過去と現在
「ハッ……ハッ、ハァ…………」
弟のように過ごしてきた彼と祝言を挙げてもうすぐ五年になろうとしているのに、飽きることなく夫は私の身体を貪ってくる。
「夏織……かおりぃ……っ!!」
当然ではあるが、夫婦になってから空様は私を妻と接していた。
昔の姉弟のような関係が少しだけ懐かしいと最近は思う。
「う……っ!?」
空様が精を放つ。今日最初の子種だ。
脈動と共に流されてくる精子。収まりきらない量が私の膣穴から溢れ出す。
「あ……」
だけど、一度では空様は止まらない。
毎日何度も精を放たないと治まらない。
私も、まだ足りない。
この五年で女として成長した身体は年々性欲が強くなってゆくのを感じていた。
「尻をこっちに向けて」
「はい……」
向かい合っていた体勢から布団に手と膝をつけて空様にお尻を向ける。
最初は恥ずかしかったこの体勢も、夜伽に対する慣れと、この交わりで鈍った思考で羞恥が薄くなっていた。
「綺麗だよ、夏織……」
「はい……あなた……んっ!?」
空様が私の陰核を擦って弄ぶ
それから膣口から指を押し入り、膣内を搔き回す。
「ん、ん……ふっ……あ、あっ……」
どろりと混じり合った私たちの体液が溢れる。
「僕たちも、そろそろ子供が欲しいよね」
優しく話してくる空様にビクッと体を強張らせた。
空様と結婚してもうすぐ五年になる。
毎晩のようにこうして抱かれているのに、未だに妊娠の兆候はない。
その事に周囲が訝しみ、良くない噂を流している事を知っている。
以前、私が結核を患った事が原因ではないかと。
奇跡的に治ったが、そのせいで子を成せない身体なのではないかと囁かれている。
「わたし、も……あなたとの子が欲しい、です……」
「うん。僕も頑張る……」
その不安を悟らせないように微笑んで返す。
空様が私の背中から体重をかけて再び肉壺に自分の魔羅で貫いてくる。
「んはっ……は……ん、や……そこ……」
腰回りから腕を回して胸を揉み、陰核を撫でてくる。
多少乱暴に扱われても、それを悦びに変わり、触れられるだけで下腹部が切なくなる。
空様の抱かれる度に何をされても赦してしまいそうな幸福感を得られてしまう。
使った事はないが、阿片などの危ない薬を服用して辞められなくなる人は、こんな気持ちなのかもしれないと。
「あなたぁ……あ、い……愛していますぅ……」
今ならどんな恥ずかしい媚も簡単に出来る気がした。
「夏織……また、射精すぞ! 受け止めろ……っ!」
再び訪れる射精。
腟内で感じる脈動と子種の流れる、その音が耳まで伝わる気がした。
「あっつ……はっ、やぁ……まだぁ……っ!?」
二回目なのに一回目より多く射精してる気がする。
「はぁ……」
大きく息を吐いて一度魔羅を抜く。
疲労から肩で息をして布団に体を沈めていた私の髪を空様が乱暴に掴む。
「まだ、終わってないだろ。早く綺麗にしろ」
「……はい」
魔羅を口に押し付けてくる。そんな行動にさえ、どこか喜びを見出している自分が居た。
だけど同時に、豹変する彼が、恐ろしいと思った。
悟堂美季から聞かされた御門と悟堂の過去。"神様"について。
それを受け止めきれず、頭が混乱としていた。
「信じられない?」
「あ、いえ……その……」
どう返すべきか迷い、俯く四季。
その様子に美季は苦笑いを浮かべる。
「まぁ、仕方ないわね。こんな話、荒唐無稽過ぎるもの」
「……はい。それで、その……当時結婚した神門と悟堂の夫婦は、どうなったんですか?」
「ん〜。結婚生活は五年くらい続いたらしいけど、跡取り問題が浮上して結局別れたらしいわ」
「そう、ですか……」
少しだけ言い淀んだ事には気になったが、話してくれなさそうなので訊かなかった。
ベッドに座っていた四季の隣にバスタオルを巻いただけの美季が体を寄せていた。
美季が耳元で囁やく。
「……
いつもの陽気な美季とは違う。
煮え滾る憎悪の感情に触れて四季は一気に自分の喉が乾いたような気がした。
「どうして、そこまで……?」
「先祖のいざこざを、
クスクスと笑う声がした。
その声と内面が違っているのは鈍い四季にだって分かる。
しかし、美季は真正面に顔を移すと、ニコッと笑った。
「だから、うちの娘達とバンバンエッチしなさい。もしかしてって可能性も有るでしょう? それに────」
美季が自分のお腹を撫でる。
「春花がお姉ちゃんになるかもしれないし?」
「美季さん、それは……っ!?」
さっき、散々腟内射精したのを思い出して四季は頭を抱えた。
その様子に可笑しそうにして肩を竦める。
「安心なさい。それで子供が出来るなら、旦那様の子をとっくに儲けてるわ」
それはそれで居た堪れない気持ちになるのだが。
すると美季は巻いていたバスタオルを雑に下ろし、下着を着け始める。
「そろそろ帰りましょうか。さ〜て冬雪のやつ、怒ってるでしょうね〜」
楽しそうに帰り支度をする美季だった。
「ご無事ですか四季様!?」
神門の屋敷に戻ると四姉妹が慌てた様子で出迎えてくれた。
「大袈裟ねぇ。仮にも悟堂の人間の私が神門の御子息に危害を加える訳ないでしょうが」
「貴女はどの口で……っ!?」
拉致同然に連れ去ったくせに悪びれもしない美季に冬雪が睨みつける。
「もぉ、おかーさん。四季様は、みんなのモノなんだから〜。独占は良くないよぉ?」
「立場が逆でしょ秋葉。
「あ〜、そーですねー」
秋葉の場を和ませる為の冗句に冬雪は勢いが削がれる。
夏海が心配そうに四季を見る。
「大丈夫、四季、様……」
つい呼び捨てにしようとしてしまうところを、冬雪を見てぎこちなく様付けする。
それに苦笑してから、うん、と頷く。
「遊園地に行っただけだよ。ちょっと疲れたけど、楽しかった」
「良かった……」
ホッと息を吐いて安堵し、四季に抱きつく。
四季にだけ聞こえるように囁く。
「心配、したんだよ?」
「うん。ごめんね……」
「四季様、早く中へ。春花が夕食を用意して待ってますので」
「そうですか。春花ちゃんにも謝らないと」
あの子にも心配かけただろうな、と考えていると、美季が率先して中へと入ろうとする。
「たくさん動いて私もお腹空いたー」
「貴女の分などありません!」
「え? ひどい」
ちなみに美季の分の夕食はちゃんと用意されていた。
それを夢だと自覚したのは、あまりにも異性を抱いている感覚があまりにも乏しかったからだ。
皮肉な事に、このところ毎日のようにセックスをしていた事実がこれを夢だと判断させた。
知らない女を組み伏せ、本能のままに腰を振っている。
「あぁ……空さまぁ……やだ……こんなの、だめですぅ……っ!?」
女は口では嫌と言いながらも涎を垂らしつつ、その口元は明らかに悦んでいた。
「空さま……わたし、こんなの……気をやって……あうっ!?」
まだまだ成長途中であろう胸を揉み、乳首を軽く引っ張る。
「気持ち良いんでしょ? ならそれに身を任せればいい」
「ふぁい……そらさまぁ……」
蕩けた表情で自分を見るまだ
「良い子だ、
朝食前に夏海を付き添ってジョギングをする。
神門の屋敷から少し離れた公園までの往復。
しかし、その二人の距離は少し離れていた。
「四季遅い」
「ごめ……んっ……」
四季のペースに合わせているが、生来のマイペースさで、気をつけないとドンドン先に行ってしまう。
それに無理して追いつこうとする四季のペースが速くなり、息を切らしている。
帰り道の半分を切ったところで四季の脚が止まり、道の端に腰を落とす。
「なつみ……はっ……さき、行ってて……っ」
「駄目だと思う。待ってて、水買ってくるから」
「……うん」
神門の屋敷に住んでからそれなりに運動もしていたが、ここ最近はデスクワークや接待が多くて運動が疎かだったツケである。
明らかに一時期つけた体力が落ちていた。
「おまたせ」
「ありがとう」
少し戻って買ってきてくれたミネラルウォーターを口に付ける。
「大丈夫?」
「はは……前はギリギリ戻るまで走れたんだけどね」
「四季ならすぐにまた走れるようになると思う」
前屈みになる夏海。
まだ暑さが残り、汗ばんだシャツからブラの形が見えた。
その視線に気付いた夏海がジト目で四季を見る。
「エッチ……そんなところだけ元気になる」
不自然にならないように密着して四季の股間に手を当てた。
「……ごめんなさい」
今朝、変な夢を見た影響もあって、余計に過剰になっていた。
「ふふ……ここでシちゃう?」
「こんな人通りでする度胸はないよ……我慢、する」
流石に冗談だろうが、夏海はちぇっと残念そうな表情をする。
「じゃあ仕方ないね……」
そう言って顔を近づけて唇が触れるだけのキスをした。
「────っ!?」
だが、バッと離れて周囲を見渡す。
「どうしたの? 夏海」
「今、シャッター音が聞こえたような気がして」
「えぇっ!?」
でも周囲に人影は見えない。
「……早く屋敷に戻った方が良いかも。走れる?」
「充分休んだから」
「じゃあ、行こう」
「う、うん……」
夏海が聴いたというシャッター音を振り払うようにその場を離れた。
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