら言った。ミニーニャたちの前でパルシェは魔物の前脚で頭を潰された。魔物はさらにパルシェの遺体を捕食している。

 

「気持ち悪いですねぇ~~」

「何を呑気なことを……魔力を取り込んでさらに力を得るつもりよ!」

 

 ミニーニャに呆れた霧葉が仲間たちへ警告をする。霧葉の言葉の通りに魔物の霊圧がさらに跳ね上がるのを感じる。もはや魔王級に匹敵するほどの力が魔物から発している。

 

「ええとこの鹿みたいな魔物……どうやって倒そうかしら?」

 

 友子(ゆうこ)が困惑していると、頼光は鋭い視線を魔物に向けている。この魔物が龍王クラスの力を持つ魔物であること悟り、緊張は光の速さですべての眷属の精神回路を満たした。

 

「あれが暴れ出して、もしも街へ侵入すれば一体どれほどの犠牲者が出るか…どうにかして仕留めなければなりません」

 

 魔物が召喚された騒ぎや辺りに拡散する霊圧に駆けつけた旧魔王派の悪魔たちがやってくる。

 

 レラジェ眷属たちと魔物の間にある通路から悪魔たちがやって来ると、魔物が唸る。雄々しい角が赤く光る。

 

「な、なんだこの魔物は!? こんな奴、訊いてない────うわああああああああああ!」

 

 爆発、そして火柱が生じて悪魔たちは骨も残さずこの世から消失した。一瞬で発生させる火力にレラジェ眷属が瞠目していると、続々とやってくる悪魔たちが炎に焼き尽くされ、雷撃で砕かれ、波濤で押し潰され流される。中には蹴撃や突進で吹き飛ばされる者もいる。

 

「騒ぎに駆けつけた旧魔王派を魔物が殺した?」

「旧魔王派を攻撃しているのはあの魔物の攻撃圏内に入ったから敵と認識されたからでしょうね」

 

 霧葉が披露した私見に、他の眷属たちに異論はなかった。霧葉は人間だった頃は自然発生的な魔導災害を専門に扱う太史局(たいしきょく)に所属していて、対魔物戦闘のエキスパートでもある六刃(りくじん)だった。だからこそ、霧葉の私見には説得力を感じていた。

 

「■■■■■■■■■■■───ッ!!」

 

 魔物はレラジェ眷属を見つけるや否や、威嚇を始めた。咆哮が大気を震わせ、角から迸る力が火花のように散る。

 

「わっ! こっちに矛先が向いたわ。どうやら旧魔王派だけを襲うなんて都合の良い展開にはならないようね」

 

 友子が刀を構え、凄絶な笑みを浮かべる。

 

「炎、水、光と属性を変化させて魔法を使ってくるようです。各属性の相性にご注意ください! さらに突進攻撃にもお気を付けて!」

 

 頼光が太刀を構える。他の眷属たちも既に臨戦態勢だ。兵士(ポーン)たちは女王(クイーン)へ昇格(プロモーション)した。

 

「こちらにヘイトを向けて、街へ行くことがないよう誘導しながら戦いましょう!」

 

 聖剣を構えたジャンヌの号令に眷属たち応えた。

 

 攻勢に出たその時、カナヲはその視界を走る影を捉えて背筋に走る、百足が這うような悪寒を感じて刀を振るう。

 

 金属同士の高い音が鳴る。魔物が持つ大剣とカナヲの刀がぶつかり合う音だった。

 複数の腕にそれぞれ大剣を握る魔物の奇襲(アンブッシュ)だった。

 

 間髪入れない、魔物の連撃。人の身では再現できない魔の剣戟。強靭な四つの腕から振るわれる四刀流。人間とは大きくかけ離れた殺すことを追求したそのフォルム。

 

 時間にしてわずか五秒の出来事。繰り出され、迎撃した数はおよそ一〇合。兵士(ポーン)の栗花落(つゆり)カナヲは幾度となく衝撃音を木霊させながら、初見にして人智を超えた剣術を防ぎ切った。

 

「この魔物もさっきの魔物と同じくらいに強い……!」

 

 カナヲは驚愕し、事実に呻くがカナヲの剣技も驚嘆に値した。まるで達人の剣技のような所作、手数も反射速度も人間とは桁違いの攻撃を見切り、不意討ち(アンブッシュ)をすべて防ぎ、受け流して見せた。

 “全集中の呼吸”の血流を眼球へと収束させてカナヲの優れた動体視力を鋭敏化させて、相手の動きも緩慢に映る非常意識状態への移行。

 カナヲの認識時間を拡張させて反応速度を加速させる。天賦の剣による結界で魔の剣戟を防ぎきる。

 

 これは魔術、異能ではない天賦の絶技と人体動作の芸術。

 

「カナヲ、あなた目を!」

「大丈夫です。師範、今の私は悪魔ですから」

 

 しのぶの懸念は無用であるとカナヲは伝える。カナヲが使用した動体視力を鋭敏化させ、認識時間を引き延ばす花の呼吸終ノ型 彼岸朱眼(ひがんしゅがん)。それはカナヲの視神経にかかる負荷もまた甚大であり、網膜血管が破裂寸前まで拡張して、強膜がさながら彼岸花のようなに染まるほど変化する。

 そのため使用時間に比例して、失明のリスクが高まっていく危険性があった。しかし、悪魔となり人間以上の強靭な身体を得ることでカナヲにはこの負担がなくなっていた。

 

「なるほどね、あの娘が召喚した魔物は二体いたというわけか」

「なんて、迷惑な……」

 

 龍王クラスの魔物を二頭現れる事態はレラジェ眷属たちも流石に慮外の事だった。

 

「■■■■■■■■■■■■■■──ッ!!」

 

 角を持つ魔物は眼前の敵を殺すべく、魔法を放つ。苛烈な炎が通路を覆う壁のように広がっていく。

 レラジェ眷属へ迫る炎へアルクェイドの左手が無造作に突き出される。彼女は髪をすくような動作で、そびえ立つ炎の壁を霧散させた。

 

「作戦を変更しましょう。角の魔物は私が相手するから、あなたたちに任せるけれどもいいわよね?」

 

 炎を割りスカートを翻すアルクェイドは悠然と構えている。龍王クラスの魔物と対峙して悠然と構えていられるのはレラジェ眷属でもアルクェイドとスカサハくらいであろう。

 

「承知いたしました。私(わたくし)たちは剣の魔物を相手にします。皆さん、やりましょう。やることは至極簡単です。最後まで気を抜かず、容赦なく仕留めればいいだけですもの」

 

 頼光たちが剣の魔物へ走るとほぼ同時に炎揺らめく通路を、白影の残像を残して美しい狩人が疾駆する。

 

「せぇーの……とりゃあー!」

 

 無論、白影はアルクェイドだ。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 イオクスが軍を率いてやって来るのを待っているマクギリスたちの陣営に、新たな人物がやって来た。

 

「マクギリス様、彼女が新しい眷属ですか?」

「ああ、眷属悪魔採用試験で合格したのが彼女だ」

 

 ハリベルの言葉を肯定したマクギリスが新しい兵士(ポーン)を紹介する。

 

 彼らの視線の先にいたのは美しい女だった。銀髪だが毛先に向かうに従ってエメラルドグリーン、青となっている髪を腰まで伸ばしている。さらに特徴的なのは二メートルを超える巨躯とこめかみ辺りから生える二本の赤い角だった。

 

 和装で両胸に紋所が施された上着と袴、襷のような帯を腰に巻いている。上着は肩が出るほどに袖がなく、活動的な雰囲気だが扇情的に肌を覗かせ、豊満な乳房の谷間を垣間見せている。

 

「君達と同じ、マクギリス・レラジェの眷属に加わらせてもらうヤマトだ。よろしくね!」

 

 ヤマトは朗らかに笑い、大きな金棒を肩に乗せて自己紹介した。彼女は初代ダンタリオンによって作られた実験体だった。作り出された彼女を初代ダンタリオンは何を考えたのかヤマトを櫃へ封じていたのだった。

 

 櫃の封印を解除する術式をアジュカが作りだして、櫃からヤマトを解放させたのだった。マクギリスに強い恩義を感じていたヤマトは、マクギリスの勧めもあって眷属悪魔採用試験を受けることになって、最終審査で彼女は選ばれたのだった。

 

「眷属採用試験は選ぶ側の私にとっても難しかったが、おかげで精鋭を選ぶことができた」

 

 マクギリスが求めている眷属は新しいハーレム要員でもあった。第一条件は美形であること。そしてスタイルが良いことだった。

 

「やれやれ、第一条件が顔と胸などとコンプライアンスに厳しくなる人間界であれば非難殺到となることだったろう。お前は冥界の貴族でよかったな」

「性癖だけではなく、優れた才能を持つことも求めていたぞ。特殊な技芸や学問に精通しているのもいい、単純(シンプル)な強さでもいいし、神器(セイクリッド・ギア)を持っているでも良いんだ」

 

 英雄として名高いマクギリスの眷属、その一員になれるということで悪魔は下級から上級悪魔まで、人間や妖魔も含めて千を超える受験者が集まった。

 流石にそれだけの人数をマクギリスが一人ずつ審査できないので、一次審査では試験管を務める家臣によって主が好みそうだと見なした者を合格とし、二次審査に回すことにした。そして二次審査では能力を審査されて一〇〇点を出して合格した者を選び抜いて、そこから直接マクギリスが審査していた。

 

「そうして合格したのがこのヤマト。最終選考までに残った者たちはそのままうちで働けるよう囲うことになったから、ハリベルも会う機会もあるだろう」

「兵士(ポーン)一つで彼女ほどの実力者を眷属にできるとは僥倖です。それで彼女の実力を計るために、イオクスたちをぶつけてみようということですね」

「流石に数で押し潰されては困るから、私たちもフォローはするさ。だからこその作戦だからな」

 

 ハリベルは主の思考を見事に推測していた。会話はそこで打切り、マクギリスたちは軍を動かし始めた旧魔王派を迎え撃つことになった。

 

 マクギリスの前に立つのは彼の新たな眷属となったヤマト。金棒を構えて、迫る軍勢を見据える。

 

「聖槍使いめ、女の陰に隠れるのがお前の武勇か!?」

「いきなり王(キング)は取れないだろう」

 

 イオクスの言葉にもマクギリスはあっさりといなす。今回はヤマトの実力を見極めるために旧魔王派の将を試金石とする目的だった。

 

「大将首は僕が貰う!」

 

 ヤマトは飛び上がり金棒を振りかざす。イオクスは手のひらに宝石を握り込む。

 

「女人であろうと容赦はせん! 貴様らはこの場で纏めて葬り去る!」

 

 掌中の宝石に魔力を込めると宝石は掌中から消え去る。そして、ヤマトは脳天から雷を落とされた。

 

「くぅあああああああっ!」

 

 雷が身体を奔り、焼いていく。空中で身をよじりながらヤマトは地面に叩きつけられる。

 

「これは……」

「そうだ、これが俺の力だ。“宝石” を“雷”に変える能力。これを受けて焼け死ぬこともなく無事とは存外頑丈だな」

 

 己の能力に自信があるイオクスは誇らしげに言う。上級悪魔固有の魔力は魔法では再現することはできない。先ほどのイオクスの攻撃もまた魔法では起こせない事象によるものだった。

 

「やってくれたな! このーー鳴鏑(なりかぶら)!」

 

 金棒を振るい衝撃波を放つヤマト。さながら飛ぶ打撃となる衝撃波がイオクスを襲う。

 

「無駄だ! オーフィスの蛇を得た俺の実力は魔王クラス!」

 

 宝石を変換された、爆発的な電流が奔りヤマトを襲った。

 ギュバアアアアアッ──と、悲鳴のような轟音に大気が割れ、雷光が風景を黄金に染める。

 

「ふんぬらばぁああああああああああああああ!!」

 

 ヤマトを包む閃光から、彼女が飛び出て金棒を野球の強打者のように振るい、イオクスに思い切り叩きつけた。

 

「雷鳴八卦!」

「うわぁ!」

 

 顔面を殴りつけられたイオクスは地を転がされる。

 

「畜生めェ……! 何故俺の電撃が効かない!?」

「根性!」

「ふざけるなぁぁっ!」

 

 宝石を握ろうとするイオクスに先んじて、ヤマトが行動を起こす。彼女の美顔が白狼のような顔へ変貌して、身体も獣と人を合わせたような姿になる。

 この地は主のマクギリスによって敵地と認められている。ヤマトは女王(クイーン)へ昇格(プロモーション)する。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が彼女の力を向上させる。

 

「無侍氷牙(ナムジヒョウガ)!」

 

 ヤマトの口中から氷の息吹を放ち、敵が放つ稲妻へぶつけて相殺する。いや、僅かにヤマトの息吹が競り勝ち、イオクスの身体は寒波に晒され蝕まれる。

 

「ば、馬鹿な……!」

「よくやったな、ヤマト。これだけ戦えれば及第点だ」

「ありがとう! これからもどんどん強くなるからもっと頼ってよね」

 

 マクギリスに褒められて喜ぶヤマトの前にマクギリスが聖槍を肩に担ぎながら、イオクスとヤマトの間に立つ。

 

 旧魔王派の軍勢は劣勢へ追い込まれていた。兵の数はマクギリス側が少なかったものの、マクギリス、スカサハ、ハリベルがその数の差を覆していた。

 

「イオクス、お前は大きなミスを犯した。一つは私の首を取るために自ら軍を率いて城外へ出て来たこと。そしてもう一つは───」

 

 マクギリスが話している時、街を覆う防御結界が再起動した。

 

「なっ! 馬鹿なっ! あいつは何をしていた!?」

 

 イオクスは留守を任せていた副官の名を挙げて激しく動揺して不手際を責めたが、マクギリスはさりげない口調で、イオクスの精神回路に爆弾をしかける。

 

「もう一つは旧魔王派との戦いの橋頭堡になる拠点に、城主として配置した男に警戒が足りなかったことだ」

 

 マクギリスが視線を遠方の城塞都市へ向ける。そこには結界が展開されており、もう旧魔王派の軍は街へ戻ることができない。

 突如として現れた魔物の気配も既にない。眷属かデュルガたちが討滅したのだろうとマクギリスは当てを付けた。

 

「あれは私が殺すメリットよりも活かすほうにメリットがあると判断した奴だ」

 

 マクギリスは聖槍を肩に担いで、黄金の絹糸のような髪を、白い指ですきあげる。

 

「城の奪還、結界の再起動、賊軍の討伐……。プラマイゼロってところかな。仕事の失敗は仕事でちゃんと取り戻したようだ」

 

 

 城内に待機していたイオクスの副官はデュルガの戦斧で身体を袈裟切りで絶命された。

 眷属も瞬く間に旧魔王派の悪魔たちを殺して制圧していた。強大な魔物が現れた混乱もってデュルガの奇襲は成功していた。




カナヲ、ヤマト、アルクェイドとか眷属の強さが皆さんに伝わったらいいな……

今回登場した強い魔物たちは見た目や特徴には一応、元ネタがあります。元龍王のタンニーンのが火力だけなら魔王級って言われているらしいので、D×D世界での強さをランク付けすると
天龍>神>魔王>龍王って感じじゃないですかね?
超越者のサーゼクスが天龍より強いか弱いかはよく分かりません。
今回出て来た怪物たちは龍王級なので↑の中では一番下位だけれども充分強者と言える位置ですね。
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