※この作品はR-18です。

OのFともう一人の怪人   作:木桜 春雨

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目が覚めると知らない場所、そこは地下だった

 何故、自分が、こんな場所にいるのか、自分の部屋で寝ていた筈だ。

 ここ最近の蒸し暑さのせいでエアコンはかかせない、少しでも涼しくなればいいと思って枕元のデスクライトで本を読んでいた。

 乱歩、ランポー、フランスのゴシック小説、オペラ座の怪人の二時創作、これは海外の女性が書いたバスティーシュで翻訳機能を使って読んでみたが、怪人と女性の恋愛ものが多かった。

 目が覚めたら夢だった、そうならいいのだが、自分でもわからず地面に腰を下ろして座っているとだんだんと眠くなってきた。

 ああ、これは夢だ、そう思って眠ることにしたのだが、目が覚めると見慣れない洞窟の中だ、岩壁には灯り、電気ではない、アンティークの灯に扉が見えた。

 

 いつのまにと思いながらドアに近づいて開けようとしたが、開かない、鍵がかかっているのか、ここに閉じこめられたのだ。

 一体、誰が、自分をここに連れてきたのだろう、驚くというより呆然として地面に腰を下ろして状況を整理、考えようとしたとき、ドアの向こうから音が聞こえてきた。

 入ってこようとしている、どうしよう、逃げようと思っても広くもない部屋のドアは一つだけだ。

 岩壁に体をぴたりとつけて、ドアが開くのを持った。

 

 ギイーッッ、ドアの開く音がして入ってきたのは男だ、長身で全身、黒づくめだ、もしかして泥棒、犯罪者、不安でたまらない、そんな自分に相手が、起きていたんだねと話しかけてきた。

 

 返事ができなかった、嫌な想像、不安なことばかり考えてしまう、映画や小説の中でシリアルキラーや人殺しを平気で行う人間は相手を油断させて犯罪、平気で人殺しもするのだ。

 もしかしてと思ってしまった。自分も、そんな目に遭わないといえるだろうか。

 相手が一歩、一歩と近づいてくる。

 

 「落ち着いて、君に危害を、怖がらせたりするつもりはない」

 

 安心してというが、わずかに俯いたまま、相手の顔をまともに見ることもできない、言葉を聞くだけで精一杯だった。

 

 「今、部屋の用意をしているところだ、もう少し、ここにいてくれないか、外には出ない方がいい、ここは地下だが、浮浪者や宿無しがまぎれこんでくることもあるんだ」

 

 地下、浮浪者、宿無し、聞いていて決して気持ちのいい言葉ではない、相手が悪人なら女の自分が酷い目にあうかもしれない、でも目の前の相手は信用できるか、不安に思いながら、このとき初めて男の顔を見ようと顔を上げた。

 帽子をかぶっていて、顔がよく見えない。

 

 「私が部屋を出たら鍵をかけるんだ、いいね」

 

 どんな鍵だろうと思いながら、このとき初めて男に自分から近づいた。

 怖いと思いながらも、いい人だと思わなければ不安で怖くて仕方なかった、見せられたのは南京錠だ。

  

 

 男はドアの外に出るとほっとした、鍵をかける音を聞いたからだ、女は言う通りにしている。

 自分は悪人ではない危害を加えるつもりはないと説明して、どこまで信じているのかわからない。

 だが、少しは、それに短い会話だったが、女の恐怖心を少しは払拭できたはずだ。

 

 倒れている女を見つけたときは驚いた、ここは地下だが人が迷い込んでくることは、それほどよくあることではない。

 では、この女はどこからきたのだろうかと思った、着ているものも薄い布地だが、貧民街の人間なら、もっと薄汚れたぼろを着ている筈だ。

 金持ちの女が人攫いにあって、いや、それならあんなところで気を失って倒れたままというのはおかしい。

 

 最初は侵入者だと思い、殺すつもりだったのだ、確認しようとして側にいき、女だと分かったときは驚いた。

 地下で長く暮らしていたので女という生き物を、こんな間近でみたのは久しぶりだった、地上に出たとき、女を見かけることはある。

 ぼさぼさの手入れなどされていないような髪の毛、着ているものもだが、垢と埃で薄汚れた顔とぼろぼろの衣服、勿論、皆が皆、そうではない、着飾った娼婦もいる。

 甘いむせるような香水に、こってりとしたおしろい、だが、それは大抵の場合、酒と薬をやっていることを隠すためだ。

 だが、この女には、それがない、化粧も酒の臭いもだ。

 フランス女ではないのは一目でわかった。

 どこかの貴族が囲っていたのかも、あり得ないことではない。

 外国人の女を秘密で飼っている貴族の話を聞いたことがある、ペットのような扱いなのかと思った、金持ちで見栄っ張りな貴族なら自慢して見せびらかすのが普通だろう、だが、貴族といっても様々だ。

 

 思考が停止した、あの女を殺す、いや、それなら、今、していることは何なのだと自身に問いかけた。

 

 

 自分の住む地下の居住の中の一室、そこは以前、ある女の為に用意した部屋だ、色々と整えて、だが、それは全て徒労に終わってしまった。

 夢は結局のところ、叶わない夢でしかなかったのだ。

 だが、その部屋を、再び、使えるように準備している。

 あの女は、この部屋を見て、どう思うだろうか、この部屋で、ベッドで、そんなことを考えているとドアの向こうから、エリックと呼ぶ声がして男は我に返った。

 




久しぶりにオペラ座の怪人、トリップヒロインです。
大人女性なのでアダルト、エロ有りです。
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