悟堂春花は姉妹の中でも末っ子という立ち位置から他の姉妹より時間の融通が利く。
そんな彼女は中学校では映画研究部という部活に所属している。
中学校としては珍しい部活かもしれないが、二年程前に設立されたばかりで部員数は十人前後であり年に二十分くらいの長さの映画を文化祭などで上映する。
小さな活動であるが、春花は楽しんでその活動に努めていた。
ミーティングを終えて解散となった後に春花と同じ部の友人である三島恭子が話しかけてきた。
「部長から言われた宿題、どうする?」
「どうする? って言われても……」
友人の質問に春花は苦笑する。
部活動に熱心な部長が卒業する前に、力作を公開したいとの意見が有った。
そこで渡された台本はこれまでと比べても力の入り用が違うのが解る。
「男子部員が少ないからって、外からでも良いから男引っ張って来いとか無茶振りを……そんなのアタシらどうにか出来るかっての!」
兄が居るならともかく、春花は姉しか居らず、恭子は一人っ子だ。
文句を言う恭子を横に春花は現在一緒に暮らしている異性を思い浮かべる。
(四季様に頼んでみようかな? でも冬雪お姉ちゃんが反対してきそう……)
基本的に四季のスケジュールを管理しているのは冬雪だし、実際四季は色々と連れ回されて忙しい。
そんな事を考えていると恭子が話しかけてくる。
「部長からヒロイン役をお願いされてたけど、引き受けるの?」
「わたし、撮影の方に興味があるんだけどなぁ」
春花は父譲りの銀髪と母譲りの整った顔立ちから非常に人目を引く。
それで今回撮影する映画が恋愛モノという事もあり、ヒロイン役をやって欲しいと頼み込まれていた。
しかし春花自身は撮影や編集の方に興味があり、出演にはあまり乗り気では無かった。
「でも春花ならいけるんじゃない? 演技とか上手そうだし」
「適当なこと言ってる……」
友人の適当な言葉にちょっとだけ非難するような視線を向けた。
「四季様って演劇とかに興味有ります?」
「え? 無いよ。なんで?」
心底不思議そうに聞き返す四季に春花はですよね、と苦笑いをする。
スマホ片手に横で聞いていた秋葉が興味を示す。
「なになに? どうしたのー?」
「実は────」
部活の事を話す春花。
所属している映画研究部で二十から三十分程の恋愛映画を制作する事。
まだ主人公の男役が決まっておらず、どこからか引っ張って来れないかと部長から部員に打診された事。
話を聞いて四季が質問する。
「えっと……春花ちゃんが映研に入ってたのは初めて聞いたけど。でも、男子部員も当然居るんだよね?」
「はい。でもその……部長曰く、映えないって……」
現在九人の部員数で男子は三人。
肥満体型と強面の筋肉質な三年が二人。
逆に痩せ形の二年が一人。
別に美男俳優レベルを期待している訳ではないが、もう少し見映えの良い男子が欲しいとの事。
ちなみに部長は女子である。
「あー分かる分かるー。最近四季様も体つきが逞しくなってきたしー。顔立ちは元から良いもんねー」
「そんな事は……」
秋葉がうんうんと頷いていると四季が困惑する。
四季からすれば、そんな風に思われているのが意外なのだ。
そこで春花のお願いについて考える。
(なんだかんだで春花ちゃんにはお世話になってるし。小さな事でも力になってあげたいなぁ)
そんな事を考えていると、秋葉が後ろから抱きついてきた。
「ねーねー。四季様ー。春ちゃんのお願い、聞いてあげてくれないかなー?」
「え?」
反応したのは春花の方。
「冬姉の方はー、ボクから話をして置くからー。うん、多分大丈夫ー」
何が大丈夫なのかは知らないが、どうにも乗り気である。
「楽しみー」
のほほんとした声で秋葉はスキップしながら去って行った。
「えっと、悟堂春花さんに誘われてそちらの部活動の応援にやって来ました、神門四季です。演技などは素人ですが、よろしくお願いします」
中学生や映研の顧問を前にお辞儀をする四季。
部長である新庄恵が掌を組んで感動している。
「はい! 此方こそよろしくお願いします!」
と、四季と握手してブンブン腕を上下させる。
パワフルな娘だなぁ、と笑みを崩さずにいる四季。
恵は春花の方に体を向ける。
「悟堂さんもありがとう! 神門さんの事もだけど、ヒロイン役も引き受けてくれて!」
「はい、まぁ……あ、でも編集や出番の無いシーンでの撮影には参加させてくれると嬉しいです。わたし、そっちの方に興味をあるので」
「もちろん! 元々人数足りないくらいだからね! そっちも手伝ってくれるなら大助かりよ!」
機嫌良く頷く恵。
四季を引っ張りだす条件は春花がヒロイン役を引き受ける事と冬雪に提示されている。
そう言われればやりたくないなどと言えずに了承する形となった。
四季は台本を受け取って読み始める。
話の内容としては病気で長期入院しているヒロインと幼馴染みの少年、という設定で特に奇の無い直球の恋愛ストーリー。
登場人物も主人公とヒロイン。医師とヒロインの母親の4人であり、場面の殆どが学校の教室と病院の個室となっている。
三十分未満のストーリーで出来る限り主人公とヒロインに焦点を当てた内容になっている。
医師は三年の男子。母親役は部活の顧問が担当するらしい。
初日から撮影開始、などという事は勿論無く、素人である四季への演技指導や、セットの制作などが主だった。
「イメージピッタリじゃない? 春花とこのヒロイン」
「そうかなぁ?」
セットの制作。学校に在る部屋を病室に見立てる作業をしながら恭子と話す春花。
イメージに合っているという恭子に春花は首を傾げる。
「うん。奥ゆかしいというか健気? 病弱設定の儚げな感じがピッタリ!」
「それってわたしが長生き出来なさそうって意味?」
「悪く取らないでよー」
会話でふざけつつも作業に取り組む二人。
「でも本当にイメージ通りだと思ったんだよ。春花が」
台本の中のヒロイン。
闘病で苦しい生活ながら周りに心配させまいと気丈に振る舞う少女。
両思いになった主人公を敢えて突き放すシーンもある。
清楚で奥ゆかしくも自分の状態よりも誰かを気遣える強さを持つ。
「うん。わたしは、こんな綺麗な人間じゃないよ」
友人に聞こえない声量で春花は呟いた。
四季が外部からの助っ人という事もあり、重要なシーンをある程度先に撮る事になった。
時間が多く取れる夏休みに重要なシーンを撮影し、あまり重要ではないシーンは後回しにする感じに。
もしも時間が合わなくなったら四季に変装した代役を立てて、登場シーンや台詞を削って対処するらしい。
暗がりの白い部屋。
ベッドの上で上半身だけ起こした春花は俯いたまま視線を反らしていた。
四季が手を重ねようとするとその手が逃げる。
その反応に四季は傷付いたように息を呑む。
それでも努めて明るい声で話しかけた。
「次の手術が成功したら、退院できるって話だね。頑張っ────」
「軽々しく頑張ってだなんて言わないで」
春花は反対方向を向いたまま言葉を遮る。
「成功したら……でも失敗したら、今度こそ
頑張ってなんて上っ面な言葉は聞きたくないと相手の優しさを拒絶する。
「だから恋人ごっこはもう終わりにしましょう。こんなわたしに同情で傍にいる必要は、無いでしょう?」
人生を諦めたような眼で別れを告げる。
なのに、相手の答えは。
「傍にいる。ずっと傍にいるよ」
その言葉に春花は四季の方を向いた。
すると、四季が春花の頭を抱く。
「どんな結果になっても、僕は君の傍にいる。ずっと怖かったのに、気付けなくてごめん」
春花が四季の胸に胸に顔を埋める。
「痛いの……胸やお腹が突然痛くなって……夜も眠れなくて……」
「うん……うん……」
「怖いの。手術が失敗したら、ずっとそれが続くと思うと……」
震える春花の頭を四季はずっと撫で続けて……。
「カーット」
部長である恵がカチンコを切る。
照明が照らされると同時に緊張していた空気が弛緩する。
四季も緊張から解放されて息を吐いて背筋を伸ばしながら裏方の方を向く。
「神門さんスゴい! 本当に演技は素人なんですか!」
興奮した様子でパシパシ叩いてくる。
「あはは……相手が顔見知りの春花さんだったからやり易かっただけだよ」
実際あまりよく知らない相手がパートナーだったら四季もあんな台詞をスラスラと言えなかっただろう。
春花の方も友人の恭子が絶賛している。
「ずいぶん謙遜してたのにノリノリだったじゃん! メッチャはまり役だったよ!」
「家でも練習したんだよ」
疲れた様子で話す春花。
他の部員達も先程のシーンを絶賛していると顧問が手を叩く。
「今日の撮影はここまでにしましょう。この部屋は明日も使うからこのままで機材は部室に戻して各自解散。悟堂さんも着替えたら帰っていいわよ。明日も頑張ってね」
顧問が指示を出すと皆が片付けに入る。
「今日は疲れたでしょ? 早く着替えてゆっくり家で休んだら?」
「うん」
春花が着ている入院着を指差すと本人も頷く。
それから片付けを手伝い始める恭子。
四季も何か手伝おうかと考えていると、春花が手を握ってきた。
見ると、熱で浮わついたような表情をしていた。
「だー! 女の子にあんな重たいモン運ばせるなっつーの!」
機材を戻し終えた三島恭子は両手をブンブンさせながら愚痴る。
外に出してあった機材を中まで入れるのが少し大変だったのだ。
部室に置いてあった鞄を肩に掛けて下駄箱までマイペースに歩く。
(もう春花は帰ったよね)
そんな事を思いながら先程撮影に使った偽病室を通過する。
既に明かりの消えた部屋の横を通ると、小さな呻き声のようなモノが聴こえた。
「?」
確かに声は撮影に使った部屋から聴こえてきた。
疑問と違和感に惹かれてその部屋に手を掛けて戸が僅かに開く。
「は、んっ……四季様、そこ……イイ……ッ!!」
聴いたことのない友達の声に僅かに開いた戸はそこで止まり、唾液を飲んで隙間から中を覗く。
その中を覗いて思わず恭子は口を手で塞いだ。
「イイ……イイのぉ……四季様の手……アンッ!?」
ベッドで春花は四季の太腿の上に座り、制服の中に手を突っ込まれ、胸を揉まれているのが分かる。
股も開き、ファスナーから出ている四季のペニスを手でシゴいたり、マンコに擦り付けているのが見える。
普段は三つ編みにしている銀の髪は解かれ、弄られている腕が動くたびに堪える声と共に振り乱している。
「@#$%&*!?」
訳が解らず頭の中が大混乱になる恭子。
するとそこで喘ぎ声を漏らしていた春花の目蓋が開き、目が合った気がした。
「っ!?」
それだけで、三島恭子は顔を真っ赤にしてその場から逃走した。
(見られちゃった……)
それが友人である恭子で良かったのか悪かったのか。その判断は今の春花には出来ない。
というよりも、四季が自分のクリトリスを指で擦ってきた快感でどうでも良くなった。
「まったく。家まで我慢できなかったのか?」
「はいぃ……撮影中に四季様に抱き止められた時に、四季様の臭いを間近で嗅いだら、どうしても欲しくなってしまって……んんっ!?」
膣口から中指を突っ込まれ、グチュグチュと膣内を掻き回されている。
抱かれる度に欲求が増し、今も握っているペニスを頬張り、喉奥まで突き入れて欲しいと思う。
四季の指が手早く終わらせようと愛撫でマンコを濡らしてくる。
(さっき、恭子と目が合った時、スゴく興奮した……)
友達に覗かれて血の気が引く思いともっと見て欲しいという欲求。
それどころか、今この情事をカメラに収めて、映画に組み込み、文化祭で流したらどうなるのかと想像して興奮してる自分がいる。
(冬雪お姉ちゃんくらいエッチに関してわたしも変なんだ……)
一度四季から体を離して床の上に寝そべり自分の膣口を広げる。
「四季様……早く春花を慰めてください……ケダモノのように激しく」
その一言で、四季は春花を覆い被さる。
既に怒張しているペニスで春花のマンコを貫く。
「ハァ……ンン……や、イイっ! 四季様のオチンポ、すきぃ!?」
水音を立てながら膣内で暴れるペニスの感触に視界がチリチリする。
「あふ……イイとこに擦れて……アンッ!?」
気持ち良い事を教えてくれる。
もっと欲しいと春花は四季の腰を脚でホールドして密着する。
快楽に溺れたいのだ。
あの熱い液体で自分の膣内を染めてぐちゃぐちゃにして欲しい。
春花は四季の腕を掴んで頬や首筋にきすをしていた。
四季のペニスが春花の子宮口を突いて膣内でグリグリと動く。
「ハァ……ッ! ンン……アッ! 四季様の、わたしの膣内で、大きくなってっ! ん、ハァ……ッ!?」
肉欲の赴くままに声が漏れる。
いや、そもそも抑えるという意思すら春花の中では無いのかも知れない。
だからか、四季は徐々に大きくなる春花の声を手で塞ぐ。
「~~~~っ!!」
塞がれた手を舐めてくる。
しかし手の平を押し退けるというよりも、動きが愛撫に近い。
その状態で春花の膣が締まり、痙攣するようにペニスを刺激する。
「春花……んっ! 射精すぞ!」
四季の言葉に春花はコクコクと頷く。
宣言通り膣内でペニスがドクドクと脈打ちし、精液を子宮へと送り出す。
「~~~~っ!?」
首を横に振りながら受け止める春花。
射精終え、四季が手と体を離すと、紅潮した頬と口元をだらしなく緩めた春花の顔があった。
「ア……ハァ……こんなに、いっぱい……」
春花は下腹部を幸せそうに撫でた。
翌日、四季は用事があり不参加の形の中で、春花は自分の単独シーンの準備をしていた。
いつもは一緒に居る恭子も今日は気不味そうに春花から距離を取り、チラチラと見てくる。
自画自賛休憩に入ると向こうから近付いてきた。
「あのさ、春花……」
「なに?」
台本を読んでいた視線を恭子に合わせると、向こうが肩がビクッと跳ねたが少しの間、指をモジモジとさせた後に質問する。
「もしかして、その……神門さんと付き合ってるの?」
恭子の質問に春花は目をパチパチさせる。
身体の関係=交際という発想。
その当たり前にこれまで思い至らなかったのが可笑しかった。
「んー。ひみつ?」
春花は答えをあいまいにぼかして笑った。
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