聖槍に選ばれたマクギリスはハーレム王になるそうです 作:生死郎
今後は投稿予定はもう少しゆとりをもって出したいと思います。
まさかBLEACHアニオリでハリベルの出番が増えると思わなくて驚きました。
マクギリス・レラジェ侯爵の領地にはオライ・ヴェイルという土地がある。
荒涼とした岩山と乾いた大地。全体的に茶色く乾いた岩肌や荒野が目立つ、やや殺風景で険しい地形が広がっている。
旧魔王派に属する小領主たちの領地が複雑に入り交じる、いわゆる小領主混合領域と隣接している土地だった。しかし、
そしてオライ・ヴェイルにはレライエ湖という湖があり、そこは釣りで人気のスポットでマクギリスはリアス・グレモリー、ヘクトール。そしてもう一人、端正な顔立ちに灰色の髪と瞳を持つ華やかな男性がいた。
「……まさか
リアスが驚き半分、困惑半分といった様子だった。レーティングゲーム第一位。現王者で
リアスは楽しみなようで、いつもより機嫌がよく笑う。
「招待してくれてありがとう。マクギリス」
「今日は楽しんでくれ」
恭しく歓待の意を示すマクギリスに、ヘクトールやディハウザーも礼を言う。
事の発端はリアスが冥界の学校に通っていたときに知り合った、貴族の子息たちの付き合いで釣り大会に参加することになったものの、彼女は釣りの経験がなかった。そのことをブエル子爵が開催した夜会でマクギリスに話したのが始まりだった。
そこからヘクトールが釣りは最近やっていなくて、楽しそうな催しだと言っていたのでマクギリスは彼を誘ったのだ。さらに話が大きくなったのが、ディハウザーが久しぶりの余暇にヘクトールを遊びに誘うかと思っていたらしいと知ったマクギリスが、この釣りに誘ったのである。
結果、グレモリー侯爵令嬢、皇帝、政府要人が仲良くレラジェ侯爵領にやって来たというわけだ。ちなみに対応に追われたオフェリアは余裕があるが、警備責任者の
ともかく冥界でも有数の貴人たちはレライエ湖で釣りをすることになった。この湖で釣れる魚はルリタマハゼという魚が人気だ。湖底のきらめく砂地に生息する小型のハゼで上品な白身を持ち、地元の宿屋ではカリッと揚げた唐揚げがお客の疲れを癒やす定番料理として親しまれている。
釣り具や餌等必要なものは地元の店にオフェリアが用意してもらい、彼女がマクギリスたちに渡した。
「……」
「どうしたんだ?」
「い、いえ……」
顔色の悪いオフェリアに胡乱げな目を向けるマクギリス。オフェリアは初めてみる大量に蠢くイソメに慄いていた。なんとか義務感で主たちに渡すまでは我慢できたのだが、成し遂げたあとに緊張がゆるんだら怖さが勝ってしまったのだ。
「い、いざっ! ……ひゃっ!」
イソメへの恐怖はリアスも感じているようでなんとかイソメを摘めたが、それが精一杯で釣り針に仕掛けることが出来なかった。
魔獣を相手にしても果敢に戦うリアスだが、イソメには恐怖心を抱くらしい。
「ちゃんと教えるからちょっと貸してくれ」
「ごめんなさい……あの、怖くないの?」
「いや? 慣れてしまえば平気さ。はい」
「凄い! ありがとう、マクギリス!」
竿を渡されてリアスはお礼を言った。マクギリスの手際に感動しているのか目が輝いている。
「わ、グンッと来たわ! これ、竿を引いていいの!?」
唐突なことに慌てるリアスを宥め、マクギリスは指示を出しているとリアスは見事に魚を釣り上げた。この湖で人気のルリタマハゼだ。
「上手上手」
「ふふっ、あなたのおかげよ! ありがとう!」
ルリタマハゼを釣ってリアスが楽しそうに喜び、笑ってくれるならばマクギリスは釣りの準備をしていて良かったと思った。
二人で仲良く釣りをするマクギリスとリアス。最初と違って随分と親密な雰囲気となり、二人とも笑顔が多くなっていた。
それをヘクトールとディハウザーは釣りをしながら離れたところから眺めていた。
「何だろうねあいつ、いつの間にか二人の空間みたいな雰囲気を作って……」
ヘクトールが言うあいつ、というのはマクギリスのことだ。
「奇遇だな、私もそう思っていたよ」
マクギリスは当初の目的通りリアスに釣りを教えて、リアスも教わっていたのが既に距離感が変わっているように見える。
前レーティングゲームチャンピオンと現チャンピオンである自分たちを意識していたのは最初だけである。
「何”頼れる男”を演出しちゃってんの?」
「実はあれがレラジェ卿の目的だった……?」
「リアス姫は婚約者がいるというのに」
「ヘクトールは相変わらず硬いな。ライザーはハーレムを築いているし婚姻の時に、夫以外と関係を持たないと誓わなければ良いのではないか?」
冥界の婚姻では男女問わずハーレムを作ることは容認されているという、欲望の肯定者である悪魔らしい制度がある。婚姻時には配偶者以外と関係を持つか決定、誓約するのであるから、譬えリアスがライザー以外にマクギリスと関係を持つことになっても問題はないと、ディハウザーは言っている。
「硬いというか、俺にはしっくりは来ないだけなんですよ」
トロイアのプリアモス王と王妃ヘカベーの間に生まれた第一王子だったヘクトールも一夫多妻が至上であるとは思わないが、それでも悪魔の奔放さは異質な価値観に思えるのだ。
「まあ、あれはあれでいいのか……昔のあいつと比べたら健全かもね」
ヘクトールが肩を竦めてみせる。
内乱に身を投じた当時少年だったマクギリスの魂の底から、しぼり出すような憤怒のうめきを目の当たりにしたヘクトールにとっては、少女の横で楽しそうに笑っていられる姿を見れるのは、年長者として安堵していた。
「ま、俺達は俺達で釣りを楽しもう。……あ、オライトラウトだ!」
「ほう、これはいい。こいつは甘さがあって味わい深いらしい」
道すがらに読んだ本の知識を引用してヘクトールが、ディハウザーが釣りあげていた淡水魚を眺めた。
「そうかそうか。それでは全員が食べれるだけ頑張って釣ろうか」
「ハゼは唐揚げなり竜田揚げなり、食べほうだいだぜぇ?」
ヘクトールもルリタマハゼをたくさん釣り上げていた。トロイアの守護者と皇帝。男たちは雑談に興じながらも、着実に釣果をあげていた。これならばみんなが魚料理にありつけるだろう。
「ふふふ、夕食が楽しみだ。それよりヘクトール。お前、早くレーティングゲームに復帰しないか? 最近は少壮気鋭の新人たちの台頭も著しい。だがそれでも、やはりお前と競い合うことができないプロリーグというのは味気なくてな」
かつてヘクトールがプロリーグの第一線で活躍していたときは、ディハウザーが一番のライバル同士であり一位を獲るための立ちはだかる強敵だった。
ヘクトールとディハウザーが常に一位を獲りあう苛烈なゲームが繰り広げられていた。
ヘクトールがレーティングゲームの第一線を退き、政務に専念するようになってからはディハウザーが絶対王者として君臨していた。しかし、ディハウザーは玉座に座りながらも満たされない飢えを抱えている。
「えぇ、オジサンもういい歳なんだぜぇ? まあ、今は何かと忙しくてな」
一大グループだった密猟組合を滅ぼしても未だに密猟者は残っているし、マクギリスが眷属に迎えたティア・ハリベルから得られた
そして三大勢力の和平を望む魔王たちの意向。片付けるべきタスクはまだまだあるのである。
リアスとのコミュ回といつかは掘り下げようと放置していた設定の公開をしようと考えた釣り回です。
冥界に海がないので代わりに大きな湖はあるということにしました。
というか、ヘクトールの出番は久しぶり過ぎないか!?
次回投稿は9月下旬予定……できれば中旬に投稿したい。
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